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「白血病の主な4つの種類」はご存知ですか?原因や症状についても解説!

 更新日:2023/12/01
「白血病の主な4つの種類」はご存知ですか?原因や症状についても解説!

人体のうち体重の約8%が血液です。血液は細胞成分と血漿と呼ばれる液体成分に分けることができます。

血液中の細胞には、大きく分けて赤血球・白血球・血小板の三種類があります。これらの細胞のバランスが崩れたり、細胞が機能しなくなったりすると病気になることは予想できるでしょう。

血液の病気としてよく知られているのが「白血病」です。かつては不治の病として恐れられていました。現在ではどうなのでしょう。

白血病とはどのような病気なのでしょうか。

白血病の種類・原因・治療などについて解説していきます。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

白血病とは?

血液の細胞はいずれも骨髄の中で作られます。骨髄の中には、「造血幹細胞」という細胞があり、どの血液細胞にも成長可能です。白血病は、この造血幹細胞が、血液細胞に十分成長する前に異常増殖する血液のがんです。
白血病というと白血球が増殖する病気と思われるかもしれませんが、白血病患者さんの血液を調べると、白血球は正常数かむしろ減っています。これは、この病気は白血球が増えるものではなく、未分化の造血幹細胞が増えるものであるためです。
19世紀後半にドイツで発見されたこの病気は、血液中に白い細胞が増殖し、血液が白っぽく見えるため白血病と命名されました。当時は、治療法のない危険な病気でした。現在では、病因も徐々に解明され、治療方法も日々進歩しています。

白血病の種類

白血病は、主に急性白血病と慢性白血病に分けられます。急性白血病と慢性白血病のどちらにも骨髄性のものとリンパ性のものがあります。
白血病は、造血幹細胞がさまざまな血液細胞になる途中の段階で腫瘍化した血液のがんであり、正常な赤血球・白血球・血小板が十分に作られません。白血病は放置すると、最終的に死に至る病です。
また、血液の病気であるため、摘出手術という選択肢はありません。白血病では発見され次第、化学療法に取り組むこととなります。
血液の病気であるため、すぐに全身に広がり「早期がん」という概念は存在しません。発症した時点で、進行がんとして扱われます。

急性白血病

造血幹細胞のがん化には、2種類あります。血液細胞が未分化な芽状細胞のまま異常増殖を始めるタイプと、ある程度分化して血液細胞として成熟する能力を持ちつつ異常増殖とするタイプです。
急性白血病は、このうち前者を指します。その名の通り、病気の進行が早いのが特徴です。未治療の場合、数か月で死亡します。
白血病以外の病気では、急性期から慢性期に移行することがよく見られますが、白血病ではそのようなことはありません。

慢性白血病

慢性白血病は、造血幹細胞が体の調節機構から逸脱して増殖するものの、分化・成熟能力を維持しています。病気の進行は、急性白血病よりもゆっくりで、経過は数年単位です。
慢性骨髄性白血病は、その末期において移行期を経て急性転化期を迎え、未分化の造血幹細胞が多く血液に含まれるようになります。この時期においては、急性白血病と同様の病態になることが知られています。

骨髄性白血病

血液は骨髄で作られます。骨髄の中で、骨髄系の幹細胞が無制限に増殖し続けるのが骨髄性白血病です。急性骨髄性白血病は、好中球に分化する前の骨髄芽球ががん化する病気であり、発症時、体内に約1kgもの白血病細胞(がん細胞)が存在するといわれています。
この時、骨髄では正常な各種の血液細胞の生産が十分に行えません。早期の治療が行われない場合、一般に、予後は非常に悪くなります。慢性骨髄性白血病は、血液の大元である造血幹細胞に異常がおき、白血球の増殖パターンに異常が起こり、白血球の産生が異常に増えます。
治療せずに放っておくと、約3〜5年で急性転化期を迎え、急速に悪化し、死亡するにいたります。しかし、現在では慢性期のままにとどめて慢性骨髄性白血病悪化を遅らせる、薬物治療が開発されるようになりました。この結果、慢性骨髄性白血病は予後が以前よりも良くなっています。

リンパ性白血病

リンパ性とは白血球の一種であるリンパ球になる前の細胞の異常を指します。リンパ球とはがん細胞やウイルスなど異物を攻撃する白血球の一種です。急性リンパ性白血病は急性リンパ芽球白血病とも呼ばれます。
骨髄の中で、本来リンパ系の細胞になるはずの幹細胞が短期間のうちに、正常な細胞と置き換わり増殖する病気です。小児期で最も多いがんとしても知られ、日本では毎年数百人の子どもが発症しています。
慢性リンパ性白血病は、3/4が60歳以上で発症し、小児で発症することはありません。正常に見えるリンパ球が増殖して、正常な血液細胞が減少します。増殖したリンパ球は正常な血液細胞を攻撃することもあります。
欧米で最も多くみられるのは、この慢性リンパ性白血病ですが、日本や東南アジアではほとんどみられません。そのため、発症に遺伝が関係していると考えられています。

白血病の原因

ここからは、白血病の原因について解説しましょう。白血病の原因と発生機序の全てが解明されているわけではありませんが、研究の進歩により、白血病は他のがんと同様に遺伝子の突然変異をきっかけとして発生していると考えられています。
言い換えると、ある細胞の分化・増殖・維持を正常にコントロールしている遺伝子に傷がついてしまった結果、病的な細胞が発生して無限の増殖を始めてしまうことで発症しているのではないかというわけなのです。
近年の知見では、いくつかの関連する遺伝子がみつかっており、そのうちの複数に変異が起こることにより、白血病を発症することがわかってきました。遺伝子の変異を引き起こす要因として考えられているものをご紹介します。

放射線の照射

まず、放射線の照射が挙げられます。広島・長崎に投下された原子力爆弾で被ばくした方々に白血病を発症した方が多かったことはよく知られているでしょう。
また、他の悪性腫瘍で放射線治療を行って、白血病を発症する例もあります。

特定の化学物質

他のがんと同様に、特定の化学物質が原因ではないかと疑われています。
喫煙者が白血病に罹る確率が非喫煙者より高いことは、疫学的な知見から確実なリスクであると報告されています。

遺伝子の異常

がんとは一般に、遺伝子の突然変異が重なることによって発症します。その原因が放射線被曝であったり、化学物質であったりするわけです。
家族性のがんというものもあります。がん発症に関連する遺伝子に変異がある染色体が受け継がれているケースです。白血病でも稀にこういった家族性のものがあります。
しかし、白血病発症までには、さまざまな遺伝子変異が関わっていると考えられています。家系から受け継いだ遺伝子の異常に、自身の中での何らかの遺伝子変異が重なって、発症に至ると考えられているのです。

原因不明

先述したように放射線治療や化学療法が発症の原因とされる白血病(二次性白血病)もありますが、徐々に原因について解明されつつあります。しかし、その発症の多くは未だに原因不明であるのが現状です。

白血病の症状

白血病になると、正常な血液細胞が作られなくなります。その結果、次のような症状が現れます。

  • 赤血球の減少による貧血:めまい・ふらつき・顔色が悪くなる・息切れ・疲労感・発熱
  • 白血球の減少による免疫力の低下:感染症・肺炎・敗血症
  • 血小板の減少による出血傾向:歯肉出血・鼻出血・皮下出血など

急性白血病でも慢性白血病でも、これらの症状が見られるでしょう。
特に、急性白血病では、白血病細胞の増殖が速いため週単位で症状が進行するため、診断や治療開始が遅れると病気は重篤化してしまうことが知られています。

白血病の治療

ここからは、白血病の治療について解説していきましょう。特に、急性白血病では早期の治療が予後を左右すると言っても過言ではありません。
治療開始にあたって、各療法についてよく理解してください。

化学療法

白血病は他のがんと違って、手術によって除去することはできません。しかし、抗がん剤といった薬による化学療法の効果が得やすいことが知られています。
具体的には、急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病では抗がん剤治療を、慢性骨髄性白血病では分子標的薬の継続服用を、慢性リンパ性白血病では、症状が出るまで経過観察を行い、進行に合わせて抗がん剤や分子標的薬を用いた治療が主な治療薬です。
急性白血病では、病気の進行が大変早いので、早期の化学療法開始が必要です。そのため、主に、数種類の抗がん剤を併用する多剤療法が初期に行われます。抗がん剤は骨髄に届きにくいため骨髄に直接、髄腔内注射を行うこともあります。
抗がん剤治療では、正常な血液細胞も著しく減少します。非常に免疫力が低下してしまうため、感染症を予防することを目的に、しばしば無菌室で治療が行われます。
最近ではG-CSFという薬剤を使用すること、で白血球の数を速やかに回復させることができるようになっています。赤血球・血小板の減少に対しては、成分輸血が行われます。
近年、各種の分子標的薬が開発され、白血病のタイプによってはこれらが有効であることが確認されています。

造血幹細胞移植

抗がん剤治療が功を奏さない場合、つまり、薬での治癒が難しいと判断されたときに、造血幹細胞移植が検討されます。造血幹細胞移植には次の3種類があります。

  • 骨髄移植:ドナーに全身麻酔を行い、骨盤にある腸骨から骨髄液を採取し、白血病患者さんに点滴で注入する
  • 末梢血幹細胞移植:ドナーに白血球を殖やす薬、G-CSFを投与し、末梢血中で増えた造血幹細胞を採取し、骨髄移植と同様に白血病患者さんに投入する
  • 臍帯血移植:出産時に保存される臍帯血は臍帯血バンクに保管されており、造血幹細胞を多く含む。これを白血病患者さんに移植する

いずれも、ドナーと血液のタイプが一致しなければなりません。HLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる白血球のタイプが一致するのは、兄弟姉妹であっても1/4の確率に過ぎず、非近縁者間では数百~数万分の1の確率と言われています。

白血病についてよくある質問

ここまで白血病の種類・原因・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「白血病」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。。

質問1:白血病はどのように診断しますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

一般的に血液検査を行い血液検査異常があれば、骨髄穿刺をして診断確定していきます。

質問2:白血病はどのくらいの期間で治りますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

タイプにもよりますが白血病は完治が難しく、白血病細胞が少なくなっても再発を防ぐために抗がん剤治療を引き続き行うケースが多いです。

編集部まとめ

かつて、白血病は不治の病でした。自然治癒の可能性もほとんどなく、発症すればこの病が原因で亡くなることは避けられませんでした。

しかし、近年の治療法の急速な進歩により、多くの患者さんが治癒したり、長期の間病気と共存しながら、日常生活を過ごすことができるようになってきています。

特に、小児・少青年期の白血病は予後がとてもよくなってきました。

また、慢性白血病は病気を持ちつつ、悪化させないという治療ができるようになっています。
一方、壮・老年期の急性白血病は、まだまだ難しい病気です。化学療法で、一度は寛解した患者さんも再発が多く見られるのが現実です。

国内での脊髄ドナーの登録は約54万人と少なく、HLAが合致したドナーが見つかる確率は、他人の場合数百~数万分の1。そのため、造血幹細胞移植も希望する方が全員受けられるわけではありません。より一層世間の理解・協力が望まれます。

白血病と関連する病気

白血病と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液系

内臓系

  • 脾臓肥大
  • 肝臓肥大
  • リンパ節肥大

その他

  • 単核球症

白血病は貧血や感染症・出血傾向などが見られた際に、受診して発見されることもあります。正確な診断には血液検査が必要です。
上記のような症状が重複して表れるなど、危険な兆候が見られたら内科を受診しましょう。白血病は治療が遅れると、予後の大変悪い病気です。早めの受診を心がけてください。

白血病と関連する症状

白血病と関連している症状は11個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

白血病は血液細胞が未分化のまま自律的に増殖する病気です。このため、体内では正常な血液細胞が減っていきます。血液細胞とは赤血球・白血球・血小板です。
その結果、上記のような症状が表れると考えられています。これらの症状が気になる場合は、まず血液検査を受けます。末梢血の異常の検査です。
血液検査で異常が見られれば、骨髄検査となります。白血病は、早期の診断・治療が重要です。上記のような症状が表れたら、必ず病院で検査を受けることが大切です。

この記事の監修医師