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「ドーパミン」ってどんなホルモン?多い人の特徴や出し方も医師が徹底解説!

 公開日:2026/02/18
「ドーパミン」ってどんなホルモン?多い人の特徴や出し方も医師が徹底解説!

ドーパミンとは?メディカルドック監修医がドーパミンの働き・多い人の特徴・不足すると現れる症状・不足する原因・出し方などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

「ドーパミン」とは?

「セロトニン」とは?

ドーパミン(Dopamine)とは、私たちの脳内で情報の受け渡しを行っている神経伝達物質の一種です。一般的には「快楽物質」や「幸せホルモン」と呼ばれることが多いのですが、医学的・脳科学的な視点から見ると、単に気持ちよくなるための物質ではありません。
ドーパミンは、私たちが生きていくために不可欠な「意欲(やる気)」「学習」「運動の調節」そして「報酬への期待」を司る、「人生のエンジン」のような役割を果たしています。
ドーパミンは多すぎても少なすぎても心身に影響が出るため、その仕組みを正しく理解し、適切にコントロールすることが、現代社会を健康に生き抜くための鍵となります。
ドーパミンは、脳の「報酬系」と呼ばれる快楽を感じる回路で中心的な役割を果たしています。美味しいものを食べたり、SNSで「いいね!」がついたり、目標を達成したときに嬉しいと感じるのは、背景でドーパミンが分泌されて脳が喜びを学習しているためです。
一方で、類似して“幸せホルモン”と呼ばれる物質に「セロトニン」があります。セロトニンはドーパミンの働きを制御して精神を安定させる作用があり、ドーパミンが「快感・やる気(アクセル)」を司るのに対し、セロトニンは「安心・安定(ブレーキ)」に関与すると考えると分かりやすいでしょう。

ドーパミンの働き

「セロトニン」とは?

運動機能のコントロール

私たちがスムーズに歩いたり、手先を器用に動かしたり、姿勢を維持したりできるのは、脳の「大脳基底核」という場所でドーパミンが適切に働いているおかげです。 ドーパミンは、筋肉を動かそうとする指令に対し、アクセルとブレーキを微調整して、動作を滑らかにする潤滑油のような役割を担っています。この機能が低下すると、身体が固くなったり、震えが出たりする運動障害が生じます。

やる気と報酬系(モチベーション)

「勉強を頑張ったら褒められた」「仕事を達成して報酬を得た」といった快い経験をすると、脳内でドーパミンが放出されます。すると脳は「これをやると良いことがある(報酬が得られる)」と学習し、次もその行動を繰り返そうとする意欲が湧きます。これを「報酬系」と呼びます。 重要なのは、ドーパミンは実際に報酬を得た時だけでなく、「これから良いことが起きそうだ」と予測した時(報酬予測)に最も多く分泌されるという点です。旅行の計画を立てている時にワクワクするのはこのためで、ドーパミンは私たちを行動へと駆り立てる原動力になります。

認知機能と記憶(ワーキングメモリ)

ドーパミンは、脳の最高司令塔である「前頭葉(前頭前野)」にも深く関わっています。ここでは、物事を順序立てて考えたり、注意を集中させたり、情報を一時的に記憶して処理する「ワーキングメモリ(作業記憶)」の働きを支えています。 仕事の段取りを組んだり、集中して複雑な作業を行ったりするために欠かせない物質であり、この領域でのドーパミン活性が、知的生産性や実行機能に直結しています。

学習と強化(強化学習)

私たちが新しいスキルを身につけたり、習慣を形成したりするプロセスにもドーパミンが関与しています。自分の行動の結果が予測より良かった場合(ポジティブな予測誤差)、脳内でドーパミンが放出され、その行動パターンが脳の回路に強く刻み込まれます。 これは「強化学習」と呼ばれるメカニズムで、スポーツの上達や勉強の習慣化などは、このドーパミンの働きによるものです。一方で、悪い習慣(過食やギャンブルなど)も同様のメカニズムで強化されてしまうため、注意が必要です。

ホルモン分泌の調整

少し専門的になりますが、ドーパミンは脳の下垂体という部分に働きかけ、全身のホルモンバランスを調整する役割も持っています。具体的には、母乳を作るホルモンである「プロラクチン」の分泌を抑制する働きがあります。 また、腎臓の血管を拡張して血圧を調整したり、消化管の動きを調整したりする末梢(脳以外)での作用もあり、全身の生理機能維持に関わっています。

ドーパミンが多い人の特徴

「セロトニン」とは?

高い目標達成意欲と行動力

ドーパミンの働きが活発な人、あるいはドーパミン受容体の感度が高い人は、一般的にエネルギッシュで目標志向が強い傾向があります。報酬(成功や達成感)に対する感度が高いため、「もっと上を目指したい」というモチベーションを維持しやすく、困難な課題にも積極的に取り組むことができます。起業家やトップアスリートなど、社会的に大きな成果を出す人々に多く見られる特徴であり、常に前向きなエネルギーを発散しています。

好奇心旺盛(新奇性探求)

心理学的には「新奇性探求」という気質と関連しています。未知のもの、新しい場所、新しい情報に対して「ワクワクする」感情が強く働きます。変化を恐れず、常に新しい刺激を求めるため、流行に敏感であったり、多趣味であったりすることが多いです。リスクを恐れずに新しい環境に飛び込むことができるため、イノベーターとしての資質が高いとも言えます。

高い集中力(過集中)

興味を持った対象に対しては、寝食を忘れるほどの深い集中力を発揮します。いわゆる「ゾーン」に入った状態になりやすく、短期間で高いパフォーマンスを上げることができます。 ただし、この集中力は「興味のあること」に特化して発揮されるため、興味のないルーチンワークなどには全くやる気が起きないという極端な一面を持つこともあります。

衝動性とリスクテイキング

ドーパミン活性が高いことの裏返しとして、衝動的になりやすいという特徴もあります。報酬(欲しいもの、食べたいもの、やりたいこと)への欲求が強いため、後先を考えずに行動してしまったり、スリルを求めてリスクの高い行動(ギャンブルや危険なスポーツなど)を好んだりする傾向が見られることもあります。ブレーキ役のセロトニンが不足すると、この傾向がより顕著になります。

飽きっぽさ

ドーパミンは「予測できない新しい刺激」に対して強く反応するため、同じことの繰り返し(ルーチンワーク)には反応しにくくなります。そのため、ドーパミンが多いタイプの人は、単調な作業や変化のない環境に耐えられず、すぐに飽きて次の刺激を求めてしまうことがあります。常に新しいプロジェクトや変化を必要とするため、安定した環境よりも変化の激しい環境を好む傾向にあります。

ドーパミンが不足すると現れる症状

「セロトニン」とは?

運動機能の障害(パーキンソン症状)

ドーパミンが著しく不足すると、脳からの運動指令がスムーズに伝わらなくなり、運動機能に障害が現れます。典型的なのが「パーキンソン病」に似た症状です。 安静時の振戦(何もしていない時に手足が震える)、無動・動作緩慢(動きが遅くなる、歩き出しの一歩が出ない)、筋固縮(筋肉がこわばる)、姿勢反射障害(転びやすくなる)などが挙げられます。また、脚がむずむずする不快感(むずむず脚症候群)が出ることもあります。
一時的なこわばりであれば、身体を温めてストレッチをすることで和らぐ場合があります。しかし、これらは脳内の神経伝達物質の問題であるため、自力での改善は困難です。転倒しないように環境を整えることが優先されます。震えや動作の緩慢さが続く場合は、早急に脳神経内科を受診してください。

精神的な症状(意欲低下・うつ状態)

脳のエネルギー切れのような状態になり、精神活動が停滞します。「アパシー(無気力)」と呼ばれる状態が特徴的です。悲しいわけではないのに、何をするのも億劫になる、以前楽しかった趣味に喜びを感じなくなる、身だしなみに気を使わなくなる、といった症状が現れます。うつ病の症状と重なりますが、特に「意欲の減退」が著しいのが特徴です。
このような場合には、無理に頑張ろうとせず、休息を優先してください。朝起きて日光を浴びる、軽い散歩をするなど、リズム運動を行うことでセロトニンとドーパミンの分泌を促すことができます。日常生活に支障が出るほどの無気力が続く場合は、精神科や心療内科を受診してください。

認知機能・注意力の低下

前頭葉でのドーパミン不足により、思考力や集中力が低下します。仕事や家事でのミスが増える、話の内容が頭に入ってこない、物事の段取りが組めない、といった症状が出ます。また、集中力が続かず、ぼんやりしてしまう時間が長くなります。大人のADHD(注意欠如・多動症)の症状としても知られており、不注意が目立つようになります。
対応策として、マルチタスクを避け、一つずつの作業に集中するようにします。スマホなどの通知を切って刺激を減らす「デジタルデトックス」を行い、脳の疲労を回復させることも有効です。
仕事や生活への影響が大きい場合は、精神科や心療内科で相談してください。特に若い頃から傾向がある場合は、発達障害の特性である可能性も含めて専門医の判断を仰ぐのが良いでしょう。

ドーパミンが不足する原因

「セロトニン」とは?

慢性的なストレスと加齢

長期間の強いストレスにさらされ続けると、脳は対抗するためにドーパミンを過剰に消費してしまい、枯渇状態になります(バーンアウト症候群など)。また、加齢とともにドーパミンを産生する神経細胞(特に中脳黒質の細胞)は自然に減少していきます。
これが高齢者において動作が緩慢になったり、新しいことへの意欲が低下したりする生理的な一因となります。

生活習慣の乱れ(睡眠・栄養)

ドーパミンの合成には、材料となるアミノ酸(チロシン)や、合成を助けるビタミンB6、鉄分などの栄養素が必要です。極端なダイエットや偏った食事でこれらの栄養が不足すると、脳内でドーパミンが作られにくくなります。
また、睡眠不足はドーパミン受容体(受け皿)の働きを低下させるため、いくらドーパミンが出ていても脳がそれを受け取れなくなります。質の良い睡眠は、受容体のメンテナンスに不可欠です。

過剰な刺激による「ダウンレギュレーション」

現代特有の深刻な原因として、スマホやSNS、ゲーム、甘い物などの「強すぎる刺激(超常刺激)」への依存が挙げられます。これらは強力かつ頻繁にドーパミンを放出させます。 こうした強い刺激が続くと、脳は興奮しすぎるのを防ぐため、バランスを取ろうとしてドーパミンの受け皿(受容体)の数を減らしてしまいます。これを「ダウンレギュレーション」と呼びます。
結果として、通常の刺激では喜びを感じられなくなり、慢性的なドーパミン不足(不感症のような状態)に陥ります。これがいわゆる「ドーパミン中毒」のメカニズムです。

ドーパミンの出し方

「セロトニン」とは?

食事で原料を補給する

ドーパミンの材料となるアミノ酸「チロシン」を含む食品を積極的に摂りましょう。
推奨食材としては、乳製品(チーズ・ヨーグルト)、大豆製品(納豆・豆腐・味噌)、ナッツ類(アーモンド)、バナナ、アボカド、鶏肉、魚(カツオ・マグロ)などが挙げられます。 また、チロシンからドーパミンへの変換を助けるビタミンB6(マグロ、バナナなど)や鉄分も合わせて摂るのが効果的です。
朝食にバナナヨーグルトや納豆ご飯を食べるのは理にかなっています。

有酸素運動と筋トレ

運動は脳にとって最強のスイッチです。特にウォーキングやジョギングなどのリズム運動(有酸素運動)は、脳内の血流を増やし、ドーパミンの放出を促します。
また、スクワットなどの筋トレを行い筋肉に負荷をかけることは、成長ホルモンの分泌とともにドーパミン分泌を高めます。1日20分程度の軽い運動でも十分効果があり、運動後の「スッキリした気分」こそがドーパミンが出ている証拠です。

スモールステップで達成感を積み重ねる

脳の報酬系は「目標を達成した時」に強く反応します。大きな目標をいきなり目指すのではなく、ToDoリストを作って「小さな目標(スモールステップ)」を一つずつクリアしていく方法がおすすめです。 「メールを1通返す」「5分だけ掃除する」など、タスクを完了してチェックを入れるたびに、脳内で少量のドーパミンが放出され、次のやる気につながります。

新しいことへの挑戦と音楽

マンネリ化した日常から一歩踏み出し、新しい場所に行ったり、新しい趣味を始めたりすることは、ドーパミン神経を刺激します(新奇性探求)。
また、好きな音楽を聴くことも脳の報酬系を活性化させ、ドーパミンを増やす即効性のある方法として知られています。「感動して鳥肌が立つ」ような体験は、脳内でドーパミンが大量に放出されている状態です。

質の高い睡眠とデトックス(脳の休息)

減ってしまったドーパミン受容体を回復させる(リセットする)には、脳を休ませる必要があります。これを俗に「ドーパミン・デトックス」と呼ぶこともあります。 スマホやSNSから離れる時間を意識的に作り、過剰な刺激を遮断します。そして、7時間以上の十分な睡眠をとることで、受容体の感度を回復させます。また、マインドフルネス瞑想は、ドーパミンの暴走を抑え、セロトニンとのバランスを整える効果があります。

「ドーパミン」についてよくある質問

「セロトニン」とは?

ここまでドーパミンについて紹介しました。ここでは「ドーパミン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ドーパミンはどういう時に出ることが多いのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

ドーパミンは、嬉しいことが起きた時だけでなく、「これから嬉しいことが起きそうだ」と予測した瞬間に最も多く放出されます。これを「報酬予測」と言います。例えば、旅行に行っている最中よりも、旅行の計画を立ててワクワクしている時の方が、脳内ではドーパミンがたくさん出ていることが多いのです。また、予期せぬラッキーな出来事(サプライズ)があった時にも強く反応します。逆に、結果が期待外れだとドーパミンの放出は止まり、ガッカリした気分になります。

ドーパミンが増えすぎるとどうなりますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

何事もバランスが重要で、ドーパミンは多ければ多いほど良いわけではありません。過剰になると、幻覚や妄想が見えたり、衝動が抑えられなくなってギャンブルやアルコールなどの依存症に陥りやすくなったりします。また、チック症などの意図しない体の動きが出てしまうこともあります。適度な量が分泌され、かつ「セロトニン」などのブレーキ役となる神経伝達物質とうまくバランスが取れている状態が、心身にとって最も健康的です。

まとめ:ドーパミンは「やる気」の源!バランスを保って健やかな毎日を

ドーパミンは、目標を達成したときの喜びや、何かを期待するワクワク感をもたらす「報酬系」に関わる重要な神経伝達物質です。適切に分泌されることで、学習や仕事へのモチベーション向上につながります。

しかし、不足するとパーキンソン病やうつ病のような意欲低下を招き、逆に過剰になると統合失調症や依存症などのリスクが高まります。日々の生活で適度な目標設定(スモールステップ)や運動、バランスの取れた食事を心がけ、ドーパミンと上手につきあっていきましょう。

「ドーパミン」と関連する病気

「ドーパミン」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経内科の病気

  • パーキンソン病

精神科・心療内科の病気

  • 依存症(アルコール・ギャンブル・スマホなど)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)

ドーパミンは多すぎても少なすぎても心身に不調をきたします。関連する疾患は専門的な治療が必要なものが多いため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。

「ドーパミン」と関連する症状

「ドーパミン」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足のふるえ(振戦)
  • 動作が遅くなる(無動)
  • 意欲の低下・無気力
  • 幻覚・妄想
  • 衝動が抑えられない
  • 落ち着きがない

ドーパミンの分泌異常によって、運動面や精神面に上記のような症状が現れることがあります。

この記事の監修医師