FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「胃ポリープができる原因」はご存知ですか?症状・予防法も医師が解説!

「胃ポリープができる原因」はご存知ですか?症状・予防法も医師が解説!

 公開日:2024/01/12
「胃ポリープができる原因」はご存知ですか?症状・予防法も医師が解説!

胃ポリープができる原因とは?Medical DOC監修医が胃ポリープの原因・症状・検査法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

飯田 綾子

監修医師
飯田 綾子(医師)

プロフィールをもっと見る
2009年奈良県立医科大学卒業。大阪市立大学医学部附属病院で初期臨床研修後、大阪市立総合医療センター消化器内科レジデントを経て、大阪市立大学大学医学部附属病院肝胆膵内科で学位を取得。現在は患者さんの不安に寄り添い、何でも相談できるかかりつけ医を目指して、大阪市内のクリニックで高血圧や糖尿病など主に慢性疾患の外来や在宅診療を行っている。消化器病専門医、肝臓専門医、総合内科専門医、認定産業医の資格を有する。

「胃ポリープ」とは?

胃のポリープという言葉は健診などで指摘されることも多く、聞いたことがある方も多いと思います。胃粘膜が内腔に膨らんだもののことを胃ポリープと呼びます。
ではポリープはどんな原因で起こるのか、またどう対処すべきなのかについて解説いたします。

胃ポリープの種類

胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープは、胃の内壁に生じる小さな隆起または突起のことで、特に胃の底部や体部に多く見られます。多くの場合、良性であり、癌化するリスクは低いとされています。
胃底腺ポリープの多くは、胃酸の分泌を抑制する薬剤(プロトンポンプ阻害薬など)の長期使用に関連して発生することがあります。また、ヘリコバクター・ピロリ感染の治療後に生じることもあります。
多くの場合、胃底腺ポリープは無症状で、健康診断や他の症状の調査のための内視鏡検査で偶然発見されることが多いです。診断は、内視鏡検査による視覚的な確認と、必要に応じて組織検査(生検)によって行われます。
多くの胃底腺ポリープは良性であり、特別な治療を必要としないことが一般的です。ただし、ポリープのサイズが大きい場合や、悪性の可能性が疑われる場合には、内視鏡的な切除が行われることがあります。また、ポリープの数が多い場合や大きさに変化がある場合は、定期的な内視鏡検査による経過観察が推奨されます。

胃過形成性ポリープ

胃過形成性ポリープは、胃の粘膜が局所的に過剰に増殖して形成されるポリープです。胃のポリープの中では最も一般的なタイプの一つで、多くの場合は良性ですが、まれに悪性化する可能性もあります。
胃過形成性ポリープの原因は明確にはわかっていませんが、慢性的な胃炎、特にヘリコバクター・ピロリ感染による胃炎と関連があると考えられています。
胃過形成ポリープも、上述の胃底腺ポリープと同様に無症状のことが多く、内視鏡検査で偶然発見されることが一般的です。診断は内視鏡による診断と、生検によって行われます。
胃過形成ポリープが小さく、悪性の徴候がない場合、特に治療を必要としないことが多いです。ただし、ポリープが大きい(2cm以上)、どんどん大きくなっている、数が多い、がん化(がんの併存)の可能性があるもの、出血し貧血の原因となるものが見られる場合には、内視鏡的な切除が行われることがあります。定期的な内視鏡検査による経過観察も、一部の場合には推奨されます。

胃ポリープができる原因

ヘリコバクター・ピロリ感染

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、胃の粘膜に生息する細菌で、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因とされています。また、胃がんや胃過形成ポリープのリスクを高めることが知られています。
ピロリ菌の感染は、以下の方法で診断されます。

  • ・便中抗原検査: 便に含まれるピロリ菌の抗原を検出します。
  • ・尿素呼気試験: 呼気中の尿素分解産物を測定して感染を確認します。
  • ・血液検査: 抗体の存在を調べる方法ですが、感染の活動性は判断できません。
  • ・胃内視鏡検査: 直接胃の組織からサンプルを採取して検査する方法です。

ポリープは無症状のことも多く、健康診断の胃カメラ(内視鏡検査)でポリープが指摘され、組織検査からピロリ菌感染が指摘される、というパターンも多いです。
ピロリ菌感染の治療には、通常抗生物質を含む複数薬剤による治療が行われます。
治療後は、完全な除菌が確認されるまで経過観察が必要です。除菌の確認には尿素呼気試験が用いられることが多いです。
これら一連に検査、治療が行えるのは消化器内科になります。緊急性はありませんので日中に受診しましょう。

遺伝的要因

一部の胃ポリープは遺伝的な要因により発生する可能性があります。特に家族性大腸腺腫症(FAP)などの遺伝性疾患は、胃ポリープを伴うことがあります。FAPに併存する胃の病変としては胃底腺ポリープが最も高頻度に見られるとされています。また胃がんを併発する場合も報告されており、早期発見が重要です。
血のつながった親族に同様の病気を持った方がおられる場合は、積極的に内視鏡検査を受けるようにしましょう。

加齢・慢性胃炎

高齢者では、胃粘膜の老化に伴いポリープが発生しやすくなることがあります。
また長期にわたる慢性胃炎は、胃粘膜の変化を引き起こし、ポリープの形成を促すことがあります。慢性胃炎の原因にはピロリ菌感染がありますが、それ以外にもさまざまな要因がありますので、以下で解説します。
まずはタバコです。喫煙は胃の粘膜を刺激し、慢性胃炎のリスクを高めます。過度のアルコール摂取も胃の粘膜を刺激し、慢性胃炎を引き起こす原因となることがあります。そして長期的なストレスや心理的な負荷は、胃の健康に悪影響を与え、慢性胃炎のリスクを高める可能性があります。
最後に食生活の乱れです。不規則な食事や刺激的な食べ物(香辛料の強い食品、コーヒーなど)、食べ過ぎなども胃の粘膜に負担をかけ、慢性胃炎を引き起こすことがあります。
慢性胃炎も専門の診療科は消化器内科になります。緊急性はありませんので日中に受診しましょう。

胃ポリープができると現れる症状

多くの胃ポリープは小さく、症状を引き起こさないことが一般的です。しかし、ポリープの大きさや位置、数によっては以下のような症状が現れることがあります。

腹痛

胃の内部でポリープが刺激を与えることで、軽度の腹痛が生じることがあります。
腹痛の原因がポリープである場合、ご自身でできる対処法はありません。また痛みの性質などを問診で伺うだけでは、ポリープがあるとは全く判断できません。そのため胃カメラはどこかで受ける必要があります。
病院に行くとすれば、そもそも胃カメラを実施することができる医療機関を受診されることをお勧めします。軽い腹痛であれば緊急性はありませんので日中に受診してください。

出血

大きなポリープや複数のポリープがある場合、そこから出血を引き起こすことがあり、それが黒い便(タール便)や吐血の原因となることがあります。このような場合は、先述の腹痛の時よりも緊急性は高くなります。
タール便にせよ、吐血にせよ、体の外側に現れるほどの出血の場合、相当量の出血が起こっている可能性があります。
特に吐血に至っては、緊急止血処置が必要な場合がありますので、救急外来受診や救急要請も検討するようにしてください。

吐き気・嘔吐

特に大きなポリープが食道に近い位置にある場合、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。またそこまで自覚しなくても、腹部の違和感として出現する場合もあります。

胃ポリープの検査法

上部消化管内視鏡検査

いわゆる「胃カメラ」のことを指します。最も一般的な検査方法で、内視鏡を用いて直接胃の内部を視覚的に確認します。内視鏡検査では、ポリープの大きさ、数、形状、位置を評価でき、必要に応じてポリープの一部を生検(組織検査)で採取できます。
内視鏡検査は、設備や検査方法、実施される医師の技量もどんどん発展しており、一昔前に比べて検査の際の身体への負担は軽くなってきています。
一般的には消化器内科で実施される検査ですが、一般内科や消化器外科でも一部実際される施設があります。

バリウムX線検査

バリウムという造影剤を飲んでX線検査を行います。バリウムが胃の内壁に付着し、ポリープや他の異常をX線写真で確認できます。検診センターなどではこの手法が取られることもあります。入院の必要はありません。
ただし、内視鏡検査ほどの詳細な情報は得られない、というのが実情です。

胃ポリープの予防法

胃のポリープの予防法については、明確な方法は確立されていませんが、胃の健康を維持し、リスクを減らすためにできることがいくつかあります。

ピロリ菌の除去

先述の原因の項目と重複しますが、ピロリ菌除菌はポリープや胃がんのリスクを下げるのに非常に有効です。健康診断ではピロリ菌感染の有無を確かめ、感染が見られた場合は放置せず、積極的に除菌治療を行いましょう。

健康的な食生活

バランスの取れた食事を心掛け、特に食物繊維を豊富に含む食品を摂取することが推奨されます。加工食品や高脂肪の食品の摂取を控えることも有効です。また刺激的な食べ物(香辛料の強い食品、コーヒーなど)も胃粘膜の負担になるので、過剰摂取には注意してください。
また食事の取り方も重要です。短時間で大量に食べる(ドカ食い)、暴飲暴食を繰り返す、といった行動も胃の粘膜に負担をかけ、慢性胃炎、ひいてはポリープの形成につながる場合があります。
何を食べるか、そしてどのように食べるかにも気を遣いましょう。

「胃ポリープの原因」についてよくある質問

ここまで胃ポリープの原因などを紹介しました。ここでは「胃ポリープの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ストレスが原因で胃ポリープができることは考えられますか?

飯田 綾子飯田 綾子 医師

ストレスが胃炎の原因になることは知られていますので、結果的に胃のポリープを形成することは考えられます。

胃ポリープができる可能性の高い食品や食生活は何が考えられますか?

飯田 綾子飯田 綾子 医師

特定の食品が胃ポリープの原因になるという報告はありません。この食品が悪い、というよりは「総合的にバランスの取れた食事が予防につながる」と考えてください。

コーヒーが原因で胃ポリープができるのでしょうか?

飯田 綾子飯田 綾子 医師

コーヒーは胃粘膜に刺激的に働くことは知られていますが、コーヒー単体が胃のポリープの原因になるという報告はありません。

編集部まとめ

今回は胃ポリープの原因について解説いたしました。ピロリ菌が原因として有名ですが、それ以外にもさまざまな要因でポリープは出現します。普段の生活習慣で改善できるところは気をつけて、また定期的な検査を受けることで予防に努めましょう。

「胃ポリープの原因」と関連する病気

「胃ポリープの原因」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

胃ポリープの原因として関連する病気は上記が挙げられます。どれも胃カメラで判定するもので、かつ自覚症状に乏しいものが多いので、定期的な診察を受けるようにしましょう。

「胃ポリープの原因」と関連する症状

「胃ポリープの原因」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

胃ポリープには自覚症状がないことがほとんどですが、上記の症状が見られる場合もあります。ただしこれらの症状が出た際は、ポリープがある程度の大きさになっていることが考えられますので、早めに受診しましょう。

この記事の監修医師