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「胆管がんの原因」はご存知ですか?症状・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/20
「胆管がんの原因」はご存知ですか?症状・治療法も解説!【医師監修】

胆管がんは、肝臓から十二指腸に繋がる胆管に発生するがんです。以前は画像診断が困難なため、確定診断後症状を把握が困難ながんとされてきました。

治療後の再発・術後合併症など、治療後の経過観察が重要視されており、治療方法は手術に加え複数の治療法を併用するのが特徴です。

今回は胆管がんの原因・症状・治療方法について解説していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

胆管がんとは?

胆管がんとは、肝臓で作られた胆汁と呼ばれる液体を十二指腸に届ける管に発生するがんです。胆管がんは胆道がんに分類され、他に胆のう・十二指腸乳頭部がんが胆道がんに含まれています。胆道がんは50代から増加する傾向にあります。
また発症には性差が見られ、男性に多く発症することも胆管がんの特徴です。胆管がんが発生すると胆汁の流れが悪くなるため、肝臓の機能を示す数値に異常が現れます。検査にかかる負担を考慮し、血液・腹部超音波検査から診断を始めることが一般的です。

胆管がんの原因

胆管がんを含む胆道がんが発生するメカニズムは不明な点が多く、原因の特定には至っていません。胆管がんの原因は胆道に発症した慢性炎症や、生まれつき胆管が拡張している先天性胆道拡張症などの先天的疾患が、胆管がんの原因だと考えられています。近年印刷事業を行っている企業から、胆管がんが多発する事例が発生しました。
調査の結果、インク洗浄剤に含まれていたジクロロプロパン・ジクロロメタンが発症リスクを高めると指摘されました。現在上記の物質は、どちらも発症リスクを高める物質に分類されています。

胆管がんの症状

胆管がんに限らず胆道がんも初期症状が表れにくいのが特徴です。そのため、症状が発生した際は既にがんが進行している可能性があります。幸い画像診断の進歩により、以前より胆管がんの早期発見例は増加しているため、症状に気づいた場合内科・消化器科で検査を受けましょう。ここからは胆管がんの症状について解説していきます。

黄疸

黄疸(おうだん)は、ビリルビンと呼ばれる胆汁に含まれる色素が血管に多く流れることで、皮膚・白眼が黄色くなる症状です。胆管にがんが発生すると、本来十二指腸に流れる胆汁が血管に逆流し、血液中のビリルビン濃度が高まり皮膚・白眼が黄色くなります。
胆管がんを原疾患とする黄疸の大部分は閉塞性黄疸と呼ばれ、胆管がんの進行に伴い発症する症状の中でも代表的な存在です。

発熱

胆管がん・胆石などで胆管が詰まると、胆管の圧力が強まり黄疸や腹痛といった症状が発生します。圧力が高まることで十二指腸から腸内の細菌が胆管に逆流すると、細菌感染を引き起こす場合があります。急性胆管炎と呼ばれるこの症状は発熱を伴い、放置すると血管を通して細菌が全身に広がるため危険です。

ビリルビン尿

黄疸の発症と並行して発症する症状が、ビリルビン尿です。ビリルビンが尿に混ざると、色がオレンジ・茶褐色に変化します。尿の色は直近の食生活によっても変化するため、多少変わった尿が排出されても過剰に心配する必要はありません。しかしかゆみ・黄疸など他の症状に加え、尿の色が変わった場合は、内科・消化器科で検査を受けましょう。

白色便

健康診断などで胃のX線を取る場合、バリウムと呼ばれる造影剤を飲み潰瘍・ひだを確認します。このバリウムを飲んだ直後の便は白くなるため、白色便といえばバリウムを連想する人は少なくありません。バリウムを飲むと便が白くなるのは、通常胆汁が混じっている便にバリウムが含まれるためです。
胆汁が混じると便は茶色になりますが、十分に胆汁が十二指腸に送られていない場合、白・レモン色の便が排出されます。便の色・形は内臓の働きを確認するために重要です。排便後確認する癖を付けると、内臓不調の早期発見に繋がります。

かゆみ

ビリルビンの血中濃度が高まると、かゆみを覚えることがあります。これはビリルビンが皮膚の末しょう神経を刺激する効果があるためです。皮膚のかゆみが発生すると、無意識に擦り皮膚を傷つける・質の良い睡眠がとれない・アレルゲン侵入の原因などさまざまな悪影響が発生します。身に覚えのないかゆみが続いている場合、内科で検査を受けましょう。

疼痛

疼痛(とうつう)とは神経・臓器などへの刺激による反応として発生する場合と、痛みを伝える神経に異常が発生することで痛みに繋がる2種類に大きく分類できます。胆管がんは前者の侵害受容性疼痛に分類され、非ステロイド性抗炎症薬・麻薬性鎮痛剤の使用が検討されます。

胆管がんの検査

胆管がんはまず黄疸から始まり、白色便・ビリルビン尿と進行するため、問診で胆道がんと絞り込むことが可能です。胆道がんの疑いがある場合、まずは血液検査・腹部超音波検査を行い、胆管・胆のう・乳頭部の検査を行います。胆管・胆のうがんに絞り込まれた後はCT検査を行い、病巣の特定・がんが周囲に広がっているかなどを評価した後、その結果を元にMRI・病理検査などの検査に進みます。

胆管がんの治療

胆管がんの治療の第1選択肢は切除手術です。切除が可能な場合は、発生個所・範囲に基づき術式を決定します。他に選択できる治療は抗がん剤治療を中心とした化学療法・放射線治療です。これらは主に切除不可能と診断された場合に提案される治療法です。ここからは上記3種類に加え、免疫療法についても解説していきます。

手術

胆管がんの治療として真っ先に検討される治療法は、外科手術による切除です。胆管がんはステージ1〜4までに分類され、ステージ4以外は切除手術を選択できます。胆管が繋がっている肝臓・膵臓の周囲のリンパ節から転移する可能性があります。既にがんの範囲が広がっていた場合、周囲のリンパ節切除を同時に行うことが多いです。
胆管がんは発生個所によって切除範囲が異なります。肝臓に近い部分にがんが発生した場合は肝臓・胆管を、十二指腸に近い場合は十二指腸・胆管の切除が必要です。切除範囲によっては肝不全・胆管炎などの合併症を引き起こす場合があるため、術後は慎重な経過観察が求められます。

化学療法

術後の再発防止や、手術による治療が困難な場合に選択される治療法が化学療法です。手術が困難だと判断された場合に行う化学療法は術前化学療法と呼ばれ、化学療法後に手術可能となったケースも存在します。
化学療法には抗がん剤が使用され、内服薬・点滴など選択される医薬品によって形式が異なります。化学療法ではがんの増殖を抑える・症状の緩和が主な目的です。

放射線治療

手術が不可能かつ転移が認められない場合、化学療法と並行して放射線治療を行う場合があります。放射線治療は体外から放射線を照射する体外照射と、小さな放射線を胆管に短時間埋め込む線源治療の2種類が代表的です。
放射線治療はがんの進行抑制・疼痛の緩和が主な目的となります。そのため、手術のように根治には至らないのが現状です。

免疫療法

免疫療法はがん細胞が自らを守るために発する免疫効果を抑制し、ウイルスを排除するT細胞の働きを強めることが目的の治療法です。現在さまざまな研究が行われている分野ですが、胆管がんに有効な免疫療法は未だ確立されていません。
そのため第1選択肢としては手術・化学療法・放射線治療が推奨されています。

編集部まとめ

今回は胆管がんについて解説してきました。胆管がんは黄疸が発生するまで自覚症状が殆ど現れないため、早期発見が難しいのが特徴です。

ステージ3までなら手術による根治が期待でき、ステージ4に進行した場合でも化学療法で手術可能になる場合があるなど、医療の進歩により選択できる治療法が以前より増えています。

黄疸の発生・排便・排尿時に変化が現れた場合は、速やかに内科・消化器内科を受診し、各種検査を受けましょう。

「胆管がんの原因」と関連する病気

「胆管がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

胆管の病気

胆管に関する病気の一部は胆管がんと大きく関わっています。胆嚢炎・胆管炎などに加え、先天的な疾患も胆管がん発症リスクを引き上げる原因です。

「胆管がんの原因」と関連する症状

「胆管がん」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

肝臓に関連する病気の多くは、初期症状として黄疸の発生が挙げられます。胆管がんは発症初期は自覚症状が少なく、黄疸が発生するまで気づかないことも珍しくありません。排尿・排便の異常に確認できた場合や、かゆみ・疼痛を自覚した場合は速やかに検査を受けましょう。

この記事の監修医師