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「皮膚がんの特徴」はご存知ですか?症状・治療法も解説!医師が監修!

 公開日:2024/05/18
「皮膚がんの特徴」はご存知ですか?症状・治療法も解説!医師が監修!

皮膚には状態や病気によってさまざまな症状が現れますが、その症状が「がんかもしれない」と疑ったことはありますか。皮膚がんは皮膚にできるため、見つけやすい一方で、ほかの皮膚疾患と区別がつきにくい特徴があります。

皮膚がんは早期に適切な治療を受ければ予後は良好です。しかし、皮膚がんだと思わずに放置しておくと臓器やリンパ節へ転移し、命の危険に晒されるかもしれません。

この記事では、皮膚がんの特徴・症状・治療方法についてご紹介します。病院に行くべき症状についても解説するので、ご自身や家族の健康を守るための参考にしてください。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

皮膚がんとは?

皮膚は表面から表皮・真皮・皮下組織の順に構成されており、皮膚の内部にできる悪性腫瘍の総称を「皮膚がん」といいます。
原因の一つとして紫外線が考えられます。紫外線は細胞の遺伝子を傷つけやすく、がんが発生する可能性が高まるのです。そのため、紫外線を受けやすい手足・顔は発生しやすい部位であることがわかります。
ほかには放射線・ウイルス感染・喫煙・皮膚への摩擦や圧迫も皮膚がんの原因となるでしょう。また、皮膚疾患が慢性的に経過した場合、皮膚がんになる患者さんもいます。

皮膚がんの特徴

全身のさまざまな場所に発生するのが皮膚がんの特徴です。湿疹と勘違いしたまま放置し、受診のタイミングを逃して悪化する場合があるので注意が必要です。皮膚がんの分類・初期の兆候・受診のタイミングを知っておきましょう。

がん化する細胞によって名前や症状が異なる

ここでは代表的な皮膚がんを4つ解説します。

  • 基底細胞がん
  • 有棘細胞がん
  • 乳房外パジェット病
  • メラノーマ(悪性黒色腫)

基底細胞がんは皮膚がんの中では発生率の高いがんといわれており、表皮の基底層で発生する上皮系細胞由来のがんです。ほくろに似ているように見えますが、よく見ると青黒くなっているのが特徴です。高齢者の瞼や鼻などの顔面に見られやすいです。
次に、有棘細胞がんは、表皮にある有棘層にできます。有棘細胞がんの初期症状は、肌の赤み・かさつき・硬さが見られるのが特徴です。乳房外パジェット病は、アポクリン汗腺という部位の細胞が変化して発生する皮膚がんです。70〜80歳代の高齢の方に多く見られ、外陰部や肛門の周りが赤くなる症状が見られます。
基底細胞がん・有棘細胞がん・乳房外パジェット病は、上皮系細胞由来の皮膚がんです。
そして、メラノサイトという色素を生成する細胞にできるがんがメラノーマです。メラノーマは褐色もしくは黒色のシミのような症状が現れます。

体の表面にできるため早期発見がしやすい

皮膚がんは早い段階で発見できる一方で、「赤み」「かさつき」などの皮膚症状と判別しにくいのが特徴です。「このくらいなら大丈夫」と病院に行くのが遅れる場合もあるでしょう。以下のような状態の場合は、すぐに皮膚科を受診してください。

  • 短期間で急速に大きくなる
  • 市販薬の軟膏を塗っても効果が見られない

皮膚がんは、ほかのがんに比べて5年相対生存率(がんの診断を受けた人のうち5年後に生存している人の割合)が高く、全体で94.6%(男性は94.4%、女性は94.6%)です。
この生存率の高さは、皮膚という見つけやすい部分にがんが発生しやすく、早期発見・早期治療できることが要因の一つだといえるでしょう。しかし、発見が遅れてがんが真皮まで達すると、血管やリンパを通って内臓に転移を起こす可能性があります。
その場合は予後が悪化する可能性もあるでしょう。皮膚に普段と違う様子があるときはすぐ医師に相談しましょう。

皮膚がんの症状

皮膚がんの症状についての知識があると、異常があった場合、すぐに受診できます。病変を放置しないように、正しい知識を持っておきましょう。

ほくろに似たような腫瘤が見られる

メラノーマ(悪性黒色腫)は、黒色・黒褐色の斑として現れるため、ほくろと見分けがつきにくい特徴があります。ほくろの場合、形が均一で小さく、なめらかです。しかし、メラノーマの場合は、左右非対称・色が不均一・直径が6mm以上となります。
病変を放置すると、斑の中が盛り上がってきて腫瘤となるのが一般的です。丸くない黒斑が徐々に大きくなったり、盛り上がったりするようであれば、すぐに皮膚科を受診することをおすすめします。

患部がじくじくしたり潰瘍が見られる

基底細胞がんの初期症状は黒色・黒褐色の隆起です。基底細胞がんが進行していくと、患部が潰瘍化し、少しの刺激で出血しやすくなります。頭や顔に発生するのがほとんどなので、顔面周囲のほくろは注意して見ておきましょう。
また、乳房外パジェット病では患部がじくじくする、いわゆる「びらん」という症状が見られます。進行してくると患部が隆起したり、びらんの状態になったりします。
この病気は肛門や外陰部にできるケースが多く、受診するのが恥ずかしいかもしれません。しかし、体の各所に転移しやすい病気のため、皮膚に異常を感じたらすぐに皮膚科を受診しましょう。

皮膚がんの治療法

皮膚がんと診断されたら、どのような治療が行われるか・どのくらい治療の期間が必要かについて、不安に思う方もいるでしょう。ここでは、皮膚がんの3つの治療方法と期間を解説します。

手術療法

ほかの臓器への転移が認められない皮膚がんは、切除手術をするのが一般的です。皮膚がんを取り去る手術療法は、薬物療法や放射線治療よりも根治する可能性が高くなります。皮膚がんの種類や大きさにもよって異なりますが、病変の境界から0.5〜2cm程度離して切除します。
切除により、見た目が損なわれるのが気になる方もいらっしゃるでしょう。手術の跡を目立ちにくくする再建手術も行われます。
手術は日帰りで行う場合もありますが、入院の場合は3泊~2週間程度かかることもあります。入院期間は切除部位の大きさや手術方法によって変わるため、担当の医師に確認するとよいでしょう。
手術後は経過観察で通院する必要はありますが、これまで通りの生活を送れる可能性が高いです。

薬物治療

リンパ節や臓器など広範囲に転移している皮膚がんでは、薬物療法も検討されます。薬物療法の1つに免疫チェックポイント分子阻害剤があります。
免疫チェックポイント阻害剤は、適応になる疾患や病期と適応にならない疾患や病期のものがあるため、医師への確認が必要です。使うと免疫が活性化され、がんを攻撃したり排除したりする効果があります。
治療が成功する割合は約30〜60%といわれており、万能ではないのが現状です。免疫チェックポイント阻害剤の治療で成功する割合を見ると、低く感じた方もいるかもしれません。
ほかにも分子標的治療薬を使う方法があります。分子標的治療薬は、がん細胞が増殖しにくい環境を整える薬です。
皮膚がんの薬物療法は、通院ができますが、副作用が見られる可能性もあります。仕事や生活のことは周囲の人と話し合っておくとよいでしょう。

放射線治療

皮膚がんでも広範囲に転移がある場合・手術が不可能な高齢者の場合に放射線治療が検討されます。病変に放射線をあてて、がんを縮小したり死滅させたりするのが目的です。
放射線治療は、分割して行う際には毎日行い、1回の治療は約10〜15分の場合が多いです。治療開始から4〜6週間は毎日通院しなければなりません。通院が困難な場合は入院も検討されるので、主治医と相談しましょう。
また、皮膚がんに対する放射線治療は、手術後の再発防止を目的として行われる場合もあります。

皮膚がんの特徴についてよくある質問

ここまで皮膚がんの特徴・治療方法を紹介しました。ここでは「皮膚がんの特徴」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

皮膚がんになりやすい年齢はありますか?

高藤 円香医師

皮膚がんは高齢者に多く発生するという特徴があります。皮膚がんは紫外線の影響があるといわれており、高齢者は長い人生の中で紫外線による皮膚ダメージが蓄積するためです。

皮膚がんは再発することがありますか?

高藤 円香医師

皮膚がんは再発の可能性があります。がんを除去する手術を行っても、リンパ節やほかの臓器に転移している場合があるからです。基底細胞がんの転移は稀ですが、有棘細胞がん・乳房外パジェット病・メラノーマはリンパ節への転移が見られる患者さんもいます。皮膚の切除だけではがんを取り除けず、手術後時間が経ってから再発するかもしれません。治療が終わった後も経過観察や定期検診などを受けましょう。

編集部まとめ

皮膚がんの特徴について、症状・治療方法などを含めて解説しました。皮膚がんは異常に気付きやすいですが、ほかの皮膚疾患と見分けにくい特徴があります。

異常だと感じる部位が広がったり、軟膏を塗ったりしても改善しない場合は皮膚がんを疑いましょう。皮膚にできたがんは切除手術が可能で、予後もよいですが、早い段階で適切な治療を行わないと命に関わる事態になるかもしれません。

「単なるデキモノだろう」と自己判断をせず、皮膚に異変を感じたらできるだけ早く皮膚科を受診してください。

皮膚がんと関連する病気

「皮膚がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

これら2つはいずれも皮膚に現れる病気です。日光角化症は放置すると皮膚がん(有棘細胞がん)になる可能性があります。

皮膚がんと関連する症状

「皮膚がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 紅斑(皮膚の赤み)
  • かゆみ
  • 皮膚がカサカサしたりザラザラしたりする
  • 皮膚の隆起

皮膚にできるがんの初期症状と湿疹・水虫などの皮膚疾患の症状はとてもよく似ています。そのため、見た目だけでは皮膚がんかどうかの区別がつきにくいのです。確実な診断を受けるには、病院で組織を検査してもらいましょう。

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