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「認知症の人にやってはいけないこと」はご存知ですか?言ってはいけないことも解説!

 公開日:2024/04/01
「認知症の人にやってはいけないこと」はご存知ですか?言ってはいけないことも解説!

認知症の人にやってはいけないこととは?Medical DOC監修医が認知症の人にやってはいけないこと・やるべきこと・対処法などを解説します。

前田 佳宏

監修医師
前田 佳宏(医師)

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島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科の専門外来を経験。現在は和クリニック院長。愛着障害やトラウマケアを専門に講座や情報発信に努める。診療科目は精神神経科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経内科。 精神保健指定医、認定産業医の資格を有する。

「認知症」とは?

認知症という言葉を聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。物忘れが激しくなったり、徘徊したりする高齢者の姿を思い浮かべる方も多いかもしれません。
認知症とは、脳の細胞が壊れたり、働きが悪くなったりすることで、認知機能が低下した状態を指します。もの忘れが目立つようになったり、言葉の理解が難しくなったり、時間や場所が分からなくなったりします。
もしかしたら、身近な人が認知症になる日が来るかもしれません。その時、私たちはどう接したらいいのでしょうか。
ここでは、認知症の人との上手な付き合い方をお伝えします。してはいけないことや、してあげたいことを具体的に見ていきましょう。

認知症の人にやってはいけないこと

認知症の人を怒鳴ったり、叱ったりしない

認知症によって、同じことを何度も聞いたり、約束を忘れたりすることがあります。しかし、それは本人の意思ではなく、脳の病気が原因です。怒鳴ったり、叱ったりしても症状は改善しません。かえって、認知症の人を傷つけ、混乱させてしまうでしょう。
イライラしそうになったら、一度深呼吸をしてみましょう。そして、優しい口調でゆっくりと話しかけましょう。

認知症の人を子ども扱いしない

認知機能が低下しているからといって、認知症の人を子ども扱いしてはいけません。例えば、幼児語で話しかけたり、上から目線で指図したりすることは避けましょう。
認知症の人も、これまでの人生で様々な経験を積み、尊厳を持っています。一人の大人として、敬意を持って接することが大切です。

認知症の人を急がせない

認知症の人は、考えたり、行動したりするのに時間がかかります。急がせたり、せかしたりすると、混乱してしまうかもしれません。
ゆっくりと、相手のペースに合わせることが大切です。時間はたっぷりと取って、焦らずに付き合いましょう。

認知症の人の話を遮らない

認知症の人は、言葉がスムーズに出てこなかったり、同じ話を何度もしたりすることがあります。でも、そんな時に話を遮ったりしてはいけません。
じっくりと耳を傾け、共感的に聞くことが大切です。話をさえぎられると、認知症の人は自分の存在が否定されたように感じ、心を閉ざしてしまうかもしれません。

認知症の人を説得しない

認知症の人が間違ったことを言っているとき、説得しようとしても、信頼関係が損なわれてしまいます。認知症の人に事実を伝えようとすると、かえって混乱を招き、怒りを引き起こすことがあります。そんな時は、「さすがだね」「ありがとう」など、相手を尊重する言葉をかけるのが効果的です。

家族が認知症になったらやるべきこと

認知症を正しく理解する

認知症について正しく理解することが、家族支援の第一歩です。認知症は、単なる物忘れとは違います。脳の病気によって引き起こされる症状なのです。
認知症には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症など、様々なタイプがあります。それぞれのタイプの特徴や症状の進行パターンを知っておくことが大切です。
主治医から説明を受けたり、認知症に関する本を読んだりして、知識を深めていきましょう。正しい理解があれば、認知症の家族により良い支援ができるはずです。

早期の受診とケアプランの作成

認知症の症状に気づいたら、早期の受診が大切です。早期発見・早期対応が、認知症の進行を遅らせることにつながります。
かかりつけ医や認知症専門医に相談し、必要な検査を受けましょう。認知症と診断されたら、医師や介護の専門家と相談しながら、適切なケアプランを作成します。
ケアプランでは、認知症の進行状況に合わせて、必要な医療やケアの内容を具体的に定めていきます。家族の意向も反映しながら、より良いケアプランを作っていくことが大切です。

コミュニケーションを大切にする

認知症が進行しても、家族とのコミュニケーションは大切です。会話を通して、認知症の家族は安心や喜びを感じることができるのです。
ゆっくり、はっきり、優しい口調で話しかけましょう。言葉だけでなく、笑顔や優しい表情、スキンシップも大切です。
認知症の家族の話に耳を傾け、共感的に受け止めることも大切です。たとえ同じ話の繰り返しでも、じっくりと聞く姿勢を持ちましょう。家族の気持ちに寄り添うことが、何より大切です。

介護負担を一人で抱え込まない

認知症の介護は、身体的にも精神的にも負担が大きいものです。この負担を一人で抱え込まないことが大切です。
家族で介護の役割分担をしたり、介護サービスを利用したりして、負担を分散することが大切です。デイサービスやショートステイ、ホームヘルプサービスなど、様々な介護サービスを上手に活用しましょう。
また、介護者同士で悩みを共有したり、情報交換をしたりすることも大切です。介護者の会などに参加して、同じ立場の人と交流を持つことをおすすめします。

家族自身の健康も大切にする

認知症の家族を支えるためには、介護する側の健康も大切です。無理をし過ぎて、介護する人自身が倒れてしまっては、元も子もありません。
自分の時間を持つこと、休息をとること、ストレス発散をすることを心がけましょう。趣味の時間を持ったり、友人と会ったりして、リフレッシュすることが大切です。
また、定期的な健康チェックも忘れずに。介護する人自身が心身ともに健康であることが、良い介護の基本です。

認知症の介護・日常生活で困った時の対処法

何度も同じことを聞いてくる

認知症の人は、短期記憶が低下するため、同じ質問を繰り返すことがあります。イライラせずに、優しく丁寧に答えることが大切です。怒ったり、「さっき言ったでしょ」と言ったりしてはいけません。
また、答えを書いたメモを手元に置いておくのも良い方法です。本人が自分で確認できるようにしておけば、何度も聞くことを防げるかもしれません。

集中力がなく気が散ってしまう

認知症の人は、集中力が続かず、すぐに気が散ってしまうことがあります。そんな時は、周囲の雑音を減らし、落ち着ける環境を作ることが大切です。
また、一度にたくさんのことを求めず、一つずつ簡単な指示を出すようにしましょう。できることから少しずつ取り組めば、達成感も得られます。

意味が通じない言葉を話し、会話が成立しない

認知症が進むと、言葉の理解が難しくなり、会話が成立しないことがあります。そんな時は、短く簡単な言葉で、ゆっくりはっきりと話すことが大切です。
言葉だけでなく、表情やジェスチャーを使うのも効果的です。相手の反応を見ながら、思いを汲み取る努力が大切です。

家族や友人の名前や思い出を忘れてしまう

認知症の人は、家族や友人の名前を忘れたり、昔の思い出が曖昧になったりすることがあります。そんな時は、否定せずに、優しく接することが大切です。
一緒に昔の写真を見たり、思い出話をしたりするのも良いでしょう。楽しい思い出を共有することで、心の安らぎにつながります。

段取りが悪く計画的な行動がとれない

認知症の人は、複雑な段取りを立てることが難しくなります。そんな時は、一つずつ簡単な指示を出し、実行してもらうことが大切です。
また、日課を決めて規則正しい生活を送ることも効果的です。予定表を作ったり、視覚的な手がかりを用意したりすることで、見通しを持って行動できるようになります。

「認知症の人にやってはいけないこと」についてよくある質問

ここまで認知症の人にやってはいけないことなどを紹介しました。ここでは「認知症の人にやってはいけないこと」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

認知症の方が喜ぶことを教えてください。

前田 佳宏前田 佳宏 医師

認知症の方が喜ぶことは人それぞれ異なりますが、共通しているのは、昔の楽しい思い出話や、好きだった歌を一緒に歌うこと、簡単な手作業を一緒にすることなどです。何より大切なのは、家族や親しい人と一緒に過ごす時間。優しく寄り添い、心からの笑顔で接することが、認知症の方の心を温めます。
一人ひとりに合った楽しみ方を見つけていくことが、認知症の方の喜びにつながります。

認知症の方に言ってはいけないことはありますか?

前田 佳宏前田 佳宏 医師

認知症の方に対して、言ってはいけない言葉には、記憶力の低下を責めるような言葉や、能力を否定するような言葉、現実を突きつける言葉などがあります。
大切なのは、認知症の方の気持ちに寄り添い、優しく接すること。「ありがとう」「あなたは大切な存在よ」など、肯定的な言葉をかけることを心がけましょう。
言葉は、認知症の方の心に大きな影響を与えます。一言一言、相手の立場に立って、慎重に選ぶことが大切です。

編集部まとめ

認知症は誰もが直面する可能性のある身近な病気です。認知症の人と接するときは、その人の尊厳を守り、その人らしさを大切にすることが何より重要です。
認知症の人を思いやり、寄り添う気持ちを忘れずに接しましょう。時には介護の難しさに直面することもあるでしょう。でも、一人で抱え込まず、周りの人に助けを求めることも大切です。
これから認知症の人に向き合う人にとってお役に立てたら幸いです。

「認知症の人にやってはいけないこと」と関連する病気

「認知症の人にやってはいけないこと」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

精神科・心療内科の病気

これらの病気は、認知機能や行動、感情に影響を与えることがあります。認知症の人と接する際は、こうした病気の可能性も視野に入れ、一人ひとりに合った対応を心がけることが大切です。

「認知症の人にやってはいけないこと」と関連する症状

「認知症の人にやってはいけないこと」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • もの忘れがひどくなる
  • 同じことを何度も聞く
  • 約束を忘れる
  • 日にちや場所が分からなくなる
  • ささいなことで怒りっぽくなる

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