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「胆嚢がんの症状」はご存知ですか?検査の流れや治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/18
「胆嚢がんの症状」はご存知ですか?検査の流れや治療法も解説!【医師監修】

胆嚢(胆のう)がんとは、肝臓で分泌された胆汁を貯留する「胆嚢」に生じる悪性腫瘍を指します。

「胆嚢がんの症状にはどのようなものがあるのだろう」、「原因や治療法について知りたい」など胆嚢にできる腫瘍に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では胆嚢がんの症状・原因・治療法・検査の流れについて解説しています。気になる症状がある方はぜひ参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

胆嚢がんの症状とは?

胆嚢がんは早期だと症状が出にくいのが特徴です。進行するにつれ、以下のような症状がみられます。

  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 倦怠感
  • 腹痛
  • 腹部腫瘤
  • 黄疸
  • かゆみ

それぞれについて以下で詳しくみていきましょう。

食欲低下・体重減少・倦怠感など

胆嚢の役割は、胆汁を分泌し、脂肪の消化吸収を助けることです。しかしがんの発生により、腫瘍が胆嚢や周囲の組織を圧迫することで、胆汁分泌量が減少するため消化吸収機能に影響を及ぼします。
このようなメカニズムにより食欲の低下と栄養不足を起こし、結果的に体重減少や倦怠感を引き起こします。また、癌細胞は体内の栄養を消化し成長するため、体内のエネルギーを消費してしまうのも倦怠感を生じる要因のひとつです。

腹痛・腹部腫瘤(しゅりゅう)

胆嚢は肝臓の下に位置し、右下腹部に存在する臓器です。がんが生じると周囲の組織を圧迫するため、がんの発生部位周辺で痛みを生じる場合があります。
そのため、右上腹部痛と呼ばれるみぞおちや右の脇腹あたりの痛みは、胆嚢がんの症状のひとつです。また胆嚢内でのがんの増大により、腹部腫瘤となる場合もあります。

黄疸・かゆみ

目や皮膚が黄色く変化する黄疸やかゆみは、このがんの代表的な症状のひとつです。本来、胆汁は胆道を通過し十二指腸に流れますが、がんの発生により胆道が閉塞されると胆汁がうっ滞します。
胆汁のうっ滞により、胆汁に含まれるビリルビンが血液中に増加しますが、ビリルビンが持つ黄色の色素が影響し「黄疸」の症状を引き起こします。また、かゆみも血液内のビリルビンが増えることが原因です。

胆嚢がんを引き起こす要因

胆嚢がんを引き起こす要因には以下の3つが挙げられます。

  • 胆石症
  • 胆嚢腺腫
  • 膵胆管合流異常症

以下でこれらについて詳しくみていきましょう。

胆石症

胆石症とは胆嚢の中に結石が形成される状態であり、胆汁の排出障害などによって起こります。
胆汁の成分である胆汁酸・コレステロール・ビリルビンなどのバランスが崩れることや、長期間にわたる胆石の存在により、胆嚢の炎症や胆嚢壁の損傷を引き起こします。これは胆嚢がんにつながる要因のひとつです。

胆嚢腺腫

胆嚢腺腫とは胆嚢の中に腫瘤ができる病変であり、胆嚢がんの一種である胆嚢腺がんへ進展する場合があります。胆嚢腺腫が、腫瘍の発生原因となる理由には以下が挙げられます。1つ目はがん化しやすい胆嚢腺腫の場合です。
一部の高度な腫瘤は、癌細胞が存在する可能性が高く、悪性化への進展リスクが増加します。2つ目は胆嚢腺腫が増大した場合です。
胆嚢壁や隣接する組織に浸潤すると、悪性化への進展リスクが高まる可能性があります。3つ目は炎症を有する場合です。胆嚢腺腫の周りに慢性的な炎症があると、悪性化への進展リスクが高まります。

膵胆管合流異常症

膵胆管合流異常症とは胆管と膵管が十二指腸の外側で合流してしまう生まれつきの病気です。膵胆管合流異常症は比較的、発生頻度の少ない疾患ですが、約60〜90%の患者に胆嚢がんを合併するとされています。

胆嚢がんかな?と思ったら何科を受診すればいい?

胆嚢がんは消化管疾患のため、消化器内科を受診しましょう。しかし消化器疾患の種類は多岐に渡るため、事前に胆嚢にできたがんの診療に対応している病院かを確認した上で受診するとスムーズです。

胆嚢がん検査の流れ

胆嚢がんの検査には次の3つがあります。

  • 血液検査
  • MRIやCTなどの画像検査
  • 内視鏡検査

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

血液検査

胆嚢に悪性腫瘍が発生することで胆嚢や胆管の機能障害を有する場合、総ビリルビン・ALP・γ-GTPの数値が上昇します。
そのため血液検査では、これらの値に異常が無いかを確認することで早期発見につながります。

MRIやCTなどの画像検査

MRI検査は巨大な磁石の中に入り撮影する方法で、体内の細胞に含まれる水素原子を磁力と電波を利用し画像化したものです。
一方でCT検査は造影剤を用いた検査方法で、体の断面を撮影した複数の写真をコンピューターで処理し、画像として出力したものです。CTよりもMRIの方がより精密とされますが、これらの検査結果は腫瘍の部位や転移などを調べるのに役立ちます。

内視鏡検査

胆嚢がんに対する内視鏡検査はERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)が代表的です。内視鏡を十二指腸まで進め、胆管内に挿入したカテーテルから造影剤を注入する方法で、直接的に胆道を造影します。

胆嚢がんの治療法

胆嚢がんの治療法には次の3つが挙げられます。

  • 手術
  • 抗がん剤による化学療法
  • 放射線治療

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

手術

胆嚢にできた悪性腫瘍に対する手術方法は、胆嚢摘出術・胆嚢摘出術と肝床切除術を組み合わせた術式・拡大右肝切除術・拡大右肝切除術と肝外胆管再建術の4つのパターンがあります。1つ目の胆嚢摘出術とは胆嚢のみを取り除く手術で1〜2時間程度の比較的短時間の手術です。
癌細胞が胆嚢の中に限局している場合に選択されます。
2つ目の胆嚢摘出術と肝床切除術を組み合わせた術式では、胆嚢を取り除くだけでなく、胆嚢の接地面である肝臓の一部も取り除く手術です。癌細胞が胆嚢の中に留まらず、肝臓の一部まで広がっている場合に選択されます。
3つ目の拡大右肝切除術は胆嚢と一緒に右側の肝臓も切除する手術方法です。癌細胞が右側の肝臓に広がっているが、胆管には進出していない場合に選択されます。
4つ目の拡大右肝切除術と肝外胆管再建術は、上記での拡大右肝切除に加え、胆管の切除と胆道の再建を行う手術方法です。胆嚢がんが胆管まで広がっている場合に行われ、8〜10時間の長時間手術となります。

抗がん剤による化学療法

抗がん剤による化学療法とは、癌細胞の成長や転移を抑えるための治療方法で、全身化学療法と局所化学療法の2種類があります。全身化学療法とは、癌細胞の全身的な治療を目的とし、抗がん剤を静脈注射や服薬などの方法で体内に投与する治療法です。薬剤が血液中を循環して全身に広がるため、主に進行がんや転移がんで用いられ、癌細胞の成長や転移を抑える効果をもたらします。
全身化学療法は手術や放射線治療と併用する場合も多いのが特徴です。例えば手術前に全身化学療法を行い、癌細胞をある程度小さくしてから手術を行う事例も挙げられます。一方で局所化学療法とは、抗がん剤を癌細胞が存在する部位へ直接投与する方法です。
そのため、癌細胞に対して高濃度の抗がん剤を直接投与する局所化学療法は、限局的な治療に向いています。どちらの方法を選択するかは、目的や病期によって変わります。

放射線治療

放射線治療は高エネルギーX線などの放射線を用いて癌細胞を消失させる治療方法で、外照射と腔内照射の2種類があります。
外照射とは体表面から放射線を当てる方法です。一方で腔内照射とはカテーテルやワイヤーなどの管を体内に挿入し、癌細胞へ放射線を照射する方法です。がんの進行度などによって、どちらを選択するかが異なります。

胆嚢がんの症状についてよくある質問

ここまで胆嚢がんの症状について紹介してきました。ここでは「胆嚢がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

初期段階では無症状が多い胆嚢がんを早期発見する方法は?

偶然検診で受けた腹部超音波で発見される場合があります。健康診断を受ける機会のある人は、意識してみてください。

胆嚢がんになりやすい人はいますか?

男性よりも女性の方がなりやすく、高齢者の方に多くみられます。

編集部まとめ

胆嚢に発生した悪性腫瘍は初期だと無症状の場合が多く、進行してから黄疸や腹痛などの症状を呈します。

また進行の度合いにより治療方法や手術の難易度も変わるため、早期の検査や治療が重要です。

「右のわきばらの痛みが続いている」・「白目部分が黄色くなってきた」・「皮膚にかゆみが出てきた」など気になる症状があればすぐに病院を受診しましょう。

膀胱がんと関連する病気

「膀胱がん」と関連する病気は3個ほどあります。
胆嚢がんと関連する病気は4個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液系

詳しく検査をするまで他の病気と見分けがつきにくいため、気になる症状がある方はまずは内科を受診しましょう。

胆嚢がんの症状と関連する症状

胆嚢がんの症状と関連する症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • お腹の痛みが続いている
  • 体全体に熱っぽさがある
  • 白目の部分が黄色くなった
  • 皮膚にかゆみが出ている

胆嚢にできた悪性腫瘍は見つかった際には進行している場合が多いため、当てはまる症状がある場合は早めに病院受診しましょう。

この記事の監修医師

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