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「心電図検査で再検査」になる原因とは?見つかる病気も医師が解説!

 公開日:2025/09/18
「心電図検査で再検査」になる原因とは?見つかる病気も医師が解説!

心電図で再検査と指示されたら?メディカルドック監修医が心電図検査の見方や、再検査を指摘される原因、検査で発見できる病気を紹介します。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

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心電図検査とは?

心臓の電気的な活動を記録する検査です。胸と手足に電極をつけて心臓の状態が観察でき、心拍の乱れや心筋の異常などがわかります。

心電図検査とは?

心臓が拍動する時に生じる微弱な電気信号を体の表面から記録し、心臓の状態を調べる検査です。体への侵襲はほとんどなく、5〜10分程度で終了します。

心電図検査を健康診断で行うのはなぜ?

早期に心臓の異常を見つけるためです。自覚症状がなくても、不整脈、狭心症、過去の心筋梗塞などの心臓病が隠れていることがあります。そのため、心電図検査は最適であり、健康診断での実施が勧められています。

学生・学校の健康診断で心電図検査を行うのはなぜ?

隠れた病気が心臓にないかを早めに見つけるためです。特に、先天的な心臓病や不整脈などは、自覚症状がなくても突然発作を起こし、命にかかわる場合があります。早期発見には、簡便で負担の少ない心電図検査は適切です。

心電図検査で何が分かる?

心臓が発する電気信号を記録することで、心拍のリズムや心臓の動きなどさまざまな情報が得られます。詳細は以下に説明いたします。

心電図検査では体・心臓の何が分かる?

心臓が正しく動いているか、心臓内の電気の流れに乱れがないかが分かります。また、心臓の状態と体は密接な関係があるため、体全体の健康状態を探る手がかりにもなります。

P波

心電図に現れる波の一つで、心房という部屋が収縮する時に出る電気的変化を表しています。心房の働きや心臓のリズムが正しく行われているかを確認できます。

QRS波

正常な心臓であれば、P波の次に現れる波で、心室が収縮する時に出る電気的変化を表しています。心室は肺や全身に血液を送り出す部屋であるため、心臓の働きの中でも重要な場所です。波の形や幅に異常があると、心室の電気の流れや収縮に異常がある可能性があります。

T波

QRS波のあとに現れる波で、心室が収縮を終えて元の状態に戻る時の電気的変化を表しています。心臓が次の拍動に向けて準備をしている状態です。T波の形や向きに異常があると、心臓の回復に異常がある可能性があります。

PQ間隔

P波の始まりからQRS波の始まりを示しており、心房から心室へ電気信号が伝わる時間を表しています。通常は0.12〜0.20秒の範囲で、この時間が長すぎたり短すぎたりすると、電気の伝わり方に異常があります。

QT間隔

Q波の始まりからT波の終わりまでの時間を示し、心室が収縮してから元に戻るまでの状態を表しています。この間隔が長すぎると、致死性不整脈を起こすこともあり要注意です。

ST部分

QRS波の終わりからT波の始まりまでの部分を指します。通常は水平またはなだらかですが、上に持ち上がったり、下に沈んだりすると、心臓を栄養する血管に異常がある可能性があります。

U波

T波の後にまれに見られる小さな波です。通常は現れないことが多いです。U波が大きい場合は、心臓の異常、カリウム不足、薬(抗不整脈薬、ジギタリスなど)の影響などが考えられます。

心電図検査で引っかかる・異常を指摘される主な原因は?

主な原因は、心肥大、不整脈、心筋への血流不足、電解質異常などがあります。自覚症状がなくても異常が見つかることがあります。主な注意点を以下に説明いたします。

心臓の異常・心臓の病気の可能性

主に3つを念頭におきます。まずは、心臓の電気の流れに問題がある不整脈です。不整脈がある場合、心拍が不規則になったり、速すぎたり、遅すぎたりします。次に、狭心症や心筋梗塞のように心筋に十分な血液が届かない病気です。さらに、心室や心房の肥大です。

生活習慣の乱れによる心電図の異常

心電図の異常は、必ずしも心臓の病気だけではなく、生活習慣の乱れによって現れることがあります。たとえば、睡眠不足、過労、喫煙、過度の飲酒、カフェインのとりすぎなどです。これらは、自律神経のバランスを崩すため、心電図の異常を認めることがあります。

ストレスによる心電図の異常

ストレスは自律神経の働きを乱すため、心電図の異常として現れることがあります。特に、交感神経が過剰に働くと、心拍数が上がったり、脈が不規則になったりすることがあります。また、ストレスが続くと、胸の違和感や動悸が出ることもあり、これらが心電図の異常として認めることもあります。

心電図検査の見方と再検査が必要な結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

心電図検査の主な所見

心電図検査では、波形や持続時間から心臓の状態を判断します。たとえば、P波が異常な形であると、心房の異常が疑われます。QRS波がいびつであったり、広がっていたりすると、心室の肥大や伝導障害を考えます。ST部分の上下のずれは心筋の酸素不足を来す虚血性心疾患が疑われます。

心電図検査で精密検査・再検査が必要な所見

心電図検査で、不整脈、ST部分の異常、QT間隔の延長などが見つかると、再検査や精密検査が必要になることがあります。再検査では、24時間心電図(ホルター心電図)、心エコー検査、血液検査などが行われます。

心電図の再検査を行う場合、何科を受診すれば良い?

健康診断や学校健診で心電図の異常を指摘された場合は、年齢によって受診する診療科が異なります。一般的に、小学生から高校生までは小児科または小児循環器科が適していますが、18歳以上の成人の場合は、循環器内科を受診するのが一般的です。

心電図の再検査費用は?保険は適用される?

心電図の再検査にかかる費用は、基本的に健康保険が適用されます。自己負担額は3割で済むことが多いです。

「心電図検査」で発見できる病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「心電図検査」で発見できる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

不整脈

心臓のリズムが乱れる状態で、脈が速くなる、遅くなる、不規則になるなどの症状が出ます。もともと心臓病がある患者さんに加え、ストレス、過労、睡眠不足、カフェインやアルコールが原因となることもあります。軽い不整脈は経過観察で済むことが多いです。しかしながら、動悸、息切れ、めまい、失神などの症状があり、日常生活に支障を来す場合は、循環器内科を受診してください。

虚血性心疾患

虚血性心疾患は、心筋肉に十分な酸素や栄養が届かなくなる病気で、狭心症と心筋梗塞が代表です。原因の多くは、動脈硬化によって冠動脈が狭くなったり詰まったりすることです。症状としては、胸部圧迫感、胸痛、息切れ、冷や汗などがあり、特に、心筋梗塞は命に関わる緊急疾患です。こうした症状が出た場合は、早期に循環器内科を受診しましょう。

心肥大

心肥大は、心筋が厚くなったり、心臓の部屋が広がったりする状態で、心臓に負担がかかっていることを示します。高血圧、心臓弁膜症、先天異常、過度な運動などが原因となります。初期には自覚症状がないことが多いですが、進行すると、動悸、息切れ、疲れやすさ、むくみなどが現れます。放置すると心不全につながる恐れがあるため、異常を指摘された場合は循環器内科を受診しましょう。

心筋症

心筋症は、心筋が障害され、収縮や拡張の働きが低下する病気の総称です。代表的なものに、拡張型、肥大型、拘束型の心筋症があります。原因は、遺伝、ウイルス感染、自己免疫異常などさまざまです。症状には、息切れ、動悸、疲労感、むくみなどがあり、進行すると心不全や不整脈を引き起こすことが多いです。早期発見と治療が重要です。これらの症状が現れた場合は、循環器内科を受診しましょう。

弁膜症

弁膜症は、心臓の弁がうまく開閉せず、血液の流れに支障をきたす病気です。弁が狭くなる「狭窄」、閉じきらずに逆流する「閉鎖不全」があります。加齢、リウマチ熱、先天異常などが原因となります。初期は無症状が多いですが、進行すると、息切れ、動悸、胸部違和感、むくみなどが現れます。放置すると心不全や不整脈につながる可能性があるため、早めの診断や治療が大切です。これらの症状がある方や健康診断で心雑音を指摘された方は、循環器内科を受診しましょう。

「心電図」で異常が見つかった時の正しい対処法・改善法は?

再検査をすぐに受けることになった場合、すぐに改善できる生活習慣はある?

心臓の負担を減らすために生活改善は重要です。まず、食事では、塩分や脂肪分を控えめにして、野菜、果物、青魚、大豆製品を意識的にとるとよいでしょう。飲み物は、水や麦茶などがおすすめです。過度の飲酒にも気をつけましょう。また、良質な睡眠を確保し、過剰なストレスを避けましょう。

運動は行っても問題ないか?

心電図異常の所見によって異なりますが、すぐに運動を中止しなければならないケースは少ないです。しかしながら、再検査や医師の診断を受けるまでは、激しい運動や長時間の運動は避けましょう。

「心電図検査の再検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「心電図検査の再検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

心電図の検査結果で再検査が必要と言われたら不整脈の可能性がありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

不整脈の可能性は十分に考えられます。指摘された場合は、医療機関を受診し詳しく調べてもらうことが重要です。

心電図の再検査は何科で受けられますか?大きな病院に行く必要がありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

成人であれば循環器内科、小児であれば小児科または小児循環器科を受診しましょう。必ずしも大きな病院に行く必要はなく、地域の内科クリニックやかかりつけ医でも対応できることが多いです。ただし、より詳しい検査や治療が必要と判断された場合には、大きな病院を紹介されることもあります。

心電図の再検査に行かずに放置すると、どんなリスクがありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

再検査を受けずに放置すると、心臓の重大な病気を見逃すリスクがあります。不整脈、狭心症、心筋梗塞などが隠れている場合、症状がないまま進行し、突然の発作や失神、最悪の場合は命に関わることもあります。放置せず適切な診断と治療を受けることが大切です。

健診時の緊張など、病気以外で心電図が引っかかることはありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

あります。健診時の緊張、寝不足、カフェインの過剰摂取などが原因で、心電図に一時的な異常があらわれる可能性があります。

まとめ 心電図の再検査は早めの対応が大切

心電図で異常を指摘された場合、たとえ症状がなくても放置せず、早めに再検査を受けることが大切です。不整脈や虚血性心疾患など、命に関わる病気が隠れている可能性もあります。循環器内科で再検査が受けられ、保険も適用されます。「問題ないだろう」と自己判断せず、専門医の診察を受けましょう。

「心電図」の異常で考えられる病気

「心電図」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系疾患

心電図は、心臓の異常だけでなく、体の不調や生活習慣の乱れも映し出す検査です。異常を指摘された場合は、放置せず早めの受診を心がけましょう。

この記事の監修医師