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「白血病の初期症状」はご存知ですか?大人・子供それぞれの初期症状も医師が解説!

 公開日:2023/10/31
「白血病の初期症状」はご存知ですか?大人・子供それぞれの初期症状も医師が解説!

白血病の初期症状とは?Medical DOC監修医が白血病の初期症状・大人や子どもの場合や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

武田 美貴

監修医師
武田 美貴(医師)

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平成6年札幌医科大学を卒業し、札幌医科大学放射線科に入局。画像診断専門医となり、読影業務に従事。その後、新たな進路を模索するため、老年医療や訪問医療、リハビリテーションなどを学ぶ。現在は、一周回って画像診断で母校に恩返しをする傍ら、医療事故の裁判では、患者に寄り添う代理人を、画像診断と医学知識の両面でサポートすることをライフワークとしている。

「白血病」とは?

白血病とは、血液のがんのことです。血液には、赤血球、白血球、血小板という3つの血球がありますが、これらの血球が作られる過程で何らかの異常が発生して、白血病細胞と呼ばれるがん細胞が作られて、血液や骨髄の中にそのがん細胞が増えてしまった状態で起こる病気です。白血病について、解説していきます。

白血病の種類

白血病は、急激に進行する急性白血病と、ゆっくり進行する慢性白血病に分けられます。さらに、がん化した細胞の種類により、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病などに分類されます。以下に、それぞれの種類について説明します。

急性骨髄性白血病(AML)

急性骨髄性白血病は、骨髄中で骨髄芽球という白血球に分化する過程の未熟な細胞に異常が起こって、がん化した細胞が骨髄で異常に増える病気です。白血病細胞が増加することによって正常な血液細胞が作られなくなり、血球成分が減少します。そのため、貧血の症状や血小板が少なくなるために出血傾向となり、鼻血や歯茎から出血したります。その他発熱や頭痛、関節痛などの症状があらわれることもあります。
急性骨髄性白血病は進行が速いため、多くの場合、急に症状が現れることも特徴です。

急性リンパ性白血病(ALL)

急性リンパ性白血病は、リンパ球への細胞の分化の途中で異常が起こり、細胞が成長をやめてしまいます。その成長をやめてしまった白血病細胞が骨髄中で増殖し、骨髄を占拠することで正常な血液細胞が作られなくなる病気です。
正常な血液細胞が減少するため、白血球減少により細菌、ウイルスなどへの抵抗力が失われ、発熱、肺炎などの感染症症状を引き起こします。赤血球の減少により貧血となり、ふらつき、だるさ、息切れなどの症状が起こります。血小板の減少では、鼻血、歯茎からの出血などの出血傾向を示します。
急性リンパ球性白血病は中枢神経に浸潤しやすいことが知られており、頭痛や吐き気、手足のしびれ・麻痺などを起こすこともあります。

慢性骨髄性白血病(CML)

慢性骨髄性白血病は、血液中の顆粒球や単球が異常に増え、脾臓が腫れることが特徴です。この白血病では、細胞中の遺伝子が存在する場である染色体に異常があります。自覚症状がほとんどないため、検診や定期血液検査などで偶然発見されます。発症後しばらくの期間を慢性期といい、症状はゆっくり進行します。しかし、放置しておくと、やがて症状が急にあらわれる急性転化期となり、急性白血病と同様に感染症や出血を起こしやすくなります。感染症の症状としては、下痢のような感染性胃腸炎の症状です。生ものを食べていないのに下痢が続くなど、感染しやすい状態が疑われます。

慢性リンパ性白血病(CLL)

慢性リンパ球性白血病は、ヒトを感染から守る役割をする成熟したBリンパ球が、勝手に増殖する病気です。非常にゆっくりとした経過をとることが多い病気で、50歳以上の中高年に多く、男性に多いのが特徴です。欧米では最も頻度が高い白血病ですが、日本ではまれと言われています。
自覚症状がなく、検診などで白血球が多いことを指摘されて偶然診断されることが多いです。慢性リンパ球性白血病では、病気が進んでくると、血液や骨髄だけではなく、リンパ節、肝臓や脾臓でも増殖するため、痛みのないリンパ節の腫れや肝臓・脾臓の腫れに伴う症状が見られるようになります。また、細胞の増殖を反映して、発熱や体重減少、全身の倦怠感、大量の寝汗などがあらわれることがあります。正常の造血が邪魔されるようになるため、正常な白血球が減少することで感染症を発症しやすくなります。また赤血球や血小板も減少するため、貧血や出血傾向を示すことがあります。さらに、免疫の異常を伴うことも多く、自己免疫性疾患を合併することもあります。

大人の白血病に気づくきっかけとなる初期症状

大人の白血病は、自覚症状が少ないことも多いため、検診などで偶然診断されることが多い病気です。しかし、普段の生活でも、白血病を疑う症状があります。以下で、そのような症状を解説します。

あざができる

ぶつけた覚えがないのに、腕や足にあざができやすくなります。あざは内出血を示しており、出血傾向の症状としてよく見られます。出血傾向がなくてもあざができることはありますが、全身をチェックすると複数あざができているときや、あざが広がっていく場合には、出血傾向が疑われます。血液をさらさらにする薬を飲んでいないのにこのような症状が出るときは、出血しやすくなっている可能性があります。このようなときは、すぐに内科を受診するようにしましょう。

歯茎から血が出る

歯ぐきから血が出る症状も、出血傾向の症状としてよく見られます。特に大人では歯槽膿漏でも歯ぐきから血が出やすくなりますが、丁寧に歯磨きしても多量に出血するのが特徴です。このようなときは、まず内科を受診して血液検査をしてもらいましょう。血液検査で異常がなければ、歯科を受診して治療するのがよいと思います。

肩こりや関節痛

白血病細胞が周囲の臓器にじわじわ広がって(浸潤)いくと、浸潤する部位により吐き気や嘔吐、頭痛、腰痛や肩こりのような関節痛、リンパ節の腫れなどの症状があらわれてきます。特に肩こりや腰痛は、中高年でよく見られる症状ですが、湿布を貼ったりマッサージなどをしたりしても良くならないのが特徴です。このようにしばらくしても良くならない肩こりや腰痛、頭痛などがある場合は白血病の可能性もありますので、放置せず一度医療機関の受診を検討してください。肩こりや関節痛のみであればまずは整形外科を受診しましょう。もし発熱を伴っている場合は内科への受診をおすすめします。

子どもの白血病に気づくきっかけとなる初期症状

子どもの白血病の初発症状は、発熱や貧血、出血傾向、ぐったりしているなど、特徴的な症状はないとされています。子供の白血病に気づくきっかけとなる初期症状について、解説していきます。

骨痛

がん化した白血病細胞が骨髄で増殖すると、骨痛(骨の痛み)がでることがあります。骨痛は、下肢で比較的頻度が高いとされています。子供の場合、下肢の骨痛では白血病の他に骨原発性腫瘍などが存在する可能性もありますので、骨痛が長引く場合には整形外科を受診しましょう。

頭痛・嘔吐

白血病細胞が中枢神経に浸潤すると、頭痛や吐き気、嘔吐が起こることがあります。頭痛や吐き気のような症状は脳腫瘍を疑う症状ではありますが、白血病細胞の中枢神経系への浸潤でも起こる症状です。頭痛や吐き気が続く場合、まず内科を受診しましょう。頭痛の原因を調べるために頭部CTが行われることがありますが、白血病の浸潤では明らかな腫瘍を形成していないこともあります。その場合、血液検査で異常があること、腹部エコーや腹部CTで脾臓のサイズが大きい、肝臓が腫れているなどの所見が認められ、白血病と診断されることもあります。

皮膚のかゆみ

白血病で皮膚のかゆみが症状としてあらわれることがあります。白血病に関連する皮膚症状では、出血傾向として内出血が見られることが知られていますが、白血病細胞が皮膚に浸潤すると、皮膚にかゆみが生じることがあります。

すぐに病院へ行くべき「白血病の初期症状」

ここまでは白血病の初期症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

歯ぐきから血が出て止まらない症状の場合は、内科・血液内科へ

歯ぐきから血が出る症状は、白血病を疑う症状の一つです。歯槽膿漏や歯肉炎で歯ぐきから血が出る場合もありますが、数日で出血はおさまってきます。しかし白血病が原因で出血している場合は、白血病細胞の増殖により、正常の血小板数が減少して出血傾向を示していることが原因です。歯ぐきからの出血が止まらない、だんだん増えてくるなど症状が悪化してくる場合は、すぐに内科(特に血液内科)を受診してください。血液検査で血液の異常が発見される場合があります。出血傾向を放置しておくと、歯ぐき以外の場所からも出血してくる可能性があり、とても危険です。

受診・予防の目安となる「白血病」のセルフチェック法

  • ・ぶつけていないのに、いろいろな場所にあざができる場合
  • ・疲れやすく、寝汗が出て、体重が減っている場合
  • ・(子どもの場合)発熱が続いてぐったりしている、骨や関節を痛がる場合

「白血病の初期症状」についてよくある質問

ここまで白血病の初期症状を紹介しました。ここでは「白血病の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病の初期症状にニキビや肌のかゆみはありますか?

武田 美貴医師武田 美貴(医師)

ニキビとの関連は高くありませんが、肌のかゆみは頻度が高い皮膚症状となります。ほぼ全身に紅斑をきたす「紅皮症」を伴うこともあります。

編集部まとめ

血液のがんである白血病は自覚症状がないことも多く、症状が出るとしても歯ぐきからの出血など日常でも起こりうる症状しかでないことがあります。検診などで血液検査に異常があった場合や歯ぐきからの出血がひどかったり、あざがいくつもできたりするといった場合は、すぐに内科を受診しましょう。

「白血病の初期症状」と関連する病気

「白血病の初期症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • 上気道炎(感冒、風邪)
  • 感染症

整形外科の病気

  • 関節炎
  • 成長痛(小児)

歯科の病気

  • 歯槽膿漏

白血病の初期症状は、かぜ症状に似ていることがあります。小児では骨痛が成長痛と間違われることもあります。このような症状が長く続く場合、病気が隠れている可能性があります。

「白血病の初期症状」と関連する症状

「白血病の初期症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

からだがだるい、発熱があるという症状の他にこれらの症状がある場合は、白血病の可能性があります。出血が止まらない、あざが増えるなど症状が強くなる場合は、すぐに医療機関を受診することを検討してください。

この記事の監修医師

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