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「メラノーマの初期症状」はご存知ですか?なりやすい年齢層も解説!【医師監修】

 公開日:2024/04/02
「メラノーマの初期症状」はご存知ですか?なりやすい年齢層も解説!【医師監修】

メラノーマとほくろの見分け方が分からない、メラノーマの初期症状が知りたい。そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
本記事では、メラノーマの初期症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・メラノーマとほくろの違い
  • ・メラノーマの初期症状
  • ・メラノーマの検査方法

初期のメラノーマについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

メラノーマとほくろの違い

メラノーマ(悪性黒色腫)は悪性化したメラニンを生成する細胞に由来します。
メラノーマを疑う際のポイントは以下のとおりです。これらのうち4つ以上該当する場合は、悪性である可能性があります。
一方、2つ以下の場合は、良性のほくろ(色素性母斑)と考えて良いでしょう。

形:ほくろは通常、円形や楕円形ですが、メラノーマは不規則な形状になることがあります
境目:ほくろの境界ははっきりしていますが、メラノーマの境界はギザギザやぼんやりしていることがあります
色:ほくろの色は均一ですが、メラノーマは色むらが見られることがあります
大きさ:ほくろは直径6ミリ以下であることが多いですが、メラノーマは直径6ミリ以上になることもあります
隆起:一部のほくろは隆起しますが、メラノーマは進行すると隆起します
硬さ:ほくろは一定の柔らかさを保っていますが、メラノーマの場合、部分的あるいは全体的に硬さが増すことがあります
変化:ほくろの大きさ、色、形状などに変化が見られることがあります

また、褐色の色素斑(いわゆるシミ)の中には「日光黒子(老人性色素斑)」というものがあります。30代以降に現れることが多いとされ、顔や手の甲、背中の上部、すねなどの太陽に晒されやすい部位に見られます。これらの色素斑は、年齢と共に増加する傾向があります。紫外線の影響も要因の一つに考えられています。

日光黒子は通常、痛みやかゆみ等の自覚症状を伴わず、さまざまな形の褐色斑として現れます。時には疣状(いぼじょう)に盛り上がることもあります。良性の腫瘍ですが、悪性黒子(メラノーマの初期病変)と似ているため、正確に知るためには医師による鑑別が重要です。
予防としては、日焼けを避けることが基本です。日傘、UV加工の帽子や衣服を利用し、日焼け止めクリーム等で紫外線ケアを心掛けましょう。

メラノーマになりやすい年齢

メラノーマ(悪性黒色腫)は皮膚がんの一種です。日本では年間約1,800人が診断されています。男女比はほぼ同じ割合です。60~70歳代の高齢の方にかけての発症が多いとされています。
しかし、20~30歳代の若年層でも発症するケースがあり、年齢だけでリスクを否定することはできません。若い方の場合、メラノーマは良性の腫瘍と外見が似ていることが多いため、ほくろや皮膚の変化に気を配ることが重要です。
また、メラノーマの増加理由には、生活習慣の変化や環境要因も影響していると考えられています。例えば、屋外での活動時間が増え、紫外線への露出が増えることが、メラノーマの発症リスクを高めている可能性があります。
メラノーマはかつて欧米の方に多いがんとされていましたが、日本人のメラノーマによる死亡数は増加の傾向にあります。これは紫外線の影響に加え、高齢化も一因と考えられています。

メラノーマの初期症状

メラノーマの初期症状には、隆起したイボ状の形態と、平坦で黒っぽいシミのような形態の2種類があります。
イボ状のタイプは、小さくても転移のリスクがあり、診断が難しいケースもあります。
シミのようなタイプは不規則な形と色ムラが特徴で、進行すると部分的に隆起することがあります。
メラノーマは多様な形態をしていて、主に4つのタイプに分類され、それぞれ独自の初期症状があります。以下で、その4つの症状について解説していきます。

【悪性黒子型黒色腫】
顔面や首筋、手の甲など日常的に露出する部位に発生します。初期段階では境界のはっきりしない、褐色のまだらなシミのようなものが発生します。
悪性黒子型は主に高齢の方の顔面に多く見られるといわれています。進行速度は比較的遅く、早期発見が可能とされており、日本の患者さんの中では、発症率は低い傾向にあります。

【表在拡大型黒色腫】
全身のどこにでも発生し得るタイプで、ほくろの細胞から生じます。初期には、ほくろが若干盛り上がった状態を示し、ゆっくりと拡大して色が濃い黒に変化します。
表在拡大型は悪性黒子型より治癒率が低いといわれています。
幅広い年齢層で発症するとされていますが、50代位での発症が多いようです。

【結節型黒色腫】
結節(しこり)、腫瘤のみで色素斑が生じないタイプです。メラノーマの中で最も進行が早いとされ、初期から立体的な腫瘍が形成されます。全身のどこにでも発症する可能性があり、黒色または濃淡の混じったしこりが迅速に濃黒色に変化します。
結節型は40~50代に発症が多いとされ、悪性度が高いといわれています。

【末端黒子型黒色腫】
日本人で多いメラノーマといわれ、青年から壮年期以降の足の裏や手のひら、爪などの末端部に褐色の斑が現れることが特徴です。進行すると潰瘍やしこりができます。
爪に発症した場合、黒い縦筋が出現し、進行すると爪全体に広がります。このタイプは60代以降に多く見られるといわれ、進行は緩やかで早期発見が可能とされています。

メラノーマのステージ分類

メラノーマのステージ分類を紹介します。がんのステージングでは、腫瘍の深さ、潰瘍の存在、リンパ節や内臓への転移の有無を基に、ステージI~IVまでのカテゴリーに分類されます。

ステージⅠA

ステージⅠAは原発巣(最初にがんが発生した部位にある病巣)のみで、がんの厚さが0.8mm未満で潰瘍なし

ステージⅠB

ステージⅠBは原発巣のみでがんの厚さが0.8mm〜1mm以下で潰瘍あり、1mmを超えているが2mm以下で潰瘍なし

ステージⅡA

ステージⅡAは原発巣のみでがんの厚さが1mm〜2mm以下で潰瘍あり、2mmを超えているが4mm以下で潰瘍なし

ステージⅡB

ステージⅡBは原発巣のみでがんの厚さが2mm〜4mm以下で潰瘍あり、4mmを超えていて潰瘍なし

ステージⅡC

ステージⅠAは原発巣のみでがんの厚さが4mm超えで潰瘍あり

ステージⅢ

腫瘍の厚みにかかわらず、リンパ節や皮膚に転移している状態

ステージⅣ

腫瘍の厚さにかかわらず、内臓に転移が起こっている状態

メラノーマの検査方法

もしかしてマラノーマかも?と不安に思った場合、病院ではどのような検査をするのでしょうか?以下でメラノーマの検査方法について解説します。

ダーモスコピー

ダーモスコピーは、皮膚の詳しい状態を確認する検査機器です。特殊な光源を備えたルーペのような装置で病変部分を拡大し、皮膚の表面から真皮の浅い部分まで確認します。
ダーモスコピーは、あらゆる皮膚疾患の診断に役立ち、特にシミやほくろ、悪性黒色腫や基底細胞がん等の黒い色の皮膚がんの鑑別に有効とされています。
ダーモスコピー検査は、以下のステップで構成されています。

1.まず、患部をアルコール綿で消毒し、超音波用のジェルを塗布します(もしくは偏光フィルタを用います)
2.その後、ダーモスコープを使用して患部を観察し、デジタル画像として記録します
3.最後に、使用したジェルをティッシュペーパーで拭き取ります

検査は約10分で完了し、痛みは伴わないといわれています。一度の検査で診断できるほくろは原則1箇所であり、別部位の診断を希望する場合は次回検査まで1ヶ月待つ必要があります。

皮膚生検

診断の基本は視診で、ダーモスコピーを用いて患部を詳しく確認しますが、皮膚生検は、ダーモスコピーでの診断が不明確な場合に行われます。
皮膚生検を実施する場合、病変が大きい場合は「部分生検」が行われ、病変が小さい場合は病変の全部を切除する「全摘生検」が行われます。顔に大きな病変がある場合は、全摘生検は現実的でないため、部分生検が行われることがあります。
また、メラノーマと診断された場合は、CTやMRIを用いてリンパ節や内臓への転移を調査します。

メラノーマの初期の治療法

悪性黒色腫の治療においては、主に手術でがんを除去する方法が選ばれます。
メラノーマは周囲に微細な転移を生じやすく、表面上見えるがんの除去だけでは再発のリスクがあります。そのため、がんの縁から数センチメートル外側までを含めて広範囲に切除する必要があります。切除範囲や深さは、腫瘍の大きさや位置に応じて決定されます。

【術後補助療法】
悪性黒色腫の治療後、早期の転移や再発が頻繁に起こり、予後が不良になることがあります。そのため、手術後の転移や再発を防止する目的で術後補助療法が行われます。術後補助療法には、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬、インターフェロン等が使用されることがあります。

【化学療法】
化学療法では、抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑制し、細胞を死滅させます。
手術後の補助療法として、手術で完全に除去できなかったがん細胞を排除する目的で、抗がん剤が使用されることがあります。
また、手術が困難な患者さんに対しては、全身療法として抗がん剤を用いてがんの成長を抑える為の治療が行われます。

【放射線療法】
悪性黒色腫においては、X線や電子線の放射線療法では効果が認められないことが多いといわれています。ですが、速中性子線、陽子線、重粒子線など、特殊な放射線の照射で効果を示す場合があるようです。
また、脳に転移がある場合には、ガンマナイフやサイバーナイフのような治療法が適用されることもあります。

メラノーマについてよくある質問

ここまでメラノーマを紹介しました。ここではメラノーマについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

メラノーマ初期はどのような症状が出ますか?

高藤 円香医師

メラノーマには二つのタイプがあります。
一つ目は初期からイボのように隆起するタイプで、小さくてもリンパ節への転移リスクがあり、早期発見が重要です。診断が困難なこともあります。
二つ目は平坦で不規則な形状の黒っぽいシミのように見えるタイプで、進行すると部分的に隆起することがありますが、普通のシミと間違えやすく治療の機会を逃すこともあります。

メラノーマの初期の治療方法を教えてください

高藤 円香医師

悪性黒色腫の治療では、手術でがんを切除する方法が一般的なようです。がん周辺には微細な転移が発生しやすいため、がん部位のみならず、その周辺も広範囲に切除します。手術療法は再発を防ぐ目的で行い、切除の範囲や深さは、腫瘍の大きさや位置によって決定されます。

まとめ

ここまで初期のメラノーマについてお伝えしてきました。
初期のメラノーマについての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・ほくろは色が均一であり、円形や楕円形をしているが、メラノーマは色ムラがあり、不規則な形状になることがある
  • ・メラノーマの初期症状には、隆起したイボ状の形態と、平坦で黒っぽいシミのような形態の2種類がある。更にメラノーマは4種類に分けられ、それぞれで初期症状や現れる場所が異なる
  • ・診断の基本は視診で、ダーモスコピーを用いて患部を詳しく確認するが、それでも判別がつかなかった場合は皮膚生検が行われる

メラノーマと関連する病気

メラノーマと関連する病気は1個あります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

メラノーマと関連する症状

メラノーマと関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • ほくろの大きさや色の変化
  • ほくろの色むら
  • 大きくなるのが早い
  • 皮膚の隆起や潰瘍化

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師