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「咽頭がんの原因」はご存知ですか?症状やセルフチェック法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/12/04
「咽頭がんの原因」はご存知ですか?症状やセルフチェック法も解説!【医師監修】

咽頭がんは、のどの異常を感じたことでわかるケースが多いがんです。初期の自覚症状がないため普段から注意しておく必要があります。

では、咽頭がんの原因とはどのようながんなのでしょうか。そもそも咽頭とはどの部分を示すのかも気になります。

ここでは、咽頭がんの症状・診断・病期・検査方法・治療方法などを解説します。

この記事で自分自身の症状で気になることがある場合の受診の参考になる情報を手にいれましょう。

渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

プロフィールをもっと見る
1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長

咽頭がんの原因とは?

咽頭は、鼻腔・口腔に続いて、咽頭・食道に至る管腔を指します。咽頭の構造は、上から上咽頭・中咽頭・下咽頭に分かれていて、その部位により少しずつ咽頭がんの原因に違いがあります。
上咽頭は、頭蓋底から軟口蓋の高さまでの部位です。上咽頭の発がんは、エプスタイン・バール・ウイルス(EBウイルス)が原因とされています。中咽頭は、軟口蓋から舌骨大角の高さまでです。
中咽頭がんでは、ヒト乳頭種ウイルス・飲酒・喫煙などが原因とされています。下咽頭は、舌骨大角から輪状軟骨下縁の高さまでです。この下に食道が続きます。下咽頭がんは飲酒・喫煙が原因とされています。

咽頭がんについて

咽頭がんについて、詳しくみていきましょう。咽頭がんは、原因と同様に発がんした部位によって症状が異なります。しかし、共通していえることは、初期の自覚症状はみられない可能性があることです。
早期に症状がみられない場合は、進行して初めて症状が出ることになりますので、注意が必要です。

症状

上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんのどの部位でも、初期の自覚症状はみられないことがあります。しかし進行の度合いによっては、それぞれに異なった症状をみることがあります。
上咽頭がんで多くみられるのは、がんが頸部リンパ節に転移したことによる首のしこりです。それ以外でも、鼻づまり・鼻血・鼻水に血が混ざるといった鼻の症状や、耳がつまった感じ・聞こえにくいといった耳の症状があります。また、脳神経に影響を及ぼしている場合は、目が見えにくくなる・二重に見えるなどの症状がでることがあるのです。
中咽頭がんでは、飲み込むときの違和感・おさまらない咽頭痛・のどからの出血・口や舌を動かしにくい・耳の痛み・声の変化などがあります。下咽頭がんの症状は、飲み込むときの違和感・咽頭痛・のどからの出血・耳の痛み・首のしこり・声の変化などです。

診断

診断は、まず触診・内視鏡検査を行います。中咽頭では、咽頭鏡検査が加わる場合もあります。これによりがんが疑われる場合は生検の実施です。これは組織を採取して詳しく調べる検査です。
また、がんの大きさ・リンパ節や他臓器への転移などを確認するために、CT検査・MRI検査・超音波検査・PET検査が行われます。

病期(ステージ)

治療は、がんの進行の程度を示すステージ(病期)・がんの性質・身体の状態などに基づいて検討します。がんの進行の程度であるステージは、上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がん共に、0期からIV期に分けられているのです。ステージのカテゴリーは、3種類あります。

  • Tカテゴリー(原発腫瘍の広がり)
  • Nカテゴリー(頸部のリンパ節に転移したがんの大きさと個数)
  • Mカテゴリー(がんができた場所から離れた臓器への転移の有無)

中咽頭がんの場合は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染に関連する項目が追加されます。

予後

治療によって咽頭がんが治ったと判断された後しばらくは、定期的な通院と検査で経過観察を行います。上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんともに再発する場合は、治療後2年以内であることが多いとされています。その後は緩やかな減少です。
受診の間隔は人によって異なりますが、治療後2年以内は継続的な受診が必要で、その後少なくとも5年間は経過観察を目的とした通院になります。中咽頭がんの場合は、人によって異なりますが、治療後2年以内は1~2ヶ月に1回のサイクルで受診することになるでしょう。
受診した時には、再発・転移・治療後の合併症などを早期に発見するために、内視鏡検査・首の触診・画像検査などを実施します。

咽頭がんの検査方法

では、咽頭がんの検査では、どのような検査がどのように行われるのでしょうか。がんの疑いの判断をする内視鏡検査と生検について解説します。

内視鏡検査

内視鏡検査は、鼻腔に局所麻酔をかけたあと、内視鏡を鼻から入れて咽頭を確認する検査です。
上咽頭がんでは鼻や耳に症状があらわれることがあります。成人で初めて滲出性中耳炎になって通院してきた場合は、耳鏡による検査に加えて、この内視鏡検査を行い上咽頭を確認するのです。中咽頭がんの場合は、同時に食道にがんがある可能性が考えられますので、胃カメラでがんが重複していないか調べることを推奨しています。
下咽頭がんでは、食道がんだけでなく胃がんの可能性もあるため、同じく胃カメラでがんが重複していないかを調べることがあります。

生検

生検は、咽頭に局所麻酔をかけて内視鏡で確認しながら、疑いのある病変の一部を採取する検査です。採取した組織は、顕微鏡で詳しく調べがんかどうかを判断します。
中咽頭がんでは、ヒトパピローマウイルス感染の有無でTNM分類や病期が異なるため、採取したがん組織を免疫染色でp16陰性・p16陽性の判断を行います。下咽頭がんでは、食道がん・胃がんが同時に発症している可能性があるため、生検だけでなく胃カメラでの検査がすることを勧めます。

咽頭がんの治療方法

咽頭がんの治療は、がんの進行の程度・組織型に応じて標準的な治療のガイドラインがあります。これに加え、本人の希望・生活環境・年齢・体の状態など総合的な判断を行い、治療方法を決めていきます。
上咽頭がんでは、低分化・未分化のがん細胞が大部分なので、放射線治療で消滅・弱小化を行うことが多いです。また上咽頭は、手術が難しい部位であることも放射線治療をメインとした治療法をとる理由の1つです。
中咽頭がんでは、がんの状態を改善するだけでなく、飲み込むこと・発声といった普段の生活に関連する機能に対する対処が重要になります。そのため手術と手術以外の治療法を組み合わせたり、比較してよい方を選んだりといった方法をとります。
下咽頭がんの場合は、初期には咽頭の温存を目指しますので、放射線治療・咽頭温存手術を選択することが多いようです。では、それぞれの治療方法について説明します。

放射線治療

放射線治療は、がん細胞に放射線をあてて破壊する治療です。これにより、がんを消滅させたり小さくしたりといった効果が期待できます。咽頭がんでは、体の表面から放射線をあてる外部照射を30~35回行います。
上咽頭がんの放射線治療では、さまざまな方向から放射線をあてる強度変調放射線治療が多く、メリットとしては放射線治療による副作用を軽減できるのです。中咽頭がんの治療は、放射線治療のみ行う場合と放射線治療と薬物療法とを併用する化学放射線療法を行う場合の2つのパターンです。
下咽頭がんでは、薬物療法と併用して放射線治療を行う化学放射線療法が多くなります。薬物を併用することで、より放射線治療の効果が高められます。

化学療法

化学療法は、抗がん剤・化学物質などを使ってがん細胞の増殖を抑えたり、破壊したりするものです。投与されたこれらの薬剤は、血液中に入って全身を駆け回り体中のがん細胞を攻撃・破壊します。
外科療法・放射線療法のように局所的ながんの治療とは異なり、すでに広い範囲に転移している状態のときに、全身を治療するために用いられます。

外科的治療

上咽頭がんは、その部位の手術が難しいため、手術はほとんど行われません。たとえば、頸部リンパ節に転移している場合であっても放射線治療が優先されます。ただし、外科的治療を行う場合もあります。
中咽頭がんでは、がんとリンパ節の切除が中心です。切除したことで、部位の機能が失われる場合は再建手術も検討されます。
下咽頭がんの手術は、内視鏡を使った経口的切除術・咽頭温存や下咽頭部分切除術・咽頭全摘手術・下咽頭部分切除術・下咽頭全摘術・咽頭全摘術・頸部食道全摘術などが行われます。

中咽頭がんについて

咽頭がんの中でも、中咽頭がんは、特に注意が必要です。中咽頭は、咽頭の中間部分にあたり、軟口蓋・口の奥の突き当たりの壁・口蓋扁桃、舌根が含まれています。たとえば軟口蓋は、飲食物を飲み込むときに上がり鼻腔への通り道をふさぐ役割をします。こういった部位であるため、咽頭がんになるとさまざまな生活上のデメリットを受けることになるのです。
では、どのような特徴があるのかを説明します。

初期症状

中咽頭がんの初期症状として、いくつか挙げられます。

  • 飲み込みの際の違和感
  • 継続した咽頭痛
  • のどからの出血・血痰
  • 口を開けにくい
  • 舌を動かしにくい
  • 耳の痛み
  • 片側の扁桃腺の腫れ
  • 首のしこり
  • 声の変化

以上のような症状がみられます。

自覚症状

上咽頭がんや下咽頭がんでは、初期の段階も含め自覚症状がわかりにくいです。しかし中咽頭がんにおいては、初期症状にみられるようにはっきりとわかるのどの違和感が出る場合があり、自覚しやすい咽頭がんといえます。

「咽頭がんの原因」についてよくある質問

ここまで咽頭がんの症状・検査方法・治療方法などを紹介しました。ここでは「咽頭がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

セルフチェックのポイントについて教えてください

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

先述したとおり、初期の自覚症状がみられない場合が多いため気づきにくいですが、以下のポイントが挙げられます。

  • 食事が喉を通りにくい
  • 鼻詰まりや鼻血がみられる
  • 風邪でもないのに声がかすれる

がんが進行して症状がみられる場合があるため、違和感を放置せず上記のような症状がみられる場合は医療機関を受診しましょう。

予防方法について教えてください

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

咽頭がんだけではなくがん全般の予防方法としてもいえますが、喫煙・禁酒を行いましょう。もしお酒を飲む場合は、規定量を守ってください。また、食生活を見直したり運動を取り入れたりすることもがんの予防方法として重要です。生活習慣の見直しを行いましょう。

編集部まとめ

初期の症状として自覚がない咽頭がんは、症状が進行して初めて気づく場合も少なくありません。

ちょっとしたことでのどに違和感を覚えたり、いつまでも咳が止まらなかったりといった普段とは異なる症状がある場合は、早めに専門の医師に相談することが重要です。

「咽頭がん」と関連する病気

「咽頭がん」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

これらは、咽頭がんと同様にのどやその周辺に発生するがんです。また近い場所にあるため口腔組織に影響を与えることを考えると、のどの炎症やそれが原因で潰瘍ができたりする可能性もあります。

「咽頭がん」の症状と関連する症状

「咽頭がん」の症状と関連する症状は、6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • のどに関連する痛み・違和感・不快感
  • 食べ物や唾液の嚥下困難
  • 声の変化
  • 耳の痛み
  • のどの出血
  • 咳や痰

のどの周辺やのどにつながる部位での違和感や痛みは咽頭がんの症状と関連する可能性がありますので注意が必要です。これらの症状が長期にわたり継続する場合は、早めに専門の医師に相談しましょう。

この記事の監修医師