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「男性乳がんを発症する確率」はご存知ですか?原因や治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/04/01
「男性乳がんを発症する確率」はご存知ですか?原因や治療法も解説!【医師監修】

乳がんは女性の疾患として知られていますが、男性にも発症することはご存知でしょうか?
本記事では、男性が乳がんになる確率について以下の点を中心にご紹介します!

  • ・男性の乳がんの確率
  • ・男性の乳がんの種類
  • ・男性の乳がんの生存率

男性の乳がんについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

男性の乳がんの確率

男性の乳がんは、そのまれさは確かですが、無視できない健康問題です。米国の統計によれば、女性は生涯において8人に1人の割合で乳がんに罹患しますが、男性は1000人に1人にとどまります。日本でも男性の乳がん患者さんの数は増加傾向にあり、2019年には670人で、女性患者さんの数の0.7%に相当します。男性の乳がんは主に60〜70代で発症し、女性よりも約10歳高齢とされています。しかし、認知度は低く、早期発見が難しいことがあります。男性も乳がんのリスクを認識し、定期的な健康チェックを受けることが大切です。

男性の乳がんの特徴

男性の乳がんにはどのような特徴があるのでしょうか?
以下では、種類や原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。

乳がんの種類

乳がんは非浸潤性乳管がん、浸潤性乳管がん、そしてパジェット病の3つに分類されます。非浸潤性乳管がんは乳管や腺葉内にがん細胞が存在し、しこりが難しく、検査で発見されることが少なくない早期のがんです。浸潤性乳管がんは乳管からほかの組織にがんが広がり、しこりを触診で感じることが一般的です。また、パジェット病は乳頭の症状を通じて発見されます。これらの種類を理解し、定期的な検診と自己検査をすることが予防と早期発見に重要です。男性の乳がんでも注意が必要です。

乳がんの原因

乳がんは性別にかかわらず発症する可能性があり、その原因は多岐にわたります。主な要因の一つは女性ホルモンのエストロゲンで、乳腺細胞の成長を促進し、乳がんリスクを高めることで知られています。男性でもエストロゲンの影響は考慮すべきで、特に肝硬変やクラインフェルター症候群などの状態はエストロゲン量を増加させ、乳がんのリスクを高める可能性があります。
年齢も大きなリスク要因で、加齢とともに乳がん発症リスクが増加します。環境要因としては、放射線療法の経験もリスクを増やすことがあります。放射線は乳腺細胞のDNAに損傷を与え、がん化の原因となります。ホルモン療法も体内のエストロゲンレベル変動によりリスクを増加させることがあります。
そのほかにも、血清エストラジオールの増加、女性化乳房、肝疾患、肥満、精巣異常などが関連要因として挙げられます。これらはホルモンバランスに影響を及ぼし、乳がんリスクを高めると考えられています。
男性の乳がんのリスクを減らすためには、これらの要因を理解し、健康的な生活習慣を実践することが大切です。また、リスクが高い場合は定期的な検査を受けることがおすすめされます。

乳がんの診断方法

乳がんの診断方法は以下の通りです。

問診と触診:患者さんの病歴や症状を尋ね、乳房にしこりや異常があるかを医師が触診で確認します。
超音波検査:25歳未満の男性や触診では確認が難しい場合、乳房内の構造を詳細に調べるために超音波検査が行われます。
マンモグラフィ:25歳以上の男性や、身体診察で乳がんの疑いがある場合には、マンモグラフィが行われます。これによりX線で乳房を撮影し、異常を可視化します。
生検:異常が見つかった場合、針生検が行われます。がん組織のサンプルを採取し、病理学的に分析して乳がんの確定診断と治療方針決定に役立てます。
画像検査:病気の進行度を評価するため、CT検査やFDG-PET検査などの画像検査が実施されることがあります。これらは広がりや転移の有無を把握します。
MRI:より詳細な検査としてMRIが用いられ、しこりや乳房内の変化を評価します。
遺伝子検査:乳がんが遺伝的要因によるものかを判断するため、遺伝子検査が行われることもあります。BRCA遺伝子の変異を調べるために血液サンプルが使用されます。

これらの検査を経て、乳がんの診断が確定され、適切な治療方針が立てられます。

乳がんの治療法

乳がんの治療法は以下の通りです。

手術による全摘出:男性の乳がん治療では、通常、乳房全摘出が行われます。
放射線療法:手術後や一部の症例において、放射線療法が行われることがあります。
抗がん剤治療:乳がんの特性に応じて、抗がん剤が使用されます。
ホルモン療法:ホルモン受容体が発現している場合には、ホルモン療法が適用されることがあります。
分子標的治療:HER2が過剰に発現している場合、分子標的治療が行われます。

治療法の選択は病期や病状に応じて決定され、全摘出ができる病期では手術が優先されます。抗がん剤やホルモン療法、放射線療法は必要に応じて組み合わせて行われます。治療方針は個別に調整されます。

男性の乳がんの遺伝する確率

男性の乳がんリスクには遺伝要因も影響します。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)はBRCA1またはBRCA2遺伝子の変異による疾患で、性別に関係なく遺伝します。男性がこの変異を持つ場合、乳がん発症リスクは低いものの、子どもへの遺伝リスクが高まります。HBOC家系出身の場合、自身の健康への注意と遺伝学的検査が重要です。検査結果をもとに医師の指導で定期的な診察や予防策を考えましょう。HBOCの男性は、乳がん以外にも前立腺がんや膵がんなどのリスクが高まることにも留意が必要です。

男性の乳がんの生存率

ここまで男性の乳がんについてお伝えしてきました。では男性の乳がんの生存率は女性と異なるのでしょうか?
以下では、5年生存率と10年生存率について詳しく解説します。

5年生存率

男性の乳がんは女性の乳がんより、生存率が低い特徴があります。男性の乳がん患者さんの全生存率は45.8%、5年生存率は77.6%で、女性のそれは60.4%、86.4%と、差が明らかです。男性の乳がんは発見が難しく、診断までの期間が長い傾向があります。男性が乳がんを女性の病気と誤解することや、乳房の小ささが早期発見を難しくしています。また、男性の乳がんは高齢で発症することが少なくないため、早めの医療相談が必要です。リスクを認識し、早期発見と適切な治療が生存率向上につながります。

10年生存率

男性の乳がん患者さんの10年生存率は47.6%と報告されています。これは女性の乳がん患者さんの生存率より低い数値であり、男性の乳がんが女性よりも予後が不良であることを示しています。
死亡した男性の乳がん患者さんの内訳を見ると、ほかの病気による死亡が3名、重複がんによる死亡が4名、再発による死亡が5名となっています。これにより乳がん以外の疾患や再発の可能性にも注意を払う必要があることがわかります。

男性の乳がんについてよくある質問

ここまで男性の乳がんを紹介しました。ここでは男性の乳がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

男性の乳がんは早期発見しやすいですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

男性の乳がんは早期発見が難しく、その理由にはいくつかの要因があります。男性は乳がんは女性の病気だと考えがちで、自己検査や症状に対する意識が低い傾向にあります。このため、乳房の異常を見逃しやすく、発見が遅れる場合があります。また、男性の乳房は女性より小さいため、小さなしこりや変化を見つけにくいという問題もあります。そのため乳房周辺にしこりや違和感がある場合には、乳腺外科への受診を検討することが重要です。

男性の乳がんに痛みはありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

男性の乳がんにおける主な自覚症状としては、硬く、可動性のないしこりが乳輪の後部にできることが挙げられます。男性乳がんはこのしこりに痛みを伴いません。

まとめ

ここまで男性の乳がんの確率についてお伝えしてきました。男性の乳がんについての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・日本でも男性の乳がん患者さんの数は増加傾向で、女性患さんの数の0.7%に相当する
  • ・浸潤性乳管がんにかかる男性は少なくない
  • ・男性の乳がんは女性の乳がんより発見しづらいため、生存率が低い

男性の乳がんと関連する病気

男性の乳がんと関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

乳腺科・泌尿器科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

男性の乳がんと関連する症状

男性の乳がんと関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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