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太るほど効かない?瘦せホルモン『レプチン』をご存知ですか?医師が3つの働きを解説

 公開日:2026/05/08
太るほど効かない?瘦せホルモン『レプチン』をご存知ですか?医師が3つの働きを解説

レプチンとは?メディカルドック監修医がレプチンの働き・どこから分泌されるのか・働きを助ける食べ物・サプリメントなどを解説します。

上田 莉子

監修医師
上田 莉子(医師)

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関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

「レプチン」とは?

「レプチン」とは?

レプチンは、体重や食欲を調整するホルモンのひとつです。
「やせる」を意味するギリシャ語の Leptos にちなんで、「レプチン」と名付けられました。
私たちの体には、エネルギーが十分にあると食べすぎを防ぎ、逆に足りなくなると食べる量を増やすしくみがあります。
レプチンは、このバランスを保つ働きに関わっています。
レプチンは、脳の視床下部にある摂食中枢に作用し、食欲を抑える方向にはたらきます。
さらに、体がエネルギーを消費しやすくする作用もあります。
このようにして、レプチンは、食べる量とエネルギー消費の両方に関わりながら、体重が増えすぎないように調整しているのです。

レプチンはどこから分泌されるの?

レプチンはどこから分泌されるの?

レプチンは、脂肪細胞から分泌されています。
脂肪細胞とは、脂肪組織をつくっている一つひとつの細胞のことをいいます。
脂肪細胞は、レプチンのほかにも、さまざまな物質を分泌しています。
たとえば、食欲の調整に関わるレプチン、インスリンの働きやすさに関わるアディポネクチン、さらに炎症や血栓、高血圧に関わる物質などがあります。
さて、体脂肪が増えると、レプチンの分泌量も増えます。
レプチンは主に脳の摂食中枢に働きかけて食欲を抑え、また、エネルギー消費を亢進することで、体のエネルギーバランスを整える役割を担っています。
ただし、肥満の状態では、レプチンが十分に分泌されていても、その働きが弱くなってしまうことがあります。具体的には、脂肪細胞からレプチンが多量に分泌されていても、レプチンによる信号が脳でうまく受け取られにくくなるため、食事量が下がりにくいだけでなく、エネルギー消費も上がりにくいという状況です。
このように、レプチンが効きにくくなった状態を「レプチン抵抗性」といいます。

「レプチン抵抗性」とは?

「レプチン抵抗性」とは?

レプチンは発見当初、世界中の肥満をなくしてしまうような強力な抗肥満薬をつくるためのきっかけになるのではないかと期待されました。
しかし、研究を進めるうちに、肥満の方では、増大した脂肪組織からレプチンが大量に放出されているにもかかわらず、食欲は抑制されないことが分かりました。
この、肥満になると視床下部にレプチンが効きにくくなるという現象を、「レプチン抵抗性」と呼ぶようになりました。

レプチンの働き(役割)

レプチンの働き(役割)

レプチンには、食欲抑制効果などを介して体重を減らす方向に働く効果があります。
なお、肥満の方ではレプチン抵抗性を認めることがあります。
ここからは、レプチンの主な働きを順番に説明します。
レプチンにはこのほかにも、生殖機能や免疫、血圧、血糖の調整に関わることが知られていますが、今回は食欲とエネルギー消費に関する働きにしぼって見ていきます。

摂食量の抑制

人は食事によってエネルギーを取り入れていますが、レプチンは脳の視床下部にある「摂食中枢」に働きかけ、食欲を抑える方向に作用します。その結果、食事量が減り、体重管理につながることが期待されます。

エネルギー消費の亢進

レプチンは交感神経に作用し、エネルギー消費を高める働きがあります。エネルギー消費が増えることで、摂取エネルギーより消費エネルギーが上回りやすくなり、減量につながる可能性があります。

中性脂肪の分解を促進する

レプチンは中性脂肪の分解を促進することで、身体の脂肪量を一定に保つように働きます。結果、レプチン増加により体脂肪量が減り、減量につながる可能性があります。

レプチンの増やし方

レプチンの増やし方

体脂肪が増えると、体内で分泌されるレプチンの量も増えます。
ただし、「レプチンを増やせばやせる」と単純に言えるわけではありません。前述のとおり、肥満ではレプチンが十分に分泌されていても、うまく働きにくくなるという「レプチン抵抗性」が起こることがあるためです。
そのため「レプチンの値を上げること」そのものを目標にするのは、あまり適切ではありません。
では、健康的にできることは何でしょうか。
大切なのは、「レプチンを増やすこと」よりも、「レプチンが下がりすぎないようにすること」や、「働きやすい状態を保つこと」です。
具体的に説明します。
なお、肥満がある場合も、レプチンをさらに増やすことを目指すのではなく、体重管理や睡眠、生活習慣の見直しを通して、レプチン抵抗性を悪化させないようにすることが大切です。

極端な絶食を避け、規則的に食べる

人間における実験で、短期の絶食でレプチンが大きく低下したこと、また、食べ始めるとレプチンが再上昇したという報告があります。
絶食や、無理な食事制限をすることで、レプチンは下がりやすくなります。
このため、規則的に食べることで、レプチンの濃度を保つことができます。
朝昼夕と食事を抜かず、絶食期間を長く作らないことで、レプチンの分泌量を維持します。

睡眠不足を避ける

睡眠時間を短く制限すると、レプチンの平均値や日内変動の振幅が低下するという報告があります。
睡眠不足で食欲が乱れやすい背景のひとつとして、レプチン低下が関与している可能性があります。

適度な運動でレプチンの効果を保つ

運動により体脂肪が下がると、レプチンの分泌は低下します。しかし、運動をすることで、代謝改善やレプチン感受性の改善が期待できます。

過食で無理にレプチンを上げようとしない

過食でレプチンが一時的に上昇することが知られていますが、肥満やレプチン抵抗性の観点から過食は推奨できません。レプチン抵抗性を起こさずに、健康的に暮らすには、規則正しい食生活を行うことが重要です。

レプチンの働きを助ける食べ物

レプチンの働きを助ける食べ物

レプチンの分泌量や働きを、特定の食品ひとつで大きく改善できるとまでは、今のところいえません。理由を説明します。

特定の食品でレプチンを増やすことは難しい理由

特定の食品を食べるだけで、レプチンを安定して増やせるとはいえません。
この理由は、レプチンが体脂肪の量だけでなく、エネルギー不足の状態や睡眠など、さまざまな影響を受けるためです。
それぞれの影響についてみていきましょう。

食事の食べ方や生活習慣の影響について

まず、レプチンは食事の食べ方によって、短い間でかなり影響を受けます。絶食や強いエネルギー不足でレプチンは素早く低下してしまいます。このレプチンの動きは、食事摂取を再開すると戻ることが知られています。欠食せずに1日3食食べ、空腹の時間を長くしないことで、レプチンの分泌を安定化できる可能性があります。
次に、生活習慣において、特に睡眠や体重変化がレプチンの分泌と関係します。
さらに先述のように睡眠時間が短いとレプチンの分泌が抑えられ、減量により脂肪量が減少すると、レプチンは下がります。

レプチン抵抗性と食事の考え方

肥満がある場合は、レプチン抵抗性のために、レプチンの値そのものは高くても、うまく働きにくくなっていることがあります。
そのため、単純に「レプチンを上げる食品」を探すことは、あまり意味がありません。

レプチンの働きを助ける食品のまとめ

以上の理由から、ただレプチンの分泌を亢進させることだけで健康的になれるとは限りません。大切なのは「この食べ物を食べればよい」と考えることではなく、食事全体のバランスや生活を整えることです。
また、「レプチンを増やす食べ物」を探すよりも、レプチンが下がりすぎにくく、働きが乱れにくい食べ方を意識するほうが現実的です。

レプチンの働きを助けるサプリメント

レプチンの働きを助けるサプリメント

レプチンの働きを補助するサプリメントはあるのでしょうか。順に説明します。

レプチンに直接作用するサプリメントはあるか

「レプチンの働きを助ける」と明確に言える定番サプリは、現時点ではありません。

サプリメントより重要な生活習慣

サプリより睡眠不足の是正、極端な食事制限の回避、体重管理のほうがレプチンには重要です。
繰り返しになりますが、睡眠不足や欠食でレプチンは低下してしまいます。

体重管理とレプチンの関係

体重が減るとレプチンは減少しますが、体重増加によって肥満をきたすと「レプチン抵抗性」をきたし、レプチンが多量に分泌されていても効きが弱くなってしまう現象が起こります。

「レプチン」についてよくある質問

「レプチン」についてよくある質問

ここまでレプチンについて紹介しました。ここでは「レプチン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

レプチンは痩せホルモンと言えるのでしょうか?

上田莉子医師上田 莉子(医師)

レプチンにはレプチン抵抗性といって、肥満の方で効き目が弱くなる場合があるため、単純に「痩せホルモン」と言うことは難しいと考えます。
痩せたいという思いは、今の時代を生きる私たちにとって、とても身近で切実な願いです。
仮にレプチンが瘦せホルモンであったとして、ひとつの「痩せホルモン」に過度な期待を寄せるよりも、食事、睡眠、運動といった生活習慣を少しずつ整えて、日々の生活を少しずつ健康的に変えていくことが、すっきりした体型だけでなく、これから先の健康を守ることにもつながっていくのではないでしょうか。

まとめ レプチンを意識するより、食事・運動・睡眠の生活習慣を整えましょう

ここまで、レプチンというホルモンの働きや、レプチンを下げにくくし、その作用を保つための生活習慣についてご紹介してきました。
体重を整えたいときに大切なのは、レプチンだけに目を向けることではなく、食事・運動・睡眠といった毎日の生活習慣を無理のない範囲で整えていくことです。とくに、十分な睡眠を確保し、適度な運動を続けながら筋肉量を保つことは、健康的な体重管理につながると考えられています。
また、肥満ではレプチンの値が高くても、その働きが十分に発揮されにくいことがあります。そのため、一般的には「レプチンを増やすこと」自体を目標にするのではなく、生活全体を整えながら、無理のないかたちで健康的な身体を目指していくことが大切です。
健康的な体を目指すためには、特定のホルモンにこだわるよりも、毎日の暮らしを整え、無理のない運動を少しずつ続けていくことが大切です。
健康的な身体を目指して、規則正しい生活や運動習慣を身につけましょう。

「レプチン」と関連する病気

「レプチン」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内分泌系

  • 先天性レプチン欠損症
  • レプチン受容体欠損症
  • 脂肪萎縮症
  • 肥満
  • NAFLD/NASH

レプチン異常が直接原因となる病気はまれです。先天性レプチン欠損症のように、レプチンそのものの異常で起こる病気は珍しい一方、レプチンは肥満などの一般的な病態にも関わっています。

「レプチン」と関連する症状

「レプチン」と関連している、似ている症状は1個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 肥満

レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、体脂肪量の調整に密接に関わっています。

この記事の監修医師