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「脳腫瘍の主な3つの症状」はご存知ですか?小児の症状についても医師が解説!

 公開日:2023/11/16
「脳腫瘍の主な3つの症状」はご存知ですか?小児の症状についても医師が解説!

脳腫瘍の症状とは?Medical DOC監修医が脳腫瘍の症状・初期症状や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

影山 広行

監修医師
影山 広行(医師)

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CT,MRI,PETなどの画像診断が専門、PET-CTを含めた健診、生活習慣治療、アンチエイジング、スポーツ医学などの実績も豊富
保有資格
放射線診断専門医
核医学専門医
PET核医学認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
抗加齢医学専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター

「脳腫瘍」とは?

脳腫瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称です。脳腫瘍は原発性脳腫瘍(約8割)と転移性脳腫瘍(約2割)の2種類に分けられます。
原発性脳腫瘍は、脳の細胞や脳を包む膜、脳神経などから発生した腫瘍です。一方、転移性脳腫瘍とは、肺癌や乳癌など脳以外の部位の身体のどこかにできた癌が脳に転移したものです。

脳腫瘍の代表的な症状

脳腫瘍の代表的な症状はさまざまあります。腫瘍が大きくなることで頭蓋骨の内側の圧力が大きくなり(頭蓋内圧亢進)発生する頭痛、嘔吐、視力障害などの症状は、腫瘍の場所に関係なく起こります。
ほかには、腫瘍の発生する場所によって出現する症状が異なる「局所症状」というものや、下垂体などのホルモンを産生する場所にできた腫瘍が引き起こす「ホルモンの過剰又は欠乏」による症状がおきることもあります。
また大人になってからの痙攣発作は脳腫瘍を疑う重要な症状です。それでは以下で詳しく解説していきます。

頭痛・けいれん発作

起床時の頭痛、食事とは関係のない頭痛は頭蓋内圧亢進症状を疑います。また、痙攣発作では自分の手足が意思に反して震えたり、つっぱったりという典型的な症状以外にも、ことばが話せなくなったり、意識をうしなったりする症状があります。繰り返すものをてんかんとよびます。これらの症状は腫瘍の部位に関係なくおこりえる脳腫瘍の典型的な症状です。
朝の頭痛や、食事とは無関係な嘔吐が日増しに増悪するときや、大人になってから痙攣発作があれば直ちに脳神経外科もしくは脳神経内科を受診してください。

局所症状

局所症状は腫瘍の発生する部位によって出現する症状です。
脳のうち、前頭葉という部分は運動、認知などの機能を司っています。前頭葉やその周囲に脳腫瘍ができると体の運動障害、うまく話せない、性格が変化する、意欲が低下するなどの症状がでます。
また、側頭葉は言葉を聞き取ったりする機能があり、その部位に腫瘍ができると、言葉を理解することが難しくなります。また、側頭葉の腫瘍ではてんかんがおこりやすいと言われています。

頭頂葉は感覚や認識の機能を担っており、脳腫瘍ができると左右の判断ができなくなったり、指の名前(親指、人差し指など)が言えなくなったり、計算ができなくなったり、字の読み書きができなくなったりするなどの症状がでます。
後頭葉は視覚、視野と関連しており、脳腫瘍ができると視野が欠けるという症状がでます。
下垂体のホルモンを作らない腫瘍や下垂体周囲にできる腫瘍では、その付近に存在する視覚を伝える神経が圧迫され、視力・視野障害が起きることがあります。また、尿を少なくするホルモンの分泌が障害されて、尿量が増加する尿崩症を発症することもあります。

視床下部には体温調節や摂食行動を調節する中枢があり、下垂体ホルモンの調節も行っています。この場所の脳腫瘍では体温調節の異常、肥満、成長障害や思春期早発症などがおきることがあります。
視床は感覚の中継点で腫瘍ができると痛みやしびれなどの感覚の異常がでます。
脳幹はいろいろな感覚や脳からの信号伝達の中継点であり、意識の保持の中枢でもあります。この部位の脳腫瘍では感覚異常、複視(ものが二重に見える)、顔や体の運動麻痺、嚥下障害などの多彩な症状が出ます。
小脳はバランスやスムーズな動きを担当する部分です。この部位の脳腫瘍では、ろれつが回らず言葉が不明瞭になる、バランスが取れない、歩行障害(まっすぐ歩けない)などの症状がでます。

特定の機能を司る脳神経に腫瘍ができると、その機能に障害が出ます。目を動かす神経に脳腫瘍ができると複視(ものが二重に見える)が出現しますし、顔の感覚を伝える三叉神経に腫瘍ができると顔が痺れたり、感覚が低下したりします。耳からの聴覚情報を脳に伝える神経に腫瘍ができると難聴となります。

ホルモン異常

脳の下垂体という部分に、ホルモン産生する腫瘍が発生した場合では、ホルモン過剰症状がおこります。代表的なホルモン産生腫瘍には成長ホルモン産生腫瘍、プロラクチン産生腫瘍、副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍があります。
成長ホルモン産生腫瘍は手足、額、顎、唇、下などが大きくなる先端肥大症が典型的な症状です。思春期までに発症すると巨人症となります。また、高血圧や糖尿病の原因となることもあります。
プロラクチン産生腫瘍は、女性では乳汁分泌と月経不順が出現します。男性でも乳汁分泌が見られることもありますが、性欲低下や勃起不全などの性機能障害も出現します。
副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍はクッシング病とも呼ばれ、顔が丸くなる満月様顔貌、胸や腹部が太くなる中心性肥満などが典型的な症状です。また、高血圧や糖尿病の原因にもなります。
その他にも甲状腺刺激ホルモン産生腫瘍では動悸、手の震えなどの甲状腺機能亢進症の症状が出現し、下垂体ゴナドトロピン産生腫瘍では男性の女性化乳房、閉経前女性の過少月経がおこります。

小児脳腫瘍の代表的な症状

頭痛・嘔吐

成人と同様に頭痛、嘔吐などの症状は頭蓋内圧亢進症状を疑いますし、加えて、ふらつき、不機嫌、不活発などの症状も頭蓋内圧亢進症状を疑います。頭蓋の結合がゆるやかな新生児や乳児では頭囲拡大(頭のまわりが大きくなること)、大泉門(頭蓋骨の隙間)の膨隆など変化も頭蓋内圧亢進症状と考えられます。これらの症状は腫瘍の場所に関わらず出現する症状です。しだいに増悪するときは直ちに脳神経外科を受診してください。

局所症状

成人と同様に腫瘍ができる部位に応じて出現する局所症状があり、多岐にわたります(⇒成人の局所症状参照)。思い当たる症状が日増しに増悪するときは直ちに脳神経外科もしくは小児科を受診してください。

ホルモン異常

成人と同様に下垂体腫瘍のホルモン産生腫瘍ではホルモン過剰症状がおこります(⇒成人のホルモン産生腫瘍参照)。
なお、小児特有のものとしては、ゴナドトロピン産生腫瘍による思春期早発症がおきることもあります。

けいれん

小児のけいれんの原因の大多数は脳腫瘍以外で、脳腫瘍が原因のことは多くはありません。
また、発熱に伴う短時間の痙攣の直後に意思疎通が可能であれば熱性けいれんの可能性が高く、さほど心配はいりませんが、念のため医療機関を受診しましょう。けいれんは、脳腫瘍以外でもてんかんなどの治療が必要な重大な病気の症状である可能性があり、かならず小児科など医療機関を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「脳腫瘍の症状」

ここまでは脳腫瘍の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

頭痛、目の症状(目がぼやける、物が2つに見えるなど)、嘔気・嘔吐、痙攣が急激に出現した場合は、脳神経外科へ

脳腫瘍の進行速度は緩徐なことが多いですが、ときに腫瘍内に出血がおきて急速に増大して、頭蓋内圧亢進症状が急に出現したり、痙攣がおきたりします。
下垂体卒中とよばれる病気では、下垂体腫瘍の内部で出血がおき、急速に頭痛と視野障害がおこります。このような場合は直ちに脳神経外科受診が必要です。

受診・予防の目安となる「脳腫瘍の症状」のセルフチェック法

  • ・起床時の頭痛、食事とは関係のない嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状がある場合
  • ・特定の体の部位の動きや感覚がおかしくなる症状が徐々に増悪する場合
  • ・成人してからの痙攣発作症状がある場合

「脳腫瘍の症状」についてよくある質問

ここまで脳腫瘍の症状を紹介しました。ここでは「脳腫瘍の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脳腫瘍が進行するとどのような症状が現れますか?

影山 広行影山 広行 医師

頭蓋内圧亢進症状である頭痛、嘔吐などが増悪します。局所症状である特定の動きや感覚の障害も進みます。痙攣発作も頻発するようになります。ホルモン産生腫瘍では体型が変わったり、月経や乳汁分泌に異常がおきたり、高血圧や糖尿病を発症したりします。

脳腫瘍の末期症状について教えて下さい。

影山 広行影山 広行 医師

脳腫瘍の末期では頭蓋内圧亢進症状により意識障害に陥り、意思の伝達は不可能となります。また、体が硬直したりすることもあります。意識障害のため痛みや苦しみを感じることはありませんが、親しい人とコミュニケーションがとれなくなります。元気なうちに十分コミュニケーションを取っておくことが重要です。

編集部まとめ

脳腫瘍は原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍にわかれ、原発性脳腫瘍では良性のものと悪性のものがあり、その分類も多岐にわたります。近年MRI検査が頻回に施行されるようになり、約20%とされていた転移性脳腫瘍が徐々に多くなっており、40%程度であるという報告もあります。
治療は外科手術、放射線治療、薬物療法などを組みあわせておこないます。一般に良性腫瘍では手術で全摘出を原則としますが、構造上の都合で全摘出が難しい場合は放射線治療もしくは両者を組み合わせておこないます。悪性腫瘍では組み合わせて治療を行いますが、5年生存率は50%程度と良くはありません。
医療の発達した現代社会においてもまだまだ難しい病気の一つです。

「脳腫瘍の症状」と関連する病気

「脳腫瘍の症状」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳腫瘍の症状と関連する病気は上記のように様々です。これらの判別・診断は非常に難しく、またどの病気も専門医による適切な治療が必要な病気です。
これまでご紹介したような症状が続く際は、早めに医療機関を受診しましょう。

「脳腫瘍の症状」と関連する症状

「脳腫瘍の症状」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 頭痛
  • 麻痺
  • しびれ
  • 失語
  • 視力・視野障害
  • 難聴
  • 性格変化
  • 認知機能障害
  • ふらつき
  • 歩行障害
  • 尿量増加
  • 早発思春期
  • 意識障害

脳腫瘍の症状と関連している症状は上記のように数多くあります。複数認める場合は、早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師