「インスリンの分泌を促す食べ物」はご存知ですか?分泌を促す飲み物も医師が解説!

インスリンの分泌を促す食べ物とは?メディカルドック監修医がインスリンの分泌を促す飲み物・インスリンの働きを助ける食べ物・飲み物などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「インスリン」とは?

インスリンは主に血糖値を下げる働きがあるホルモンの一種です。
食事をすると血糖値が上がります。血糖値が上がるとインスリンが分泌され、血糖値が正常の範囲になるよう調整しています。
糖尿病の原因は、インスリン分泌の低下やインスリンの働きが不十分になること(インスリン抵抗性)です。
インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性が起こると、血糖値が下がりにくくなり、高血糖を引き起こします。高血糖の状態が続くと糖尿病を発症するリスクになります。
インスリンの分泌が低下する原因は、遺伝や加齢などです。また、インスリン抵抗性があるとインスリン分泌が亢進するといわれています。インスリンの分泌が多くなっても、過剰に分泌されすぎると身体に悪影響が起こります。内臓肥満、高血圧、高中性脂肪血症などのリスクを高め、動脈硬化や心血管疾患の発症につながるのです。そのため、インスリンがただ分泌されればよいというわけではなく、適切な量を分泌し血糖値のコントロールを改善することが大切です。
インスリン抵抗性を改善し、適度にインスリン分泌を促すことが、糖尿病の発症や悪化の予防につながります。
インスリンはどこから分泌されるの?

インスリンを出す臓器は膵臓です。食べ物や飲み物を摂取して、血糖値が上がると膵臓のβ細胞からインスリンが分泌されます。
高血糖やインスリン抵抗性などが原因で、インスリンの分泌は低下するといわれています。
インスリンの働き

インスリンの主な働きは、血液中の糖を細胞に取り込むことです。また、細胞にエネルギーを蓄える・たんぱく質や脂質の代謝に関わる作用があるといわれています。
糖を細胞に取り込む
インスリンは血液中の糖を、脂肪や筋肉の細胞に取り込み、血糖値を下げる作用があります。
血液中の糖をエネルギー源として利用するためには、インスリンが働いて糖を細胞に取り込むことが必要です。
食べ物や飲み物を摂取すると、血糖値が上がります。インスリンの働きによって、血液中の糖を細胞に取り込み、血糖値が高くなりすぎないように抑えることによって、血糖値は調節されています。
エネルギーを蓄える
インスリンはエネルギーを蓄えるために働く作用があります。
食べ物を摂取して、使いきれず余ったエネルギーは、体内のエネルギーが不足したときに利用できるよう、肝臓や筋肉、脂肪細胞に貯蔵されます。
糖質はそのままの形では貯蔵できません。そのため、インスリンが糖に作用し、肝臓や筋肉、脂肪細胞に貯蔵できるような形に合成します。
血糖値のバランスを維持する
インスリンは血糖値のバランスを維持する働きがあります。
肝臓からの糖の放出を抑制し、筋肉や脂肪組織に糖の取り込みを促進させることにより、血糖値のバランスを保っています。
脂肪の合成を促進する
インスリンは脂肪細胞への糖の取り込みを促進し、中性脂肪の合成を促進します。また、脂肪分解を抑制する作用もあります。
たんぱく質の合成を促進する
インスリンは細胞への、アミノ酸の取り込みを活性化させ、たんぱく質の合成を促進する働きがあります。また、たんぱく質の分解を抑制する働きもあり、たんぱく質の代謝に関係するといわれています。
インスリンの分泌を促す食べ物

インスリン分泌を促進する栄養素は糖質です。しかし、糖質の過剰摂取は高血糖を招く原因になります。高血糖が続くと、膵臓のβ細胞に負担がかかり、インスリンの分泌低下につながるといわれています。
糖質以外で、高血糖を招きにくく、インスリンを適切に分泌させる作用がある食べ物として報告されている栄養素は、ビタミンDやカルシウムなど、さまざまです。まだ解明されていない点も多くあります。
以下がインスリンを適切に分泌させる作用がある食べ物ランキングです。
1位:ヨーグルト
ヨーグルトなどの乳製品に含まれるホエイプロテインは、インスリンの分泌を促進するという報告が複数あります。
ホエイプロテインはアミノ酸とインクレチンというホルモンを上昇させ、インスリンの分泌を増強する作用があるといわれています。
2位:きのこ類
ビタミンDは膵臓に直接作用してインスリンを分泌させる働きがあると報告されています。
ビタミンDを多く含む食品は、まいたけや干し椎茸などのきのこ類や魚介類です。
3位:小魚
カルシウムは膵臓以外の組織に働き、インスリンの分泌を助ける働きがあると報告されています。
カルシウムはビタミンDと一緒に摂ると吸収が促進されます。カルシウムだけでなく、ビタミンDも含んでいるしらすなど、小魚の摂取がおすすめです。
4位:大豆製品
大豆製品に含まれるたんぱく質やカルシウムはインスリン分泌やインスリン抵抗性の改善効果が期待できます。また、大豆に含まれるポリフェノールは、インスリンの働きを助け、インスリンの抵抗性を改善するという報告があります。
大豆に多く含まれるイソフラボノイドというポリフェノールが肝臓においてインスリン抵抗性を改善する可能性があると報告されています。
5位:魚
たんぱく質の代謝は、インスリン分泌に関与しているという報告があります。
たんぱく質を多く含む主な食品は肉や魚、卵、大豆製品です。
魚は、インスリンの分泌に関与するといわれるn-3系脂肪酸やビタミンDを多く含んでいます。
インスリンの分泌を促す飲み物

高血糖を招きにくく、インスリンを適切に分泌させる作用がある飲み物には、乳たんぱく質やポリフェノールを含むものなどが報告されています。コーヒーなどに含まれるカフェインのように、インスリンの感受性を低下させるといった反対の効果の報告もあります。1種類の飲み物に偏らず摂取することをおすすめします。
以下がインスリンを適切に分泌させる作用がある飲み物ランキングです。
1位:牛乳
牛乳に多く含まれるたんぱく質のホエイとカゼインは、インスリンの分泌を促進する働きがあると報告されています。また、インクレチンホルモンを通じて間接的にインスリンの分泌を促す可能性があるといわれています。
牛乳はたんぱく質だけでなく、乳糖や乳脂肪などいろいろな栄養素を含む飲み物です。大量に摂取することは、カロリーオーバーにつながり肥満を招く場合があります。
低脂肪乳の摂取により、インスリン抵抗性が改善されるという報告もあります。
濃厚牛乳や普通牛乳より、低脂肪牛乳の摂取がおすすめです。
2位:緑茶
緑茶に多く含まれるポリフェノールがインスリンの分泌を亢進させる作用があるといわれています。
緑茶に含まれる、エピガロカテキンガレートというポリフェノールがインスリン分泌を増強する働きがあるrます。
3位:紅茶
紅茶も緑茶と同様に、ポリフェノールがインスリンの分泌を亢進させるという報告があります。
紅茶に含まれる、エピガロカテキンガレートやタンニン、テアフラビンなどのポリフェノールがインスリン分泌を増強する働きがあるといわれています。
4位:豆乳
豆乳は血漿アミノ酸の増加とインクレチンホルモンのGIPがインスリン濃度を増加させる働きがあるという報告があります。
5位:コーヒー
コーヒーはクロロゲン酸やマグネシウムなどさまざまな栄養素が含まれ、GLP-1分泌の亢進やインスリンの感受性の改善により糖代謝の改善効果があるといわれています。
しかし、カフェインの急性的な効果にはインスリンの感受性を低下させる可能性もあるため、注意が必要です。長期的なコーヒーの効果としては糖尿病のリスクを低下させると言われていますが、これはクロロゲン酸などのポリフェノールの効果が主体と考えられます。このため、カフェインレスのコーヒーの摂取がおすすめです。
インスリンの働きを助ける食べ物

インスリンの働きを助けると報告されている食べ物はポリフェノールや食物繊維など、さまざまありますが、まだ解明されていない点も多くあります。
以下がインスリンの働きを助ける食べ物ランキングです。
1位:魚
魚はインスリンの働きを助け、インスリンの抵抗性を改善するという報告があります。
魚に含まれる、n-3系脂肪酸やビタミンDがインスリンの分泌やインスリンの抵抗性に関連しているといわれています。
n-3系脂肪酸やビタミンDを多く含む魚は、サケやサバなど脂肪の多い魚です。
2位:野菜
野菜に含まれるポリフェノールは、インスリンの働きを助け、インスリンの抵抗性を改善するという報告があります。
玉ねぎやパセリに含まれるアピゲニンや生姜に含まれるジンゲロールなどのポリフェノールがインスリンの抵抗性を改善する可能性があるといわれています。
3位:全粒粉穀物
全粒粉はインスリンの抵抗性を改善する効果があると報告されています。また、全粒粉に含まれるポリフェノールは膵臓βの細胞の保護作用があり、インスリン抵抗性改善効果があるといわれています。
4位:ナッツ類
ナッツ類に含まれる脂質の不飽和脂肪酸やポリフェノール、食物繊維は、インスリンの働きを助け、インスリンの抵抗性を改善するという報告があります。
ピーカンナッツやアーモンドなどに含まれるプロアントシアニジン、くるみにはエラジタンニンというポリフェノールがインスリン抵抗性を改善する可能性があるといわれています。
5位:果物
果物に含まれるポリフェノールは、インスリンの働きを助け、インスリンの抵抗性を改善するという報告があります。
果物の中でも、ぶどうやブルーベリーに多く含まれているレスベラトロールやりんごに多く含まれているフラボノイドなどのポリフェノールがインスリン抵抗性を改善する可能性があります。糖分も多く含み血糖値を上昇させる可能性もあるため食べすぎには注意しましょう。
インスリンの働きを助ける飲み物

インスリンの働きを助けると報告されている飲み物は、さまざまありますが、まだ解明されていない点も多くあります。
ポリフェノールや乳たんぱく質を含む飲み物がインスリンの働きを助ける可能性があるといわれています。
以下がインスリンの働きを助ける飲み物ランキングです。
1位:緑茶
緑茶に多く含まれるポリフェノールのエピガロカテキンガレートはインスリン抵抗性を改善する効果があると報告されています。
また、エピガロカテキンガレート以外にもタンニンがインスリン抵抗性を改善する可能性があるといわれています。
体内の鉄の貯留濃度が高いと、インスリン抵抗性を起こすリスクになるといわれています。緑茶には鉄分の吸収を阻害する働きがあり、鉄分の体内の貯蔵を低下させ、インスリン抵抗性が改善する可能性があります。
2位:コーヒー
コーヒーに含まれるポリフェノールのクロロゲン酸は膵臓のβ細胞に働き、インスリン抵抗性を改善するという報告があります。
コーヒーに含まれるカフェインはインスリン感受性を低下させるという報告もあるため、カフェインレスのコーヒーの摂取がおすすめです。
3位:紅茶
紅茶に含まれるポリフェノールはインスリン抵抗性を改善するという報告があります。
インスリン抵抗性の改善に効果があるといわれている成分は、テアフラビン・エピガロカテキンガレートなどのポリフェノールです。
4位:ココア
ココアに含まれるポリフェノールはインスリンの作用を増強するという報告があります。
ココアに含まれるポリフェノールのフラバノール類はインスリン分泌の調節やインスリン感受性組織に影響するといわれています。
ココアは脂質が多くカロリーが高い飲み物です。飲み過ぎはカロリーオーバーにつながり、肥満のリスクになります。さらに糖やミルクを加えてある調整ココアは血糖値に影響する可能性も考えられます。過剰摂取にならないようにしましょう。
5位:乳飲料
牛乳などの乳飲料は、インスリンの感受性を高めるという報告があります。
牛乳などの乳飲料には、たんぱく質の他にもカルシウムやマグネシウムなどの栄養素を多く含むためです。
また、プロバイオティクスで強化した乳飲料の摂取は、腸内環境を改善する可能性があり、インスリン抵抗性を改善するといわれています。
「インスリンと食べ物」についてよくある質問

ここまでインスリンと食べ物について紹介しました。ここでは「インスリンと食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
糖尿病に効果的な食べ物について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
糖尿病では、ある1つのものだけを食べることで、血糖値を改善する可能性は低いです。糖尿病の食事療法は、いろいろな栄養素をバランスよく食べることが基本です。
乳製品やビタミンDなど、インスリン分泌の促進や働きを助ける栄養素はあります。適正な摂取エネルギーの範囲で、インスリンの分泌や働きを助ける作用が期待できる食品を摂ることをおすすめします。
まとめ:適度なインスリン分泌のためには、いろいろな食品を摂ることがおすすめです。
インスリンの分泌を促すと報告されている栄養素や食べ物はさまざまあります。しかし、現状ではまだ解明されていないことが多いです。
たんぱく質やカルシウム・ビタミンD・ポリフェノールなどがインスリンの分泌を促します。これらは、糖尿病の食事療法の基本である、バランスの良い食事をすることで摂取できる栄養素です。
「インスリン」と関連する病気
「インスリン」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内分泌系
脳神経系
循環器系
- 心血管疾患
腎臓系
- 糖尿病性腎症
眼科系
インスリンと関連する病気はさまざまあります。インスリンの分泌不足や作用不足の状態が続くと糖尿病を発症するリスク因子となります。また、血糖値のコントロール不良は糖尿病合併症を発症するリスクになります。健康診断などで高血糖の指摘をされたら、すみやかに医療機関を受診しましょう。
「インスリン」と関連する症状
「インスリン」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 強い空腹感
- 冷や汗
- 手の震え
- 多飲
- 体重減少
- 疲労感
高血糖や低血糖で現れる症状は、インスリンと関連する症状です。高血糖は主にインスリンの作用不足で起こり、低血糖はインスリンの分泌過多やインスリン注射での治療中に起こる場合があります。低血糖の症状が現れた場合は、補食をするなどの対処をしましょう。体重減少や疲労感などの症状が現れた場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。




