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「悪性リンパ腫のステージ別・生存率」原因はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/24
「悪性リンパ腫のステージ別・生存率」原因はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

悪性リンパ腫は白血球のうちリンパ球ががんとなってしまう病気です。

悪性リンパ腫にもし罹ってしまった場合に気になることは、悪性リンパ腫を治すことができるのかどうかという点ではないでしょうか。

そこで、この記事では悪性リンパ腫の生存率や、その生存率を左右するがんの進行スピード・治療方法などについて解説を行います。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

悪性リンパ腫の生存率は?

悪性リンパ腫の生存率は進行ステージによっても異なりますが、2009年~2011年における5年後生存率は67.5%です。性別では、男性の5年後生存率は66.4%、女性の5年後生存率が68.6%と女性の方がやや高い傾向にあります。
また、年齢別では、男性女性とも50歳未満においては悪性リンパ腫による死亡率は低いです。しかし、60歳以上になると、悪性リンパ腫による死亡が大きく増加する傾向にあります。
進行ステージによっても異なっており、各ステージにおける5年後生存率は下記の通りです。

  • ステージI:72.7%
  • ステージII:60.7%
  • ステージIII:61.9%
  • ステージIV:50.7%

これらのデータから分かるように、悪性リンパ腫の生存率は、性別・年齢・進行度によってに大きく左右されます。ただし、医療技術の進歩に伴い、悪性リンパ腫の生存率の予後は大きく改善してきています。例えば、日本における5年後生存率は1993年~1996年において48.5%でしたが、2009年~2011年においては67.5%まで向上してきました。このように、悪性リンパ腫の生存率は今後も改善していくことが期待されています。

進行スピードを左右する要因

がんの治療法を考える上で、進行スピードが重要です。そして、その進行スピードを理解するためにも、進行スピードを左右する要因についても理解を深めておくことが大切です。この進行スピードを左右する要因として、以下の4つが知られています。

  • がんの種類
  • 体の免疫力
  • 悪性リンパ腫のステージ
  • 転移の有無

悪性リンパ腫の進行スピードを左右する4つの要因について詳しく解説します。

がんの種類

悪性リンパ腫の種類によっても、進行スピードは異なっています。悪性リンパ腫では、この進行スピードの速さを悪性度といい、その悪性度の分類は以下の通りです。

  • 低悪性度:年単位でゆっくりと進む
  • 高悪性度:月単位で進む
  • 超高悪性度:週単位で進む

このように、悪性リンパ腫の種類によって悪性度(進行スピード)が異なっています。

体の免疫力

体の免疫力もがんの進行スピードを左右する要因の1つです。体の免疫力が弱まっていると、がん細胞の増殖を抑える能力が低下してしまうことで進行が速くなることがあります。

悪性リンパ腫のステージ

がんの進行スピードを左右する要因として、悪性リンパ腫のステージも重要です。一般的に、悪性リンパ腫のステージが進むと、体の免疫力も低下します。そのため、悪性リンパ腫のステージが進むほど、進行スピードも速くなりやすいです。

転移の有無

転移の有無も進行スピードを左右する要因といえます。悪性リンパ腫はリンパを通じて転移する可能性があるがんです。そのため、転移した先のがんが進行スピードの速いがんの場合、進行スピードが速くなる可能性があります。

悪性リンパ腫の症状

悪性リンパ腫は、リンパ球ががん化する血液のがんであり、その主な症状には下記のような症状が挙げられます。

  • 貧血
  • 倦怠感
  • 発熱
  • リンパ節の腫れ

これらの症状は風邪のような症状と似ているため、悪性リンパ腫に罹っていることが見過ごされやすい点が特徴的です。そのため、風邪のような症状であっても油断せず、医療機関を受診するようにしましょう。

貧血

悪性リンパ腫の患者さんには貧血が見られることがあります。これはがん細胞が骨髄に影響を与え、赤血球の正常な生成を妨げるために起こります。

倦怠感

悪性リンパ腫の症状の代表的なものの1つが全身の倦怠感です。これは病気の進行することによって、体が消耗していたり貧血を起こしてしまったりしていることが原因となっていることがあります。

発熱

発熱も悪性リンパ腫の典型的な症状です。特に進行期によく見られます。これは、がん細胞による影響や感染症のリスクの増加が原因として挙げられます。

リンパ節の腫れ

リンパ腫細胞によってリンパ節が腫れることも、一般的な症状の1つです。特に首・腋の下・足の付け根などのリンパ節が腫れることが多く、しこりのような感触がありま​​​​す。しかし、これらのしこりを触っても痛みを伴わないことが多いです。そのため、しこりを触っても痛みがないからといって油断しないようにしましょう。

悪性リンパ腫の治療方法

悪性リンパ腫の治療方法は主に化学療法・放射線療法・造血幹細胞移植の3つが代表的です。ここでは、これら3つの治療方法について詳しく解説を行います。

化学療法

悪性リンパ腫の治療方法として、第1の選択肢となるのが化学療法(抗がん剤)です。多くのがんの治療では、腫瘍を摘出する手術が治療方法として選択されることが多いです。しかし、悪性リンパ腫では、化学療法が高い効果を発揮することが多いため、手術で腫瘍を全摘出することは一般的ではありません。
この化学療法は、抗がん剤を使用してがん細胞を破壊する治療法で、悪性リンパ腫の治療においては複数の薬剤を組み合わせて治療に用いられます。ただし、化学療法には副作用が伴うことには注意が必要です。化学療法による副作用としては以下のものが代表的です。

  • 骨髄抑制(白血球減少・貧血・血小板の減少など)
  • 脱毛
  • 爪の変形
  • 口内炎
  • 下痢
  • 嘔吐

悪性リンパ腫以外のがんの治療においては、こうした副作用によって化学療法の継続が困難になることがあります。しかし、悪性リンパ腫の治療においては他の薬剤によって副作用を緩和させる支持療法の進歩により、化学療法を継続できない場合はほとんどありません。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーの放射線をがん細胞に照射して破壊する治療法です。悪性リンパ腫の場合、病変が狭く限られている場合にはこの放射線療法単独で治療が行われる場合があります。また、高悪性度・超高悪性度の悪性リンパ腫で、病変が狭く限られている場合に、化学療法と組み合わせてこの放射線治療が行われます。
また、一時的に症状を緩和させる目的や、造血幹細胞移植の前にも採用される治療方法です。

造血幹細胞移植

悪性リンパ腫の治療では、基本的には化学療法と放射線治療が行われますが、造血幹細胞移植が治療方法として採用される場合もあります。造血幹細胞移植は、骨髄などから造血幹細胞を取り出し、患者さんに移植する治療方法です。この造血幹細胞移植には、患者さん自身の造血幹細胞を用いて、化学療法の後に移植が行われる「自家移植」と、ドナーから造血幹細胞移植を提供してもらう「同種移植」の2種類あります。
この自家移植と同種移植のうち、悪性リンパ腫の治療においては、自家移植が主流です。

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の違いとは?

悪性リンパ腫は、主にホジキンリンパ腫(HL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)の2つのタイプに大別されます。悪性リンパ腫はがん細胞の形態や性質によって、以下の3つに分類可能です。

  • ホジキンリンパ腫
  • Bリンパ細胞腫
  • T細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫

これら3つのタイプのうち、Bリンパ細胞腫やT細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫をもつ悪性リンパ腫が非ホジキンリンパ腫に分類されています。日本では、悪性リンパ腫のうちホジキンリンパ腫は10%未満で、90%程度は非ホジキンリンパ腫とされています。

悪性リンパ腫についてよくある質問

ここまで生存率や治療法などを紹介しました。ここでは「悪性リンパ腫の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫の検査方法について教えてください

悪性リンパ腫の診断には、いくつかの検査方法があります。まず、病変部位の生検が一般的です。生検を行う場合、腫れたリンパ節や他の病変部から組織サンプルを採取し、顕微鏡で検査します。
さらに、CTスキャンなどの画像診断が病気の進行度や、進行スピードの判断に重要な役割を果たします。また、血液検査も重要な検査方法です。血液検査によって、患者さんの全体的な健康状態やリンパ腫の特定のマーカーを調べるのに役立ちます​​​​​​。

悪性リンパ腫は進行するとどうなりますか?

悪性リンパ腫の進行は、病気のタイプや悪性度によって異なります。一般的に、リンパ腫はリンパ節や他の臓器に腫瘍ができ、徐々に体の他の部位に広がっていく可能性がある病気です。
進行すると、免疫系の機能が低下し、感染症への抵抗力が弱まることがあります。

編集部まとめ

悪性リンパ腫は治療によって高い5年後生存率を得られる可能性がある病気です。しかし、悪性リンパ腫の症状の多くは、風邪のような症状が多い点には注意が必要です。

悪性リンパ腫は高い確率で治る病気であるものの、発見が遅れると生存率も低下してしまいます。

悪性リンパ腫の治療においても早期発見・早期治療が重要であるため、風邪のような症状だからといって油断せず、医師の診断を受けるようにしましょう。

悪性リンパ腫と関連する病気

「悪性リンパ腫」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

リンパは体のどこにでも存在するため、悪性リンパ腫は脳や皮膚など体のありとあらゆる臓器に発症する可能性がある病気です。また、リンパを通じて他の部位に転移する可能性もあります。悪性リンパ腫以外の病気も隠れている可能性があるため、気になる場合は早めに受診しましょう。

悪性リンパ腫と関連する症状

「悪性リンパ腫」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

悪性リンパ腫は上記のように風邪に似た症状が現れます。また、リンパ節の腫れについても押しても痛みを感じない場合が多い病気です。そのため、悪性リンパ腫は定期健診などで偶然見つかるケースもあります。悪性リンパ腫は治る可能性が高い病気であるものの、進行度合いが予後を左右します。早期発見と早期治療が非常に大切であるため、気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。

この記事の監修医師