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「神経膠腫(悪性脳腫瘍の一種)の原因」はご存知ですか?症状や治療法も解説!

 公開日:2024/02/22
「神経膠腫(悪性脳腫瘍の一種)の原因」はご存知ですか?症状や治療法も解説!

神経膠腫という病気についての情報をお探しですか?神経膠腫について
本記事では、神経膠腫の原因や治療方法について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・神経膠腫とはどのような病気か
  • ・神経膠腫の原因
  • ・神経膠腫の治療

神経膠腫の原因などについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

勝木 将人

監修医師
勝木 将人(医師)

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2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

神経膠腫とは?

神経膠腫(グリオーマ)は、中枢神経系に発生する悪性脳腫瘍の一種です。これらは、脳や脊髄を構成する神経膠細胞から発生し、神経上皮細胞から派生する神経上皮性腫瘍の一部です。成人に多いびまん性膠腫(星細胞腫、乏突起膠腫、膠芽腫)や小児に特有な高悪性度膠腫(脳幹神経膠腫など)が含まれます。腫瘍の位置や大きさにより症状が異なり、治療には専門的なケアが必要です。脳腫瘍全体では、100種類以上の異なるタイプがあります。

神経膠腫の症状

神経膠腫は、脳の特定の部分に影響を及ぼす腫瘍で、症状は主に2つのカテゴリーに分けられます。
まず、脳の圧力が増すことにより引き起こされる症状があります。これは、脳腫瘍が大きくなる事により脳組織が膨張し、頭蓋骨内の圧力が上昇するためです。この状態は「頭蓋内圧亢進症状」と呼ばれ、特に朝の起床後1〜2時間以内に強い頭痛を伴うことが特徴的です。また、繰り返す吐き気や、視界が一時的にぼやける(レースのカーテンが目の前に引かれたかのような感覚)といった症状も報告されています。
そして、神経膠腫がある脳の機能が障害されることによる症状があります。これらの症状は多岐にわたり、手足や顔の動きの麻痺、バランスの乱れ(ふらつき)、発話の困難、物の名前を思い出せないといった症状が典型的です。さらに、突然の手足のけいれんや意識喪失も報告されています。特に20〜50歳代では、記憶力の低下や異常な行動や普段とは違う言葉遣いも見られることがあり、注意が必要です。

神経膠腫の原因

神経膠腫は、主に神経膠細胞や前駆細胞に起こる遺伝子の異常により形成されます。これらの異常は、DNAの複製過程での自然な突然変異が主に関与しているとされています。
一部のケースでは遺伝的要素が関与することもありますが、これは稀で、遺伝性腫瘍症候群として知られています。しかし全体として見ると、遺伝的要素や環境要素の影響は限定的であると考えられており、神経膠腫の発生は主に自然な遺伝子変異によるものと理解されています。

神経膠腫の検査

神経膠腫の診断は、主にMRIやCTといった画像診断技術によって行われます。MRIでは、神経膠腫は特定の信号パターンを示し、これにより腫瘍の存在とその性質を判断できます。また、CTは出血や石灰化の確認に役立ちます。
特に悪性の神経膠腫では、造影剤を使用したMRIにより、腫瘍の増強効果と周囲の浮腫が期待できます。これらの画像診断結果、加えて発生部位、患者さんの年齢、症状の経過などから、脳腫瘍の可能性、神経膠腫のタイプ、グレード、手術の必要性、緊急性などを確認します。
手術が必要と判断された場合、さらに詳細な検査が行われます。これには、CT血管造影検査、メチオニンPET、神経線維のトラクトグラフィー、機能的MRI、和田テストなどが含まれ、このような検査を経て、手術のリスクと戦略を詳細に検討します。

神経膠腫の治療

神経膠腫の治療法にはどのような方法があるのでしょうか?以下に四つの方法を解説します。

外科手術

神経膠腫の治療には、可能な限り腫瘍の摘出を目指す外科手術が行われます。これは、腫瘍の摘出が予後の改善になるとの報告が多くあるためです。しかし、腫瘍が運動神経や言語、意識に関連する部位に存在する場合、手術による摘出は困難を伴います。また、全摘出が重篤な合併症を引き起こし、予後を悪化させる可能性があるため、一部の腫瘍だけを取り出す部分摘出術や生検術が選択されることもあります。
さらに、神経内視鏡技術を用いた低侵襲手術も行われています。これは、内視鏡を使用して腫瘍を確認し、必要最小限の侵襲で手術を行う方法です。低侵襲手術は、神経内視鏡技術認定医によって行われ、患者さんの病状にあった治療を提供します。神経膠腫の手術は、患者さんの病状と腫瘍の位置により、その方法と範囲が決定されます。

放射線療法

神経膠腫の治療は手術だけでなく、放射線療法や化学療法も行われます。
放射線療法では、腫瘍とその周囲に放射線を照射します。放射線療法は患者さんの状態と腫瘍の性質により適応され、神経膠腫の管理に重要な役割を果たすとされています。

化学療法

神経膠腫の治療には、以下の三つの化学療法が用いられます。

テモダール(テモゾロミド):これは抗がん剤で、飲み薬として利用されます。副作用が比較的少なく、放射線治療中は毎日服用し、治療後は4週間休薬します。その後は、1カ月に1度の外来通院で、5日間服用し23日間休薬するサイクルで投与が続けられます。

アバスチン(ベバシズマブ):これは分子標的薬で、特定の体内分子をターゲットにした治療を行います。新生血管の増殖を抑え、腫瘍の成長を抑制します。初発時と再発時の両方で使用可能ですが、主に再発時に使用されます。

ギリアデル(カルムスチン):これは手術時に腫瘍摘出部位に置かれる円盤状の抗がん剤です。数週間にわたり薬剤が染み出し、効果が期待できます。ただし、腫瘍が全て摘出されていない場合や、感染や脳浮腫、傷のトラブルが起こる可能性がある場合は、使用は制限されます。
これらの化学療法は、患者さんの状態や腫瘍の性質により、適応が決定されます。神経膠腫の治療は、これらの化学療法と手術、放射線療法の組み合わせにより行われます。

電場療法

神経膠腫の新たな治療法として、腫瘍治療電場療法(オプチューン)が開発されました。この治療法は特殊な電場を脳内に発生させ、腫瘍の増殖を抑制します。初回手術後に膠芽腫と診断され、初期治療の放射線療法と化学療法(テモゾロミド)を終了した患者さんに対して、維持療法として使用されます。
日本では2017年12月に初発膠芽腫の成人患者さんへの保険適用が承認され、それ以降、累計で1,000症例以上が治療を受けています(2022年6月時点)。

神経膠腫についてよくある質問

ここまで神経膠腫を紹介しました。ここでは神経膠腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

神経膠腫の生存率について教えてください

勝木 将人勝木 将人 医師

神経膠腫は、周囲の正常脳組織に浸潤する性質を持ち、しばしば正常神経細胞と共存します。生存率は神経膠腫の種類や腫瘍の場所によって異なり、2000年の日本の全国集計によると、退形成性星状細胞腫の5年生存率は約30%、膠芽腫は約7%でした。

神経膠腫と神経膠芽腫の違いは何ですか?

勝木 将人勝木 将人 医師

神経膠腫は、脳や脊髄の神経膠細胞から発生する腫瘍の総称です。対して、神経膠芽腫は神経膠腫の中でも特に悪性度が高いタイプを指します。神経膠腫はその成長が周囲の脳組織に広がる傾向があり、腫瘍と正常脳の境界が不鮮明になることが特徴です。これにより手術による完全摘出が難しく、放射線療法や化学療法を併用する必要があります。

まとめ

ここまで神経膠腫の原因についてお伝えしてきました。神経膠腫の原因についての要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • ・神経膠腫は中枢神経系に発生する悪性脳腫瘍の一種で、脳や脊髄の神経膠細胞から生じる神経上皮性腫瘍である。成人に多いびまん性膠腫や小児特有の高悪性度膠腫が含まれ、症状は腫瘍の位置や大きさにより異なる
  • ・神経膠腫の原因は主に神経膠細胞の遺伝子異常で、DNA複製過程での自然な突然変異が関与します。遺伝的要素や環境要素の影響は限定的で、多くの場合は自然な遺伝子変異によるものである
  • ・神経膠腫の治療法には、腫瘍摘出を目的とした外科手術、放射線療法、化学療法(テモダール、アバスチン、ギリアデル)がある。また、新たな治療法として腫瘍治療電場療法(オプチューン)も使用され、全生存期間の延長が報告されている

神経膠腫と関連する病気

神経膠腫と関連する病気は1個あります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経外科の病気

  • 星細胞腫

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

神経膠腫と関連する症状

神経膠腫と関連している、似ている症状は15個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 頭痛
  • においがしない
  • 視力低下やものが二重に見える
  • 顔面の感覚異常
  • 顔面痛
  • 聴力低下
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  • 運動麻痺
  • 記憶障害
  • 歩行障害
  • 言語障害
  • 行動異常
  • めまい・ふらつき

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師