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「血糖値が急上昇した時の症状」はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!

 公開日:2025/04/02
「血糖値が急上昇した時の症状」はご存知ですか?対処法も医師が徹底解説!

血糖値が急上昇した時の症状とは?Medical DOC監修医が血糖値が急上昇する原因・対処法や予防法などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

血糖値とは?

血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度を指します。私たちが食事から摂取した炭水化物は、小腸で「ブドウ糖」という物質になり、血液中に吸収されます。ブドウ糖は、全身の細胞にエネルギーを供給する役割を担っています。
空腹時血糖値の正常範囲は70〜99mg/dLとされています。ただし、100〜110mg/dLの範囲は「正常高値」とされることがあり、将来的な糖尿病リスクを評価するための指標となる場合があります。
この調整には、「インスリン」が重要な役割を果たしています。インスリンは、すい臓から分泌され、血糖値を下げる働きがあります。
しかし、インスリンの出る量が不足したり、その働きが悪くなったりすると、血糖値が高い状態が続く「高血糖」となり、糖尿病などを発症する可能性が高くなります。
血糖値は、健康状態を知るにあたって重要な項目の1つです。そのため、普段から血糖値を管理して、健康な生活を維持しましょう。

血糖値が急上昇する原因

血糖値が急激に上昇する症状は、以下のような原因で生じる可能性があります。

食事の影響

高糖質の食品や飲料を多く摂取すると、血糖値が急上昇しやすくなります。特に、市販されている甘いお菓子やジュースに大量に含まれている「精製糖」や、白米・食パンなどの高GI(グリセミックインデックス)食品は、血糖値を急激に上げる傾向があります。 高GI食品とは、食後に血糖値を急激に上げる食品のことです。
また、食事を抜いた後に一度に大量に食べる「ドカ食い」も、血糖値を急上昇させる原因の1つです。空腹状態が続いた後の食事は、血糖値の急上昇を招きやすいため、注意が必要です。

運動不足

普段からの適度な運動は、血糖値を下げる効果が期待できます。特に、ウォーキングなどの有酸素運動や、筋力トレーニングが効果的といわれています。
しかし、運動不足の状態が続くと、インスリンの働きが低下し、血糖値が上がりやすくなるため注意が必要です。

ホルモンの影響

ストレスが高い状態が続くと、ストレスホルモンである「コルチゾール」や「アドレナリン」の分泌が増加します。これらのホルモンは、肝臓からのブドウ糖の放出を促進するため、血糖値が高くなります。

血糖値が急上昇した時の症状

血糖値が急上昇すると、以下のような症状が現れることがあります。

強い喉の渇きと多尿

血糖値が高い状態が続くと、体は余分なブドウ糖を尿として排出しようとします。その結果、多尿となり、体内の水分が不足し、強い喉の渇きを感じることがあります。

体重減少と疲れやすさ

血糖値が高くなると、体内でエネルギー源として、ブドウ糖が適切に利用されず、脂肪や筋肉が代わりにエネルギーとして使われます。そのため、体重が減少するだけでなく、いつもより疲れやすくなります。

眠気やだるさ

血糖値が急上昇した後、急激に低下する「反応性低血糖」が起こると、眠気やだるさを感じることがあります。これは、血糖値の急激な変動によって発症します。

腹痛・吐き気

糖尿病ケトアシドーシスでは、「腹痛」や「吐き気」の症状が現れることがあります。これは、インスリンの不足によるものです。脂肪が分解されてできる「ケトン体」という物質が増えすぎると、通常は弱アルカリ性に保たれている身体が酸性に傾く状態(アシドーシス)になります。その結果、このような症状が引き起こされます。

意識障害

血糖値が著明に高くなり、飲む水の量が足りないと脱水が高度になります。すると、「高浸透圧高血糖症候群(HHS)」が起こってしまう場合もあります。この病気では、意識がもうろうとし、場合によっては昏睡状態に陥ったりするなどの意識障害が起こることがあります。
糖尿病性ケトアシドーシスは、主に1型糖尿病患者に多く見られ、インスリンの不足によりケトン体が過剰に産生されることで発症します。こちらでも、重症な場合では昏睡状態になってしまうことがあります。一方、高浸透圧高血糖症候群は、主に2型糖尿病患者に多く見られ、極度の高血糖と脱水症状が特徴です。
以下の症状が現れた場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診して下さい。

・意識がもうろうとしている
・激しい腹痛や嘔吐がある
・呼吸が苦しい
・極度の脱水症状(口の渇き、皮膚の乾燥、尿量の減少または無尿)

早期の適切な対応が、命を守るために重要です。

血糖値が急上昇した時の対処法

血糖値が急上昇した際は、以下の対処法を試してみましょう。

水分を摂取する

脱水症状を防ぐために、十分な水分を摂取することが重要です。糖分を含まない水やお茶を積極的に飲みましょう。糖分を多く含む飲料(ジュース、清涼飲料水など)は、血糖値をさらに上昇させるため避けてください。

糖質の摂取量を調整する

血糖値が急上昇した際は、糖質の摂取を控えることが重要です。特に、甘いお菓子やジュースなどの糖分が多い食品は避けましょう。ナッツやチーズなどの低糖質食品を少量摂取することで、血糖値の急上昇を抑えることができます。
また、白米を玄米に変えることで、糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。すべて玄米に変えることが難しい場合は、白米に玄米を混ぜるなど、少しずつ取り入れることもおすすめです。

深呼吸し血流を促す

血糖値が急上昇した際には、落ち着いて深呼吸を行い、血流を促進しましょう。リラックス効果を得ることができます。運動は通常、血糖値を下げる効果がありますが、高血糖(300mg/dL以上)の状態では、逆に血糖値が上昇する可能性があるため避けましょう。ただし完全な安静ではなく、軽いストレッチ(例:肩回しや足首回し)を取り入れることで血圧や心拍数を上げずにリラックス効果を得ることができるでしょう。ただし、体調が悪化する場合にはすぐに中止し、医師に相談しましょう。

血糖値のモニタリングを行う

血糖値を定期的に測定し、その変動を記録することで、現在の状態を把握し、適切な対策を講じることができます。特に、食後など血糖値が急上昇しやすいタイミングを把握することで、効果的な管理が可能です。

医療機関へ相談する

普段から血糖値が110 mg/dL以上の状態が続いている場合は、「正常高値」とされ、将来的に糖尿病のリスクが高まる可能性があります。また、既に糖尿病の治療を受けている場合は、薬の調整が必要な場合もあります。そのため、定期的な血糖値の測定と、食生活の見直しを検討し、医療機関での相談をおすすめします。特に、医師や栄養士からの指導を受けることで、より効果的な管理方法を学ぶことができます。

血糖値の急上昇を予防する方法

血糖値の急上昇を防ぐためには、以下の方法が効果的です。これらの対策を実践することで、血糖値を安定させ、健康的な生活を維持することができます。

バランスの取れた食事を摂る

タンパク質、脂質、炭水化物をバランスよく摂取することが重要です。特に、食物繊維が豊富な食品(ブロッコリー、オートミール、キノコなど)を積極的に摂取することで、血糖値の急上昇を抑えることができます。食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果が期待されます。

低GI食品を選ぶ

GI(グリセミックインデックス)とは、食品が血糖値に与える影響を数値化したものです。GI値が高い食品を摂取すると、食後に血糖値が急上昇する可能性があります。
以下のようにGI値は分類されています。
・高GI食品(70以上):血糖値を急激に上昇させる(白米、食パンなど)
・中GI食品(56~69):血糖値の上昇は中程度(玄米、全粒粉パンなど)
・低GI食品(55以下):血糖値の上昇は緩やか(蕎麦、ヨーグルト、ナッツ類、葉物野菜、きのこ類、豆乳など)
低GI食品を意識して摂取することで、血糖値の急上昇を防ぐことができます。

定期的な運動や筋力トレーニングを行う

定期的な運動は、インスリンの効果を高め、血糖値を管理するのに役立ちます。具体的には、週に150分以上のウォーキングなどの有酸素運動や、週に2~3日のスクワット、腕立て伏せなどの筋力トレーニングが推奨されています。運動時間は150分以上が推奨されていますが、30~100分の運動でも血糖の改善効果が期待できるため、短い時間でも継続して運動を行うことが重要です。

ストレスを管理する

ストレスは血糖値を上昇させる要因の1つです。ストレスを軽減するために、瞑想やヨガなどのマインドフルネスを取り入れることが効果的です。

食事のタイミングと頻度を意識する

1日3回の規則正しい食事を心がけ、朝食を抜かないようにしましょう。朝食を抜くと、その後のインスリンの働きが低下し、昼食や夕食後の血糖値が急上昇しやすくなります。また、遅い時間の夕食は避け、軽めの食事を早めの時間に摂る「分食」も効果的です。

「血糖値が急上昇した時の症状」についてよくある質問

ここまで血糖値が急上昇した時の症状について紹介しました。ここでは「血糖値が急上昇した時の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血糖値が400以上になるとどんな症状が現れますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

血糖値が400mg/dL以上になっている場合、1型糖尿病では「糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)」、2型糖尿病特に高齢者の場合では「高浸透圧高血糖症候群(HHS)」に陥っている可能性があります。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)では、激しい腹痛や吐き気、呼吸が苦しくなるといった症状が現れることがあります。これは、インスリン不足によって脂肪が過剰に分解され、「ケトン体」が血液中に増加することで、体が酸性に傾くためです。また、重症化すると意識がもうろうとし、場合によっては意識を失うこともあります。
一方、高浸透圧高血糖症候群(HHS)は、極度の高血糖と脱水を特徴とする状態で、血糖値は600mg/dL以上になることもあります。強い喉の渇きや大量の水分摂取、多尿、体重の急激な減少などの症状がみられ、重症化すると意識障害も引き起こすことがあります。HHSは数日から数週間かけて徐々に進行し、特に高齢者では重篤化しやすいため注意が必要です。
意識障害や呼吸困難がある場合は、命に関わる可能性があるため、ただちに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。

編集部まとめ

今回の記事では、血糖値が急上昇する症状やその原因について詳しく解説しました。記事の中でご紹介した症状がある場合は、すぐに内科や糖尿病内科を受診しましょう。

「血糖値が急上昇した時の症状」の異常で考えられる病気

「血糖値が急上昇した時の症状」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科・糖尿病内科の病気

  • 糖尿病性ケトアシドーシス
  • 高浸透圧高血糖症候群(HHS)

内分泌内科の病気

神経内科の病気

  • 糖尿病性神経障害

消化器内科の病気

  • 糖尿病性神経障害

血糖値が急上昇すると、さまざまな病気や合併症を発症する可能性があります。そのため、少しでも気になる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

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