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「スマホ認知症」の症状・なりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!

 更新日:2024/05/28
「スマホ認知症」の症状・なりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!

スマホ認知症とは?Medical DOC監修医がスマホ認知症の症状や特徴・原因・なりやすい人の特徴・治療法・セルフチェック法・予防法などを解説します。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「スマホ認知症」とは?

現代人にとっては必要不可欠となっているデジタルデバイスと言えば間違いなくスマートフォンでしょう。すぐに必要な情報にアクセスでき、様々なアプリケーションで利便性をもたらしてくれています。しかし、スマートフォンはその便利さ故に依存症となることは広く知られています。さらにスマートフォンの使い過ぎによって、認知症のような症状と関連することがわかりました。「スマホ認知症」と命名されていますが、病気の名前ではありません。スマートフォンなどのデジタルデバイスを使い過ぎることによって引き起こされる認知症のような症状をひとまとめにしたものです。では、「スマホ認知症」がどのようなものなのかを詳しく解説していきます。

スマホ認知症の代表的な症状や特徴

スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスを使い過ぎることで、「スマホ認知症」は引き起こされます。スマートフォンの普及とともに、2012年ころから注目されるようになりました。前述のように、いきなり病気の認知症になるわけではありません。しかし、一般的に中高年以降に発症する認知症と違い、スマホ認知症は10代や20代にも起こりえます。スマホ認知症を疑う症状を次に示します。

忘れっぽい、すこし前のことを忘れる

皆さまが最も認知症と聞いて思い浮かべる症状でしょう。「スマホ認知症」でも忘れっぽくなることが知られています。例えば、大事な締め切りを忘れてしまったり、友達との約束をすっぽかしたりします。いわゆる「ポカミス」がよく起こってしまいます。くりかえすようなときは、「スマホ認知症」かもしれません。

言葉がでない/詰まる、漢字が思い出せない

次に注意すべき症状は、言いたい言葉がすらすら出てこなかったり、詰まってしまったりすることです。緊張した時に言葉が出なかったり、詰まったりするのは当然です。しかし、友人や家族などとリラックスして話しているのに、言葉が出なかったりする際には注意が必要です。また、漢字が思い出せないことも関連しているといわれます。

複数のことを同時に進められない

最後は、複数のことを同時に進められない場合です。マルチタスクともいって、たとえば、2品料理を同時進行で作ったり、複数のプロジェクトを進めたりするときに困ります。片方のことだけ進めてしまったり、どちらの作業も滞ってしまったりしてしまいます。このように、いくつかの物事を同時に進めることが困難な場合は、「スマホ認知症」の可能性があります。

スマホ認知症の主な原因

残念ながら、スマホ認知症の正確な原因はわかっていません。いくつかの要素が関わって、スマホ認知症を発症するといわれています。代表的な要素を挙げていきます。

スマートフォンから得られる莫大な情報量

スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスは、いままでの機器と違い、手軽に莫大な情報を手に入れることができます。そのため、脳の情報処理速度を超える情報が手にはいることにより、脳がパンクしたようになります。莫大な情報を処理できず、脳の機能低下を引き起こすといわれています。

受動的な情報獲得

さらに、スマートフォンにより得られる情報は受動的なものが多いです。必要な情報を検索して、得るために使用するには非常に便利な機器です。しかし、スマートフォンは付随して、様々な関連情報や動画を提示してくれます。過去の検索履歴などを参考に、使用者の興味を引くような情報を提示することで、次々に二次情報へアクセスしていきます。このように受動的に情報を得ることによって、能動的に動くことが少なくなります。

対人関係の希薄化

スマートフォンは今までのデジタルデバイスと違い、手のひらに収まるサイズで様々な情報にアクセスできるようになりました。人と人とのつながりも、スマートフォンの登場およびアプリケーションの進歩で変化しました。今では、チャット型のアプリケーションを使っていない人はいないのではないでしょうか?直接会って話をすることは、言葉だけではなく、表情などから相手の感情を読み取ります。声色や会話の間などは、相手の感情や考え方を大きく反映します。そのような機会が減ると、従来であれば対人関係の中で育むことができた社会性が得られなくなります。他人のみならず自らの感情さえも理解しがたくなることもあります。実際、デジタルデバイスの過剰使用によって、認知機能や感情に関わる脳の部分が減少するとの研究も報告されています。

スマホ認知症になりやすい人の特徴

ここまで説明したように複数の要因でスマホ認知症となります。ほかにも、個々人の性格や感受性などにも左右されるといわれています。
では、どのような人がスマホ認知症になりやすいのでしょうか?

スマートフォンをたくさん使ってしまう人

スマートフォンなどのデジタルデバイスが原因となります。そのため、スマートフォンを使いこなし、利用頻度の高い若い世代がなりやすいでしょう。脳の発達にも関わるので、10代から20代が特に問題です。ただし、スマートフォンの浸透とともに、中高年以降でも発症するようになりました。

スマートフォンを使わないでできる趣味がない人

スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスを使わない趣味を行うことは、自然にスマートフォンから離れることができます。たとえば、スポーツや読書、アウトドアなどは良い余暇活動です。逆に、そのような趣味がないことは、一概には言えませんが、スマートフォンへの距離が近くなり、「スマホ認知症」が近づくかもしれません。

他人と話したり交流したりすることが乏しい人

他人とよく話す人やよく交流する人は2つの点で「スマホ認知症」になりにくいと考えられます。1つ目は、ひとつ前と同じですが、話している最中にはスマートフォンなどから離れることができます。2つ目は、他人とのコミュニケーションを通して、自分やほかの人の感情や考え方を知ることで、社会性が向上します。実際、会話をしていると、盛り上がって時を忘れることもあります。さらに、会話の流れから次の内容を考えたり、表情や反応を加味して何を考えているのか判断したりすることで、円滑なコミュニケーションを行っています。良く話したり、交流したりすることは非常に良いことだといえます。
逆に、こうした交流が乏しいと、スマホ認知症になってしまう危険性が高い可能性があります。

スマホ認知症の治療法

スマホ認知症ははっきりとした病名ではありません。そのため、明確な治し方は、まだ明らかではありません。また、どれくらいで治るかも不明です。分かっている治し方を示します。
以下に示した方法でも症状の改善がないときは、認知症を主に扱っている、心療内科や精神科、脳神経内科などを受診しましょう。

スマートフォンの制限

まずできることは、スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスの使用時間を短くして、切り離すことです。自らの意志で制限できると一番良いのですが、難しい場合もあるでしょう。そのような時は、使用時間を制限するアプリケーションを用いることも手です。さらに、最近ではデジタルデトックスのために、設定した時間までカギが掛かる箱も販売されています。スマートフォンなどを入れることで強制的に触れなくなります。このように、物理的にスマートフォンを使えなくしたりする方法もよいでしょう。

スマートフォンを使わない活動

スマートフォンを使わない活動に取り組むことは、スマートフォンから無理に切り離すことなく、「スマホ認知症」に対して改善が見込めます。たとえば、本を読んだり、スポーツに打ち込んだりすることは、社会性や感情面を育む意味でも良いでしょう。一つでも熱中できる活動を見つけて取り組めると良いでしょう。

他の人との交流

「スマホ認知症」は前述のように、対人関係が希薄化することにも関連しています。そのため、他の人と実際に会って交流するのも良いでしょう。他の人との会話を楽しんだり、交流を行ったりすることは、「スマホ認知症」を改善するのみならず、社会性を育むうえでも重要です。スマートフォンの通知を気にすることなく、めいっぱい交流するとさらに良いでしょう。

受診・予防の目安となる「スマホ認知症」のセルフチェック法

  • ・忘れっぽくなる、ちょっとしたことを忘れる症状がある場合
  • ・言葉がでない、言葉に詰まる症状がある場合
  • ・集中力がなくなる、複数のことを同時に進められない、効率よく物事を進められな症状がある場合
  • ・スマートフォンの通知が気になり、手放せない、対人関係が苦手になるなどの症状がある場合

スマホ認知症の予防法

治療法と似たような内容となりますので、次に簡単に示します。現代において必要不可欠なスマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスとうまく付き合うように心がけましょう。

スマートフォンの使用を控える

「スマホ認知症」は、スマートフォンなどのデジタルデバイスを使うことで引き起こされます。予防するためにも使用をできる限り控えましょう。日中の使用を控えるのが難しい方は、寝る前の使用から控えてみましょう。

スマートフォンを使用しない活動をする

また、スマートフォンから強制的に距離をとれるように、スマートフォンを使用しない活動をすることもいいでしょう。

他の人と交流する

友人たちや家族などの気の置けない仲間との会話を楽しむだけでも効果があります。

「スマホ認知症」についてよくある質問

ここまでスマホ認知症について紹介しました。ここでは「スマホ認知症」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

スマートフォンを一日どれくらい使用するとスマホ認知症の確率が上がりますか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

まだまだ分かっていないことも多いです。いままでわかっているとこから申しますと、10代などは1日に1時間でも悪影響があるといわれています。また、成人でも4時間以内に抑えるようにしましょう。

スマートフォンを使いすぎると脳にどんな悪影響を与えますか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

スマホ認知症のみならず、対人関係や社会性が悪くなったり、怒りっぽいなどの感情面の障害がでたりすることがあります。不必要ならば、スマートフォンをできる限り使わないようにしましょう。

編集部まとめ

スマートフォンなどのデジタルデバイスは非常に便利で、適度に使うことができれば、非常に効率よく生活することができます。長時間使いすぎると、スマホ認知症やスマホ依存となることが分かってきました。集中力が続かなくなるなどの症状がある方はもちろん、症状がなくても長時間使う方は、使用を少しずつ控えてみましょう。

「スマホ認知症」と関連する病気

「スマホ認知症」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・精神科の病気

「スマホ認知症」という名前の通り、物忘れに関連する病気が多く考えられます。また、スマートフォンやSNSへの依存とも深く関連します。さらに、スマートフォンを長く使うと、「スマホ認知症」から、上記の認知症へ変化することもあるので、早めに対処しましょう。

「スマホ認知症」と関連する症状

「スマホ認知症」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 言葉に詰まる、言葉がでない
  • 忘れっぽい
  • 複数のことを同時に進められない

「スマホ認知症」に見られる代表的な症状を示します。スマートフォンなどのデジタルデバイスに無関係に症状が出現するときは、ほかの認知症の可能性もあります。お困りのことがあれば精神科や脳神経内科へご相談ください。

この記事の監修医師