「白血病の主な3つの症状」はご存知ですか?前兆となる初期症状も医師が解説!
白血病の症状とは?Medical DOC監修医が白血病の症状・初期症状・セルフチェック法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
神戸大学大学院(腫瘍・血液内科学講座)にて血液悪性腫瘍の研究に従事。医学博士号を取得。
赤穂市民病院、亀田総合病院、新宿アイランド内科クリニック院長などを歴任後、2023年2月いずみホームケアクリニックに常勤として着任。現在は内科全般の疾患を幅広く診療している。
目次 -INDEX-
「白血病」とは?
白血病とは、造血幹細胞という赤血球、白血球、血小板の元となる細胞が、それぞれに分化する途中でがん化したものをいいます。白血球は3つに分類され、そのなかでもさらに分類されるため、どの段階の白血球ががん化しているかによって名前が異なります。
白血病の種類
白血病は大きくわけると急性、慢性の2種類があり、さらに骨髄性かリンパ性の2種類にわかれます。
- ・急性骨髄性白血病
- ・急性リンパ性白血病
- ・慢性骨髄性白血病
- ・慢性リンパ性白血病
まずは、4種類の白血病の特徴をお伝えします。
急性骨髄性白血病(AML)
急性骨髄性白血病は、本来は骨髄系の細胞になるはずの未熟な細胞がわけもなく増殖した状態です。白血病細胞が増加すると正常な造血機能ができなくなるので、正常な赤血球が減少し、疲れやすさや息切れなどの貧血症状が出現します。正常な血小板も減少するため、歯肉出血や鼻血などがみられます。正常な白血球もないために感染しやすくなります。病期が進むと倦怠感が強くなり、抵抗力が低下し重篤な感染症にかかりやすくなります。
急性リンパ性白血病(ALL)
白血球のひとつであるリンパ球が、リンパ球になる前にがん化したものを急性リンパ性白血病といいます。リンパ節の腫れや関節痛をともない、脳や脊髄といった中枢神経にも影響を及ぼします。中枢神経にも影響すると、貧血症状、出血、発熱だけではなく頭痛や吐き気といった症状も出現するのです。
慢性骨髄性白血病(CML)
慢性骨髄性白血病は、血液を作りだす元となる造血幹細胞ががん化し、顆粒球、赤芽球、骨髄芽球が著しく増殖する病気です。血液検査や骨髄検査でがん細胞は発見されますが、初期の段階では無症状であり、急性転化という悪化してから発見されることが多い病気でもあります。
異常なチロシンキナーゼたんぱくが増加するため体内で白血病細胞が増え続け、正常な造血障害を起こし、染色体検査ではフィラデルフィア染色体が発見されることが特徴です。
慢性リンパ性白血病(CLL)
リンパ球のひとつであるBリンパ球ががん化することで起こるのが、慢性リンパ性白血病です。検査では異常なBリンパ球が増加し、リンパ節や肝臓、脾臓でも見つけられます。そのため、進行するとリンパ節、肝臓や脾臓の腫脹がみられます。
高齢者に多いのですが日本では少ないことが特徴で、慢性骨髄性白血病と同じく急性転化という悪化した状態で発見されることが多い病気です。
白血病の代表的な症状
白血病の代表的な症状は3つあり、貧血症状、出血、発熱といわれています。こちらをひとつずつ解説していきます。
症状が現れたときは、かかりつけ医や近隣の医療機関を受診しましょう。また白血病であると明らかな場合は、主治医の診察を受けましょう。
貧血
赤血球には、栄養や酸素を全身に行き渡らせるという役割があります。白血病細胞が増加すると赤血球が生成されづらくなり、赤血球が減少して貧血症状が出るのです。
症状として代表的なものは、次の5つになります。
- ・動悸
- ・息切れ
- ・ふらつき
- ・めまい
- ・疲れやすさ
症状が現れたときは、すぐに座るか横になって休みましょう。症状が落ち着いても、急に起き上がったりすると再び症状が出てくる可能性があるので、ゆっくり動きましょう。白血病治療中の方は、対症療法として赤血球輸血を行います。
出血
血小板には止血作用があります。白血病細胞が増加することで血小板が生成されづらくなると、鼻をかんだだけでも鼻血が出てしまう可能性があるのです。そのため鼻血だけではなく、歯肉出血やあざ(内出血)も見られるようになります。
鼻血がみられたときは、止血剤をしみ込ませた綿球を鼻に入れたりします。歯肉出血は歯磨きをしたときに見られやすいですが、うがいをして口の中を清潔に保つようにしましょう。あまりにも続くようであれば、ガーゼを当てて止血します。内出血は体をぶつけていなくてもみられることがあります。白血病治療中の方は、対症療法として血小板輸血を行います。
発熱
白血球には、体に入った細菌やウイルスを攻撃して排除しようとする作用があります。しかし、白血病によってがん化した白血球が増えてしまうと、正常な白血球が減ってしまい免疫力が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなります。その結果、発熱を認めることがあります。
発熱の原因が明らかな場合は抗生物質や抗ウイルス薬を使用します。対症療法として38度以上の発熱があれば解熱剤を服用し、飲めない場合は座薬や注射薬を使用します。
白血病の前兆となる初期症状
ここからは白血病の前兆となる初期症状をご紹介します。一つの症状だけでは何の病気かわからないですが、症状の組み合わせや経過などを踏まえて総合的に判断すると白血病を疑って診察が進められます。次に挙げる症状が出現しているとき、また続くときは、かかりつけ医や近隣の医療機関を受診しましょう。
倦怠感
赤血球が減少するために起こる症状のひとつ、貧血症状によって疲れやすい状況になります。小児は表現することが難しいため、周囲の方がいつもと違う様子がないか観察する必要があります。遊ぶ姿が辛そう、遊ぼうとしない、いつもと違ってぐったりしている、という時は、倦怠感が強いのかも知れません。
骨の痛み
白血病細胞が骨髄で増殖すると、骨痛や関節痛を生じることがあります。小児の場合は成長痛と間違えてしまう可能性もあります。骨の痛みだけではなく、ほかの症状も出現していることが多いです。自覚している症状全てをかかりつけ医に報告し、必要があれば白血病の精査のために紹介してもらいましょう。
リンパ節の腫れ
耳裏や首、わきの下にグリグリとした腫れを感じたら、リンパ節が腫れているかも知れません。リンパ性白血病に見られる症状で痛みを伴わないものもあるため、気づきにくいこともあります。
腹部の張り
肝臓や脾臓が腫れていると、胃の辺りから下が張ってしまいます。慢性の白血病に見られやすく、白血病細胞が肝臓や脾臓に浸潤しているときに見られます。
すぐに病院へ行くべき「白血病の症状」
ここまでは白血病の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
鼻血が止まらない症状の場合は、耳鼻咽喉科や内科へ
鼻の粘膜には細い血管が無数に走っていて、勢いよく鼻をかんだだけでも出血する可能性はあります。しかし白血病では、血液の中にある血小板が減少するために起こり、普通に鼻をかんだだけでも鼻血が出て止まらない人もいるのです。明らかに止まらないときは、内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「白血病」のセルフチェック法
- ・熱が下がらない症状がある場合
- ・あざが増えている症状がある場合
- ・疲れが取れない症状がある場合
- ・ふらつきが続く症状がある場合
- ・白目(眼瞼結膜)が青白い症状がある場合
「白血病の症状」についてよくある質問
ここまで白血病の症状を紹介しました。ここでは「白血病の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
急性白血病と慢性白血病の症状に違いはありますか?
今村 英利 医師
急性白血病では、その名の通り症状が急激に現れて悪化していきます。慢性白血病は基本的に徐々に進行するものですが、時には急性転化という急性白血病のような症状に見舞われます。慢性白血病の多くは慢性期という時期に急激な症状がない時期に発見され、治療が開始されていることが多いです。
白血病を疑うあざの特徴を教えてください。
今村 英利 医師
あざと聞いてイメージするのは、青いあざかも知れません。白血病でみられるあざは、青いものだけではなく、血液を連想させるような暗紫色や暗赤色のあざ、赤い点々が無数にみられるあざもあります。
編集部まとめ
白血病で見られる代表的な症状は、貧血症状、出血、発熱です。出血を除いては風邪など他の病気にも見られる一般的な症状であり、見落としやすいです。あざや内出血といった出血症状なども同時に現れているようなら白血病を考える必要があります。日頃から自分の体調をしっかり把握し、何か異変に気付いたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。
「白血病の症状」と関連する病気
「白血病の症状」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
自己免疫疾患の病気
- リウマチ
感染症科の病気
- 感冒(上気道炎)
- インフルエンザ感染症
- HIV感染症
- 結核
その他の病気
- ビタミン欠乏症
発熱や全身倦怠感が一時的にあるだけではただの風邪(感冒)かもしれませんが、発熱を繰り返していたり、出血しやすいような場合は白血病かもしれません
「白血病の症状」と関連する症状
「白血病の症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状がある場合は、白血病や悪性リンパ腫、その他血液疾患の可能性があります。まずはかかりつけの内科を受診し、必要に応じて血液内科に紹介してもらいましょう。