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「白血病の初期症状」をチェックする方法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/03/15
「白血病の初期症状」をチェックする方法はご存知ですか?【医師監修】

白血病患者さんが完治したという話を耳にすることが多くなりましたが、近親者に白血病を患っている人がいないと病気についての詳しい情報は知ることがないのではありませんか。

しかし、白血病は血液のがんのため生活習慣に気をつけていても気づかない間に罹患していることも珍しくはないのです。

また、白血病の発見が早いほど完治する確率は格段に高くなります。本記事では白血病についてや初期症状などを解説するので、心配な症状があれば参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

白血病とは?

白血病は血液のがんです。血液は、赤血球・白血球・血小板・血漿から成り立っています。
その中の赤血球は全身の組織に酸素を送り、組織でできた炭酸ガスを肺に持って帰るのです。また、白血球の役割は体内に侵入したウイルス・細菌・有害物などの病原体と戦い、病気から体を守る働きをします。健康な状態では、赤血球は血液0.001ml中では男性で約500万個、女性で約450万個含まれています。
一方で白血球は0.001ml中に4,000~9,000個程度含まれているのが通常です。この血液内の細胞のバランスが崩れて、白血球系細胞が無限に増えることが「白血病」の原因になります。

大人が白血病になると現れる初期症状

成人の白血病のタイプは、成人急性骨髄性白血病(AML)が一般的です。血液と骨髄のがんで発見が遅れると急激に病状が悪化するのが特徴です。急性骨髄性白血病(AML)は以下の病型に分類されます。

  • 急性骨髄芽球白血病
  • 急性顆粒球性白血病
  • 急性非リンパ性白血病

急性骨髄性白血病(AML)は、血液や骨髄中でがん化した細胞が無制限に増加します。
がん化した細胞(白血病細胞)が骨髄で増殖すると正常な血液細胞が産生されなくなり、赤血球・白血球・血小板が減少するのです。
そのため、息切れや動悸などの貧血症状や血小板の減少で起こる鼻血・歯茎からの出血または、発熱症状などが現れます。
また、正常な白血球が減少すると感染症のリスクが高くなります。急性骨髄性白血病(AML)は進行が速いので急に症状が現れることが多いです。

中学生や高校生が白血病になると現れる初期症状

小児期の最も多いがんは白血病で15~19歳頃になると徐々に減り、代わりに胚細胞腫瘍や骨のがん・筋肉のがんなどが増える傾向にあるのです。
そのため、この世代に発症するがんは分類が不可能な希少がんも多く、症状の特定が難しい世代といわれています。なお、特に気になる症状は以下になります。

  • 医学的に説明不可能な痛みがしばしばある
  • 原因不明の腫れ物やしこりが何週間も元に戻らない
  • 理由のわからない強い疲労感が続く
  • ダイエットしていないのに数週間で体重が急激に減少した
  • 形・色・大きさの変化するほくろがある

小児期発症のがんは保護者がすぐに気が付く場合が多いのですが、この世代は小児期と比べると受診までの時間が長いため、白血病の診断が遅れるといわれています。

子どもが白血病になると現れる初期症状

白血病は、小児がんの中でも最も多いとされる病気です。また、白血病は子どもが生じるがんの40%を占めるといわれています。
子どもの白血病を早期に発見するためには子どもの様子を日頃から観察する必要があるのです。なお、子どもの主な初期症状は以下になります。

  • だるそうにしている
  • 熱が続く
  • 鼻血が出る
  • 骨痛を訴える
  • ぶつけていないのにあざができている
  • 寝汗をかく
  • 体に無痛のしこりがある
  • 眼の周囲に無痛のしこりがある

子どもは軽度の病気の場合、症状が緩和されるとすぐに元気を取り戻すものですが、いつまでも症状が改善しない場合は小児科を受診するようにしましょう。

白血病の初期症状をチェックする方法

白血病の初期症状は、インフルエンザや風邪の症状と似ているため放置して発見が遅れることがあります。以下の症状が長引く場合は早期に医療機関を受診しましょう。

  • 風邪症状がなかなか治まらない
  • 倦怠感が続く
  • 出血しやすくなった
  • 貧血や頭痛が頻繁に起こる
  • 無痛性のしこりがある

上記は、よくある白血病の初期症状です。症状が普段と違うと感じるようなら体に何らかの異常があると判断できるでしょう。なお、白血病などの血液やリンパのがん検査では、骨髄穿刺や骨髄生検などの骨髄に針を刺して骨髄組織を採取する検査が一般的です。

白血病と関連のある症状

白血病は、慢性期ではゆっくり進行するがんのため、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。理由としては進行が遅いため過剰に産生された血液細胞でもほぼ正常時と同じ働きをするからです。
そのため、健康診断などで白血球の増加が認められて初めて白血病と指摘されることが多いのです。ここからは、白血病と関連のある症状について詳しく解説します。

息切れ

息切れなどの呼吸困難は、正常な血液細胞が作られないため白血球が減少しておこるとされる初期症状のひとつです。また、慢性骨髄性白血病(CML)以外で息切れなどの呼吸困難をもたらす急性の疾患には以下のものがあります。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 肺梗塞
  • 解離性大動脈瘤
  • 気胸
  • 過換気症候群
  • 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

なお、息切れだけで重篤な病気が発症しているとは限らないので、ほかに症状が重複していないかなども慎重にみる必要があります。

倦怠感

倦怠感の原因は1つではなく、がんの症状・治療・社会精神的要因・合併疾患などのさまざまな要因があるといわれています。倦怠感の症状の具体例は以下になります。

  • 体がだるい・重い
  • 早く動くことができない
  • 気力がない
  • 注意力・記憶力・集中力の低下
  • 不安やイライラ
  • 感情が不安定

がんの治療はストレスがかかりますが、自身にとってのリラクゼーションを見つけるようにしましょう。

動悸

動悸とは、通常はあまり意識することがない心臓の拍動ですが、何らかの要因で自分の拍動に一致して胸部に不快感を覚えることをいいます。
一言に動悸といってもさまざまな原因がありますが、自覚症状だけでは原因を究明することはできません。動悸が頻繁に起こる場合は循環器内科外来などで心電図検査を受けると良いでしょう。
ただし、次のような症状が伴う場合は緊急性がある可能性があるので早期の受診が必要です。

  • 失神・めまいを伴う不整脈
  • 器質性心疾患
  • 脳梗塞や一過性脳虚血発作の合併のある心房細動がある場合

動悸の原因が心臓に原因があるのか、不安神経症によるのかで治療内容も変わります。受診前には動悸が起こったときの状態などをメモして受診すると診断の手助けになるでしょう。

歯茎からの出血

歯茎からの出血が歯周病や歯肉炎などの場合、進行すると血管障害に繋がることがあるので注意が必要です。なお、歯肉に炎症が起こると正常なときの末梢血管と比べると、粘質が高くなって血流が悪くなります。
そのため、動脈硬化などの末梢循環器障害や歯周病が進行しやすいとされています。そのうえ、赤血球が酸化されると細菌が侵入しやすくなるので白血球が増加し、全身組織への酸素供給が悪くなるのです。この場合は以下の疾患に繋がることが予想されます。

  • 白血病
  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症
  • 高血圧症
  • 脳血管障害
  • 虚血性心疾患
  • 後天性免疫不全症候群(AIDS)
  • 後天性好中球減少症

むし歯の治療や定期検診なども歯周病などの予防対策として重要です。

鼻血

がんの影響によって骨髄の造血幹細胞がダメージを受けると、血液を産生する機能が低下して血小板の数が減少します。
また、治療の過程で抗がん剤や分子標的薬の副作用が原因となることもあるのです。血小板が減少すると次のような症状が出やすくなります。

  • 鼻血
  • あおあざができやすい
  • 点状出血
  • 血尿・血便
  • 月経量の増加
  • 歯茎や口の中の粘膜からの出血

血小板が不足すると、刺激に弱くなり小さな傷でも血が止まりにくくなります。

おなかの張り

がんの治療薬の副作用や腫瘍が大腸を圧迫することで便秘になり、おなかが張ることがあります。
この場合下剤を服用することで解消されることがありますが、それでも解消されない場合は、がんの治療薬を変えるなどの検討が必要になるでしょう。
また、水分不足や栄養不足などもお腹の張りの原因になることも考えられます。そのため、がん治療中に気をつけたいことを紹介します。

  • 水分をまめに取る
  • 食物繊維の多い食事を摂取する
  • 適度に体を動かす
  • 生活リズムを整える

下剤を使っても効果がない場合や3日以上排便がない場合は担当医師に相談しましょう。

白血病の初期症状チェックについてよくある質問

ここまで白血病の症状・チェック方法・関連のある症状などを紹介しました。ここでは「白血病の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病の初期症状について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

白血病の初期症状は風邪やインフルエンザなどの症状と似ていることがあるので、白血病と気づかないことがあります。白血病には以下の初期症状があります。

  • 発熱
  • 寝汗をかく
  • 息切れしやすい
  • 脱力感・疲労感
  • 出血がよくみられる
  • 点状出血がある
  • 関節痛や骨痛
  • 助骨下の疼痛や膨満感がある
  • 体に青色または紫色の無痛性のしこりがある
  • 眼窩周囲に青緑色などの無痛性のしこりがある

症状が続くようなら早めに医療機関を受診しましょう。また、慢性骨髄性白血病(CML)の初期段階は、自覚症状がほとんどないため健康診断や定期健診で発見されることが多いといわれています。

白血病のセルフチェックについて教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

白血病は、正常な血液細胞が減少していくとさまざまな症状が生じます。ただし、慢性期の白血病は進行がゆっくりなため気づきにくいという特徴があります。そのため、小さな自覚症状にも注意が必要です。白血病の初期段階で気をつけたい症状は以下になります。

  • 全身がだるく疲れが取れない
  • 寝汗をかく
  • ちょっとした動作なのに動悸や息切れをする
  • 今までは問題なかった距離が歩けなくなった
  • いつも顔色が悪い
  • 原因がわからない熱が出る
  • 感染症をかかりやすくなった
  • 鼻血や歯茎から出血しやすくなった
  • 体中に皮下出血や青あざができやすくなった

上記の症状がみられたら「いつ頃から症状が出たか」「何日ぐらい続いているか」など、記録して医療機関を受診するようにしましょう。ただし、症状が深刻な場合は早急に受診する必要があります。白血病の早期発見が完治の可能性を高めてくれるでしょう。

編集部まとめ

白血病は「血液のがん」といわれています。多くのがんは生活習慣病が要因の場合が多いのですが、白血病は生活習慣との関連性は低いといえるでしょう。

そのため白血病を発症する患者さんは、生まれてすぐの乳児から高齢者まで幅広い年齢層に発症しています。

しかし、白血病の初期症状は風邪やインフルエンザの症状と酷似しているため、白血病の初期症状と自覚することなく発見が遅れる場合があります。

なお、白血病はほかのがん同様若年層では進行が速いため、早期発見することが治療には重要です。

白血病の治療方法は日々新しい治療方法が研究され、幹細胞移植や標的療法などのさまざまな治療法が施されるようになり、白血病は不治の病ではなくなりました。

なお、白血病は血液診断で見つかる場合も多いので健康診断は定期的に受けるようにしましょう。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

白血病に関係する病気はほかにも多数考えられますが、生活習慣を変えることで緩和されることがあるのです。また、血液の循環を良くするために運動不足の解消や食事の改善などを心がけるようにしましょう。

白血病と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

白血病の初期症状は風邪などの症状と似ているため発見が遅れることがあります。白血病は早期に治療を開始することで長期生存が可能になるのです。いつもの症状と違うと思ったら早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師