「悪性リンパ腫のしこりができる場所」はご存知ですか?症状についても解説!
悪性リンパ腫のしこりができる場所についてご存知でしょうか?本記事では悪性リンパ腫のしこりができる場所について下記内容を中心に徹底解説します!
- ・悪性リンパ腫とは
- ・悪性リンパ腫のしこりができる場所
- ・悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫のしこりができる場所について理解するためにも参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
悪性リンパ腫とは?
悪性リンパ腫は、血液がんの一種で、主にリンパ系の細胞ががん化する疾患です。具体的には、リンパ系の一部である白血球の中のリンパ球が異常を起こし、がん化して無制限に増殖することにより発症します。
リンパ球には、主にB細胞、T細胞、NK細胞といった種類があり、これらの細胞のいずれかががん化することで悪性リンパ腫が発生します。リンパ系組織は全身に広がっており、免疫システムの重要な部分を担っています。これにはリンパ節、リンパ管、リンパ液、胸腺、脾臓、扁桃などが含まれます。
悪性リンパ腫は、リンパ系組織だけでなく、リンパ外臓器(節外臓器)でも発生する可能性があります。これには胃、腸管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚などが含まれます。リンパ系の組織や臓器が全身に存在するため、悪性リンパ腫は体のどの部分にも発生する可能性があります。
悪性リンパ腫のしこりができる場所
悪性リンパ腫でしこりができる主な場所は、体内のリンパ節です。リンパ節はリンパ管の継ぎ目に位置し、体全体に分布しています。これらのリンパ節は免疫機能を果たす重要な器官であり、悪性リンパ腫の場合、これらのリンパ節が腫れてしこりを形成することが一般的です。
体の内部、特にお腹の中にあるリンパ節にしこりができた場合、それを自分で触って確認することは難しいです。これらの内部のリンパ節にしこりが生じると、お腹に張りを感じるなどの症状が現れることがあります。
しこり以外の症状について
しこり以外の症状について解説していきます。
発熱
悪性リンパ腫におけるしこり以外の代表的な症状は、発熱、体重減少、および寝汗で、これらは一般に「B症状」と呼ばれています。これらの症状は、リンパ腫の病期(進行度)を判断するのに役立つ重要な指標です。悪性リンパ腫に関連する発熱は、通常、感染症など他の一般的な原因によるものとは異なります。悪性リンパ腫の発熱は、がん細胞の活動によって引き起こされる可能性があり、しばしば長期間にわたって続くことがあります。
体重減少
体重の顕著な減少も、悪性リンパ腫の症状の一つです。これはがん細胞が正常な細胞の栄養を奪うことや、がんによる代謝の変化に起因することがあります。
寝汗
悪性リンパ腫においては、夜間に特に強い発汗(寝汗)がみられることがあります。これは、体ががん細胞と戦う過程での代謝の変化や、リンパ腫が免疫システムに与える影響によるものと考えられています。これらの症状は、リンパ腫が進行して全身的な影響を及ぼしていることを示しており、特にしこりやリンパ節の腫れと一緒に現れる場合、悪性リンパ腫の可能性が高まります。
体のかゆみや皮膚の発疹
悪性リンパ腫に関連するかゆみはしばしば全身にわたることがあり、特に皮膚に直接的な発疹がなくても発生することがあります。これは、リンパ腫細胞が放出する物質による皮膚の刺激や、体内の免疫反応の変化によるものと考えられています。また、皮膚に現れる発疹はリンパ腫細胞が皮膚組織に影響を与えることによって生じることがあり、特に皮膚リンパ腫でよく見られます。
気道閉塞、血流障害、麻痺
悪性リンパ腫において、しこりや腫瘤が体内の重要な臓器を圧迫することによって引き起こされる症状には、気道閉塞、血流障害、麻痺などがあります。これらの症状は緊急性が高く、迅速な治療が必要な状況を示しています。
気道閉塞:悪性リンパ腫による腫瘤が首や胸部のリンパ節に発生し、それが気管や気管支を圧迫することで気道閉塞が生じることがあります。症状には呼吸困難、喘鳴(ヒューヒューという呼吸音)、咳、窒息感などがあります。気道閉塞は命に関わる緊急事態であり、迅速な医療介入が必要です。
血流障害:しこりや腫瘤が大きくなると、近くの血管を圧迫し、血流が妨げられることがあります。血流障害は、腫れ、痛み、青紫色の皮膚変色、感覚喪失、動脈閉塞や静脈血栓症などの症状を引き起こす可能性があります。これらの症状は、関連する器官に栄養や酸素が十分に供給されないことによるものです。
麻痺:悪性リンパ腫による腫瘤が脊髄やその周辺の神経を圧迫すると、麻痺や感覚異常が発生する可能性があります。これには運動障害、歩行困難、痛み、しびれ、感覚喪失などが含まれます。脊髄の圧迫は特に深刻で、下半身麻痺や排泄障害を引き起こす可能性があります。
悪性リンパ腫の検査方法
悪性リンパ腫の診断には、複数の検査が必要とされます。下記が悪性リンパ腫の検査一覧です。
画像検査:胸部X線検査、超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査: これらの画像検査は、リンパ腫の腫瘤の位置、大きさ、広がりを評価します。
PET検査: 全身のがん細胞の活動を詳細に把握できます。
病理検査:リンパ節生検や腫瘍生検: しこりがあるリンパ節または、腫瘍の一部を切り取り、病理学的に診断を行います。染色体検査や遺伝子検査にも使用されることがあります。
骨髄検査: がん細胞の骨髄浸潤を確認するために、骨髄穿刺や骨髄生検を行います。
消化管内視鏡検査: 消化管リンパ腫の疑いがある場合に行われます。
脳脊髄液検査: 脳や脊髄へのリンパ腫の浸潤を確認するために行われます。
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫の治療は病期、病型、全身状態などを考慮して決定され、主に化学療法、放射線治療、分子標的治療、造血幹細胞移植が用いられます。
化学療法:悪性リンパ腫の主要な治療法であり、複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法が行われます。抗がん剤は、注射、点滴、内服により投与され、がん細胞を消滅させるか小さくすることを目的とします。副作用には骨髄抑制、吐き気、嘔吐、下痢、口内炎や発熱などがあり、副作用に対する対策が行われます。
分子標的治療:分子標的薬は特定のがん細胞の分子を標的とし、従来の抗がん剤と組み合わせて使用されます。代表的な薬剤にはリツキシマブがあり、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫の治療に用いられます。副作用にはインフュージョンリアクション、肺障害、心臓障害などがあり、副作用に注意が必要です。
放射線治療:放射線治療は、高エネルギーのX線を体の外から照射し、がん細胞を破壊する方法です。早期リンパ腫や化学療法との併用などで使用されます。副作用には皮膚炎、粘膜炎、全身症状のだるさ、吐き気などがあります。
造血幹細胞移植:造血幹細胞移植は、大量の化学療法や全身放射線治療の後に行われる治療法で、主に再発や難治性の悪性リンパ腫で使用されます。
悪性リンパ腫についてよくある質問
ここまで悪性リンパ腫を紹介しました。ここでは悪性リンパ腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
悪性リンパ腫は人によってしこりができる場所は異なりますか?
中路 幸之助(医師)
悪性リンパ腫では人によってしこりができる場所が異なることがあります。悪性リンパ腫は、通常リンパ節にしこりが生じることが多いですが、節外性リンパ腫の場合、リンパ節以外のさまざまな臓器にしこりや腫瘍が生じることがあります。
節外性リンパ腫は、胃や腸などの消化管、甲状腺、脳など、リンパ節外の組織や臓器に発生するリンパ腫を指します。これらの場所にできるしこりは、他のがんや疾患と間違えられることもあり、正確な診断が重要です。例えば胃や腸に発生した節外性リンパ腫は、消化管のがんや炎症性疾患と間違えられることがあります。また、脳に発生した場合は脳腫瘍との鑑別が必要になります。
悪性リンパ腫は再発しますか?
中路 幸之助(医師)
悪性リンパ腫は再発することがあります。再発を早期に発見するためには、悪性リンパ腫の治療後も定期的な通院と経過観察が非常に重要です。これには、血液検査、画像検査、身体検査などが含まれ、病気の兆候を早期に捉えることを目的としています。
再発した悪性リンパ腫の治療方法は、初回の治療とは異なるアプローチがとられることが多いです。これには再発の程度、病型、患者の全体的な健康状態などが考慮されます。
編集部まとめ
ここまで悪性リンパ腫のしこりができる場所について解説してきました。悪性リンパ腫のしこりができる場所についてまとめると以下の通りです。
⚫︎まとめ
- ・悪性リンパ腫は、血液がんの一種で、主にリンパ系の細胞ががん化する疾患
- ・悪性リンパ腫でしこりができる主な場所は、体内のリンパ節
- ・悪性リンパ腫の治療は病期、病型、全身状態などを考慮して決定され、主に化学療法、放射線治療、分子標的治療、造血幹細胞移植が用いられる
悪性リンパ腫と関連する病気
悪性リンパ腫と関連する病気は1個あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
リウマチ科の病気
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
悪性リンパ腫と関連する症状
悪性リンパ腫と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- リンパ節のしこり
- リンパ節の腫れ
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。