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「大腸ポリープができやすい人」の特徴や食生活はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/01/19
「大腸ポリープができやすい人」の特徴や食生活はご存知ですか?医師が解説!

大腸ポリープができやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が大腸ポリープができやすい人の特徴・食生活・検査法・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

飯田 綾子

監修医師
飯田 綾子(医師)

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2009年奈良県立医科大学卒業。大阪市立大学医学部附属病院で初期臨床研修後、大阪市立総合医療センター消化器内科レジデントを経て、大阪市立大学大学医学部附属病院肝胆膵内科で学位を取得。現在は患者さんの不安に寄り添い、何でも相談できるかかりつけ医を目指して、大阪市内のクリニックで高血圧や糖尿病など主に慢性疾患の外来や在宅診療を行っている。消化器病専門医、肝臓専門医、総合内科専門医、認定産業医の資格を有する。

「大腸ポリープ」とは?

大腸ポリープという言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。では大腸ポリープは実際どういったものか、またその背景について詳しく解説いたします。

大腸ポリープの種類

大腸ポリープの定義は、「大腸の内腔に向かって限局性に隆起する病変で、組織学的に良性悪性は問わない」とされています。簡単にいうと、良性悪性関係なく、大腸の内側に向かって盛り上がったもの、ということになります。
その上でこれから紹介するように、腫瘍性ポリープ・非腫瘍性ポリープという分類に分かれていきます。

腫瘍性ポリープ

腫瘍性ポリープには、大腸がんや大腸腺腫が含まれます。悪性のものが大腸がん、良性のものが大腸腺腫になります。大腸がんはもちろん早期の治療が必要ですが、大腸腺腫は良性と言っても、大腸がんの前癌病変であり、大きくなるにつれてがん化する確率が上がってくるため、早期の治療が必要です。
無症状であることが多く、健康診断などの便潜血検査で指摘された方が下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)をした際に見つかることが多いです。

非腫瘍性ポリープ

非腫瘍性ポリープは、正常細胞の過剰増殖、炎症反応や加齢などによって生じたものが含まれます。
分類としては過誤腫性ポリープ、炎症性ポリープ、過形成性ポリープに分かれます。
過誤腫性ポリープにはさらに若年性ポリープ、Peutz-Jeghers 型ポリープという分類があります。前者は幼少期〜成人に見られ、後者はPeutz-Jeghers 症候群でみられるポリープと 同様のポリープが見られるもの、とされています。
炎症性ポリープは、潰瘍性大腸炎やクローン病、腸結核などの炎症性腸疾患に伴ってみられるものになります。過形成性ポリープは上皮の過剰増殖によって起こります。
非腫瘍性ポリープはいずれも、がん化の可能性は腫瘍性ポリープに比べて低く、基本的には経過観察で良いとされていますが、出血や腸重積などの症状が出現する場合は治療対象となります。

大腸ポリープができやすい人の特徴

大腸ポリープは遺伝子の異常が原因となって引き起こされるものですが、その過程でさまざまな要因が関わっています。
大腸ポリープの中でも、とりわけ大腸がんに関しては研究が進んでおり、現時点で判明しているリスク因子について解説いたします。

年齢

大腸がんの危険因子として、まず一つ目に年齢が挙げられます。大腸がんの罹患率は40歳以上から年齢を重ねるにつれて、上昇傾向になります。
また男性の方が女性より罹患率、死亡率ともに2倍ほど高いことがわかっています。
ガイドライン上では50歳以上がリスク因子となっていますが、わが国の年齢階級別の罹患率調査では40歳からすでに増加していることから、40歳以上の方に年に1回の大腸がん検診が推奨されています。

喫煙

大腸がんの危険因子として、喫煙もあげられます。喫煙者はそうでない人に比べて大腸がんの発生率が1.4倍高いという結果が出ています。また、禁煙した人でも、そもそも吸っていない人に比べて1.3倍高いという結果でした。
大腸ポリープの予防という観点では、そもそもタバコを吸わない、吸っているなら禁煙することをお勧めいたします。

家族歴

家族歴があるかどうか、というのもリスク因子の一つです。家族歴とは、血のつながった両親や兄妹、親族にどのような病気があるか、というものです。
大腸ポリープのうち、大腸がんは家族歴がリスク因子とされています。
また大腸がん以外でも、家族性の病気として、家族性大腸腺腫症、Peutz-Jeghers病、Cowden病、multiple lymphomatous polyposis、lipomatosisなどがあります。
ご自身の親類縁者で同様のポリープの指摘をされている場合は、注意が必要です。

大腸ポリープができやすい人の食生活

赤身肉・加工肉の摂取

大腸ポリープ、特に大腸がんのリスク因子として赤身肉、加工肉の摂取が指摘されています。
赤身肉は牛肉、豚肉、羊肉などを指します。これらの肉には鉄分やビタミンB12が豊富に含まれていますが、過度の摂取は大腸ポリープのリスクにつながります。
赤身肉に含まれるヘム鉄が大腸の細胞に損傷を与えることや、高温での調理によって発生する化学物質が大腸の細胞に影響を与えると考えられています。
また、加工肉とはハム、ソーセージ、ベーコンなどを保存のために塩漬け、燻製、発酵させた肉のことです。これらの加工肉に含まれる防腐剤や添加物が大腸ポリープのリスクを高める可能性があります。特に、亜硝酸塩などの保存料が大腸の細胞に悪影響を及ぼすとされています。
赤身肉や加工肉を過剰に摂るのではなく、バランスの良い食生活がリスク軽減につながります。

大量のアルコール摂取

アルコールの過剰な摂取は大腸がんのリスクも高めるとの研究結果があります。特に、大量のアルコールを習慣的に摂取する人は、大腸がんになる可能性が高いとされています。
どれくらいの量がリスクになるかについて解説します。
男性では、アルコール摂取量が日本酒換算で1日平均1合以上2合未満の人は、飲酒しない人に比べて、大腸がん発生率が1.4倍、1日平均2合以上の人は、2.1倍という結果でした。
日本酒1合のアルコール量は、焼酎で0.6合、ビールでビン1本、ワインでグラス2杯、という換算になります。アルコールの適量に関しては、 1日1合未満にすることが推奨されます。
また、先に述べた喫煙も加わるとさらにリスクは上昇するので、ご注意ください。

高カロリー摂取・肥満

高カロリーな食生活は、大腸がんのリスクを高めるとされています。特に、高脂肪・高糖質の食事が、大腸内の細菌叢(さいきんそう)のバランスを崩し、炎症を促進することがあります。これらの食生活は、体内のインスリン抵抗性を高め、肥満を引き起こすことがあり、これがまた大腸がんのリスクを増加させると考えられています。
どれくらいの高カロリー摂取がリスクになるかについてですが、総摂取カロリーが一日に必要なエネルギー量を超える場合、特にリスクが高まります。例えば、成人男性であれば、1日に必要なエネルギー量は約2,500キロカロリーとされていますが、これを大幅に超える食生活を続けると、大腸がんのリスクが増加する可能性があります。また肥満の解消も重要です。BMIでいうと男性は21~27、女性は21~25の範囲になるように体重を管理するのがよいでしょう。

大腸ポリープの検査法

便潜血検査

大腸ポリープの検査、特に大腸がんをスクリーニングするための検査としては、便潜血検査が有用です。便潜血検査(べんせんけつけんさ)は、便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸がんやポリープなどから出血し、便に血液が混ざることがあるため、この検査を通じて早期に異常を見つけることができます。
検査者は自宅で便のサンプルを採取し、専用のキットを使用して医療機関や検査センターに送ります。クリニックや医療機関に持参する場合もあります。
消化器内科のある大きな病院だけでなく、一般的な内科の診療所・クリニックであれば実施できる場合が多いです。
日程を変えて2回採取、提出するのが一般的です。2回のうちどちらか一方でも陽性(微量の血液が検出)であれば、のちに紹介する下部消化管内視鏡検査が推奨されます。
便潜血検査は、大腸がんの早期発見に非常に有効な手段です。先にも述べましたが40歳以上の方は年に1回は検査されることをお勧めします。

下部消化管内視鏡検査

下部消化管内視鏡検査は、主に大腸を観察、治療を行うための検査です。胃カメラとは違って、肛門から挿入して検査が行われ、大腸の内部がビデオ画像としてモニターに映し出されます。大腸がんやポリープの発見、炎症性腸疾患の診断などに用いられます。
検査の手順ですが、まずは検査前に大腸を空にするために下剤を用いたり、食事制限を行います。また検査中の不快感を軽減するために、鎮静剤が使用されることがあります。
内視鏡が肛門から大腸内に挿入され、大腸の内部が詳細に観察されます。大腸腺腫などが見られた場合は必要に応じて、ポリープの切除や組織検査のためのサンプル採取が行われます。
大腸がんやポリープは初期では自覚症状が少ないことが多いため、内視鏡検査による早期発見が大切です。特に内視鏡検査は、大腸の状態を直接観察できるため、他の検査では見つけられない病変も発見することができます。

大腸ポリープの予防法

適度な運動習慣

適度な運動は大腸ポリープのリスクを減少させるとされています。運動によって腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が促進され、便通が改善されることが、この予防効果に寄与していると考えられています。また、運動は体重管理にも役立ち、肥満の予防にもつながります。先述のように肥満は大腸ポリープのリスク因子とされているため、運動による体重管理は重要です。
運動習慣としては週に数回、各30分以上の中強度の運動(早歩き、軽いジョギング、水泳、自転車など)を行うことが推奨されます。なかなかまとまった時間を取るのが難しい方は、日常生活での活動量を増やしてみましょう。例えばエスカレーターではなく階段を使ったり、通勤時に一駅多く歩く、家事活動に積極的に取り組むなど、日常生活の中で積極的に身体を動かすことも有効です。

食物繊維をとる

大腸ポリープの予防策として食物繊維を十分に取ることもが挙げられます。
食物繊維とは人体の消化酵素では分解されない植物の成分です。大腸の健康に重要な役割を果たし、さまざまな効果があります。
まず食物繊維は腸内の善玉菌の栄養源となり、腸内フローラのバランスを良好に保ちます。さらに食物繊維は水分を吸収して便の量を増やし、便秘の予防に役立ちます。
また、食物繊維は腸内での発がん性物質の濃度を減少させ、大腸の細胞に対する刺激を軽減すると考えられています。
食物繊維を多く含む食品は

  • ・穀物製品: 全粒粉のパン、玄米、オートミールなど
  • ・野菜: ブロッコリー、キャベツ、にんじんなど
  • ・果物: リンゴ、バナナ、オレンジなど
  • ・豆類: 豆腐、納豆、レンズ豆など

となっています。
一般的には、成人には1日あたり20~30グラムの食物繊維の摂取が推奨されていますが、大体の目安としては野菜と果物を合わせて、1日400g程度(野菜を小鉢で5皿分と果物1皿分)摂取することを勧めています。

アスピリン

アスピリンは、解熱、鎮痛、抗炎症作用を持つ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種です。また、アスピリンには血液をサラサラにする抗血小板作用があり、心筋梗塞や脳卒中の予防にも用いられています。
アスピリンが大腸腺腫の予防に有効であるとする研究結果がいくつか報告されています。アスピリンの抗炎症作用が、大腸内の炎症を抑え、腺腫の発生を減少させる可能性があると考えられています。また、一部の研究では、アスピリンが大腸がんのリスクを低減する効果も示唆されています。

「大腸ポリープができやすい人」についてよくある質問

ここまで大腸ポリープができやすい人の特徴などを紹介しました。ここでは「大腸ポリープができやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸ポリープができるのは体質と関係ありますか?

飯田 綾子飯田 綾子 医師

生まれながら家族性に大腸ポリープができやすい人はおられます。親類縁者にそういった方がおられるかどうかが重要です。

女性で大腸ポリープができやすい人の特徴を教えてください。

飯田 綾子飯田 綾子 医師

大腸ポリープ、特に大腸がんは男性の方が多いとされていますが、女性でもなり得る病気です。(女性のがん死亡原因の1位は大腸がんです。)
女性で大腸ポリープができやすい人となるとこれまでご紹介した生活習慣に該当する方です。すなわち喫煙者、高齢(50歳以上)、家族歴がある、赤身肉・加工肉の過剰摂取、アルコールの大量摂取などが該当します。

編集部まとめ

今回は大腸ポリープができやすい人というテーマで解説いたしました。早期発見には定期的な検査が重要ですが、そもそもの予防として生活習慣から取り組めることも数多くあります。
日頃から意識して、大腸ポリープの予防に努めましょう。

「大腸ポリープができやすい人」と関連する病気

「大腸ポリープができやすい人」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

大腸ポリープと関連する病気は上記が挙げられます。いずれも大腸ポリープが出現する病気です。どれも症状から診断することはできず、下部消化管内視鏡検査で調べる必要があります。便潜血検査で引っかかったり、50歳以上と年齢を重ねてきた場合は、一度検査を検討してください。

「大腸ポリープができやすい人」と関連する症状

「大腸ポリープができやすい人」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 便に血が混じる
  • 腹が張ったように感じる

大腸ポリープは無症状でなかなか気づかないことが特徴的ですが、巨大なポリープや出血を起こしている場合は上記の症状が出現することがあります。
複数認めたり、症状が長引く場合は、一度医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師