目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「子宮頸がんの手術内容」はご存知ですか?入院期間や費用についても解説!

「子宮頸がんの手術内容」はご存知ですか?入院期間や費用についても解説!

 更新日:2024/01/19
「子宮頸がんの手術内容」はご存知ですか?入院期間や費用についても解説!

子宮頸がんは現在、20〜30代の若い女性に多く発症するといわれています。子宮頸がんと診断されたら様々な治療法が検討されますが、気になるのは今後妊娠できるかどうかでしょう。

子宮頸がんに対する手術は、主に3つあります。中には治療終了後に妊娠・出産が可能な方法もありますので、医療機関を受診する際の参考にしてください。

安心して子宮頸がん治療を受けられるよう、手術に必要な入院期間・費用・術後の通院についてもご紹介します。病気に関する知識を身につけて、大切なご自身の体を守りましょう。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

プロフィールをもっと見る
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がん手術の種類

子宮頸がんの発症のピークは30代後半といわれており、若い女性に多いがんです。
子宮頸がんのステージはI期からIV期まであり、IA期、つまり発見初期から手術が検討されます。子宮頸がんの手術方法3つの特徴をみていきましょう。

円錐切除手術

子宮頸部の一部を円錐状に切除することから、円錐切除手術と呼ばれます。がんの浸潤(がん細胞が増えている場所)が5mm以下のIA期に病変の広がり具合を調べる方法です。
切除した細胞を病理検査し、確定診断に利用します。手術時間は10〜15分程度です。手術時には痛みが出る可能性があるため、手術前に鎮痛剤・鎮静剤を使用するのが一般的です。
また、子宮頸がんの前段階の病変(子宮頸部上皮内腫瘍)の場合は、病変を完全に切り取る目的で円錐切除手術が行われます。

単純子宮全摘手術

上皮内腫瘍や上皮内腺がんの患者さんに検討される方法で、子宮だけを切除します。この手術には3つの方法があり、診断結果や患者さんとの話し合いで決定されます。

  • 開腹手術:お腹を切り開いて子宮を摘出する
  • 膣式手術:お腹を切らずに膣から切除する
  • 腹腔鏡下手術

おおよそ1〜2時間程度で終了する場合が多いです。単純子宮全摘手術では子宮を完全に摘出するため、手術以降の妊娠は望めません
患者さんの年齢・妊娠の希望・病状によって手術の方法は検討されますので、よく相談してみましょう。

広汎子宮全摘手術

子宮周辺の組織やリンパ節を摘出する手術方法です。再発する可能性は非常に低い方法ですが、周囲の組織を摘出するため、後遺症があるといわれています。
リンパ浮腫・排尿トラブル・性生活への影響などが起こる可能性が高いです。手術時間は5〜7時間程度といわれています。

子宮頸がん手術は妊孕能を維持できる治療法となるか

「妊孕能(にんようのう)」とは妊娠するための能力です。円錐切除手術は子宮頸部の一部を切り取る方法のため、子宮が温存されます。そのため、妊孕能は失われません。
しかし、妊娠しにくくなったり、流産・早産になったりする可能性が高まります。他に妊孕能が維持できる方法としては、広汎子宮頸部摘出術があります。子宮体部と卵巣を残し、それ以外の周囲の組織を摘出する方法です。
一方で、子宮を摘出する単純子宮全摘手術や子宮・両側の卵巣を摘出する広汎子宮全摘手術では妊娠ができなくなります。将来、妊娠を望んでいる方は、主治医によく相談しましょう。
受精卵・未受精卵子・卵巣組織を保存する生殖補助医療では、妊孕能が温存できる可能性があります。手術ができない理由がある方は、放射線治療を検討する場合もありますよ。

子宮頸がん手術の入院期間・費用・術後の通院について

子宮頸がんの手術は、種類によって入院期間・費用・術後の通院頻度が変わります。どのような手術が合うのか、治療方法を検討する際の参考にしてください。

入院期間

円錐切除手術の入院期間は2〜4日間です。
単純子宮全摘手術は腹腔鏡下で4日程度、開腹・膣式で7日間程度の入院が必要です。合併症がある場合は入院期間が長くなる可能性もあります。
広汎子宮全摘手術は子宮や周辺組織まで摘出するため、9〜14日程度の入院期間となる場合がほとんどです。合併症がなく出血が止まると自宅療養が可能となります。
広汎子宮頸部摘出術は腹腔鏡下で4〜6日間、開腹の場合は7〜10日程度の入院が必要です。

費用

手術の費用は保険料が3割負担の方の例をご紹介します。
円錐切除手術では、30,000〜80,000円(税込)が必要です。腹腔鏡下子宮全摘手術は260,000円(税込)程度となるでしょう。開腹での子宮全摘手術にかかる費用は240,000〜300,000円(税込)です。
広汎子宮頸部摘出術は50,000〜70,000円(税込)程度の費用がかかります。こちらに紹介した費用は手術と入院に関わるものなので、検査や投薬が必要になった場合は、加算されるかもしれません。
子宮頸がんの手術費用は、高額療養費の対象となり、1ヶ月(1日〜末日)の医療費が一定額を超えると超えた分の金額が支給されます。手術前に限度額適用認定証を取得しておくと、高額療養費の申請がスムーズに行えます。

術後の通院

子宮頸がんの手術を受けた後は、経過観察が必要なため通院が必要です。
がんの進行度や治療法によって通院頻度は異なりますが、治療が終わってから2年までは3〜6ヶ月に1度の通院となるでしょう。
がんは5年以内に再発する可能性が高く、治療後5年までは半年〜1年ごとに1回の通院が必要です。

子宮頸がん手術の後遺症

子宮頸がんの手術後は、後遺症が起こる可能性があります。症状がみられた場合は主治医に相談してください。

リンパ浮腫

手術で子宮とともにリンパ節を摘出した場合は、下腹部・外陰部・脚に浮腫(ふしゅ)が起こるかもしれません。
浮腫とは「むくみ」ともいわれ、リンパ液の流れが悪くなって、リンパ液が皮下組織に異常にたまることです。リンパ浮腫を予防するためには、運動・皮膚の清潔を保つ・体重管理が重要だといわれています。

排尿トラブル・便秘

広汎子宮全摘手術をした場合、排尿障害や便秘が起こりやすくなります。
子宮周囲の組織を摘出する手術方法で、排尿・排便に必要な組織が傷つく可能性があるためです。手術後は、次のような症状がみられるかもしれません。

  • 尿意を感じにくい
  • 尿を出しにくい
  • 尿もれ
  • 尿を出しきれない
  • 便秘でお腹が張る

これらの症状は手術後数週間〜数ヶ月で改善されるといわれています。しかし、手術後は尿をためすぎないようにこまめにトイレに行くことが重要です。
便秘に対しては、食事療法をしたり、下剤を使用したりすると良いでしょう。

腸閉塞

腹部の手術によって腸閉塞が起こる場合があります。腸閉塞は、腸の中にある食べ物や便などがうまく肛門側に運ばれなくなってしまう状態です。
術後の癒着や放射線治療などによって起こる場合があります。腸閉塞が起こると便やガスが体内にたまって、痛みや吐き気などが起こるかもしれません。
腸閉塞が起こった場合、鼻から胃・腸にチューブを入れて胃液や腸液を排出する対応が行われます。

更年期障害と同等の症状

広汎子宮全摘手術など、卵巣を摘出する治療法の場合、卵巣から分泌される女性ホルモンが不足します。そうすると、頭痛・肩こり・動悸・めまい・イライラ・不眠・冷え・のぼせなどの更年期障害と似た症状が起こるかもしれません。これらの症状に対しては、女性ホルモンの補充治療などが良いとされています。

子宮頸がんの手術についてよくある質問

ここまで子宮頸がんの手術方法・後遺症などを紹介しました。ここでは「子宮頸がんの発症や症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

どのような手術をしますか?

馬場 敦志医師

子宮頸がんの方に検討される手術方法は以下の4つです。

  • 円錐切除手術
  • 単純子宮全摘手術
  • 広汎子宮全摘手術
  • 広汎子宮頸部摘出術

がんの病期・患者さんの年齢・今後の妊娠希望の有無などでどのような手術にするのかが決定されます。妊孕能が温存される方法もあるため、主治医と相談しましょう。

手術後、自宅での生活で気をつけることがありますか?

馬場 敦志医師

急性骨髄性白血病(AML)の治療後は、次の点に注意する必要があります。1つ目は定期的な経過観察です。治療後は、退院後は体力が低下しています。そのため、疲労感が出たらすぐに休みましょう。運動には制限がありません。ウォーキングなどの適度な運動は、体力の改善に役立つため、日常生活の中に取り入れると良いでしょう。また、手術方法によっては、重いものを持たないよう助言される場合があります。退院時、主治医に生活の中で気をつけるべき点を聞いておくと安心です。

編集部まとめ

子宮頸がんの手術や後遺症についてご紹介しました。治療法によっては妊孕能が温存できるため、将来的に妊娠を考えている方は、主治医とよく相談しましょう。

入院期間は2週間以内の場合がほとんどですが、手術後は後遺症が出る可能性があります。社会復帰の前に、退院後の療養期間をしっかり取れると安心ですよ。

「子宮頸がん」と関連する病気

「子宮頸がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

上記の病気はいずれも不正性器出血がみられます。出血だけでは子宮頸がんかどうかは判別できないため、産婦人科を受診しましょう。

「子宮頸がん」と関連する症状

「子宮頸がん」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 不正性器出血
  • 下腹部の痛み
  • 異常なにおいや量のおりもの

上記3つの症状が現れた際には、がんが進行している可能性があります。子宮頸がんの5年生存率はがんの進行とともに悪くなりますが、初期の場合は99%以上です。普段と違うと感じたら、早めに病院を受診してください。

この記事の監修医師