「子宮肉腫が大きくなるスピード」は「子宮筋腫」と関係があるの?【医師監修】
子宮筋腫の大きくなるスピードが速いと子宮肉腫の可能性があることをご存知でしょうか?本記事では神経膠腫の治療や余命について、以下の点を中心にご紹介します。
- ・子宮肉腫とは?
- ・子宮筋腫の大きくなるスピードと子宮肉腫の関係
- ・子宮肉腫の症状
子宮筋腫の大きくなるスピードが速いと子宮肉腫の可能性があるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
子宮肉腫とは?
子宮肉腫は、子宮の筋肉層やその他の組織から発生するまれな悪性腫瘍で、子宮体部に主に発生します。この疾患は、良性の子宮筋腫や子宮の内膜から発生する子宮体がんとは異なります。子宮肉腫は、発生する細胞のタイプによって、いくつかの異なるサブタイプに分類されます。最も一般的なタイプは平滑筋肉腫と子宮内膜間質肉腫で、他には腺肉腫がまれに見られます。癌肉腫は、がん腫と肉腫の両方の特徴を持つ特殊なタイプで、子宮体がんとして扱われることが多いです。子宮肉腫の早期発見と適切な治療は重要で、子宮肉腫に対する専門的な知識と経験を持つ医師による診察が推奨されます。
子宮筋腫の大きくなるスピードと子宮肉腫の関係
子宮筋腫は、がんではないとされていますが、筋腫の大きさや成長速度によっては、悪性である子宮肉腫の識別は時に困難を伴います。特に、筋腫が急速に大きくなる場合、子宮肉腫の疑いがあるため、注意が必要です。大きな筋腫のうち約0.5%が子宮肉腫であるといわれています。子宮肉腫は悪性の腫瘍であり、その早期発見と治療は非常に重要です。医師はMRI検査の結果、腫瘍の大きさ、女性の年齢、腫瘍の成長速度などを考慮して、子宮筋腫と子宮肉腫の区別を行います。検査をして子宮筋腫のサイズや成長速度に異常が見られた場合は、速やかに医師の診察を受けることが推奨されます。子宮筋腫と子宮肉腫は異なる病態を持つため、正確な診断が治療の鍵となります。
子宮肉腫の種類
子宮肉腫には種類があり、それぞれ特徴が異なります。以下で解説していきます。
子宮平滑筋肉腫
子宮平滑筋肉腫は子宮肉腫の中でも特に重悪性腫瘍で、子宮の壁の筋肉組織から発生します。子宮肉腫全体の約70%を占め、40〜60歳代の女性に好発するとされていますが、特に50〜55歳の女性に多く見られます。診断が難しい点が特徴で、多くの場合、初めは子宮筋腫として治療が進められますが、手術後の病理組織検査で平滑筋肉腫であることが判明することがあります。閉経後に腫瘍が大きく成長する場合は、特に子宮平滑筋肉腫の可能性が高まります。
子宮内膜間質肉腫
子宮内膜間質肉腫は、子宮の結合組織から発生する悪性腫瘍で、主に50歳前後の女性に多く見られます。この腫瘍は子宮肉腫全体の約13〜19%を占め、不正出血や過多月経などの症状が特徴的です。
子宮がん肉腫
子宮がん肉腫は、子宮体がんと似た特性を持つ悪性腫瘍で、子宮肉腫の中でも特に重要な位置を占めています。子宮がん肉腫は、がんと肉腫の成分が混在していることが特徴で、治療法も子宮体がんの高悪性度と同様のアプローチが推奨されます。子宮がん肉腫は、子宮肉腫全体の約43〜46%を占め、特に60歳代の閉経後の女性に多く見られます。主な症状には不正出血や下腹部痛があります。進行状態で発見されることが多く、子宮体がんより予後が不良になります。早期の発見と適切な治療が患者さんの生存期間や生活の質を向上させるために重要です。異常が認められた場合は、迅速に医師の診察を受けることが推奨されます。
子宮肉腫の症状
子宮肉腫は、初期段階で特有の症状が現れることは少なく、多くの場合、症状がほとんど見られません。しかし、腫瘍が進行するにつれ、不正出血や下腹部の違和感、膨満感などの症状が現れ始めることがあります。特に、子宮肉腫は短期間で急激に大きくなる特性を持つため、下腹部のしこりが急速に増大する場合は注意が必要です。進行した子宮肉腫は、不正出血(閉経後の性器出血や月経周期と無関係な出血)や下腹部の違和感や膨満感を伴うことがあります。また、増大した腫瘍が周囲の臓器を圧迫することで下腹痛や頻尿のような症状が現れることがあります。子宮肉腫の症状は、他の疾患と誤解されることがあり、診断が遅れることがあります。不正出血や下腹部の違和感などの症状がある場合は、速やかに婦人科の受診を受診することが重要です。正確な診断と早期の治療が患者さんの予後に大きく影響します。
子宮肉腫の治療
子宮肉腫の治療は種類と進行度に応じて異なります。以下で解説していきます。
手術療法
子宮肉腫の治療では、単純子宮全摘術と両側卵巣卵管摘出術が基本となり、病状に応じてリンパ節の摘出も検討されます。また、骨盤内や大動脈に沿ったリンパ節の摘出、すなわちリンパ節郭清は行われることがありますが、すべての症例で必要とされるわけではありません。進行した症例では、手術に加えて、化学療法や放射線治療などの集学的治療が行われることがあります。これにより、手術だけでは対処できない腫瘍の拡散や再発を抑制することを目指します。早期発見と適切な治療計画の立案が患者さんの予後に重要な役割を果たします。
化学療法
子宮肉腫の治療における化学療法は、再発や残存病巣の治療に主に用いられますが、手術後の再発予防においてその効果は明確ではありません。特に、低異型度子宮内膜間質肉腫の場合、両側卵巣摘出のみが効果を示しています。子宮肉腫の種類によって化学療法の選択肢が異なり、使用される薬剤、投与方法、副作用、入院の必要性などが異なるため、治療計画は患者さんの状況に応じて決定されるべきです。使用される抗がん剤には、ドキソルビシン、イフォスファミド、プラチナ製剤、タキサン製剤などがあります。進行例や再発時には、パゾパニブ、トラベクテジン、エリブリンなどが選択されることもあります。ただし、これらの抗がん剤治療の期待できる効果は限定的で、子宮肉腫の治療においては、継続的な研究と治療法の進歩が求められています。化学療法の選択に際しては、担当医との綿密な相談が重要です。
ホルモン療法
子宮内膜間質肉腫、特に低悪性度のタイプでは、ホルモン療法が治療選択肢の一つとして効果が期待できるとされています。特に、手術後の再発や進行した症例において、高濃度の黄体ホルモン治療(例:メドロキシプロゲステロンアセテート:MPA)が行われることがあります。ただし、ホルモン療法が適切であるかどうかは、腫瘍の特性や患者さんの状態を考慮して決定されます。
子宮肉腫についてよくある質問
ここまで子宮肉腫を紹介しました。ここでは子宮肉腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
子宮肉腫と子宮がんの違いは何ですか?
馬場 敦志医師
子宮肉腫と子宮がんは、発生する組織の種類によって異なる悪性腫瘍です。子宮体がんは、子宮の内膜腺から発生する悪性腫瘍です。一方、子宮肉腫は子宮の筋肉層や間質(臓器のすぐ下にある結合組織)など、子宮内膜腺以外の組織から発生する悪性腫瘍で、多くは子宮体部に形成されます。子宮肉腫は、子宮筋腫との間で診断が難しいこともありますが、子宮がんとはまったく異なる疾患として扱われます。子宮肉腫と子宮がんの違いは、それぞれのがんがどの組織から発生するかによるもので、それぞれのがんの治療法と予後に大きな影響を与えます。
子宮肉腫はどこに転移することが多いですか?
馬場 敦志医師
子宮肉腫は血行性に転移する傾向があり、特に高悪性度の場合、肺へ転移します。しかし、子宮肉腫のリンパ節への転移はまれであるとされています。これは子宮肉腫が全身に転移する際、血液を通じて広がることが多いためです。転移による症状が現れることもあり、子宮肉腫の発見に繋がることがあります。したがって、子宮肉腫の診断と治療においては、特に肺転移に注意を払う必要があります。
子宮肉腫の生存率はどれくらいですか?
馬場 敦志医師
子宮肉腫の生存率は、子宮肉腫の種類や進行度によって大きく異なります。子宮平滑筋肉腫は最も予後が不良で、5年生存率は約30%です。一方、子宮内膜間質肉腫は低悪性度の場合が約90%、高悪性度の場合が約50%の5年生存率となります。子宮がん肉腫は子宮体がんと同様の特性を持ち、5年生存率は約40%です。ただし、これらは統計的な数値であり、個々の患者の状況によって異なります。治療の効果や副作用、生活の質も考慮すべきであり、治療計画は患者と担当医の綿密な相談に基づいて決定されるべきです。
編集部まとめ
ここまで子宮筋腫の大きくなるスピードが速いと子宮肉腫の可能性があるのかについてお伝えしてきました。子宮筋腫の大きくなるスピードが速いと子宮肉腫の可能性があるのかについての要点をまとめると以下の通りです。
⚫︎まとめ
- ・子宮肉腫は、子宮の筋肉層やその他の組織から発生する悪性の腫瘍のこと
- ・筋腫が急速に大きくなる場合、め子宮肉腫の疑いがあるため、注意が必要
- ・子宮肉腫は、初期段階で特有の症状が現れることは少ないが、腫瘍が進行するにつれ、不正出血や下腹部の違和感、膨満感などの症状が現れ始める
子宮肉腫と関連する病気
「子宮肉腫の症状」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
子宮肉腫と関連する症状
「子宮肉腫の症状」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 子宮筋腫
- 子宮がん
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。
参考文献