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「三叉神経痛になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状・原因も医師が解説!

 更新日:2023/10/12
「三叉神経痛になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状・原因も医師が解説!

三叉神経痛になりやすい人とは?Medical DOC監修医が三叉神経痛になりやすい人・症状・原因・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「三叉神経痛」とは?

突然、片側の顔面に鋭い痛みが走り、動けなくなってしまう三叉神経痛。刺すような痛みとか、電気が走るような鋭い痛みなどと表現されますが、顔面だけではなく歯にも痛みが響くこともあります。突然痛みが走るため、生活に支障をきたしてしまう病気です。
日本人では1年間に人口10万人あたり4〜10人程度の発症率で、女性にやや多く、50歳以降に発症することが多い病気といわれています。
顔面の感覚は三叉神経という脳神経から脳に伝わるのですが、この三叉神経に痛みが起こる状態が三叉神経痛です。三叉神経は左右両側にあって、左右のどちらかのみに痛みが走ることがほとんどです。ポイントをまとめて解説していきます。

三叉神経痛の代表的な症状

片側の顔面の激しい痛み

三叉神経の代表的な痛みは、片側の顔面の激痛です。痛みは数秒間と短く一時的で終わることが多いのですが、痛みの発作が何度も繰り返され、持続した痛みと感じられることもあります。
三叉神経は、脳の深部(脳幹部)から顔面へと走行している神経で両側にありますが、途中で3つの枝に分かれます。顔面では大まかに額、頬、顎の3つの領域に分かれます。
歯を磨く、顔を洗う、物を噛む、風にあたる、などの普段の動作や刺激がきっかけで痛みを生じることがあり、一時的に動作を止めなければいけなくなり、会話や食事が満足にできなくなってしまうこともあります。
三叉神経痛の痛みは、残念ながら市販の痛み止めでは効果不十分です。刺激となる動作をできる限り避けて、早めに脳神経内科や脳神経外科を受診することをお勧めします。

歯の痛み

痛みの多くは顔面に起こりますが、歯茎にも生じることがあります。歯が痛い場合には、虫歯や歯周病などがあると歯科で治療を受けることになりますが、虫歯の場合には歯の異常が治らない限り、痛みが継続します。一方で、三叉神経痛の場合には、激しい痛みが短時間であることや、歯や歯肉の異常がなくても痛むことが特徴です。なお、知覚過敏の場合も虫歯でなくてもしみるような痛みを感じますが、それとは違った短時間の激しい痛みが三叉神経痛の痛みです。
激しい歯の痛みを感じた場合には、まずは歯科・口腔外科を受診して、歯や歯肉の異常がないかどうかを確認してください。まず鎮痛剤で効果をみることが多いかと思いますが、三叉神経痛が疑われる場合には、脳神経内科や脳神経外科に紹介されることもあります。

三叉神経痛の主な原因

三叉神経痛は原因が特定できる場合とできない場合とがあります。
脳神経内科や脳神経外科を受診して、頭部MRI検査を行い、画像的な検討をする必要があります。原因が特定できる場合には、その原因疾患の治療が根本的な解決法になります。

脳血管による三叉神経への圧迫

三叉神経痛の原因の多くは、三叉神経が脳の深部で周囲の血管から圧迫を受けている状態にあることです。血管からの圧迫によって、三叉神経を覆う絶縁体組織である神経髄鞘がダメージを受けて、通常は電気信号が伝わらない神経間で異常な電気活動を起こすために激しい痛みを生じると考えられています。
根本的な治療は、三叉神経を圧迫している原因血管を神経から数mm移動する脳外科手術であり、痛みが改善されることがほとんどです。
ただし、神経圧迫の原因と考えられた血管が三叉神経に何の影響も与えていないという場合もありえます。

脳腫瘍

三叉神経が脳内から顔面に走行する間で、腫瘍がある場合に腫瘍のサイズが大きくなる、あるいは腫瘍が三叉神経の髄鞘へダメージを与える状況があると、三叉神経痛の原因になります。
治療は、その脳腫瘍を摘出する手術です。腫瘍によって圧迫されているだけであれば、腫瘍を除去することで三叉神経の機能は元通りになって神経痛の症状は改善されるでしょう。しかし、腫瘍が三叉神経の髄鞘へダメージを与えており、三叉神経がすでに正常ではない状態であれば、神経痛の症状は改善されない可能性もあります。

原因不明

画像検査を行っても三叉神経へ悪影響をもたらす病変が見つからない場合もあります。
副鼻腔炎や片頭痛、頚部神経痛、帯状疱疹後疼痛、舌咽神経痛など他の痛みを生じる病気が関与していることも考えられます。
各種の痛み止めを使って治療へ反応するかどうかで臨床的に三叉神経痛と診断することもあります。

三叉神経痛になりやすい人の特徴

女性、中高年以降に多い

三叉神経痛は、1年間に10万人あたり4〜10人程度の発症率ですが、男性よりも女性が2倍程度多く発症するといわれています。
発症年齢は50歳以降が多いといわれており、遺伝する病気とは考えられていません。

動脈硬化が起こると発症しやすいかも

三叉神経を圧迫している原因血管の多くは、脳の深部にある動脈です。三叉神経痛が中高年以降に多く発生していることから考えると、動脈硬化によって血管の蛇行や屈曲といった変化が進むことで、近くにある三叉神経を圧迫している可能性が考えられています。
そのため、動脈硬化をきたすような生活習慣を防ぐことが、三叉神経痛の予防につながる可能性があるといわれています。
動脈硬化は、血管が硬くなって弾力性が失われた状態で、脳卒中や心筋梗塞の原因にもなる状態です。脂質異常症(中性脂肪やコレステロールの増加)、高血圧、糖尿病、喫煙、加齢、運動不足、肥満、大量飲酒などが動脈硬化を悪化させる要因といわれています。動脈硬化を予防するには、栄養バランスと減塩を心がけた食事、定期的な運動(毎日30分以上の有酸素運動)、禁煙、アルコール量の制限などが日常生活のポイントになります。

三叉神経痛の治療法

基本的には痛み止めの服用で治療を行います。
痛み止めの治療が痛みに効かない場合や痛み止めの副作用が出現して継続できない場合には、外科的治療や放射線治療を行うことになります。

薬物療法

三叉神経痛は、神経組織の異常な電気信号が原因となっていることが多いため、それを抑える薬がよく使われます。カルバマゼピンなどの抗てんかん薬は有効性が高いことが知られています。また、プレガバリンなどの神経障害性疼痛に用いる薬剤を使うこともあります。
カルバマゼピンには薬疹や肝機能障害の副作用が見られることがあり、またプレガバリンにも眠気やめまいなどの副作用が見られることもあるため、慎重に薬剤を投与していきます。

神経ブロック

薬物療法で痛みの緩和ができなかった場合には、神経ブロック療法を用いることがあります。
顔の動きが刺激となり痛みとして伝わってしまう異常な神経回路が形成されることで、三叉神経痛が起こっている可能性が考えられています。神経ブロックは、この刺激が伝わる神経回路を機能させないようにすることで、痛みを防ぐ目的の治療です。
三叉神経痛で痛みをこしている神経の周囲に薬液を注入したり、高周波熱凝固といって神経に熱を加える治療を行います。脳神経内科やペインクリニックで行われることが多いです。

手術

頭蓋骨に穴を開けて、脳の深部にある三叉神経を圧迫している血管を移動したり、腫瘍を除去する治療です。手術ですので、数%の合併症が起こるリスクがありますが、薬物治療や神経ブロック治療などとは異なり、根本的な治療であるため多くの場合は三叉神経痛が改善します。
全身麻酔の手術が必要なので、脳神経外科での7〜10日間前後の入院治療が必要です。

放射線治療

ガンマナイフという放射線治療でも痛みが和らぐことが知られていますが、これは上記の治療方法で効果がない場合や手術を行うことが難しい場合などに検討されます。
三叉神経の根本に放射線を当てることで痛みの感じ方を変えてしまうという治療です。有効性は高いのですが、治療効果が得られるまでに数ヶ月間以上かかる可能性があります。

「三叉神経痛になりやすい人」についてよくある質問

ここまで三叉神経痛になりやすい人などを紹介しました。ここでは「三叉神経痛になりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

三叉神経痛は放置しても自然と治るのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

自然に治ることは少ないと思います。放置していても痛みを感じるだけで致命的な病気ではなく、脳卒中のように体が動けなくなるわけではありません。しかし、激しい痛みによって日常生活に支障をきたしてしまうため、治療することをお勧めします。

編集部まとめ

三叉神経痛は、誰にでも突然起こる可能性のある病気です。顔面に走る激痛であるため生活に支障をきたす痛みで、一般的な鎮痛薬はほとんど効きません。顔面だけではなく歯や歯茎が痛い場合もあります。早めに脳神経内科や脳神経外科を受診して治療を受けるようにしてください。

「三叉神経痛になりやすい人」と関連する病気

「三叉神経痛になりやすい人」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

三叉神経痛と鑑別を要する病気

詳しく症状の特徴を聞いて、画像検査で異常所見の有無を検討しても診断がつかないこともあります。鎮痛薬などを用いて緩和されるかどうかを確認する、という診断的な治療を行なって診断をつけることもあります。

「三叉神経痛になりやすい人」と関連する症状

「三叉神経痛になりやすい人」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

会話や食事などの顔に関する日常生活での動作で激痛が引き起こされます。早めに脳神経内科や脳神経外科への受診をするようにしましょう。

この記事の監修医師