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「喉頭がんの初期症状」はご存知ですか?治療法・検査法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/29
「喉頭がんの初期症状」はご存知ですか?治療法・検査法も解説!【医師監修】

喉頭がんは、声を失う病気として認識されている方も多いでしょう。しかし実際には、早期発見・早期治療により、多くの方が声帯を温存した治療で根治を目指すことが可能です。

喉頭がんの初発症状は風邪による症状とよく似ているため、喉頭がんの兆候として気づかれにくく、発見が遅れるケースも少なくありません。

今回の記事で気になる症状・思い当たることがあれば、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診することをおすすめします。

喉頭がんとは?

喉頭は声帯が存在する器官を指します。気管と咽頭の間に位置する、いわゆる喉仏にあたる部位です。
この部位に生じる悪性腫瘍を喉頭がんといいます。喉頭がんの大半は声帯から発生し、進行した場合はこれまでの声を失わざるをえない場合もあります。しかし、早期に発見されたがんは声帯の温存治療が選択肢に加わり、これまでの声を残した状態での治癒の可能性が高まります。
解剖学的特徴から、喫煙との関係が深く、非喫煙者における発症は稀です。また、男女で発症率に大きな差があり、男性は女性の10倍高いことも喉頭がんの特徴の一つです。

喉頭がんの初期症状

がんのできる部位により細かな症状は異なります。初期の段階においては発声・嚥下・呼吸の機能に関連する以下の症状が多く出現します。

声がかすれる

風邪をひいた時のようなガラガラ声・しわがれた声など、発声時に雑音の混ざりがみられます。声帯に悪性腫瘍ができる喉頭がんは、嗄声(声のかすれ)が多く現れるため、早期発見につながる症状といえます。

喉の違和感

喉の一定の場所に、異物感・痛みが現れます。自覚症状が乏しく声のかすれよりも見過ごされやすいため、早期発見につながりにくいのが現状の課題といえるでしょう。

食べ物が飲み込みにくい

飲食物が喉を通りにくく、嚥下時の違和感があります。痛みを伴うこともあり、進行が進むにつれ息苦しさを感じるようになります。

喉頭がんの治療法は

がんの進行程度・病状に応じた標準治療を基本に、患者さんの希望を考慮した治療方針が選択されます。

声帯を温存する治療法

リンパ節・他臓器に転移が無い早期の喉頭がんに対しては、放射線治療により高い根治率と声の温存を目指すことが可能です。
また、病変が小さく声帯内に限局していれば、内視鏡・レーザーを用いて喉頭の一部を切除します。レーザー切除の場合、やや声質に影響は出るものの、短期間の入院で根治を目指せます。
ただし、咽頭の部分切除は術後の嚥下機能に影響を及ぼすため、高齢の方には注意が必要な治療法です。

手術療法

手術は、以下の3つに大別され、このうち2つ目までは温存手術に分類されます。

  • 経口的切除術・内視鏡切除:病変が声帯と声門上部方面に限局する場合に適応される術式です。口から専用の手術機器を挿入し、病変を経口的に切除する方法です。
  • 喉頭部分切除術・喉頭亜全摘術:頚部を切開し、病変を切除する手術です。一部の声帯は温存されるため、発声・呼吸は可能です。しかし、構造変化により嚥下機能が低下することがあるため、早期の嚥下訓練が推奨されます。また年齢を考慮した誤嚥リスクなども十分に検討する必要があります。
  • 喉頭全摘出術:声帯を含め喉頭を全摘出するため、基本的には失声状態となります。さらに、下頚部に呼吸のための穴(永久気管孔)を形成する必要があります。術後は鼻・口から行っていた呼吸を永久気管孔から行うことも含め、完全摘出術はQOLに強い影響を与える術式です。そのため、患者さん本人・ご家族などと十分な話し合いを経て決定されます。

放射線治療

一般的に早期がんにおいては、放射線治療で良好な予後と治癒が見込めます。また、進行がんであっても声の温存を希望される場合は、放射線治療に抗がん剤を組み合わせた化学放射線療法による経過観察が推奨されています。
抗がん剤の併用により、放射線治療の効果を高める化学放射線療法は、副作用症状が強く現れることがあるため注意が必要です。予測し得ない症状が現れる可能性もあるので、気になることは早めに主治医に相談することが大切です。

喉頭がんの検査法

喉の違和感・声のかすれなどの自覚症状を訴える場合、喉頭がんを含めた潜在的な疾患を考慮して診療を進めます。

内視鏡検査やエコー診断

内視鏡検査では、鼻から内視鏡を挿入し、腫瘍の大きさ・声帯機能・気道の状態を観察します。喉頭がんの診断において、頸部リンパ節への転移の評価も重要です。
触診により首のリンパ節に腫れが認められれば、超音波検査などを実施し、転移の有無・位置関係・病態の進行度合いなどから病期を判断します。
また、喉頭を含む頭頸部領域の重複癌において、過去実施された臨床統計によれば食道・胃・肺の順に多いことが報告されています。
さらに、食道癌または胃癌が同時期に発見された症例では、5年以上の長期生存率が約18%程度という厳しい結果でした。そのため、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で重複がんの検索も同時に行うことが多く、早期発見・早期治療が予後の改善に向けた鍵となります。

生検などの病理検査

触診・内視鏡などを用いて喉頭を観察し、悪性腫瘍が疑われる場合は、生検を行い病理的にがんの診断をつけます。生検を行う際は、局所麻酔などを使用して腫瘍の一部を採取することが一般的です。
しかし、喉が敏感で刺激が強すぎる場合には、全身麻酔下で生検を行うこともあります。

CTやMRIを使う

CT・MRIを用いた画像検査では、より進行した病変の診断に有効性を示します。原発巣の浸潤程度を正確に把握するため、それぞれが相補的な役割を果たしています。

PET-CT検査

初期症状が軽微な場合、がんの原発巣(がんの発生元)の特定が難しいことがあります。PET-CTは、一度の検査で全身の臓器を検索することに優れた特徴を持ちます。
しかし、声帯は1cm程度の小さな臓器であるため、喉頭がんの診断において、PET-T検査の有効性はやや限定的です。従って、内視鏡検査などの主要な方法と組み合わせて、補完的な役割を果たす検査として検討されます。
PET-CT検査の適用については、患者さんの病態よっても異なるため、診断・治療計画・再発検出などの各段階で医師の判断に基づいて行われます。

喉頭がんは器官により症状が違う?

同じ喉頭がんでも、がんが発生する部位により声門がん・声門上部がん・声門下部がんの3つに分類され、それぞれ症状が若干異なります。

声門がんでは嗄声(させい)が現れる

発声に必要な声帯にがんが発生する声門がんは、初期症状で嗄声(声のかすれ)が出現することがほとんどです。がんの進行により嗄声の症状が増悪するとともに、血痰・呼吸困難も出現し始めます。
声門がんは、早期の段階で自覚があり、診断がつきやすいとされています。

声門上部がんは異物感や首の腫れがみられる

声門上部がんは初期症状に乏しく、喉の違和感程度のことが多いです。風邪の症状と勘違いし、受診が遅れがちになることも少なくありません。嗄声・首のリンパ節の腫れが認められる場合は、声帯までがんが進展しており、進行した状態といえるでしょう。

声門下部がんは息苦しさがある

声門下部がんの初期段階は、無症状であることが多いです。がんがある程度進行して初めて、嗄声・息苦しさなどの自覚症状を認めます。進行した状態で受診されるケースが多く、声門がんと比較すると早期発見が困難です。

喉頭がんについてよくある質問

ここまで喉頭がんの初期症状について紹介しました。ここでは「喉頭がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

咽頭がんとの違いはどこを指す?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

咽頭がんは鼻から食道につながる部分にできたがんをいいます。喉頭とは気管と咽頭を結ぶ部分で、その部分にできたがんが喉頭がんという違いです。

治療後の副作用は何がある?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

主に、声のかすれ・皮膚炎・味覚障害などがみられます。

まとめ

日本では60歳以上の発病が多く、年間約5500人が喉頭がんと診断されています。がんの発生部位により症状・進行パターン・予後などに違いがあり、それぞれに適切なアプローチが必要です。

がんを早期に発見すれば、治療計画の選択肢も広がり、さらに声帯の機能を保持できる見込みが増します。

いつもと違う発声・喉の違和感など、些細なことでも気になる症状があれば、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診し精密検査を受けましょう。

喉頭がんと関連する病気

「喉頭がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 喉頭ポリープ
  • 喉頭肉芽腫
  • 声帯白板症
  • 喉頭結核

喉頭がんの多くは声帯に発生するため、喉仏周辺に何らかの病態が生じているケースがほとんどです。喉関連の症状の原因を検索する際、悪性腫瘍が見つかることもあります。

喉頭がんと関連する症状

「喉頭がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 嗄声(声のかすれ)
  • 喉の異物感
  • 飲み込みにくい
  • 嚥下痛
  • 血痰
  • 頚部リンパ節の腫れ・しこり
  • 息苦しさ

喉頭がんの初発症状は風邪の諸症状と似ているため、あまり重く考えず受診が遅れるケースもあり、がんが進行すれば温存可能な器官も限られます。2週間以上経過しても改善が見られなければ、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診しましょう。

この記事の監修医師