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「子宮ポリープができる原因」とは?症状や放置した場合も医師が解説!

 公開日:2024/03/15
「子宮ポリープができる原因」とは?症状や放置した場合も医師が解説!

子宮ポリープができる原因とは?Medical DOC監修医が子宮ポリープの原因・症状・検査法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

吉田 悠人

監修医師
吉田 悠人(アルテミスウィメンズホスピタル)

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2015年東北大学医学部卒業。東北大学病院、複数の総合病院勤務を経て、アルテミスウィメンズホスピタル勤務。産婦人科専門医。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会所属。

「子宮ポリープ」とは?

健康診断や婦人科を受診したときに「子宮にポリープがある」と言われた人も多いのではないでしょうか?今回は、子宮のポリープについて詳しく解説していきます。

子宮ポリープの種類

子宮のポリープは、できる場所により子宮内膜ポリープと子宮頸管ポリープに分類されます。どちらも良性の腫瘍です。

子宮内膜ポリープ

子宮の奥の子宮内膜という部分にできるポリープのことを指します。子宮内膜とは妊娠において着床の場となる部分であり、また月経周期の中で剥がれ落ちてきて月経血となる組織です。
子宮内膜ポリープは症状がない場合もありますが、一般的に不正出血や過多月経(月経血が多くなり、時に貧血の原因になる)の原因となることがあります。また、妊活をしている女性の場合、着床の邪魔をしてしまい不妊症の原因となることもあります。

子宮頸管ポリープ

子宮口の近くの子宮頸管と呼ばれる部分にできるポリープのことを指します。発育してくると子宮口から顔を出し、キノコ状に見えることが多いです。
子宮頸管ポリープも無症状のこともありますが、接触により出血を起こしやすい組織のため、不正出血の原因となることがあります。

子宮ポリープができる原因

子宮内膜ポリープは、子宮内膜が部分的に肥厚、あるいは増殖して茎状に突出してできるといわれています。同様に、子宮頸管ポリープも子宮頸管の粘膜が増殖して茎状に発達してできるといわれています。
しかし、子宮内膜ポリープ・子宮頸管ポリープの両方とも、なぜ発生するのかははっきりとわかっていません。女性ホルモンとの関係や、炎症などが関わっていると考えられています。

子宮ポリープができると現れる症状

子宮内膜ポリープ・子宮頸管ポリープともに、無症状であることもあります。一方、以下で解説するような症状を引き起こすこともあります。
ここでは、子宮にポリープができた時どのような症状を引き起こすのかを解説していきます。

不正出血

子宮内膜ポリープ・子宮頸管ポリープともに、不正出血を起こすことがあります。
ただし、不正出血があるからと言って、それは子宮のポリープによるものとは断定はできません。不正出血を起こす婦人科の病気で最も気を付けなければならないのは子宮頸がん・子宮体がんのような悪性の病気です。不正出血がある場合子宮のがんが隠れている可能性もゼロではありませんので、早めに婦人科を受診しましょう。

過多月経

子宮内膜ポリープで起こりうる症状です。過多月経とは月経血が異常に多い状態を指します。月経血がナプキンからあふれる、ナプキンを何度も替えないといけない、月経血の中に血が混じるなどの自覚症状がある場合は、過多月経を疑います。ひどい場合には鉄欠乏性貧血を伴うこともあり、動悸や息切れがしやすい、疲れやすい等の症状が生じることもあります。
症状がなくても、健康診断などで貧血を指摘されることもあるでしょう。健康診断で貧血を指摘された場合、婦人科も受診を考えるべき科の1つです。子宮内膜ポリープ以外にも、子宮筋腫や子宮腺筋症など他の婦人科の病気が隠れている可能性があります。

不妊症

子宮内膜ポリープで起こりうる症状です。子宮内膜ポリープが存在することにより、不正出血や炎症により着床を阻害するほか、精子の子宮内での輸送障害により妊娠しにくくなるといわれています。また、着床障害の原因の1つである慢性子宮内膜炎の原因にもなるといわれています。
子宮内膜ポリープを指摘された方で妊娠を考えている方は、場合により不妊治療や子宮内膜ポリープの治療が必要となる可能性もあるため、早めに不妊治療専門病院の受診をおすすめします。

子宮ポリープの検査法

経膣超音波検査

内診台で、腟に超音波検査の機械を挿入して行う検査です。婦人科外来で、簡便に実施できる検査です。
主に子宮内膜ポリープに対する検査です。子宮頸管ポリープも場所や大きさ次第で見えることがありますが、超音波検査では分かりにくいことが多いです。
排卵期や排卵後の時期では子宮内膜が厚く、超音波検査で子宮内膜ポリープが見えにくいことがあるため、このような場合では月経終了直後など子宮内膜の薄い状態の時に再検査が必要となることがあります。
超音波検査の際に子宮内に細く柔らかいカテーテルを入れて水で子宮内を満たし、コントラストをはっきりさせてよりポリープの状態を分かりやすくするソノヒステログラフィーという検査を行うこともあります。これも外来で実施でき、子宮内にカテーテルを入れる必要がありますが多くの場合痛みを伴うことは少ないです。

子宮鏡検査

子宮内膜ポリープに対する検査です。子宮の中に子宮用の内視鏡「子宮鏡」を挿入して直接子宮内を観察します。子宮内膜が薄い月経終了直後などに行われます。
子宮鏡の検査では、子宮内腔の形や子宮内膜ポリープの位置や大きさ、数などを確認します。子宮鏡検査は通常外来で日帰りででき、短ければ数分程で強い痛みもなく終了することが多い検査ですが、痛みが強い場合や時間がかかる場合は麻酔を行うこともあるかもしれません。

内膜細胞診

子宮内膜ポリープに対して行う検査です。
子宮の奥の子宮内膜がある部分までブラシを挿入し、内膜の細胞を採取して悪性の細胞がいないかを確認する検査です。この検査は確定診断ではないため、悪性の細胞が疑われる場合は追加の精密検査が必要になります。
外来で早ければ数分以内で終了する検査ですが、子宮の前後屈(子宮が前や後ろに傾いている)が強い方や出産経験が無いなど子宮頸管が細くなっている方では痛みがやや強くなることがあるかもしれません。また、検査後は検査の影響でどうしても1日~数日間少量の出血が出ることがあります。

腟鏡診

子宮頸管ポリープで行う検査です。
腟内に腟を展開する器具を入れて子宮口を直接観察します。子宮頸管ポリープは通常、子宮口から飛び出して見えることが多く、直接見ることで診断されます。子宮頸管ポリープの場合、そのまま外来などでポリープを引っ張ったりねじり切ったりして切除できてしまうことが多いです。

子宮ポリープの予防法

子宮のポリープの予防法は、原因と同じようにまだはっきりと分かっていません。全ての女性にできる可能性のある病気ですので、重要なのは早期発見です。
「子宮にポリープができると現れる症状 」で述べたような症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

診断で最も重要なのは、悪性の病気の否定です。悪性の病気や腫瘍であった場合、放置すると進行してしまう可能性があるからです。
子宮内膜ポリープであれば内膜細胞診や手術(子宮内膜全面搔爬術や子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術)、子宮頸管ポリープでは切除により細胞や組織を病理検査という検査に提出し、悪性の腫瘍かどうかを調べます。悪性の可能性が低く、かつ特に症状が無いという場合では必ずしも治療を受ける必要はなく、経過観察とすることもできます。
しかし、悪性の可能性が低い場合でも症状がある場合は、手術などの治療が勧められることが多いです。

子宮内膜ポリープであれば、前述した子宮内膜全面搔爬術や子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術により、切除をし治療を行います。これらの手術は子宮口から器械を挿入して手術を行うため、お腹を切らないタイプの手術となります。また、ポリープの数や大きさなどにもよりますが、これらの手術は日帰り手術や短期間の入院で実施できることが多いです。
子宮頸管ポリープは外来でその場で切除できることが多いですが、大きいなど時間がかかったり、出血が多くなったりする可能性がある場合は入院しての手術が必要となることがあります。

手術で治療を受けた後も、再発する可能性があるため医師から経過観察を指示されることもあるでしょう。

「子宮ポリープの原因」についてよくある質問

ここまで子宮ポリープの原因などを紹介しました。ここでは「子宮ポリープの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ストレスが原因で子宮ポリープができることは考えられますか?

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

現時点でストレスと子宮にできるポリープの関連性は分かっていません。

子宮ポリープを放置するとどうなりますか?

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

良性か悪性かの判断ができないため、悪性の病気が隠れている可能性があります。また、過多月経の場合などは知らず知らずのうちに貧血が進行してくる可能性があります。
婦人科を受診し必要な検査を受け、良性と考えられる場合は必ずしも手術などの治療は必要ないこともありますが、定期的な経過観察が必要になることが多いです。

子宮ポリープができやすい人の特徴を教えてください。

吉田 悠人医師吉田 悠人(医師)

子宮のポリープは全ての女性にできる可能性があります。このような人ができやすい、ということはまだはっきりしていませんが、気になる症状がある場合は早めに婦人科を受診し、他の病気も含め何か異常がないか早期発見をすることが重要です。

編集部まとめ

この記事では子宮のポリープ2種類について解説してきました。
不正出血など気になる症状がある場合は、子宮のポリープ以外にも悪性の病気が隠れている可能性があるため、なるべく早めに婦人科を受診しましょう。
また、子宮のポリープは症状がなくても、内診を受けた際などに偶然見つかることもあります。その場合、今後どのようにすればよいかなどは担当の医師とよく相談するようにしましょう。

「子宮ポリープの原因」と関連する病気

「子宮ポリープの原因」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

子宮のポリープと同様に不正出血を起こしうる代表的な疾患を挙げています。

「子宮ポリープの原因」と関連する症状

「子宮ポリープの原因」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記のような症状がある場合には、子宮のポリープ以外にも悪性の病気が隠れていたり、貧血になっていたり、子宮内膜ポリープ以外にも妊娠しにくい原因が隠れていたりする可能性があります。なるべく早めに婦人科を受診しましょう。

参考文献

  • 生殖医療の必修知識2023(日本生殖医学会編)
  • 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023

この記事の監修医師