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「胃がんの前兆として唇」に症状が現れることはある?医師が徹底解説!

 公開日:2025/10/30
「胃がんの前兆として唇」に症状が現れることはある?医師が徹底解説!

胃がんの前兆として唇に症状が現れることはある?メディカルドック監修医が胃がんの初期症状・なりやすい人の特徴・予防する可能性の高い食べ物・食生活などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

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佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「胃がん」とは?

胃は体のみぞおち辺りにある臓器です。口から食べた食物を消化し、一旦ためて少しずつ腸に送り出す役割を担っています。
胃がんは、胃の内側の粘膜からがんが発生したものが多いです。この胃がんは粘膜から次第に壁の外側に向かって広がっていきます。
日本では、2021年の統計では大腸がん、肺がんに次いで胃がんは3番目に多いがんです。早期発見や治療の進歩により死亡数は徐々に減少傾向ではありますが、罹患数は増加傾向が続いており、気をつけなければいけないがんの一つと言えます 。

胃がんの前兆として唇に症状が現れることはある?

胃がんの前兆で唇に症状があらわれることは一般的にありません。しかし、胃腸の不調によりビタミンなどの吸収不良が起こると、口唇周囲の荒れや、口角炎、口内炎などが起こることがあります。このような症状が長く続いている場合には、胃炎などの病気が起こっていることもあり注意が必要です。
胃がんの原因の一つに、ピロリ菌の感染が挙げられます。ピロリ菌の感染により慢性胃炎がおこされているときには、唇に症状があらわれる可能性もあります。唇の荒れが長期に持続したり、胃の不調が続く場合には消化器内科で相談をしてみると良いでしょう。

胃の調子が悪いと唇に症状が現れることはある?

口唇炎や口角炎などの唇の症状は、胃の不調で起こることもありますが、他の原因であることも少なくありません。
ビタミンB群や亜鉛などのミネラル不足が起こると、口唇炎や口角炎が起こることがあります。この栄養不足は、胃腸の不調からの吸収不良が原因であることもありますが、偏った食事などが原因となる事もあります。
このほかにも唇をなめる癖など、病気が原因ではないことも少なくありません。まずリップクリームなどで保湿をし、それでも症状が持続する場合には皮膚科で相談をするとよいでしょう。
胃の不調も合併している場合には、消化器内科で相談しても良いと思います。

胃がんの前兆となる初期症状

胃がんは初期の段階では症状がみられないことが多いです。胃がんが進行することで次のような症状がみられるようになります。

みぞおちの痛み

胃がんが進行すると、痛みがみられることもあります。この場合、みぞおち辺りに胃が位置するためみぞおちの痛みとして感じることが多いです。この痛みの症状は、胃がんのみで起こるわけではありません。胃炎や胃潰瘍でも同様の症状がみられますが、持続する場合には、何かしらの胃の病気の可能性があります。早めに消化器内科で相談をしましょう。

吐き気、胸やけ

胃がんの症状は、痛みだけではなく吐き気や胃の辺りがムカムカするような症状がみられることもあります。これらのような症状が持続する場合には、胃の病気の可能性があります。胃がんだけではなく、ほかの病気でもみられますが、症状のみから区別することはできません。症状が続くような場合には、早めに消化器内科を受診することをお勧めします。

食思不振

胃の不調により食事がとれなくなったり、体重が減少するような症状がみられる場合には胃の重大な病気の可能性があります。食欲がない、体重が意図せず減るような場合には早めに消化器内科を受診しましょう。

胃がんになりやすい人の特徴

喫煙

喫煙は他のがんと同様に、胃がんでもリスクとなります。喫煙により男性で1.8倍、女性で1.2倍胃がんのリスクが増加すると報告されています。禁煙を心がけましょう。

飲酒

飲酒も胃がんのリスクとなります。男性において1日1合以上の飲酒をしている人では、飲酒していない人と比較して有意にリスクが増加することが報告されました。飲酒量が増加するほどリスクは増加します。
女性ではこのような傾向がみられませんでしたが、女性で飲酒量が多い人が少ないためと考えられ、少なくともアルコールを多く飲むことは避けるべきであると考えられています。
アルコールは、1日1合未満で節酒することがすすめられます。

ヘリコバクターピロリ感染

ヘリコバクターピロリ菌の感染は、胃がんでの重要な危険因子です。ヘリコバクターピロリ菌陽性の方では、陰性の方と比較して5.1倍の胃がんのリスクがある事が分かっています。
ピロリ菌の感染が分かった場合には、除菌を検討しましょう。
なお日本でピロリ菌に感染している人は、少なくとも3000万人以上と言われています。若い世代では、衛生環境が整い感染率が減っており、特に、50歳以上の人で感染している割合が多いです。ピロリ菌の感染は胃がんだけでなく、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因にもなります。胃の不快感などの症状がある場合には、消化器内科で相談をしてみましょう。

胃がんを予防する可能性の高い食べ物・食生活

禁煙

先で述べたように、喫煙が胃がんの原因となります。禁煙をすることが胃がんを予防することにつながります。喫煙が原因となる病気は胃がん以外にも肺がん、食道がん、肺気腫、高血圧などがあります。思い立ったら、なるべく早めに禁煙をすることが非常に大切です。

節酒

アルコールを多く飲むことが、胃がんの危険因子となります。アルコールも胃がん以外の多くの病気の原因となり得ます。1日日本酒で1合(ビールで500ml、ウイスキーダブル1杯(60ml)、焼酎110ml、ワイン200ml)未満程度に抑える様にしましょう。

減塩・塩蔵食品を控える

塩蔵食品(魚の干物やたらこなどの魚卵、漬物など)を多く摂取することが胃がんのリスクとなっていることが分かっています。日本人は塩蔵食品や塩分摂取が多い傾向にあります。なるべく、薄めの味付け、塩蔵食品は控えめにするようにしましょう。

「胃がんの前兆と唇」についてよくある質問

ここまで胃がんの前兆と唇について紹介しました。ここでは「胃がんの前兆と唇」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

胃がんを発症すると一番多い症状について教えてください。

和田 蔵人和田 蔵人 医師

胃がんは症状が出ないことが多いです。胃がんが進行しても、どの症状が最も多いかについてのはっきりとした報告はありません。しかし、みぞおちの辺りの痛みや食欲低下、吐き気などがみられることが比較的多いと考えられます。
また口唇炎や口角炎など唇の症状は、胃がんで特徴的とは言えません。しかし、胃の不調から唇の症状があらわれることもあるため、続くようであれば気をつけなければなりません。
しかし、これらの症状は胃炎や胃潰瘍などのほかの病気でもみられ、症状のみでは区別をすることができません。これらの症状が持続する場合には、早めに消化器内科を受診して相談をしましょう。

編集部まとめ 唇の症状と胃の症状が続く場合には、消化器内科で相談をしよう。

口唇炎や口角炎が起こる場合、唇をなめる癖で起こることも多いです。そのため、唇の症状単独では、胃の病気と直接関連の無いことも多いです。しかし、みぞおちの痛みや嘔気、食欲低下など胃の症状を伴う場合には、胃の病気の可能性も考えられます。胃の不調によりビタミンやミネラルの吸収障害が起こることで唇の症状がみられることもあるからです。
胃がんは通常自覚症状がみられないことも多いです。しかし、この記事で挙げたような症状が持続し、特に胃の症状が一緒にみられる場合には、胃がんを含めた胃の病気の可能性も考え、消化器内科を受診すると良いでしょう。胃がんの早期発見のためにも、いつもと違う、ちょっとした不調に気が付くことも大切です。

「胃がん」と関連する病気

「胃がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器科の病気

胃がんと同じような症状が出る病気は多くあります。上記の病気もその中の1つです。腹痛や嘔気、食欲低下、体重減少などの症状がみられる場合にはこれらの病気を区別することができないため、消化器内科で相談をしましょう。

「胃がん」と関連する症状

「胃がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • みぞおちの痛み
  • 嘔気、嘔吐
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 口角炎・口唇炎

胃がんは自覚症状が出にくいです。しかし、がんが進行すると、上記の様な症状がみられることがあります。気になる症状が持続する場合には、早めに消化器内科で相談をしましょう。

この記事の監修医師