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「上咽頭がんの生存率」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/15
「上咽頭がんの生存率」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

咽頭は上部・中部・下部の3つに区分され、各部位にがんができると上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんと診断されます。

耳の閉塞感・頸部リンパ節に腫瘤が触れるというような症状がみられる場合は上咽頭がんの疑いがあるでしょう。

がんは、進行ステージが早期の間に治療することで生存率を高められるので、早期発見が何より重要です。

上咽頭がんもその例外ではありません。

しかし、初期のうちは自覚症状がみられにくいことがあるため、がん検診による健康確認を定期的に受けましょう。

不安に思ったら、まず耳鼻咽喉科に相談をしてください。

渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

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1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長

上咽頭がんとは?

上咽頭がんとは、上咽頭(鼻と喉の間)に発生したがんで、頭頸部がんの一種です。
日本においては、毎年800人程度が新たに診断を受けています。
原因には、喫煙・飲酒が関係するもの・ウイルスが関係するものなどがあります。患者さんの多くが40〜60歳代で、稀に10歳代にも発病が確認されています。
肺・肝臓・骨などに遠隔転移しやすいがんであるため、早期発見が重要です。
上咽頭は、耳と繋がっている部位であるため、腫瘍が大きくなると耳の閉塞感が生じます。
また、早期に頸部リンパ節転移をすることが多く、頸部にしこりが現れます。
しかし、初期症状に乏しい例が多く、病状がある程度進行した際に発見されることが多いです。

上咽頭がんの生存率

全国がんセンター協議会が示す2012〜2014年の患者さんデータによると、上咽頭がんステージ1の5年生存率は、76.9%となっています。
また、上咽頭がんが進行したステージ4においては、50.7%となっています。
ただし、がん生存率は全ての患者さんに当てはまる数値ではないため、あくまでも推測値です。
上咽頭がんは、放射線治療・化学療法の感受性が高いため、他の頭頸部がんに比べると良好な経過を辿ることが多いです。
しかし、治療後は、耳閉感・中耳炎・目の障害などが起こりやすくなります。

上咽頭がんの症状

上咽頭に腫瘍が生じると、その位置関係から耳や鼻の症状が主に現れます。
また、頸部リンパ節への転移頻度も高いため、首のしこりが生じることも報告されています。
ここでは、上咽頭がんで生じる代表的な症状を解説しているので、参考にしてください。
耳・鼻に何かしらの症状があり原因が分からない場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

のどの違和感

中部・下部咽頭がんに比べるとのどから遠いこともあり、のどの違和感の発生頻度は低めです。咽頭が腫れるため、飲み込みにくさなどの違和感を覚えます。進行すると、声嗄れ・呼吸困難となる可能性があります。

首のしこり

咽頭がん全てにおいて、頸部のリンパ節腫脹が初発症状となるケースが多く報告されています。咽頭がんは、初期段階から頸部リンパ節への転移頻度が高いため、転移したリンパ節が大きくなり目立つ状態になります。

耳閉感

腫瘍が大きくなると耳管を塞ぐ場合があり、耳閉感が生じます。また、難聴・中耳炎の症状が生じる可能性もあります。近傍には脳神経も存在しているため、特に眼球運動に関係する外転神経への影響に注意が必要です。

鼻づまり

腫瘍が鼻を内部から圧迫するため、鼻づまりを引き起こす可能性があります。
また、腫瘍の部位・大きさによっては、鼻の血管に影響が出るため鼻出血も起こります。
風邪などと同様の症状なので見極めが難しいですが、長く続くようであれば、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

上咽頭がんの検査

一般的に最初に行われるのが触診・内視鏡検査です。
がんの疑いが確認されれば、組織を採取して顕微鏡で細胞を確認する生検が行われます。
がん診断後は、転移の状況を確認するため、CT検査・MRI検査・超音波検査・PET検査などが行われます。

内視鏡検査

内視鏡検査は、太さ5mm程度の細長い管の先に小型カメラを装着し、口・鼻などから体内に挿入して体内の病変部位を観察します。
また、内視鏡は病変部位の切除ができるので、切り取った細胞を生検することが可能です。

組織検査

組織検査は、がんを診断する上で行われる病理検査の一つで、生検と同様の意味合いを持ちます。内視鏡・手術などから採取した細胞組織を用いて検査が行われます。
細胞異型・構造異常の情報も調べられるため、診断精度が高いのが特徴です。
類似する検査方法に細胞診があります。両者の違いは、名前の通り細胞で検査をするのか、細胞の集合体である組織で検査をするのかです。細胞診は精度が悪いため、咽頭がんで行うことはほぼありません。

画像検査

がん診断における画像診断には、超音波検査・レントゲン検査・CT検査・MRI検査・PET検査などが用いられています。
年々、画像診断による診断能力は向上しており、今まで見落としていた小さながん細胞でも発見が可能となりました。
上咽頭がんは、転移の可能性が高いため、画像診断によるがんの転移状況確認が積極的に行われます。

上咽頭がんの治療

上咽頭がある部位は、イメージ的には鼻先の奥に位置するため、解剖学的に外科処置が難しい所です。
上咽頭がんは、扁平上皮がんという分類のがんであることが多いため、放射線療法・化学療法が有効となります。
両療法を組み合わせた治療が最も多く行われています。

放射線療法

放射線療法とは、がんの部分に放射線を当てて、がん細胞を破壊する治療方法です。遺伝子情報を放射線によって、傷つけることでがん細胞を破壊します。
健康診断などで行われるX線撮影と同様に、痛み・熱は感じません。一般的には、放射線療法に合わせて抗がん剤などの化学療法が併用されます。

外科療法

外科療法は、メスなどを用いて病変部位を取り除く治療方法です。
上咽頭がんの場合、顔にメスを入れることになるため、外科療法は避ける傾向にあります。しかし、顔にメスを入れない手術も可能なことがあります。
担当医に相談してみるといいでしょう。

化学療法

化学療法の代表は、薬を用いた治療方法です。治療の際には、病気の治癒・機能温存・再発防止・転移防止など、さまざまな目的にあわせて薬が処方されています。
上咽頭がんの治癒においては、放射線療法と併用しながら抗がん剤が選択される頻度が高いです。

「上咽頭がんについてよくある質問

ここまで上咽頭がんの生存率・症状・検査などについて紹介してきました。ここでは上咽頭がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

上咽頭がんは手術が必要ですか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

上咽頭がんでは原則、手術は行いません。上咽頭は頭の底部分にあり、切除が難しいためです。ただし、頸部のリンパ節に転移していた場合は切除手術を行います。早期に発見された小さな腫瘍に対してはレーザー光線を使った治療が行われる場合もあります。

上咽頭がんはどのくらいの期間で治りますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

がんは再発・転移の可能性があるため、どのくらいの期間で治るのかは明言できません。5年間は再発・転移がないかを確認するため、最低でも5年以上はかかると考えた方がいいでしょう。

編集部まとめ

上咽頭がんは、ウイルスが原因となって発がんすることもあり、いつ・どこで・だれがなってもおかしくありません。

原発巣そのものは、メスを使わずに放射線・薬で治療が可能なこともあります。

しかし、転移を引き起こしやすいがんなので、発見が遅れるほど治療が難しくなるでしょう。

上咽頭にがんができると、耳閉感・鼻づまりなどの症状が現れる可能性があります。

しかし、重い症状ではないため、軽視されがちです。症状が長引く・繰り返し起こるようなら耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

上咽頭がんと関連する病気

「上咽頭がんの生存率」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

上咽頭がんの原因の一つにEBウイルスの関与が報告されています。EBウイルスは、ヘルペスウイルスの一種で喉の痛み・リンパ節の腫れなどを一時的にもたらします。近年の研究で、上咽頭がん・バーキットリンパ腫などとの関連が明らかとされました。
ウイルス以外に喫煙・飲酒も上咽頭がんの原因として報告されています。生活習慣の見直しをすることが上咽頭がんの予防にも繋がります。

上咽頭がんと関連する症状

「上咽頭がんの生存率」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳の症状

  • 耳閉感

鼻の症状

喉の症状

  • 喉の痛み
  • 声のかすれ
  • 食べ物が飲み込みにくい

目の症状

  • 目が見えにくくなる

首の症状

  • リンパ節の腫れ

腫瘍の大きさ・発生部位によって、症状が異なるので注意が必要です。症状が強くないことがあるため、がんの発見が遅れることがあります。当然ながら生存率は、早期に治療すればするほど高くなります。また、早期治療ができれば後遺症などに苦しめられる可能性も低くなるため、不安がある人は耳鼻咽喉科に相談してみてください。

この記事の監修医師