「便潜血検査で大腸がん」が見つかる確率はどれくらい?陽性と診断された後の流れも解説!


監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「大腸がん」とは?
口から摂取した食事が食道、胃、十二指腸を経て排泄する際に最後に通過するのが大腸です。大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸からなる結腸と直腸に分かれます。 この大腸の粘膜からがんが発生したものが大腸がんです。大腸がんは、腺腫という良性のポリープががん化して起こるものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。 大腸がんは、初期では症状がなくわかりづらいです。このため、検診では大腸がんの早期発見を目的として、便潜血検査を行います。便潜血検査とは?
便潜血検査とは、大便の中に血液が含まれているかを調べる検査です。大便を検査するだけであるため簡単であり、侵襲がなく行えます。日本で通常行っている便潜血検査は、免疫法という方法を利用していることが多いです。この免疫法では、人のヘモグロビンに対しての免疫反応を利用して検査を行います。胃や十二指腸からの出血では途中で消化酵素によりヘモグロビンが変性してしまうため、反応が出ないことが多いです。(大量に出血するなどの場合には、陽性となる事もあります。)そのため、多くは下部消化管(小腸~大腸)から出血したときに、陽性と判定されます。検査できる診療科
便潜血検査は、簡単にできる検査であるため、多くの診療科で必要があれば検査をすることができます。市町村の大腸がん検診は、便潜血検査を行うことも多いです。検査費用
便潜血検査の費用は、保険診療(3割負担)で210~320円程度となります。この検査料に診察料などが加わります。また、市町村の大腸がん検診では費用が異なりますので詳しくは自治体へ確認をしてください。便潜血検査で大腸がんが見つかる確率はどれくらい?
大腸がんがある場合に便潜血が陽性となる確率は、今までの報告でもばらつきがあり30~92.9%と言われています。また、毎年便潜血による大腸がん検診を受けることで大腸がんの死亡が60%減少すると言われています。便潜血検査で大腸がんが見つかった場合ステージ分類はいくつ?
便潜血検査で大腸がんが見つかったとしても、ステージはさまざまであり、便潜血検査のみでステージ分類を決めることはできません。また、大腸がん以外の病気であることもあるため、大腸内視鏡検査などでさらに詳しい検査をする必要があります。便潜血検査で陽性と診断された後の流れ
便潜血検査で陽性となった場合に、次にどうすればよいかについて解説いたします。消化器内科受診
便潜血陽性であった場合、まずは消化器内科を受診して相談をしましょう。診察で症状や全身状態などを確認した上で、大腸内視鏡検査を行うことが多いです。大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、内視鏡を肛門から挿入して直腸から盲腸までの大腸全体を観察する検査です。検査の前には、消化の良い食事をした上で腸管刺激性の下剤や腸管洗浄液を内服して腸内をきれいにします。その上で、内視鏡を挿入し、出血の原因となっている腸管の病変が無いかを調べます。 便潜血検査で陽性であっても、痔核や良性のポリープであることもありますが、大腸がんが見つかることも少なくありません。 大腸内視鏡検査では、検査中に大腸がんが疑われる病変がある場合、病変の一部を採取して病理検査を行い、がんであるかの診断をすることができます。また、大腸ポリープを見つけた場合、切除が可能であれば内視鏡で切除することも可能です。画像検査
大腸内視鏡検査で大腸がんが発見され、今後の治療方針を決める場合には、CT、MRI、超音波検査などの画像検査を行います。これらの検査で大腸がんの周囲への広がりや転移が無いかを詳しく調べます。便潜血検査で発見できる病気・疾患
ここでは、便潜血検査で陽性となった場合に考えられる病気について解説いたします。大腸がん
大腸がんは、大腸の粘膜にがんが発生した病気です。がんの罹患数では、大腸がんが最も多く、がんによる死亡数でも男性で2位、女性で1位となっています。近年日本においてとても多いがんと言えます。大腸がんは40歳以降で徐々に増加し、年齢が上がるほど増加するため、注意が必要です。 また、大腸がんは初期では症状が無いため気づかないことが多いです。大腸がんが進行すると、腹痛や便通異常、出血などがみられるようになります。大腸がんは早期であれば、治療成績が良いがんです。大腸がん検診を行い、早期に発見し治療をするようにしましょう。大腸ポリープ
大腸の粘膜がいぼ状に突出した病変が大腸ポリープです。大腸ポリープは腫瘍性ポリープ(腺腫)と非腫瘍性ポリープ(過形成ポリープなど)に分けられます。腺腫が悪性化するとがんとなります。腺腫が大きくなるとがんを含む可能性が高くなるため、注意をしなければなりません。一般的に、径が6mm以上の場合には、切除することがすすめられます。非腫瘍性ポリープはがん化することは少ないため、経過観察をしますが、大きくなり腸閉塞をきたす可能性がある場合には切除することもあります。 大腸ポリープも大腸がんと同様に小さい場合には症状がみられないことが多いです。しかし、大腸ポリープが大きくなると表面を便が通過する際に擦れて出血し、便潜血で陽性となる事もあります。また、大きくなることで腸閉塞をきたしたり、腺腫の場合にはがんを含む可能性が高くなるため注意が必要です。痔疾患
肛門の病気の75%が痔と呼ばれる良性の疾患です。痔核(いぼ痔)、痔瘻(あな痔)、裂肛(切れ痔)の3つが良性の痔疾患です。痔の症状として、出血や肛門の痛みが挙げられます。しかし、痛みが無い場合もあるため気が付かないこともあります。便潜血で陽性となった時に、痔疾患が原因であることも少なくありません。 しかし、痔だろうと考えて便潜血陽性を放置することは危険です。大腸の病変がある事もあるため、必ず消化器内科を受診して相談をしましょう。 また、肛門周囲の病気には炎症性腸疾患や肛門がん、感染などの病気も含まれます。痔疾患の中にも適切な治療が必要となる事も多いです。早めに、消化器科や肛門科の受診を検討しましょう。「便潜血陽性と大腸がんの確率」についてよくある質問
ここまで便潜血陽性と大腸がんの確率などを紹介しました。ここでは「便潜血陽性と大腸がんの確率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
便潜血検査が1回だけ陽性でも再検査は必要ですか?
和田 蔵人 医師
1回だけでも便潜血が陽性となった場合には、再検査ではなく消化器内科を受診して精査すべきです。大腸がんの可能性もあるため、大腸内視鏡検査などの精密検査をしましょう。
便潜血検査で2回陽性の場合、大腸がんの確率は高いのでしょうか?
和田 蔵人 医師
便潜血検査で2回陽性である場合、大腸などの下部消化管での出血がある可能性が高いと言えます。それが、大腸がんかどうかは、詳しく検査をしてみなければわかりません。便潜血検査で陽性である場合には、消化器内科を受診してまずは相談をしましょう。
まとめ
便潜血が1回でも陽性となった場合、必ず消化器内科を受診して相談をしましょう。便潜血が陽性の場合、小腸~大腸、肛門の下部消化管からの出血が考えられます。この出血は、痔疾患や大腸ポリープの可能性もありますが、大腸がんであることも少なくありません。大腸がんは、症状が出づらい病気です。便潜血検査が陽性となり、初めて気が付くことも多いです。便潜血検査で陽性と診断された場合、まず消化器内科を受診して相談をしましょう。
「大腸がん」と関連する病気
「大腸がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器系
- 大腸ポリープ
- 痔疾患
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
- 胃がん
- 胃・十二指腸潰瘍
「大腸がん」と関連する症状
「大腸がん」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。




