「大腸ポリープ切除後」の食事メニューや控えた方がよい食事はご存知ですか?
大腸ポリープ切除後の注意点とは?Medical DOC監修医が大腸ポリープ切除後の注意点・食事メニュー・控えた方がいい食事・予防法などを解説します。
監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「大腸ポリープ」とは?
大腸とは水分の吸収を行い、便を作るはたらきをしている全長1.5〜2mの長さの筒状の臓器です。「大腸ポリープ」とは大腸の内腔(内側)に向かって限局的に隆起する(盛り上がる)病変のことをいいます。
大腸ポリープの種類
大腸ポリープは良性、悪性は問わないとされることが一般的です。大腸がんなどの悪性のポリープもあれば、腺腫と言われる良性のポリープもあります。
腫瘍性ポリープ
腫瘍性ポリープの代表的なものとして、悪性腫瘍の大腸がんと腺腫という良性の腫瘍があります。大腸がんは進行すると命に関わることもあり、腺腫は基本的に良性ですが、サイズが大きくなった場合にはがん化する可能性もあります。
症状としては、便に血液が混じる、便秘や下痢が続く、腹痛や腹部の不快感などが挙げられますが、初期の段階やサイズが小さい場合には症状は乏しいです。
非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性ポリープには、炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープなどがありますが、がん化の可能性はほとんどなく、基本的に治療の必要性はありません。
症状としては、腺腫性ポリープと同様に便に血液が混じる、便秘や下痢が続く、腹痛や腹部の不快感などが挙げられますが、サイズが小さい場合が多く症状は乏しいです。
大腸ポリープ切除後の注意点
大腸ポリープ切除後の代表的な合併症として、出血(後出血と呼ばれます)があり、ポリープ切除後3日までの間に発生することが多いとされていますが7日目以降に発生するものもあります。また穿孔(腸に穴があく)などの合併症もあります。後出血や穿孔を防ぐための注意点をいくつかお伝えします。
暴飲暴食
脂っこいものや辛いものなど刺激物は控えて、消化の良い食事をとるように心掛けてください。またアルコールの摂取もお控えください。
激しい運動や仕事
デスクワーク程度であれば問題ありませんが、激しい動きを要するような仕事は休み、重いものをもつなどの腹圧がかかるような業務は控えましょう。
長時間の入浴
短時間にするかシャワー程度であれば問題ありません。
大腸ポリープ切除後の食事メニュー
大腸ポリープ切除後の食事に関しては、暴飲暴食を避けることが必要ですが、実際に食べてもよい食事のメニューはどのようなものがあるでしょうか?
おかゆ
大腸ポリープ切除後の食事メニューは、腸への負担を考慮したものが必要です。おかゆは消化しやすく、大腸ポリープ切除後の食事として適しています。出血(血便)や腹痛などがないことを確認し、徐々に普通の食事に戻していきましょう。
素うどん
大腸ポリープ切除後の食事メニューは、腸への負担を考慮したものが必要です。うどんは消化しやすく、大腸ポリープ切除後の食事として適しています。ただし具入りのものは種類によっては出血などのリスクとなりますので、素うどんを選ぶようにしましょう。出血(血便)や腹痛などがないことを確認し、徐々に普通の食事に戻していきましょう。
ヨーグルト
大腸ポリープ切除後の食事メニューは、腸への負担を考慮したものが必要です。ヨーグルトは消化しやすく、またプロバイオティクス(善玉菌)を含み、腸内環境を整えるのにも役立つことから大腸ポリープ切除後の食事として適しています。ただし、脂肪分の少ない低脂肪ヨーグルトを選ぶようにしましょう。出血(血便)や腹痛などがないことを確認し、徐々に普通の食事に戻していきましょう。
大腸ポリープ切除後に控えた方がよい食事
つづいて控えた方がよい食事はどのようなものがあるでしょうか?
チョコレートやケーキなどのお菓子
大腸ポリープ切除後には消化しにくいものや脂肪分が多いものは控えた方がよいとされています。チョコレートやケーキなどのお菓子類は脂肪分が多く、腸への負担を考えると控えた方がよいでしょう。
納豆
豆類の中では豆腐や味噌などは消化に良いとされており、大腸ポリープ切除後の食事メニューとして適していますが、納豆の他がんも、油揚げ、おからなどの豆類は消化に悪く、控えた方がよいでしょう。
ラーメン、カレー
大腸ポリープ切除後には脂っこいものは控える必要があり、代表的なものとしてラーメンやカレーなどが挙げられます。出血などのリスクがあるため、これらの食品は数日経過をみて出血や腹痛などがないことを確認してから摂るようにしましょう。
大腸ポリープの予防法
ダイエット
以前から肥満と大腸ポリープの関連性は指摘されており、BMI(身長と体重から算出される体格指数)が増加すると大腸ポリープのリスクが(特に男性において)高くなるとの報告もあります。[蔵和1] 肥満は糖尿病や他の生活習慣病のリスクにもなるため、食生活の見直しや運動によるダイエットは必要となります。
飲酒を控える
アルコール(特にビールや日本酒)には糖質が多く含まれており、糖質の過剰摂取は肥満につながるため、大腸ポリープの原因となりえます。飲酒自体を控えたり、糖質の少ないアルコール(焼酎やウイスキーなど)を選ぶことが大腸ポリープの予防となります。ただしいくら糖質が少なくても過度の飲酒は肝臓などにも負担をかけるため注意しましょう。
乳酸菌飲料
乳酸菌飲料には、腸内細菌のバランスを整える効果があり、大腸ポリープの予防となる可能性があると言われています。ただし、血糖を上昇させてしまうため、飲み過ぎには注意しましょう。
「大腸ポリープの切除後」についてよくある質問
ここまで大腸ポリープの切除後の注意点などを紹介しました。ここでは「大腸ポリープの切除後」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸ポリープの切除後は何日間安静にするべきでしょうか?
和田 蔵人 医師
大腸ポリープの切除後の代表的な合併症に出血がありますが、切除後3日までの間に発生することが多いとされています。ただし7日以降に発生するものもあり、5-7日間は安静にしましょう。
大腸ポリープの切除後にコーヒーは飲めますか?
和田 蔵人 医師
大腸ポリープの切除後数日間はコーヒーを飲むのは控えましょう。これはコーヒーに含まれているカフェインが、腸に刺激を与えるため出血などの合併症のリスクを高める可能性があるためです。
大腸ポリープの切除後に甘いものやヨーグルトを食べても大丈夫でしょうか?
和田 蔵人 医師
大腸ポリープの切除後にヨーグルトを食べることは問題ありません。ただし脂質の多いものの場合には腸に負担をかけ、出血や穿孔(腸に穴があくこと)などの合併症のリスクを高める可能性があるため、低脂肪のヨーグルトを選ぶようにしましょう。また甘いものとしてゼリーやプリンなどは切除後の食事として勧められていますが、チョコレートやケーキなどは脂質が多い為数日間は控えるようにしましょう。
大腸ポリープの切除後は仕事を休んだ方がいいのでしょうか?
和田 蔵人 医師
激しい動きを要する、または重いものを持つなどの仕事は後出血のリスクを高める可能性があり、なるべく控えるようにしましょう。デスクワークや軽作業などは必ずしも仕事を休む必要性はありません。
編集部まとめ
大腸ポリープ切除後の注意点について、食事内容を中心にお伝えしました。出血などの合併症を防ぐために暴飲暴食を避けて、激しい運動や長時間の入浴などを控えるようにしましょう。また大腸ポリープの中でも腫瘍性のポリープはがん化することもあり、そのポリープ自体の予防として、食生活の改善や肥満の解消が大切になってきます。ただし大腸ポリープは症状に乏しいことがほとんどであり、検診での便潜血検査や定期的に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。
「大腸ポリープの切除後」と関連する病気
「大腸ポリープの切除後」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内科の病気
- 糖尿病
- 肥満
肥満や糖尿病と大腸ポリープの関連性が指摘されているため、日頃から食事や運動の習慣をつけて生活習慣病の予防をすることが重要です。
「大腸ポリープの切除後」と関連する症状
「大腸ポリープの切除後」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 血便、便に血が混じる
- 腹痛
大腸ポリープの切除後に少量の出血は経過を見ても良いかもしれませんが、上記の症状が継続してみられる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
参考文献
- 大腸ポリープ診療ガイドライン2020 改訂第2版(日本消化器病学会 )
- 大腸ポリープ(腺腫)と肥満との関連性について(日本総合健診医学会)