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「腎臓がんにおける食事」の注意点はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/01/05
「腎臓がんにおける食事」の注意点はご存知ですか?【医師監修】

腎臓がん治療中の際に食事面で気をつけることは何でしょうか?
本記事では腎臓がんの食事について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・腎臓がんの手術後の食事について
  • ・腎臓がん手術後の食事の注意点について
  • ・腎臓がんにおける食事のポイント

腎臓がんの食事について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

腎臓がんとは?

腎臓がんは、腎臓の細胞が悪性化する病気で、特に腎実質部分の細胞が変異した場合、腎細胞がんと称されます。初期段階の腎臓がんは自覚症状が少なく、多くの場合、健康診断や他の病気の検査の際に偶然見つかることが多いです。また、他の部位への転移が先に発見され、その後の詳細な調査で腎臓がんであることが判明することもあります。

腎臓がんの手術後の食事について

腎臓は私たちの体内で非常に重要な役割を果たしています。それは、体内の老廃物の排出や血液の浄化、体内の水分やミネラルのバランスを保つことなど、多岐にわたる機能を持っています。そのため、腎臓がんの手術を受けた後は、特に食事に気を付けることが求められます。

手術後の回復期には、腎臓の機能が正常であれば、特別な食事の制限は必要とされません。しかし、以下のポイントを心掛けることで、腎臓の健康を維持し、回復をサポートできます。

バランスの良い食事を心掛ける:暴飲暴食は避け、消化しやすい食材を選び、規則正しく食事をとることが大切です。これにより、腎臓への負担を最小限に抑えられます。

塩分の摂取を控えめに:過度な塩分摂取は腎臓に負担をかける可能性があるため、食塩の使用を減らす、または低塩分の食品を選ぶことをおすすめします。

十分な水分摂取:腎臓の機能をサポートするためには、適切な水分摂取が欠かせません。特に手術後は、体内の水分バランスが乱れやすいため、十分な水分を摂ることを意識しましょう。

アルコールの摂取を控える:アルコールは腎臓に負担をかける要因の一つとなるため、摂取量を減らすか、避けることが望ましいです。

栄養バランスを考慮:ビタミンやミネラルなど、必要な栄養素をバランスよく摂取することで、全体的な体の回復をサポートします。

腎臓がん手術後の食事の注意点

腎臓がんの手術後は腎機能や食欲に応じて食事に注意を払う必要があります。詳しくみていきましょう。

腎機能に問題がない場合

腎臓がんの手術後、腎機能に問題がない場合、特別な食事制限は必要ない場合が多いです。しかし、個人の健康状態や手術の詳細によっては、特定の食事制限や注意点が必要になる場合もあります。主治医や栄養士との相談を基に、食事プランを立てることをおすすめします。

腎機能に問題はなくても食欲が無い場合

食欲がない場合、特に治療中や手術後の回復期には、栄養摂取が非常に重要です。上記の文章から、食欲を増進させるための工夫やアプローチが示されていますが、食欲が低下している場合の食事に関する注意点を以下にまとめます。

食事の頻度: 一度に大量の食事を摂取するのは難しい場合、少量ずつでも頻繁に食事を摂ることで、1日の総カロリーや栄養摂取量を確保できます。

栄養価の高い食品の選択: 食事の量が少なくなる場合、その分、栄養価の高い食品を選ぶことで、必要な栄養を摂取できます。例えば、プロテインシェイクや栄養補助食品などを利用することも考えられます。

食事の環境: 食事の雰囲気や環境も食欲に影響を与える場合があります。明るく清潔な食卓、好きな音楽を流しながらの食事など、食事の環境を工夫することで食欲を増進させる場合があります。

食事の見た目や香り: 食事の見た目や香りに工夫をすることで、食欲を刺激できます。色とりどりの食材を使用したり、香りの良いスパイスやハーブを使用することで、食事への興味や食欲を増進させる場合があります。

食事のタイミング: 体調や気分に合わせて食事のタイミングを調整することも考えられます。例えば、朝は食欲がないが、昼や夕方には食欲が出る場合、そのタイミングに合わせて主食を摂取するなどの工夫が考えられます。

飲み物の選択: しっかりとした食事が摂取できない場合、スムージーや栄養ドリンクなどの飲み物を利用して、必要な栄養を摂取することも考えられます。

最後に、食欲の低下は体調や病状によるものである場合が多いので、持続的な食欲の低下や栄養状態の悪化が懸念される場合は、医師や栄養士と相談することをおすすめします。

腎機能が低下している場合

腎がんの手術を受けた後、最も対応が難しいのは、片方の腎臓を取り除いた後の腎機能の低下です。この状態は、慢性腎不全の患者と同じような食事のアプローチが求められることが多いのです。

慢性腎不全に特有の食事制限は、食塩やタンパク質の摂取を厳しく制限することで知られています。このような食事は、必ずしも美味しいとは言えず、がんの治療を受けている患者さんには特に厳しいものとなる場合があります。しかし、美味しく食事を楽しむための工夫をする上で、何が許容されて何が避けるべきかという基本的なガイドラインは、しっかりと理解しておく必要があります。

腎臓がんにおける食事の注意点

腎臓がんの食事では、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。摂取量、カリウム、タンパク質の3点に着目して解説します。

摂取する量を守る

腎臓がんの治療後、特に片腎を取り除いた後の腎機能が低下している場合、食事に関する注意が必要です。以下は、その主なポイントです。

食塩の制限: 1日の摂取量を6g未満に抑えることが推奨されます。これには、パンや麺類の摂取を1日1回以下に制限し、白ご飯を主食とすることや、魚の干物、練り製品、肉の加工品、梅干し、漬物、みそ汁などの摂取を控えることが含まれます。

カリウムの制限: 1日の摂取量を1500~2000㎎に抑える必要があります。

タンパク質の制限: 1日の摂取量を30~50gの制限が推奨されます。

適切なエネルギー摂取: 1日のエネルギー摂取量は1600~2000kcalが良いでしょう。
食事制限はあるものの、それをどのように適用するかは患者の好みや状態に応じて柔軟に考えることが大切です。例えば、梅干しを好む年配の患者には、他の食品の塩分摂取を抑えて、梅干しを少量楽しむようなアプローチが有効とされています。また、人が美味しさを感じる塩分のバランスには一定の範囲があり、このバランスを考慮して食事を調整することで、制限の中でも食事を楽しめます。特に、良質なダシを使用することで、少ない塩分でも美味しさを感じられます。要するに、食事の制限は必要ですが、それをどのように適用するかは、患者の好みや状態に応じて柔軟に考えることが大切です。

カリウムの過剰摂取に気をつける

腎臓病の患者にとって、カリウムの摂取は注意が必要です。腎機能が低下すると、カリウムの排泄が適切に行われず、体内に蓄積するリスクが高まります。これが「高カリウム血症」となり、心臓の不整脈の原因となる場合があります。

特に、以下の食材はカリウムが多く含まれています:

果物:
バナナ
アボカド
キウイ
さくらんぼ
メロン
なつみかん
もも

野菜:
いも類(例:里芋、さつまいも)
かぼちゃ
白菜
キャベツ
なす

しかし、全ての腎臓病の患者がこれらの食材を避ける必要はありません。腎機能の低下が軽度である場合や、高齢者、カリウムの血中濃度が高くない患者は、野菜や果物の栄養価を享受するために、これらの食材の摂取が推奨されることもあります。

もしカリウムの血中濃度が高く、食事制限だけでコントロールが難しい場合、カリウムを減少させる薬「ロケルマ」の服用が考慮される場合があります。それでもカリウムの値が高い場合、特にカリウム含有量が高い食材の摂取を制限が推奨されることもあります。

タンパク質の摂取量の調節

腎臓病の患者にとって、タンパク質の摂取は注意が必要です。特に乳製品や乳飲料、例えば牛乳やミルクココアなどは、高タンパク質であるため、摂取を控えることが推奨されます。
タンパク質が多い飲み物や食べ物は、リンやカリウムも多く含む傾向があります。そのため、タンパク質の摂取を制限することで、リンやカリウムの過剰摂取も防ぐことができます。しかし、例外として「玉露」という飲み物は、タンパク質の量は比較的少ないものの、リンやカリウムの含有量が高いと知られています。
総じて、腎臓病の患者は、タンパク質だけでなく、リンやカリウムの摂取にも注意を払い、食事や飲み物の選択を慎重に行うことが重要です。

腎臓がん手術後の食事以外のポイント

腎臓がんの手術後は、食事以外でも注意すべきポイントがあります。

肥満を改善する

肥満は腎臓の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。腎臓の血流に変化を引き起こし、その結果、腎機能に問題を生じさせる場合が考えられます。また、高血圧の原因となるほか、腎細胞がんのリスクも高まることが知られています。
健康的な食生活を心掛け、栄養のバランスを取ることは非常に重要です。さらに、過度なストレスをかけずに適切な運動を取り入れることで、健康的な体重を維持することが推奨されます。腎臓の健康を守るためには、日常のライフスタイルの見直しと改善が必要です。

禁煙する

タバコの成分は血管にダメージを与えることが知られています。特に腎臓は多くの細血管を持っているため、タバコの影響を直接的に受けやすい臓器です。さらに、喫煙は腎細胞がんのリスクを増加させる可能性があります。腎臓の健康を維持するためには、喫煙を避けることが推奨されます。

腎臓がんの食事についてよくある質問

ここまで腎臓がんの食事を紹介しました。ここでは「腎臓がんの食事」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腎臓がんの症状はなんですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

腎臓がんの典型的な症状には、血尿、痛み、および腫瘍の存在を感じる場合があります。中でも、血尿は最も一般的に報告される症状となっています。

塩分を控えるコツはなんですか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

塩分の摂取を制限する際、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

好きな食品の選択: 例えば、梅干しを好む年配の方がいる場合、完全に摂取を禁止するのではなく、他の食品の塩分摂取を調整して、少量の梅干しを楽しめます。

全体のバランスを意識: 好きなものを適度に食べつつ、1日の全体の塩分摂取量をバランス良く調整することが大切です。

塩分のバランス: 人が美味しく感じる塩分のバランスは、約0.8%~0.9%とされています。この範囲を意識して、食品や料理の塩分を調整すると、食事をより楽しめます。

質の良いダシを使用: 塩分を控える際、良質なダシを使用することで、食事の味を引き立て、満足感を得られます。

編集部まとめ

ここまで腎臓がんの食事についてお伝えしてきました。腎臓がんの食事の要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・腎臓がんの手術を受けた後は、特に食事に気を付ける
  • ・腎臓がん手術後の食事には腎機能の回復の状態や食欲の状況に合わせて調節する
  • ・腎臓がんにおける食事のポイントはカロリーの摂取量を守ったりカリウムの摂取量などを気をつける

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「腎臓がん」と関連する病気

「腎臓がん」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎臓内科の病気

  • 行軍ヘモグロビン尿症
  • 特発性発作性ミオグロビン尿症
  • デント病
  • ビルハルツ住血吸虫症
  • フォンヒッペルリンドウ病
  • 胆嚢癌
  • 発作性夜間色素尿症
  • 薬剤性排尿障害

上記のような症状が少しでも気になれば、早めに病院へ行き相談しましょう。
腎臓がんは早期の発見・治療が大切です。

「腎臓がん」と関連する症状

「腎臓がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 最近、尿が赤くなったり、尿に血が混じっている
  • 背中に違和感や痛みを感じる
  • 軽い傷でも出血しやすい
  • 体重が減少してきた
  • 皮膚に小さなポツポツが見られる
  • 手や足に力が入りにくい箇所が出てきた
  • 尿のコントロールが難しくなってきた

これらの症状が1ヶ月以上続いたりする場合、何らかの疾患の可能性が考えられます。特に、症状が続く場合には、受診をおすすめします。

この記事の監修医師