「膣がんを疑うしこりの特徴」はご存知ですか?検査法・症状についても解説!
腟がんは女性の生殖器に発生するがんの一つで、かかることがまれながんです。
腟がんは初期段階では症状が少ない病気ですが、進行するにつれてさまざまな症状が現れ、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
この記事では、腟がんの症状・関連する病気・検査方法などについて詳しく解説します。
腟がんの早期発見・早期治療のために、症状の理解と定期的な検診の重要性を知って、健康を守る手助けとしてください。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
腟がんとは?
腟がんは、女性の生殖器の一部である腟(膣)の内壁に発生するがんを指します。このがんは、ほとんど腟の表面に生じる扁平上皮がんです。
また、腟がんにかかった人の半数以上は70歳以上の高齢者とされています。初期段階では症状がほとんど現れないため、定期的な婦人科検診が非常に重要です。
進行すると、出血・おりものの変化・性交痛などの症状が現れることがあります。腟がんの原因は明確には分かっていません。しかし、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関与していることが知られています。
HPVは性感染を主な感染経路とするウイルスで、子宮頸がんや腟がんのリスクを高めることが分かっています。
早期発見・早期治療が生存率を大きく向上させるため、不正出血や異常なおりものなどの症状が現れた場合は、速やかに医師の診察を受けることが重要です。
腟がんのしこりの特徴
腟がんは、進行すると腟内にしこりや腫瘍を形成することがあります。
このしこりは、腟がんの典型的な症状の一つで、位置や大きさ・痛み・表面の状態において特徴があります。位置と大きさとしては、特に腟の後壁にしこりが生じることが多いです。
このしこりは初期段階では小さく、触っても感じることは難しい場合があります。しかし、がんの進行にともなって大きさが増してくる場合があります。
また、しこりの表面は一般的に滑らかです。ただし、表面がざらざらとした感触がある場合もあります。そして、このしこり自体は痛みを伴うことは多くありません。
しかし、がんが進行して周囲の組織や神経を侵すようになると、痛みや不快感を覚えることがあります。
腟がんの検査
腟がんの早期発見のためには、定期的な婦人科検診が非常に重要です。
腟がんを検査するためには、生検と呼ばれる皮膚を採取して検査を行う方法と、腟拡大鏡を用いて直接内部を観察する方法が行われます。
皮膚の患部のサンプルを採取して検査
腟がんの検査方法として代表的なものの1つが、腟の異常部分から組織のサンプルを採取して顕微鏡で細胞の変化を調べる方法です。
この検査により、がん細胞の存在やがんの種類の特定が可能です。医師は、特殊な器具を使用して腟の異常部分から組織のサンプルを採取します。
この際、少しの痛みや不快感を覚えることがありますが、一般的には短時間で終わります。
腟拡大鏡を使った内部の観察
もう1つの腟がんの検査方法が、腟拡大鏡(コルポスコープ)を使用して、腟の内部を拡大して観察する検査方法です。
この検査により、腟の異常部分やしこりの位置・大きさ・形状を詳しく確認できます。検査を行う際、診察台に横たわり、医師は腟拡大鏡を腟に挿入します。
腟がんの症状
腟がんは、初期段階では症状が出にくい病気です。しかし、進行すると下記の症状が現れることがあります。
- 不正出血
- 腟のしこり
- 排尿痛
これら3つの腟がんによる症状について詳しく解説しましょう。
不正出血
不正出血は、腟がんの典型的な症状の一つです。不正出血とは、月経以外の時期に腟から出血することを指します。特に、性交後や物理的な刺激後に出血することが多いです。
また、量は少ないことが一般的ですが、がんが進行すると量が増えることもあります。
不正出血は他の婦人科系の疾患でも見られる症状であるため、突然の不正出血や継続的な出血がある場合は、速やかに医師の診察を受けることが重要です。
腟のしこり
腟がんの症状として、腟内にしこりや腫瘍が形成されることがあります。腟がんの初期段階ではしこりは小さく、触っても分かりません。
しかし、ある程度腟がんが進行した後には、しこりは大きく固くなっているため触診によって判別できる場合があります。
また、しこりの周囲には痛みや不快感が伴うことがあります。しこりも腟がんの症状の1つであるため、腟にしこりを感じた場合には専門の医師の診察を受けることが重要です。
排尿痛
腟がんが進行すると、排尿時に痛みを感じることがあります。痛みは、がんが膀胱や尿道に広がることで引き起こされることが多いです。排尿痛は、膀胱炎など他の疾患でも見られる症状です。
しかし、他の症状と合わせて排尿痛が継続的に続く場合は、腟がんの可能性も考慮して医師の診察を受けるようにしましょう。
腟にしこりができる病気
腟にしこりができるのは腟がんだけが原因ではありません。下記の病気でも腟にしこりが生じます。
- 外陰がん
- バルトリン腺嚢胞
- 尖圭コンジローマ
- 梅毒
- 腟壁嚢胞
それぞれ異なるしこりの特徴や症状があります。ここでは、腟にしこりができる主な病気とその特徴について詳しく解説しましょう。
外陰がん
外陰がんは、女性の外陰部に発生するがんの一種です。外陰がんでは初期段階では皮膚の色が変わったり、小さなしこりや潰瘍ができることが特徴として挙げられます。
進行すると、しこりが大きくなり、痛みやかゆみを伴うことがあります。
バルトリン腺嚢胞
バルトリン腺嚢胞も腟付近にしこりが生じる病気です。このバルトリン腺は、腟の入り口近くに位置する腺で、この腺が詰まると嚢胞(のうほう)ができることがあります。
腟の入り口付近に痛みを伴うしこりができるのが特徴で、感染すると赤く腫れ上がり、熱を持つことがあります。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる性感染症の一つです。
腟や外陰部に小さなイボのような突起ができることが特徴で、これがしこりとして感じることがあります。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる性感染症です。初期の梅毒では、感染部位に硬くて痛みのないしこりができます。このしこりは数週間で自然に消えることが多いです。
ただし、しこりが消えても自然に治った訳では無い点には注意が必要です。
腟壁嚢胞
腟壁嚢胞は、腟の壁に液体がたまってできる嚢胞です。腟内に無痛のしこりができるのが特徴で、大きくなると性交時の痛みや排尿障害の原因となることがあります。
「膣がん」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「膣がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
腟にしこりがあった場合どうすればいいですか?
馬場 敦志医師
腟にしこりができる病気は腟がん以外にもさまざまあるので、どの病気であるのか確定させるためにも検査する必要があります。
しかし、腟のしこりをご自身で見つけるのは困難です。子宮系の検診にて偶然発見されるケースも少なくありません。ご自身の身体の状態を知るためにも、定期検診をおすすめします。
腟がんは完治しますか?
馬場 敦志医師
手術をすることが腟がんの完治の可能性を高めます。
1980〜2000年の20年間で発表された論文の症例より、手術と放射線それぞれの5年生存率を調べたデータによると、ステージ1の場合は77%と68%・ステージ2の場合は52%と48%でした。
しかし再発すると予後は悪く、局所であっても5年生存率は20%と低いので完治は期待できないです。
編集部まとめ
腟がんは、女性の生殖器に発生するがんの一つで、早期発見が非常に重要です。腟がんの主な症状は、不正出血・腟のしこり・排尿痛などです。
特に、腟にしこりを感じた場合、それが腟がんのサインである可能性も考えられます。しかし、しこりができる原因は他にも多く、外陰がん・バルトリン腺嚢胞・尖圭コンジローマなど、さまざまな病気が考えられます。
そのため、腟にしこりを感じた場合には、かならず病院に行って診察を受けましょう。
腟がんの早期発見・早期治療が、より良い治療結果をもたらす鍵となります。
定期的な婦人科検診を受けることで、初期段階での発見が期待できます。何か異常を感じた場合は、専門の医師の診察を受けましょう。
腟がんと関連する病気
「腟がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの病気は、腟がんと同じく女性の生殖器に関連する疾患です。症状や原因が似ているため、専門の医師の診察を受けることで正確な診断を受けることができます。定期的な婦人科検診を受けることで、これらの病気の早期発見・早期治療が期待できます。
腟がんと関連する症状
「腟がん」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 不正出血
- 腟のしこり
- 排尿痛
- 腟分泌物の変化
- 下腹部の痛み
- 腰痛や脚のむくみ
腟がんは初期症状が現れにくい病気です。しかし、これらの症状が現れた場合は、腟がんの可能性があるため、専門の医師の診察を受けるようにしましょう。