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「急性骨髄性白血病の5年生存率」はご存知ですか?予後や入院期間も解説!

 公開日:2024/03/13
「急性骨髄性白血病の5年生存率」はご存知ですか?予後や入院期間も解説!

急性骨髄性白血病はどのような病気で、5年生存率はどのくらいなのかご存知ですか?本記事では、急性骨髄性白血病の5年生存率について、以下の点を中心にご紹介します。

  • ・急性骨髄性白血病とは
  • ・急性骨髄性白血病の5年生存率
  • ・急性骨髄性白血病の予後

急性骨髄性白血病の5年生存率について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

急性骨髄性白血病とは

急性骨髄性白血病は、骨髄内で異常な白血球が急速に増殖する病気です。以下で詳しく解説していきます。

急性骨髄性白血病はどのような病気か

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄内で未熟な血液細胞が異常増殖する、白血病の一種です。赤血球、白血球、血小板などの血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で造血幹細胞から生産されます。急性骨髄性白血病では、骨髄芽球と呼ばれる白血球になる前段階の未熟な細胞に異常が生じ、がん化した白血病細胞が骨髄内で無秩序に増殖します。

急性骨髄性白血病の症状

急性骨髄性白血病を発症すると、多くの場合、自覚症状があります。主な症状は、貧血によるだるさ、動悸、息切れ、感染症による発熱、血小板減少による出血傾向(皮膚のあざ、鼻血、口の中の出血など)があります。また、白血球の減少により感染症にかかりやすい状態になります。急性骨髄性白血病は進行が早いため、症状は急激にあらわれることが多く、速やかな診断と治療が必要です。

急性骨髄性白血病の検査方法

急性骨髄性白血病の診断には、複数の検査が必要です。主に、以下の検査方法が用いられます。

血液検査:白血病の初期診断には、血液検査が不可欠です。この検査では、白血球、ヘモグロビン、血小板などの血球数を確認し、肝機能や腎機能の評価、凝固検査を実施します。異常が見られる場合、骨髄検査の必要性が高まります。
骨髄検査:急性骨髄性白血病は、骨髄内で異常な細胞が増殖するため、骨髄検査が重要です。局所麻酔後に、胸骨や腸骨から骨髄液を採取します。骨髄液から異常細胞の形態や性質を調べ、病気を詳細に分類します。また、白血病の発症に関連する遺伝子変異や染色体異常の有無も検査します。
染色体検査やがん遺伝子検査:診断の確定や治療薬の選択、治療効果の診断などに用いられます。
画像検査:レントゲンやCTなどの画像検査は、白血病の広がりを確認し、他の疾患と鑑別するために実施されます。
培養検査:感染症が疑われる場合には、培養検査もします。

検査により、病型を特定し、治療計画を策定します。急性骨髄性白血病は急速に進行する疾患であり、迅速な診断と治療開始が重要です。

急性骨髄性白血病の5年生存率

急性骨髄性白血病の生存率には、年齢や健康状態が大きく影響します。特に65歳以上の高齢者では、年齢や既往症によって5年生存率は大きく変わります。急性骨髄性白血病の治療には抗がん剤が用いられるため、治療が困難な高齢者では、生存率が低下する傾向にあります。また、年齢が高くなると、副作用のある治療よりも、生活の質を重視した治療方針が取られることが多くあります。一方、20代の患者さんは体力があり、抗がん剤を含む治療ができるため、5年生存率は高くなります。特に若年層では、抗がん剤の効果を期待できるため、10代の患者さんではさらに高い生存率が見込まれます。15歳未満の小児では、5年生存率が約80%に達するとされています。急性骨髄性白血病は、過去には治療が難しいがんとされていましたが、現在は治療方法の進歩により生存率が向上しており、今後さらに改善が期待される疾患です。

急性骨髄性白血病の治療について

急性骨髄性白血病の治療は、化学療法が中心となります。以下で詳しく解説します。

寛解導入療法

寛解導入療法は、急性骨髄性白血病の治療において、最初の段階で実施される化学療法です。寛解導入療法の目的は、がん細胞を急速に減少させ、完全寛解を目指すことにあります。治療には複数の抗がん剤を用い、通常、患者さんは入院して治療を受けます。なお、寛解導入療法には、副作用や合併症のリスクが伴います。

寛解後療法

寛解導入療法により完全寛解が達成されても、体内に微量のがん細胞が残存する可能性があるため、再発を防ぎ治癒を目指す寛解後療法が重要になります。寛解後療法は、患者さんの状態に応じて選択され、予後が良好もしくは中間群の患者さんには、化学療法を継続することが一般的です。特定の染色体異常が存在する場合や、完全寛解までの期間が長かった場合は、再発リスクが高まるため、予後不良群の患者さんには、寛解後療法の段階で造血幹細胞移植が考慮されます。

化学療法の副作用について

化学療法は、吐き気、脱毛、口内炎、消化器症状、肝機能障害や心筋障害、皮膚障害など、さまざまな副作用を伴います。正常な血液細胞もダメージを受けるため、感染や出血、貧血を引き起こす可能性があります。そのため、高齢者や既存の臓器障害のある患者さんは、抗癌剤治療が困難な場合もあります。したがって、化学療法の副作用について理解を深めるとともに、医師の指導と管理のもとで治療を受けることが重要です。

急性骨髄性白血病の完治の可能性

かつて治療が困難とされていた急性骨髄球性白血病は、新しい治療薬の開発により、現在では、70%以上の患者さんで完治が期待できるようになりました。早期診断と迅速な治療開始が急性骨髄性白血病にとって非常に重要となっています。

急性骨髄性白血病の予後について

急性骨髄性白血病の予後は、多様な要因に影響されます。寛解導入率は50〜85%とされており、長期の無病生存率は全体で約20〜40%です。そのなかでも、若年の患者さんが化学療法や造血幹細胞移植を受けた場合、無病生存率は40〜50%に達することがあります。しかし、完全寛解を達成しても、残念ながら再発のリスクは存在し、多くの場合は治療終了後3〜5年以内に再発することが多いとされています。65歳未満の患者さんでは、約80%が完全寛解に至り、そのうち約40%が治癒すると期待されていますが、一方で65歳以上の患者さんの完全寛解率は、60%台にとどまる傾向にあります。再発した場合は、病状や患者さんの全身状態、年齢などを考慮し、適切な治療方針を定めることが重要であり、寛解導入療法の再実施や同種造血幹細胞移植の実施が検討されます。

急性骨髄性白血病についてよくある質問

ここまで急性骨髄性白血病を紹介しました。ここでは急性骨髄性白血病についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

急性骨髄性白血病の入院期間はどれくらいですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性骨髄性白血病の患者さんは、寛解導入療法と地固め療法による治療のため、平均して約37日の入院が必要です。寛解導入療法は治療の最初のステップであり、その後、複数回の地固め療法が続きます。そのため、患者さんは数回にわたる入院が必要になることがあります。

急性骨髄性白血病はどの年代に多いですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

急性骨髄性白血病は、特に高齢者に多く見られる病気です。日本では、白血病の発生率は年齢とともに増加し、特に70歳代後半から80歳代にかけて顕著に高まります。具体的には、70〜74歳の男性では年間人口10万人あたり23.3人、女性では9.9人が発症し、80〜84歳の男性では42.8人、女性では19.9人にのぼります。ただ、急性骨髄性白血病は高齢者に多いものの、全年齢層で発生する可能性があるため、幅広い年代での注意と対策が重要です。

まとめ

ここまで、急性骨髄性白血病の5年生存率についてお伝えしてきました。急性骨髄性白血病の5年生存率についての要点をまとめると、以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • ・急性骨髄性白血病は、骨髄内で未熟な血液細胞が異常増殖する白血病の一種である
  • ・急性骨髄性白血病は、治療方法の進歩により5年生存率が向上している
  • ・急性骨髄性白血病は、完全寛解を達成しても再発のリスクは存在し、多くの場合は治療終了後3〜5年以内に再発することが多い

急性骨髄性白血病と関連する病気

急性骨髄性白血病と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

  • 有毛細胞白血病
  • 肝癌
  • 口底蜂窩織炎
  • 西ナイル熱
  • レミエール症候群
  • PFAPA症候群
  • ノカルジア
  • 放線菌症
  • フィラリア症

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

急性骨髄性白血病と関連する症状

急性骨髄性白血病と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • くり返す感染症
  • 全身の脱力感
  • 食欲不振
  • 治りにくい傷
  • 歯肉の腫れや変色
  • 容易にできるアザ
  • 肋骨や胸骨周辺の骨や関節の痛み
  • 疲労感
  • 息切れ

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師