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「口内炎と口腔がんの違い」はご存知ですか?見分け方のポイントも解説!

 更新日:2024/04/26
「口内炎と口腔がんの違い」はご存知ですか?見分け方のポイントも解説!

口内炎を経験された方は多いのではないでしょうか。舌や頬の内側・歯茎に白い小さな円形で赤く縁取りのある潰瘍ができていたらこれはアフタ性口内炎といいます。

口内炎は放置しておいても大抵1〜2週間で治るのが一般的です。しかし、この期間を過ぎても潰瘍がなくならないことがあります。

その場合、口腔がんの疑いもあります。本記事では、口内炎と口腔がんの違いについて解説しますので、参考にしてください。

熊谷 靖司

監修歯科医師
熊谷 靖司(歯科医師)

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熊谷歯科医院 院長

口内炎と口腔がんの違いは?

口内炎は口の中の粘膜や舌などにできた炎症です。原因は疲れ・ストレス・ビタミンB6の欠乏・薬剤などがあげられます。
また、熱い物を食べて口の中をやけどしたり歯や歯ブラシが当たったりして傷ができ、そこに細菌が入り込むことで口内炎になることもあります。
口内炎は、1〜2週間程度で自然治癒することが多いのですが、痛みが強い場合は口腔用ステロイド軟膏で痛みを軽減させることも可能です。
一方、口腔がんは、口の中にできるがんの総称です。口腔がんの半数近くは舌がんと呼ばれる舌にできるがんです。

口内炎と口腔がんの見分け方のポイント

口腔がんは初期段階で処置をするとほとんどの方が治癒するといわれています。しかし、口内炎と口腔がんの初期症状は非常に似ているため、口腔がんと気づきにくく発見が遅れる可能性が多いのも現状です。
早期発見するためには、以下の症状を参考に異変に気づいたら、かかりつけの病院を受診して検査することをおすすめします。

痛みがない

口内炎は、刺激物が染みる・熱いものや冷たいものにも刺激される、常にじくじくした痛みがあるなどの初期症状があります。しかし、口腔がんの初期は痛みがないのが特徴です。
また、痛みがないと口の中に異常があっても気づきにくいので、口腔がんを初期段階で発見するのは難しいといえます。初期段階を過ぎると痛みが出てくるので痛みがいつまでも続くようなら口腔がんを疑い検査してもよいでしょう。
さらに歯茎が腫れている・出血がある・歯がぐらつくなどの症状は、歯周病と間違いやすい症状ですが、歯肉がんの症状もよく似ているため、このような症状が3つ揃ってでている場合は、迷わず病院を受診しましょう。

2週間以上治らない

口内炎は1〜2週間ほどで治癒しますが、3週間以上たっても痛みがある場合は口腔がんの可能性があります。口腔がんの初期症状は口内炎とよく似ており気づきにくい上に、痛みがないので口内炎より軽く考えてしまいがちです。
まず口の中に異常を見つけたら毎日観察して記録するのもよいでしょう。また、口内炎は最初から痛みを感じるもので、徐々に痛みが出るのは口腔がんの疑いがあると覚えておきましょう。
また、口内炎は自然治癒するものなので、最初の痛みは徐々に軽くなっていくものです。いつまでも症状が続くようなら、口内炎ではないのかもと疑いましょう。

粘膜が変化する

口腔がんの場合は、舌や口腔内の粘膜が赤から白に変化していきます。また、舌が普段より赤いと感じるようになった場合も舌の異常を疑いましょう。
統計では口腔がんの半数以上が舌がんといわれています。この舌がんは舌の赤みがより強くなってただれてくるなどの症状が特徴です。
また、舌や頬の粘膜などにでき、こすっても剥がれない白い病変が「口腔白板症(こうくうはくばんしょう)」です。この「口腔白板症」の約3〜14.5%は将来口腔がんになる可能性があるといわれています。

固いしこりがある

口内炎にはしこりのようなものはできませんが、口腔がんは顎の下や首筋のリンパ節に硬い無痛性のしこりがあることで気づくことがあります。この場合は口腔がんのリンパ節への転移の可能性があり注意が必要です。
一方、舌がんの場合は舌の表面にざらざらしたしこりのようなものができることがあります。また、舌がただれたり舌の動きが悪くなったりすると、会話がうまくできないなどの症状でも口腔がんが進行している可能性を否定できません。
これらの症状は口内炎にも稀にある症状なので間違えやすいのですが、なかなか症状が治まらない場合は、がんかもと用心することは重要です。

口腔がんでみられる口内炎と間違えやすい症状

口腔がんの初期症状は口内炎と間違うほど症状が類似しています。このため、口腔がんと気付かず手遅れになることもあるのです。この項では、口内炎と特に似た症状を記載するのでどちらか迷った際の参考にしてください。

がんができた部分が赤くただれる

口内炎は直径2〜10mmほどの赤い縁取りで円形状の潰瘍ができます。また、突起した歯が当たったりご自身で噛んでしまったりすると、できた傷から細菌が入り込み口内炎になるのです。このような口内炎は粘膜が裂けてできたもので、その部位に辛いもの・熱いもの・冷たいものなどが触れると痛みを発生させます。
一方、口腔がんは、口内炎と同じような潰瘍ができますが赤みがはっきりわかるほど強く、その部分がただれたような状態になります。しかし、口内炎のような痛みはなく表面をこすったとしても破れることはありません。また、潰瘍の周りは硬く、境界線がはっきりしない場合が多いのが特徴です。

口が開きにくく話しずらい

口内炎も強い痛みがあるときには、痛みのために会話や食事をする場合に口を開けづらくなるのです。口内炎の場合は、最初から口を開けられない原因がはっきりとわかります。
一方口腔がんは、口が開けづらいと感じたときに、はじめて患部にしこりがあることに気づくことが多いのです。また、舌の動きが鈍くなったり顎や首筋のリンパ腺が腫れたりするので口が開けづらくなっていきます。
その頃になるとがんが進行している可能性があり、痛みを感じることもあるでしょう。このような見た目にも変化がある場合は、なるべく早いうちに口腔がん治療を行っている病院で診てもらうことをおすすめします。

口内炎と口腔がんの治療法

口内炎は、ストレスや疲労などで十分な睡眠が取れていない場合にも発症することがあるのです。この場合は、原因を軽くすることで口内炎が治癒する可能性もあります。
また、口内炎の痛みで先述した症状が出ている場合は、薬剤を投与することで症状が軽減されます。以下では、口腔がん由来の副作用のことや治療法についてみていきましょう。

口内炎にはビタミン剤や軟膏などの対症療法

口内炎は日にちが経過するとしだいに痛みも薄れ、自然治癒することがほとんどです。しかし、痛みが強く摂食障害になってしまい栄養素が足りない場合や潰瘍部分に物が当たって痛い場合には、薬剤を投与すると痛みが軽減することがあります。
野菜不足や偏食などで口内炎が発症したと思われる場合はビタミンB2やビタミンB6で野菜不足を補うことができます。
また、患部に口腔用ステロイド含有軟膏を塗布することで粘膜を保護して痛みを軽減させるのに有効な手段です。
そのほかの口内炎の治療薬では、抗生物質・含嗽溶剤・硫酸銀・付着性錠剤などがあります。

がんの副作用由来の口内炎にはゲルを使う場合も

今までは、口内炎が悪化して口腔がんを引き起こす可能性について解説してきましたが、逆に口腔がんから口内炎が悪化する場合もあります。原因には以下のものがあげられます。

  • 睡眠不足
  • 摂食障害
  • ストレス
  • 口の中の乾燥
  • 痛みにより口腔内の清掃が不十分

このような口腔がんの症状がある場合に、口内炎を発症する可能性が大きくなるのです。
また、口腔がんの患者さんの口内炎には、口腔用ステロイド性消炎鎮痛薬インドメタシン(IM)ゲルが有効であるとの臨床報告があります。
このインドメタシン(IM)ゲルは、内服用インドメタシンと比較すると6分の1の使用量で効果が出るため毒性が非常に低く、また効果の持続性が認められているのです。

口腔がんは外科的治療や化学療法が主流

口腔がんは、がん組織が小さい場合は放射線治療だけでがんを取り除くこともできますが、腫瘍が大きい場合は放射線治療だけではすべてを取り除くのは難しいのです。そのため、腫瘍が大きい場合は腫瘍の摘出手術が主流になっています。
また、必要に応じて手術後のケアに抗がん剤投与による化学療法を併用していくのが一般的です。
一方、進行した舌がんの手術で患部を大きく取り除いた場合は、患者さん自身の太もも・おなか・腕などの皮膚や筋肉を採取して移植する再建手術も同時に行います。この手術の後は機能回復のための、長期間のリハビリテーションが必要になります。

口腔がん再発リスクの高い場合は放射線治療を行う

口腔がんが大きすぎてすべてを取り除くことができなかった場合は、「術後補助療法」として放射線治療を追加します。これは、再生リスクが高い場合に行われる治療法で、化学療法と併用して進めていく必要があるためです。
また、手術のリスクが比較的高いとみられる患者さんに対しては手術をせずに化学療法と放射線治療を勧める場合もあります。
また、放射線治療には「外部照射」と「小線源治療(組織内照射)」の2種類があるのですが、この2つはがん腫瘍が比較的小さい場合には効果があるとされている治療法です。
「外部照射」は体の外側から放射線を照射します。そして小線源治療(組織内照射)は放射線の発生する物質を病変に挿入して照射する方法です。

口内炎と口腔がんの違いについてよくある質問

ここまでは口内炎と口腔がんの見分け方のポイント・症状・治療法などを紹介してきました。ここでは「口内炎と口腔がんの違い」についてよくある質問にMedical DOC監修医がお答えします。

口内炎か口腔がんかを調べるには何科を受診すればよいですか?

熊谷 靖司医師熊谷 靖司(医師)

口内炎の症状が2週間以上続いて改善しない場合や、口腔がんを疑う症状がある場合はかかりつけの病院や耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。そこでがんの疑いがある場合は、頭頸部がん専門の医師がいる病院を紹介してもらうようにしてください。がん治療はチーム医療が必要になるので、手術やその後のリハビリテーションまで総合的に治療ができる病院が安心です。

普段の生活で注意することはありますか?

熊谷 靖司医師熊谷 靖司(医師)

口腔がんは口内炎と初期症状が類似しています。普段から歯磨きの時などに口の中をチェックする習慣をつけるとよいでしょう。また、口内炎や口腔がんの予防には次のようなものがあります。

  • 生活習慣の改善(禁煙・飲酒を控えるなど)
  • バランスの取れた食事
  • 口の中のやけどや刺激物に注意する
  • ストレスや疲労を溜め込まない
  • 睡眠の質を上げる
  • 口の中の清掃
  • むし歯や歯周病は早めに治療する
  • 入れ歯や詰め物が合わないときは作り直す
  • 歯科医院で定期的に検診する

生活習慣は意外と口内炎と関わりがあることがわかると思います。上記のいずれか当てはまるものがある場合は、生活習慣を改善して口内炎に注意しましょう。

編集部まとめ

今回は口内炎と口腔がんの違いについて解説しました。

どちらも初期症状は非常に似ているため区別がつきにくい病気ですが、改めて口の中を観察すると今回のような違いがわかるのではないでしょうか。

口内炎は自然治癒しますが、口腔がんは放置すると悪性に変化する可能性があります。しかし、早期に治療を開始すると治癒率が上がることもわかっています。

不規則になった生活習慣を改め、定期的に口の中をチェックするようにしてがんの発生リスクを減らすことを心がけましょう。

また、普段と違うことを発見したらかかりつけの病院や耳鼻咽喉科を受診して検査をしてもらいましょう。

口内炎と口腔がんの違いと関連する病気

「口内炎と口腔がんの違い」と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 口腔低(こうくうてい)がん
  • 硬口蓋(こうこうがい)がん
  • 頬粘膜(きょうねんまく)がん
  • 腺系(せんけい)がん

口腔がんの発症率や死亡率は年々上昇傾向にあるといわれていますが、早期に治療することで治癒率は格段に上がります。また、口腔がんは上記のように6つに分類されそれぞれの発症箇所は違いますが口腔内にできる潰瘍は、自身の目で発見することができるので早期発見も可能な病気です。

口内炎と口腔がんの違いに関連する症状

「口内炎と口腔がんの違い」に関連する症状は 8個程あります。
各症状・原因・治療法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 痛み
  • しこり
  • 舌の赤み
  • 粘膜の変化
  • 歯茎の腫れ・出血
  • 歯のぐらつき
  • 舌の動き
  • リンパ腺の腫れやしこり

口内炎と口腔がんの明らかな違いは、初期の段階で痛みがあるかどうかです。痛みがないのに口内炎のような潰瘍が口の中にできていたら、まず口腔がんを疑い2週間を過ぎても潰瘍が小さくならないようならかかりつけの病院に相談しましょう。

この記事の監修歯科医師

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