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「口腔がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

 公開日:2023/09/27
「口腔がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

口腔がんの症状とは?Medical DOC監修医が口腔がんの症状・初期症状・末期症状や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

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奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

「口腔がん」とは?

口腔がんとは、唇、舌、口の内側、歯茎、口蓋や口腔の底部など、口の中の部分に発生する悪性の腫瘍を指します。初期の口腔がんは、痛みや自覚症状が少ないため、気づかないことが多いです。しかし、進行すると食事の際の痛みや、口の中にしこりができる、出血するなどの症状が現れることがあります。また、舌や口の中にできた潰瘍(かさぶた)が1か月以上治らない場合も注意が必要です。
喫煙やアルコールの過剰摂取、不衛生な口腔状態、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染などがリスクとされています。口の中に痛みや異常を感じた場合、または上記のリスクを持つ方は、口腔外科や歯科を受診し、早期発見と早期治療を受けることが大切です。

口腔がんの代表的な症状

口内(口の中)の痛み

口腔がんの初期症状の1つが口内の痛みです。この痛みは特定の部位だけでなく、口の中の広範囲に及ぶこともあります。また、食事の際に特に強く感じることがあります。痛みの程度はさまざまで、中には日常生活に支障をきたすこともあります。口腔癌で治療前に自発痛(何もしていなくても自然に痛い状態)を訴えた症例では予後(治療結果や生存率などを含めた今後の見通し)が悪い、という報告もあります。
痛みに対して、市販の口内炎治療薬や消炎鎮痛薬を一時的に利用して症状を和らげることは可能です。ただし、これは一時的な対処法であり、根本的な治療とはなりません。長期間痛みが続く場合は、自己判断せずに医師の診断を受けることが重要です。
専門科は歯科や口腔外科です。痛みが強く、日常生活に影響が出る程度であれば、早めの受診が必要です。緊急性はありませんが、早めの日程で受診してください。

口を開きづらい

口腔がんの症状の中には、開口障害というものがあります。開口障害は、口を十分に開けることが困難になる状態(口を開けづらい状態)を指します。これは口腔がんが口の筋肉や関節に影響を及ぼすことによって起こることが多いです。食べ物を噛むなど日常的な口の動きに支障をきたすこともあり、特に固さのある食べ物の摂取が難しくなることがあります。
開口障害そのものに対して即効性のある対処法というものはありません。自身で可能なことは、液体状のものや柔らかい食事を摂って栄養不足を補うことくらいです。症状の根本的な原因を解消するためには、専門科での診断と治療が必要です。専門科は歯科・口腔外科です。緊急性はありませんが、早めの日程で受診してください。

構音障害

口腔がんの症状の中には、構音障害というものもあります。構音障害は、言葉の発声や発音が難しくなる言語障害の一つです。具体的には、特定の音を正確に発音することが難しい、音を省略したり置き換えたりすることが起こるといった症状が現れます。例えば、「さ」を「た」と発音する、などの特徴的な発音の変化が見られます。
構音障害そのものを治すことのできる、即効性のある対処法は存在しません。自身で可能なことは日常生活の中で意識的に正しい発音を繰り返して練習することです。それに、周囲の人々に状況を理解してもらい、忍耐強くサポートしてもらうことも大切です。ただしこれらは構音障害に対しての事後の対応であり、本来は早期発見、早期治療を行うべきでしょう。
専門科は耳鼻咽喉科や口腔外科です。早めに受診してください。

嚥下困難

口腔がんの症状として、嚥下困難というものもあります。
嚥下困難とは、食物や液体、唾液を喉から食道に移動させる(飲み込む)時に、うまくできない状態のことを指します。この症状は、食物や液体が誤って気道に入ってしまう、食べ物が喉でつかえる感じがするなど、さまざまな形で現れます。
嚥下困難の症状を和らげるためには、食べ物の固さや量を調整することが効果的です。ペースト状やゼリー状の食品を選ぶ、小さく刻むなどすると、食べ物を飲み込みやすくなります。
ただしこれは嚥下困難がある状況で、安全に過ごすための工夫であって、根本解決ではありません。原因を調べて正確な診断をつけるためには専門科の受診が必要です。耳鼻咽喉科や脳神経内科がその専門になります。早めに受診して原因検索と治療を行いましょう。

神経麻痺

口腔がんの症状の一つとして、神経麻痺があります。具体的には下顎の中を通過するオトガイ神経という部分の麻痺になりますが、一部の口腔がん(下顎歯肉癌)でみられるという報告があります。
オトガイ神経が麻痺すると、下唇や下顎の皮膚、口腔内の粘膜や歯茎に知覚異常が起きます。痺れたような感覚で触覚が鈍くなったり、逆に過敏になって少しの刺激でも強く感じたり、という症状がみられます。
このような症状が出現したら、まずは医療機関を受診しましょう。専門科は歯科、口腔外科です。口腔がん以外の要因でもこの神経麻痺が出ることはあるため、どんな原因があるのか調べてもらいましょう。緊急性はありませんが、早めの日程で受診してください。

口腔がんの初期症状

口の中の硬いしこり

口腔がんの初期は自覚症状が乏しいものが多く、痛みや出血がみられないことも多いです。その代わり、硬いしこりのようなできものができることがあります。しかし痛みがないため特に問題ないだろうと判断されてしまうことが多く、医療機関への受診が遅れ、がんそのものの診断が遅れることが多いのです。1ヶ月以上しこりが継続して存在する場合は、一度医療機関を受診しておくことをおすすめします。専門科は歯科、口腔外科です。

口の中の白いできもの

口腔がんの初期症状の中に、口の中に白いできものができることがあります。これを口腔白板症(口腔白斑症)と言います。口腔白板症の定義は、口の中の粘膜に白い板状の変化が現れる症状のことです。主に舌や頬の内側に現れ、触っても痛みはありません。原因は、タバコやアルコールの摂取、ストレス、免疫力の低下、摩擦などが考えられます。
口腔白板症自体は無症状で、特別な治療が必要ない場合が多いですが、癌化するリスクがあるため、定期的な経過観察が重要です。治療法には、禁煙、節酒、ストレス軽減など原因となる要因を取り除くことが挙げられます。
また、口腔ケアをしっかり行い、口の中を清潔に保つことも大切です。癌化が疑われる場合や、症状が強い場合は、口腔外科や歯科での診察と治療が必要です。緊急性はありませんので、日中に受診してください。

口内炎

口腔がんの初期症状として、口内炎があります、ただし一般的な口内炎と違い、治りの遅い口内炎です。一般的な口内炎は、約1週間もあれば治るか改善することが多いです。一方、口腔がんに繋がってしまうものは、見た目こそ口内炎に似ているものの長い期間治り切らないことが多いです。もし3週間以上口内炎が治らないようであれば、口腔がんに進展する可能性がないか、詳しく調べる必要があります。専門科は歯科、口腔外科です。ただの口内炎と侮らず、受診するようにしてください。

口腔がんの末期症状

体重減少

口腔がんの末期症状の一つに体重減少があります。口腔がんに限らず、あらゆるがんの末期では、摂取した栄養素をがん細胞に使用されてしまい、どんどん体重が減ってしまうことが多いです。口腔がんでは、それと同時にこれまで紹介した症状(口の痛み、嚥下困難、神経麻痺)があるため、食事を摂取することがより困難になっています。そのため、輪をかけて体重減少が起こりやすいです。
対応策としては、カロリーを通常より多く含んだ濃度の高い栄養剤や点滴を行うというものがあります。ただしこれも根本的な解決ではありませんので、投与したからといって体重減少がなくなるわけではないということをご理解ください。

全身の痛み

口腔がんの末期症状の一つに全身の痛みがあります。口腔がんに限らず、あらゆるがんの末期で言えることですが、がんは進行するにつれて他の場所へ転移することが多いです。その結果、体のあらゆるところから痛みを感じてしまいます。この際は、腫瘍のある部分が痛くなるというものでもなく、全身に「どこともいえない痛み」が出現します。
対応策としては、強い鎮痛剤を症状に合わせて使用する、というものがあります。最初はカロナールやロキソニンといった、市販でも手に入るような薬剤から開始しますが、症状が強く抑えられない場合は、麻薬製剤も使用することがあります。もちろんこれも根本的な解決ではありませんが、がん末期では根本的な治療(がんを完治させる治療)はもう望めないため、対症療法(症状を和らげる治療)であることをご理解ください。

構音障害

口腔がんの末期症状として、構音障害があります。初期の口腔がんは症状がわかりにくいのですが、徐々に進行して腫瘍が大きくなると、口の動きに影響が出てしまい、先述の構音障害を引き起こします。そのほかの詳細については、上記の通りなので省略いたします。

すぐに病院へ行くべき「口腔がんの症状」

ここまでは口腔がんの症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

白いできものがある場合は、歯科・口腔外科へ

これまでご紹介したように、口腔がんは初期では症状が乏しく、気づいた時には進行していることが珍しくありません。そのためいかに早く気付けるかが重要になります。
先述の通り、口の中に白いできものがある場合は、白板症の可能性があるため、早めに受診しましょう。早期発見が何より重要です。

受診・予防の目安となる「口腔がん」のセルフチェック法

  • ・硬いしこりがある場合
  • ・白い板のような病変がある場合
  • ・治りの悪い口内炎がある場合

「口腔がんの症状」についてよくある質問

ここまで口腔がんの症状を紹介しました。ここでは「口腔がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

口腔がんは歯茎や頬に発症するのでしょうか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

はい。歯茎や頬の内側の粘膜にも発症します。

口腔がんを発症しやすい場所とその症状を教えて下さい。

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

口腔がんが発生しやすい場所は、最も多いのは舌になります。口腔癌の部位別発生割合は、舌60.0%、頬粘膜9.3%、口底9.7%、上顎歯肉6.0%、下顎歯肉11.7%、硬口蓋3.1%と報告されています。症状としては、痛みがない場合も多いため、見た目で「しこり」「白いできもの」が長く存在する、といったものがあります。

口腔がんがリンパ節に転移した場合、どんな症状が現れやすいですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

口腔がんは頸部(首)のリンパ節に転移することが多いため、首のしこりとして出現しやすいです。

編集部まとめ

口腔がんは症状で気づきにくいため、早期発見しづらい病気です。ご自身で気付くには、「できものが長い間直らないな」という何気ない異常から受診するほかありません。安易に自己判断です、医療期間を受診しましょう。

「口腔がんの症状」と関連する病気

「口腔がんの症状」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

歯科・口腔外科の病気

口腔がんとしてまとめてご説明していますが、その中で舌癌が圧倒的に多く、次に頬の粘膜からのがんが多いですので、そのあたりの異常には特に注意しましょう。

「口腔がんの症状」と関連する症状

「口腔がんの症状」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

口腔がんの症状はさまざまで、これらのような症状が出る場合も口腔がんの症状と考えられます。複数認められる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師