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「腎臓がんの余命」はご存知ですか?症状・検査・治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/05
「腎臓がんの余命」はご存知ですか?症状・検査・治療法も解説!【医師監修】

腎臓がんは、50代以降の年齢で好発するがんです。男性は女性の2倍の発症率で、家系によって発症しやすくなる可能性があります。

早期発見を心がけ治療を開始することで、根治率や5年生存率が大きく異なるのが特徴です。

本記事では、腎臓がんの基本的な情報・余命・初期症状と主症状・検査方法をご紹介します。腎臓がんの余命に関するよくある質問もまとめているので参考にしてください。

検査方法や治療方法を把握することで、より具体的に腎臓がん治療のイメージしやすくなります。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

腎臓がんとは?

腎臓がん(腎細胞がん)は、腎臓内の細胞が悪性腫瘍になることで発生します。腎臓がんの特徴は、以下の通りです。

  • 初期症状がほとんどないため、ほかの臓器の不調などを調べていくうちに腎臓がんが発見されることが多い
  • 転移していない場合は、腫瘍を手術で摘出することで、生存率が大きく改善される
  • 透析患者の方は、一般の方よりも発症率が高い
  • 転移が認められたら、薬物治療を受けつつ今後の治療方針を決める

腎臓がんは、初期に発見することで手術による根治が目指せます。症状が出にくい部分だからこそ、思いもしなかった告知に驚く方もいるでしょう。

腎臓がんの余命は?

前述した通り、腎臓がんは初期で治療を開始すれば予後は良好であることが多いです。がん化が進み、症状は中期以降になると、転移の発生に伴い治療が難しくなって余命にも影響が出始めます。
腎臓がんの進行方法と、全身転移のタイミングの目安を、ステージごとにまとめました。

ステージ1の5年生存率

ステージ1は、腎臓がんが発症してすぐの初期の状態です。

  • リンパ節・遠隔転移はない
  • 腫瘍は直径7cm以下
  • 5年生存率は95%以上

早期に腫瘍を発見できれば、有効な治療方法が多く試せます。転移がないため、根治が目指せる段階です。主治医と相談し、今後の治療方針を決定しましょう。現在の体調や仕事のことなども加味して、治療方針を決められることが多いです。

ステージ2の5年生存率

ステージ2は、がん発症から少し時間が経過している段階です。

  • リンパ節・遠隔転移はない
  • 腫瘍は直径7~10cm
  • 5年生存率は75~95%

ステージ1よりも腫瘍が大きくなっており、腎臓内だけに腫瘍があるのが最大の特徴といえます。他臓器への浸潤などが認められなければ、手術などの方法で根治が目指せる段階です。

ステージ3の5年生存率

ステージ3になると、がん腫瘍が腎臓内にとどまらず近くの器官に浸潤している状態です。

  • 腎臓がんが近くの臓器などに浸潤している(静脈・腎盂腎杯)、ただし腎臓と腎盂腎杯周辺にある脂肪組織内のゲロタ筋膜は貫通していない
  • 所属リンパ節1か所までの転移
  • 5年生存率は59~70%

状態を見て、分子標本薬を使用した術前治療を行うケースが多いです。手術内容は、腎臓摘出・浸潤しているリンパ節周辺・静脈内の腫瘍および塞栓の摘出を必要に応じて行います。

ステージ4の5年生存率

ステージ4は、腎臓がんのいわゆる末期の状態を指します。

  • 多臓器への遠隔転移が認められる
  • 腎臓周辺の臓器に浸潤している
  • 5年生存率は20%前後

他臓器への転移の状態を見て、どのような治療を行うべきか見極める必要があります。手術適応外になることもあり、薬物療法での治療などを行ってどうすべきかを医師と相談して決定していく状態です。

腎臓がんの初期症状と主な症状

腎臓がんは、初期ではほとんど体調に変動がありません。そのため、気づかず生活を送って発見が遅れることが難点です。腎臓がんが進行すると、以下の症状が目立ち始めます。

  • 血尿
  • 腰に違和感・痛みがでる
  • 腹部にしこりを発見する
  • 足がむくみやすくなった
  • 食欲減退
  • 腹痛
  • 便秘
  • 吐き気など

腹部のしこりや血尿の症状が出現したら、すぐに医療機関を受診しましょう。そのほか、血痰や麻痺などの症状が出ている場合は、すでに肺や脳といった他の臓器への転移の可能性が高いです。

腎臓がんの検査方法

腎臓がんの検査は、問診・尿検査・超音波検査・CTとMRIの検査を行います。体に変調を感じたら、できるだけ早く医療機関を受診して検査を受けましょう。早期に見つけることで、その分根治の可能性が広がります。

問診

最初に、医師による問診を受けます。最近現れた体調の変化を医師に素直に話しましょう。医師からの触診や質問もあるので、当てはまることや問われたことに対して素直に答えることが重要です。
そうすることでがんの状態を正しく認識しやすくなり、気になる部位を集中して検査しやすくなります。

  • 問診票の内容の確認
  • 家族歴
  • 透析の有無など

上記のことは、しっかりと医師に伝えて下さい。

尿検査・超音波検査・CT検査

問診が終了したら、次の検査に移ります。

  • 尿検査:血尿の有無を調べる
  • 超音波検査:がんの場所を確認・形状の把握・周囲の期間や臓器との関係の確認など
  • CT検査:腎臓がんである診断をするため、造影剤を使って検査を行う

尿検査だけでは、初期の腎臓がんを見つけることは非常に難しいです。血尿が出ていたとしても、腎臓がんだと断定するのは難しいため、さらに検査を行うため超音波とCTの検査でがんの状態を詳しく診ていきます。

CT・MRI検査

CTで検査を行い、その後MRI検査に移ります。

  • CT検査:造影剤を投与し、がん化しているであろう部分の血流を観察する
  • MRI検査:がんの大きさや浸潤域、がんであるかを検査する

アレルギーなどでCT検査ができない事情がある方は、MRI検査を受けます。また、CT検査や超音波の検査だけではがんだと判断しにくい状態のときにも、MRIでの検査結果が重要になります。

腎臓がんの治療方法

腎臓がんの治療方法は、主に3種類です。

  • 外科的手術
  • 抗がん剤による治療
  • 薬物療法

どのような治療を行うべきかは、がんの大きさや進行度を医師が判断して提案してくれます。自分や家族が納得できる治療方法に取り組みましょう。

外科治療

がんの外科手術には、以下のものがあります。

  • ロボット支援下手術:初期腎臓がんに適しており、短時間で手術を行い多くの腎臓を温存できる
  • 腹腔鏡手術:患部の上に数か所傷を開け、その傷から腫瘍を摘出する
  • ミニマム創内視鏡下手術:わき腹を5~8cmほど切開して、内視鏡を使用しつつ行う手術
  • 開腹手術:上記の手術に適応しない状態の場合に行う、通常の切開手術

開腹手術以外は、低侵襲手術といわれる、傷口が小さい手術方法です。どのような手術が適応するかは、がんの状態や医師の治療方針などによって変わります。

抗がん剤治療

腎臓がんにおいて、抗がん剤治療は根治を目指す治療方法ではありません。

  • 根治を目指してがんを小さくする
  • 腎臓がん以外の場所に転移しているがんに対しての治療に用いる

抗がん剤の種類は複数あり、現在のがんの状態に応じたものを医師が選別して治療に使用します。

薬物療法

外科手術では除去できない腎臓がんには、薬物治療が有効です。

  • 分子標本薬:がんにまつわる悪質な行動を取る物質に対して攻撃を行う
  • 免疫チェックポイント阻害薬:自己免疫ががん細胞に攻撃を加える力を保つ

分子標本薬を使用すると、初期の小さながんはなくなることがあります。がんそのものを小さくする効果もあるため、手術前に使用して外科手術でがんを除去する方法も行われています。

「腎臓がんの余命」についてよくある質問

ここまで腎臓がんの余命・ステージ数ごとの5年生存率・症状・検査方法・治療方法などを紹介しました。ここでは「腎臓がんの余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

効果が期待できる予防方法はありますか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

腎臓がんの予防に適していることは、以下の通りです。

  • 禁煙
  • バランスのよい食事内容
  • 定期的な運動による、肥満の解消

がん全般に関わっているのが、タバコと肥満といわれています。因果関係ははっきりと証明されているわけではありませんが、リスクを高めることは確かです。がんリスクを高めるだけでなく、全身に悪影響を及ぼすものなので、禁煙と体重のコントロールは日々気をつけるようにしましょう。

腎臓がんは再発の可能性がありますか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

腎臓がんは、家族がかかっていると自分も患う可能性があります。そのため、まずは自分の家族が腎臓の病気やがんを患っていないかを確認し、定期的に健康診断などでがんが発生していないかを確認する習慣を持ちましょう。腎臓がんを一度発症すると、再発する可能性は十分にあります。数年ののち再発することもあるので、定期検診が欠かせません。再発後は、状態に応じた治療を行い再度根治を目指します。

編集部まとめ

腎臓がんは、加齢とともに発症する確率が高くなります。それだけでなく、家族ががんを発症している・腎臓に病気を抱えている方は、発症リスクが高いです。

自分の家族や今の状況などを加味し、定期的な検診を受けましょう。腎臓がんは、初期であれば自覚症状が出ないことが大半です。そのため、見過ごしてしまうケースが少なくありません。

初期の発見で根治率や5年生存率がかなり改善されるので、年に一度の健康診断を受けて体のメンテナンスを行いましょう。

「腎臓がん」と関連する病気

「腎臓がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科系の病気

泌尿器科系の病気

  • 腎臓に関する病気で透析が必要なもの:糖尿病性腎症・慢性腎不全・腎硬化症など
  • フォン・ヒッペル・リンドウ病(VHL)
  • バート・ホッグ・デュベ症候群(BHD)

聞き慣れない病気も含まれていますが、上記の病気は腎臓がんと深くかかわりを持っています。高血圧は幅広い年齢層の方が注意すべき現代病なので、他人事として片づけてしまうのはよくありません。肥満も含めて、腎臓がんは身近にある可能性が高い病気なのです。

「腎臓がん」と関連する症状

「腎臓がん」と関連する症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 腰の痛み
  • 腹部のしこり

泌尿器科を受診し、症状を説明して検査を受けてください。事前にホームページなどで問診票があるか確認し、ある場合は記入を済ませておくとスムーズに検査が進みやすくなります。CT検査はアレルギーで受けられないことがあるので、アレルギーの有無はしっかりと医師に伝えてください。

この記事の監修医師