「胃カメラ当日の流れ」はご存じですか?注意点や発見できる病気を医師が解説!

胃カメラの当日の流れとは?メディカルドック監修医が当日の注意点や対処法、検査で発見できる病気を解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
胃カメラ(上部内視鏡検査)とは?
胃カメラは、口または鼻から細い内視鏡を挿入し、消化管内部の粘膜を観察する検査です。炎症や潰瘍、がんなどを直接確認でき、必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。
胃カメラ(上部内視鏡検査)は何科で検査できる?
多くは消化器内科で実施します。総合病院や内視鏡専門クリニックのほか、一般内科でも設備があれば対応可能です。
胃カメラ(上部内視鏡検査)は予約なしでも当日受けられる?
基本的には予約制ですが、症状が強い場合や緊急性が高い場合は当日対応できる施設もあります。ただし、鎮静剤を使用する場合や混雑状況によっては受けられないこともあります。入院は不要で、日帰りで終了することがほとんどです。
胃カメラ(上部内視鏡検査)の費用は?
胃のむかつきや不快感などの症状がある際は、保険適用となります。3割負担の場合、約5,000〜7,000円ほどをみておくとよいでしょう。病理検査も行われた場合には、追加費用もかかります。人間ドックなど自費で受診する場合には、1〜3万円ほどかかるでしょう。
胃カメラ(上部内視鏡検査)当日の注意点と対処法
胃カメラ検査を受ける当日には、以下のような点に注意しましょう。
胃カメラの前に水などの飲み物は検査何時間までに摂取可能?
胃カメラ検査を受ける当日は、水やお茶など透明な飲み物は検査1時間前まで少量ならば可能です。ただし牛乳やジュースなどは食事に含まれると考え、避けるようにします。
胃カメラの前日はコーヒー・お酒は控えた方が良い?
胃カメラ前日でも、適量であればコーヒーは摂取可能と考えられます。
ただし、お酒や脂っこい食事は避けるようにしましょう。
夕食は20時ごろまでには済ませるようにしてくださいね。
胃カメラの前日や当日にコーヒーを飲んだ場合どうすれば良い?
コーヒーのような色付きの液体を検査当日の検査直前に飲むと、胃の粘膜が覆われ、検査の精度を下げてしまう可能性があります。
検査当日は、飲み物としては水やお茶のみなら可能です。もしそれ以外の飲み物を飲んでしまった場合には、医療機関のスタッフに相談するようにしてください。
胃カメラの前日や当日に薬を服用しても良い?
前日は内服可能です。当日も、高血圧の薬など常用薬は飲んでください。しかし、糖尿病薬や抗凝固薬は事前にかかりつけ医に指示を仰ぐようにしましょう
のどが渇いたとき飴を食べても良い?
飴やガムは胃の動きを促し、内容物が残る原因になるため控えましょう。
胃カメラの前日や当日はどんな食事を摂るべき?
当日の朝は絶食です。前日の夕食も消化の良いものを20時頃までに済ませます。
胃カメラの前日や当日にタバコは吸っても良い?
検査前日から当日は、タバコは控えましょう。喫煙は胃液分泌や血流に影響する可能性があります。
胃カメラ(上部内視鏡検査)当日の流れ
胃カメラ検査を受ける日は、以下のような流れになります。
胃カメラを受ける当日の流れ
まず、当日朝は絶食状態を保ちましょう。鎮静剤使用予定の方は車・バイク・自転車での来院不可です。公共交通機関を使用しましょう。
病院到着後〜検査は、以下の流れになります。
1.受付・問診票記入(WEB問診で短縮可)
2.血圧・脈拍測定
3.前処置(咽頭麻酔・胃内泡消し薬)
4.検査開始(約5〜10分)
5.組織採取があれば追加数分
検査後、鎮静剤を使用した場合は院内で30〜60分休憩します。喉の麻酔が切れるまで飲食不可となります。病理検査がある場合は、当日の激しい運動は避けましょう。入浴も、シャワー程度にしましょう。
胃カメラを予約した当日にキャンセルは可能?
やむを得ない事情であればキャンセルできますが、直前だとキャンセル料が発生する施設もあります。体調不良時は無理せず、早めに連絡するようにしてください。
「胃カメラ」の診断結果と再検査が必要な結果
胃カメラ検査の所見については、以下のようなものになります。
胃カメラの検査結果の主な所見
胃カメラで何も異常がない場合は、「正常(異常なし)」と判定されます。主な所見としては、慢性胃炎やポリープ、胃潰瘍、逆流性食道炎などがあります。また、食道裂孔ヘルニアやバレット食道、食道がんや胃がんなどが見つかるケースもあります。
胃カメラで精密検査・再検査が必要な所見
胃カメラ検査で、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が疑われるような所見(鳥肌胃炎など)がある場合、さらに詳しく調べる必要があります。採血や呼気試験などでピロリ菌感染の有無を確定し、もし陽性であれば除菌治療に入ります。消化器内科で検査や治療は行われます。
胃がんや食道がんなどの疑いがある場合、可能であれば検査の際に疑わしい粘膜部分を少量とって調べる生検が行われます。その結果、がん細胞が確認されれば、胃がんの確定診断となります。その後、総合病院やがん専門の病院、大学病院などでがんのステージを決定するためにCT検査などの精密検査が行われます。
精密検査は保険適用となります。
「胃カメラ」で発見できる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「胃カメラ」で発見できる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胃炎
胃炎は胃の粘膜に炎症が生じる病気です。経過から急性と慢性に大きく分けられます。原因としてはピロリ菌感染、薬の副作用(鎮痛薬など)、ストレス、アルコールや刺激物の過剰摂取が挙げられます。
症状は胃の痛みや不快感、吐き気、胸やけなどです。軽症であれば生活習慣の改善と胃酸を抑える薬で治療可能ですが、ピロリ菌感染がある場合は除菌療法が必要です。食欲不振や胃痛が続く場合には消化器内科の受診をおすすめします。
胃潰瘍
胃潰瘍は胃の粘膜に深い傷ができる病気で、胃酸と粘膜の防御機能のバランスが崩れることで起こります。主な原因はピロリ菌感染や鎮痛薬(NSAIDs)の長期使用です。症状はみぞおちの痛み、出血による吐血・黒色便などがあります。治療は酸を抑える薬やピロリ菌除菌療法が中心です。放置すると出血や穿孔など重篤な合併症を起こすため、強い痛みや血便がある場合は速やかに受診してください。受診は消化器内科が基本です。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は胃酸が過剰に分泌され、十二指腸粘膜が損傷して潰瘍を形成する病気です。原因の多くはピロリ菌感染で、薬剤や喫煙・ストレスも影響します。典型的には「空腹時の上腹部痛」が特徴で、夜間や早朝に痛むことがあります。
治療は胃酸分泌を抑える薬や除菌療法です。出血や穿孔に至ると緊急手術が必要になるため注意が必要です。繰り返す腹痛や黒色便があれば消化器内科を早めに受診してください。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流して炎症を起こす病気です。原因には食生活の乱れ、肥満、加齢による下部食道括約筋のゆるみなどがあります。症状は胸やけ、酸っぱい液が上がってくる呑酸、咳などがあります。
治療は生活習慣の改善(就寝前の食事を避ける、肥満改善など)と胃酸を抑える薬の内服です。長期間放置するとバレット食道など食道がんのリスクが高まります。胸やけが頻繁に起こる場合は消化器内科での受診をおすすめします。
胃がん
胃がんは胃粘膜の細胞が悪性化して発生する腫瘍です。ピロリ菌感染、食塩の多い食事、喫煙、遺伝的要因がリスク因子とされています。初期には自覚症状が乏しいことも多く、進行すると胃痛、吐き気、食欲不振、体重減少、吐血などが現れます。治療は内視鏡的切除、外科手術、抗がん剤や放射線治療など病期に応じて選択されます。早期発見が予後改善の鍵であり、症状がなくても定期的な内視鏡検査が重要です。
受診は消化器内科が基本です。
「胃カメラの当日」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃カメラの当日」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
胃カメラは予約なしでも近くの内科で受けられますか?
木村 香菜 医師
当日でも胃カメラが受けられるかどうかは、医療機関によります。電話確認をしてみましょう。
胃カメラの検査結果は当日すぐに医師から聞くことができますか?
木村 香菜 医師
胃カメラでみた胃や食道の様子については、多くは当日説明可能です。ただし病理結果は1週間ほどかかります。
消化器内科で胃カメラを受ける当日は喫煙可能でしょうか?
木村 香菜 医師
禁煙しましょう。
胃カメラ検査後に体調不良が起きた場合どうすれば良いでしょうか?
木村 香菜 医師
胃カメラ検査を受けた医療機関にまずは連絡してみましょう。そして、指示をあおぐようにしてください。土日休日などで連絡がつかない場合でも、下血や吐血、激しい腹痛などの症状があれば、救急外来の受診なども検討しましょう。
胃カメラの当日に歯磨きや歯医者に行っても大丈夫でしょうか?
木村 香菜 医師
はい、胃カメラ検査後に歯磨きや歯科医を受診することは可能です。ですが、鎮静剤の効果が切れて、飲み込みが楽になるまで待つのが最善です。 また、施術後しばらくは飲食を控えた方が賢明ですので、その点も考慮してください。胃カメラ当日に歯科受診する場合は、その旨をあらかじめ歯科医院側に伝えるようにしましょう。
まとめ 胃カメラ(上部内視鏡検査)の当日は絶食・水分制限あり
今回の記事では、胃カメラ当日の注意点について詳しく解説しました。当日は絶食し、水分は1時間前までにしておきましょう。詳細な時間については、医療機関ごとに多少異なる場合があるので、きちんと事前の注意事項を読むようにしてください。当日のコーヒー・お酒・飴・喫煙は控えましょう。普段から飲んでいる薬は、何時までに飲めばいいかなども含め、かかりつけ医の指示に従いましょう。また、鎮静剤使用時は車での来院不可です。もしも気になる症状がある場合は我慢せず、早めの受診をおすすめします。
「胃カメラ」の異常で考えられる病気
「胃カメラ」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
胃カメラは不安を感じる検査かもしれませんが、早期の病気発見や予防のために非常に有効な方法です。特に胃がんや潰瘍などは、初期の段階であれば内視鏡治療や生活改善で大きく予後が変わります。症状が軽くても軽視せず、定期的に検査を受けることが大切です。




