「血行障害」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!

血液の流れが滞り血管が狭くなるなどの障害を「血行障害」と呼びます。血行障害は、実は動脈硬化と切っても切り離せない関係にあるのです。
では血行障害になるとどんな症状が起きるのでしょうか?治療方法はあるのでしょうか?
ここでは、血行障害の起こる部位・症状・原因について解説します。また、血行障害の治療方法や予防方法についてもご紹介します。

監修医師:
中路 幸之助(医師)
目次 -INDEX-
血行障害が起こる部位や症状
血行障害はどのような病気ですか?
初期症状の段階では手足の痺れや疼痛が一般的です。進行すると血流がなくなってしまった部分の壊死や潰瘍の出現がみられます。血行障害の中でもっとも症例が多いのが足をはじめとした下肢部分です。
代表的なものとして「下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)」「エコノミークラス症候群」が知られています。ASOは「末梢動脈疾患(PAD)」とも呼ばれており、血行障害でも特に足に関する症状を多く引き起こす疾患です。
足以外で血行障害が起こる部位はありますか?
ただし、血行障害によって起こる症状の多くは指や手足などの末端部分に起こります。末端部分は血液が行き届きにくく、血流が滞りやすい部分です。そこに行き着くまでの動脈になんらかの血行障害が起こると、末端部分まで血流がさらに行き届きにくくなり、神経が変性して疼痛などの症状が末端に出てしまうのです。
手や指にも症状が出ると聞きますが…
また、血流が途絶えると周囲の神経も死んでしまいます。死んだ神経は元に戻らないため、たとえ血流を改善させたとしても痺れや筋縮といった症状は残ってしまいます。
血行障害が起こる原因と検査方法
血行障害の原因はなんでしょうか?
動脈硬化にも種類があり、脳梗塞などの原因になるのが「粥状動脈硬化」です。粥状動脈硬化は動脈内膜に悪玉コレステロールなどが沈着してしまい、血液の通り道が細くなり詰まりやすくなる血行障害です。粥状動脈硬化は太い動脈で起こりやすいのに対し、細い動脈が硬化することは「細動脈硬化」と呼ばれています。
細い動脈は血管壁がもろいため、硬化が進行すると血管が破裂する可能性が高いです。一方、血行障害の原因として考えられるものとして血管の圧迫があります。骨折などの外傷によって血管が圧迫されて発症する障害です。外傷性の場合は血管の圧迫度合いによって緊急性が高くなり、処置が遅れると後遺症が残る可能性が高くなってしまいます。
ストレスも関係しますか?
血管や循環器系の疾患は疑うべきでしょうか?
検査方法や検査の際に気をつけることについて教えてください。
しかし下肢に血行障害が出ている場合には下肢の血圧が、上腕に血行障害が出ている場合には上腕の血圧がそれぞれ下がります。この差を計測することによって重症度がわかります。極端に血圧が低い場合、ほぼ血管が閉塞してしまっている閉塞性血行障害の可能性が高いです。
また、血流測定・CT・MR・動脈造影検査・エコー検査など様々な視点から検査を行います。全身検査が必要になるため、検査の数は非常に多いです。しかし、狭心症や脳血管障害など思わぬ病変が見つかることもあるため、検査はしっかりと受けるようにしてください。
血行障害の治療法と予防方法
血行障害の治療方法にはどのようなものがありますか?
狭窄もしくは閉塞が起きている血管の上流から下流に血液を流す手法です。動脈が狭まっているなどの症状がある場合は、血管を広げる薬剤で治療を試みます。血液がドロドロになってしまっている場合は、サラサラにして流れやすくする薬剤の服用が必要です。
もし交感神経が原因の場合は、交感神経の緊張を下げる治療を試みるため、原因によって治療方法が違います。
生活習慣で気をつけることについて教えてください。
また、タバコは血管の収縮作用があります。動脈硬化のリスクファクターとなりやすいため、禁煙もしくは本数を減らすことも予防に繋がります。
食生活の注意点はありますか?
そのため、血行障害の予防にはこれらの食品を摂りすぎないことと、コレステロール値を下げるために食物繊維やEPA/DHAを多く含む食品を摂ることを心がけましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
編集部まとめ
血行障害は下肢に起こるものが多いです。しかし、血管が狭くなったり血行が悪くなる疾患のため、症状が起こる部位は下肢だけとは限りません。
原因として最も多いのが動脈硬化です。動脈硬化は生活習慣によっても引き起こされるため、日頃から食生活に気をつけるなどの対策をしていると血行障害の予防にもなります。
発症した場合、原因を取り除く治療を行わなければいずれ心血管障害に進行する可能性が非常に高いです。
血行障害の症状としては、歩いているとふくらはぎなどが痛くなるが休憩すると痛みがなくなる間欠性跛行という歩行に関する症状もあります。
こういった症状や手足の冷感や安静時の疼痛がある場合は、医師の診察を早めに受けるようにしましょう。
参考文献