「急性リンパ性白血病の初期症状」はご存知ですか?何科を受診するべきかも解説!
急性リンパ性白血病は子どもで発症しやすい血液のがんの一種で、大人では発症がまれな病気です。
血液細胞を作る途中で異常が起こり、がん化した細胞によって血液細胞が作られなくなることでさまざまな症状が現れます。
初期症状は倦怠感・息切れ・めまいなどです。風邪に似たような症状が多いため、初期症状では発症に気づかない可能性があります。
今回の記事では、急性リンパ性白血病の初期症状について詳しく解説します。また、慢性白血病との違い・病院を受診する目安についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
急性リンパ性白血病(ALL)とは
急性リンパ性白血病とは、血液がんの一種で、骨髄でがん化した血液細胞が増殖することで発症する病気です。骨髄では血液細胞の元となる造血幹細胞から赤血球・血小板・白血球などが作られます。
赤血球・血小板・白血球はヒトにとって欠かせないものであり、それぞれ以下の作用を持ちます。
- 赤血球:酸素と結合し全身に酸素を供給する
- 血小板:破れた血管の傷口を塞いで出血を止める
- 白血球:細菌・ウイルスなどを攻撃して体を守る
急性リンパ性白血病では、骨髄で血液細胞が作られる途中で異常が起こり、白血病細胞となり増殖します。その結果、血液細胞が作られなくなり、貧血・出血などのさまざまな症状が現れるのです。
急性リンパ性白血病には進行速度が速く、症状が強く出るという特徴があります。また、小児で発症することが多く、成人ではまれです。成人の発症率は年間で10万人に1人程度とされます。
急性リンパ性白血病の初期症状
急性リンパ性白血病の初期症状にはどのようなものがあるか、気になる方がいらっしゃるかもしれません。主な初期症状は倦怠感・息切れ・出血など風邪に似たような症状であることから、風邪と勘違いしてしまうケースもあります。
ここからは、急性リンパ性白血病の初期症状について詳しく解説します。
倦怠感
急性リンパ性白血病では力が入らない・何もする気がおきない・体が重いといった倦怠感を覚えます。倦怠感を覚えると日常生活を送りづらくなるため、注意が必要です。
なお、倦怠感は治療の副作用・貧血などによって現れる場合もあります。
息切れ・動悸・めまいなど貧血症状
急性リンパ性白血病では、赤血球が減少することで貧血症状が現れます。貧血とは赤血球の色素成分であるヘモグロビンの濃度が低下した状態のことです。
ヘモグロビンには酸素と結びつくことで全身に酸素を運搬するはたらきがありますが、ヘモグロビンが不足すると赤血球が減るため、全身に酸素が十分に行き渡らなくなります。その結果、全身が酸素不足となり息切れ・動悸・めまいといった症状が現れるのです。
あざができやすくなる
あざができやすくなることも急性リンパ性白血病の初期症状の1つです。血小板は止血するのに重要な役割を持つため、血小板が少なくなると止血する作用が弱くなり出血傾向となります。
通常は打撲などによりあざができますが、急性リンパ性白血病の場合は打撲をしなくてもあざができることがあるのです。そのため、激しくぶつけた覚えがないのにあざがあった場合は急性リンパ性白血病を発症している可能性が考えられます。
鼻血・歯茎からの出血が起こる
急性リンパ性白血病では出血傾向になるため、鼻血・歯茎からの出血が起こることもあります。普段は鼻血がすぐ止まる方でも、発症すると鼻血が止まらなくなる可能性が考えられます。
感染症にかかりやすくなる
急性リンパ性白血病は感染症にかかりやすくなるため、注意が必要です。通常では、細菌・ウイルスなどの病原体が体に入ってくると、白血球が無害化することで体を守ります。
しかし、発症すると白血球が減少するため、細菌・ウイルスなどの病原体への抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなります。そのため、普段であればかからないような感染症にかかってしまう可能性があるでしょう。また、感染症にかかっても治りにくくなります。
急性白血病と慢性白血病の違い
白血病にはさまざまな種類があり、主に急性・慢性に大別されます。急性白血病・慢性白血病は、進行速度・初期症状に違いがあります。
具体的にどのような違いがあるのかを見てみましょう。
進行速度の違い
急性白血病・慢性白血病は、進行速度に大きく違いがあります。急性白血病では白血病細胞が急速に増殖するため、進行速度が速いという特徴があります。発症して数ヶ月で生命を脅かすリスクがあるため、注意が必要です。
一方で、慢性白血病では白血病細胞がゆっくり増殖するため、進行速度が遅いとされます。慢性白血病には病期があり、年単位で慢性期・移行期・急性転化期へ進行していきます。
初期症状の違い
急性白血病・慢性白血病は初期症状にも違いがあります。急性白血病は進行速度が速いことから、早期に症状が強く現れやすい傾向にあります。急性白血病の初期症状は、発熱・倦怠感・青あざなどです。
一方で、慢性白血病は進行速度が遅いため、緩やかに症状が現れる傾向にあります。そのため、慢性白血病の初期症状はほとんどありません。
急性リンパ性白血病で病院を受診する目安は?
急性リンパ性白血病は進行速度が速く初期症状が現れやすいですが、主な初期症状が発熱・倦怠感などのように風邪のような症状が多いとされます。これらの症状は急性リンパ性白血病の特有の症状とはいえないため、風邪と勘違いしてしまう可能性が考えられます。そのため、風邪のような症状がなかなか治らない場合は、医療機関を受診することが望ましいです。
また、急性リンパ性白血病は出血傾向となるため、打撲していないのにあざができている・鼻血や歯茎からの出血がいつもより起こりやすいといったことがあれば、医師に相談すると良いでしょう。
急性リンパ性白血病の初期症状についてよくある質問
ここまでは急性リンパ性白血病の初期症状・慢性白血病との違い・病院の受診目安について解説しました。ここからは「急性リンパ性白血病の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医が回答します。
子どもの急性リンパ性白血病を早期発見するポイントを教えてください。
甲斐沼 孟(医師)
- 発熱
- あざができやすい・出血しやすい
- 関節痛
- 倦怠感
- 食欲不振
- 腹部膨満感
また、いつもより風邪が治りにくい・打撲していないのにあざができているといったように、普段と異なる傾向がある場合にも医師に相談することをおすすめします。
急性リンパ性白血病の初期症状があるときは何科を受診すればよいですか?
甲斐沼 孟(医師)
急性リンパ性白血病の疑いがある場合は、専門の医師の診察を受ける必要があります。急性リンパ性白血病の専門の診療科は血液内科・血液腫瘍科です。もしくは、内科を受診するもの良いでしょう。
編集部まとめ
急性リンパ性白血病は血液がんの一種で、白血病細胞が増殖することで正常な血液細胞が作られなくなる病気です。小児に多く、成人にまれな病気とされます。
初期症状は倦怠感・貧血・出血傾向などがあります。多くの症状は風邪に似ているため、風邪と勘違いされる可能性があるため注意が必要です。
急性リンパ性白血病は進行速度が速く、生命に危険が及ぶ可能性があるため、早期発見・早期治療が重要とされます。
風邪の症状がなかなか治らない場合は、検査を受けることが望ましいです。また、あざができやすい・出血しやすいといったことがある場合も医師に相談すると良いでしょう。
少しでも気になる症状があるようでしたら、一人で悩まず早めに医療機関を受診してください。
急性リンパ性白血病と関連する病気
「急性リンパ性白血病」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 急性骨髄性白血病
- 慢性骨髄性白血病
- 慢性リンパ性白血病
白血病の症状はその病気特有のものがほとんどないため、はじめは風邪と勘違いしてしまう可能性があります。特に慢性白血病では、はっきりした症状が現れないことが多いようです。少しでも気になる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。
急性リンパ性白血病と関連する症状
「急性リンパ性白血病」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
急性リンパ性白血病は風邪の症状と似ているため、重大な病気が隠れていることがわかりにくいとされます。風邪が治りにくかったりあざができやすかったりすると、急性リンパ性白血病などの病気を発症している可能性がありますので、早めに医療機関を受診しましょう。