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「血小板を増やす食べ物」はある?減っている場合に考えられる病気も医師が徹底解説!

 公開日:2025/08/15
「血小板を増やす食べ物」はある?減っている場合に考えられる病気も医師が徹底解説!

血小板を増やす食べ物はあるのでしょうか?Medical DOC監修医が血小板を増やす食べ物があるのか、減ってしまう原因・血小板の基準値・血小板が減っている場合に考えられる病気などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血小板とは?

血小板は、血液中にある重要な血球の一つです。血液は液体成分の「血漿」と固形成分の「血球」があります。この血球成分を構成するのが、赤血球と白血球、血小板の3つです。
血小板は核を持たず、突起のあるいびつな形をしています。出血したときに血液を固めて、止血する役割を持っています。大きさは2~4μmと赤血球や白血球と比べて小さいです。血液中に15万~40万個/μL程度含まれます。寿命は10日程度で、骨髄で作られ、寿命を迎えると主に脾臓で壊されます。

血小板が減ってしまう原因

血液疾患

血小板の減少する原因の1つとして血液疾患が考えられます。例えば、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、血小板膜蛋白に対する自己抗体が出現することで血小板が破壊され、血小板のみが減少します。また、骨髄での血小板の産生が低下する再生不良性貧血や急性白血病、骨髄異形成症候群でも血小板の減少がみられることもあります。

薬剤性

薬剤による血小板減少は、薬剤の内服が多い高齢者にみられることが多いです。制酸薬や抗結核薬、抗生剤などの使用で血小板減少がみられることもあります。血小板減少がみられた場合には、まず薬の影響がないかを調べることも大切です。

妊娠

妊娠中に血小板の減少がみられることもあります。しかし、軽度で経過観察をすることが多く、通常は出産後に元に戻ります。

汎発性血管内凝固症候群(DIC)

白血病や悪性リンパ腫などの悪性血液疾患、敗血症、重症感染症、悪性腫瘍などの基礎疾患がある患者さんの中には、出血傾向をきたす「DIC」がみられることもあります。DICとは、凝固系が活性化され、細小血管内に血栓ができ、血小板や凝固因子が消費され低下、線溶活性化が起こり出血しやすくなります。DICは非常に重症な病態であり、致命的となる事もある病態です。悪性疾患や感染症に伴う血小板減少がみられた時には注意が必要です。

膠原病

全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病に伴い血小板減少がみられることもあります。原因不明の微熱が続いたり、体調不良が起こった時に膠原病も考えられます。膠原病に伴う炎症に伴い、血小板減少がみられることもあり、注意が必要です。まずは、不調がある場合には内科などで相談をしてみましょう。

慢性肝疾患

B型肝炎やC型肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝などの慢性肝障害に伴い脾機能が亢進すると血小板が壊され、減少します。さらに進行し、肝硬変となると血小板減少も進行します。元々、慢性肝炎を指摘されている方で、血小板の減少がみられる場合には、肝硬変へ進行している可能性もあり注意が必要です。消化器内科で相談をしましょう。

健康診断の「血小板」の見方と再検査が必要な「血小板」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・血液検査の「血小板」の基準値(μL)

血小板の基準値は男性で15.7万~34.6万/μL、女性で16万~35.3万/μLです。
一般的に血小板が10万/μL以下となった場合には、血小板減少症と診断します。10万/μL以下が持続した場合、精査を行います。また、5万/μL以下となると内出血が起こりやすくなり、2~3万/μL以下となると出血の症状が強くでる様になり、さらに重症となると消化管出血や脳出血などを起こすこともあり注意が必要です。
一方、40万/μL以上は血小板増加症とされます。骨髄増殖性疾患に伴う血小板増加症と反応性血小板増加症に分けられ、炎症などに宇伴う反応性の増加は血栓症など起こすことはあまりなく、経過観察となることが多いです。骨髄増殖性疾患に伴う血小板増加に対しては原因を調べ治療を行います。

健康診断・血液検査の「血小板」の異常値・再検査基準と内容

血液検査で血小板が10万/μL以下、もしくは40万/μLの場合には異常値と考え再検査を行います。血小板が少ない場合には早めに再検査を検討しましょう。血液検査を行ったときに血液が固まりやすく、凝集してしまったときには血小板数が低下する場合もあります。この場合には、再検査で異常がなければ問題はありません。しかし、血小板が5万/μL以下となる場合には出血の危険性があるため早急な対応が必要なこともあります。まず内科を受診して再検査を行うことが大切です。再検査は血液を採取して血小板数を再度確認します。
血小板が多い場合には、感染症などで炎症が起こっている場合には反応性に上昇する可能性があるために、体調が回復してから再検査を行うのが良いでしょう。

血小板を増やす食べ物、血小板が低い時の注意が必要な食べ物

血小板が少なくなったときに、血小板を増やす作用がある食べ物はないか考えることもあるかと思います。しかし、残念ながら血小板を増やす特定の食べ物はわかっていません。食事に関しては、バランスよく摂取することが大切です。ここでは、血小板が少ない時に、注意をした方が良い食べ物について解説いたします。血小板が低いと指摘された場合には、参考にして食材を検討してみましょう。

固い食べ物

血小板が少ない場合には、食べ物で傷がついた場合に出血が止まりにくくなる可能性があります。そのため、出血を起こさないようにすることが非常に大切です。このため、口の中を傷つけないようにするためにも固いたべものは避けた方が良いでしょう。

熱い食べ物

熱い食べ物、飲み物は口腔内の火傷の危険性があります。火傷をすることで、出血をきたすこともあり注意が必要です。血小板が少ない時には、熱すぎない飲食物を食べる様にしましょう。

アルコール食べ物

アルコールの摂取は、飲みすぎると嘔吐をきたし食道が傷つく可能性もあります。また、肝硬変が原因で血小板が少ない方ではアルコールは肝臓への負担をかけるため避けた方が良いでしょう。

健康診断・血液検査で「血小板が少ない」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血小板が少ない」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

特発性血小板減少性紫斑病

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは、血小板膜蛋白に対する自己抗体が出現して血小板の破壊が亢進してしまうことで血小板が減少する自己免疫疾患です。血小板が10万/μL未満に減少した場合にこの病気が疑われます。血小板が減少することで出血が起こりやすくなります。皮膚の内出血や歯ぐきからの出血、鼻血などで気が付かれることも少なくありません。大人で発症するITPは慢性型が多く、20歳から40歳と60歳か80歳の女性に多く見られます。ITPの患者さんでピロリ菌陽性である場合、除菌を行うことで血小板数が増加することより、まず除菌療法を行うことが勧められます。血小板数が3万/μL以下となる場合には、患者さんの出血リスクにより治療を開始するか検討されます。血小板が10万/μL以下となった場合、まずは血液内科を受診しましょう。

血栓性血小板減少性紫斑病

末梢の細い血管が血栓によって閉塞することで起こる全身性の疾患です。血小板減少と溶血性貧血が特徴として見られます。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は先天性のものと後天性のものがあります。先天性のTTPは遺伝子変異によるもので極めてまれな病気です。後天性のTTPは全体の95%以上を占めています。後天性TTPは原因不明の原発性と何らかの基礎疾患があって起こる二次性があります。後天性のTTPでは、体のだるさや吐き気、筋肉痛などが先行し、発熱、貧血、出血、精神神経症状(頭痛、意識障害、錯乱など)、腎障害がみられることが多いです。稀に腎不全に至ることもあり注意が必要です。TTPは無治療では血栓症のために致命的となることもあります。兆候が認められるときには、早急に医療機関を受診しましょう。

肝硬変

B型やC型ウイルス感染、アルコール、非アルコール性脂肪性肝炎などにより肝臓に慢性的な炎症が起こります。この炎症を修復するときに肝臓が繊維化したものが肝硬変です。肝臓の繊維化が進行すると徐々に血小板数が減少します。肝硬変では血小板数10万/μL以下となることが多いです。血小板数が減少した場合に肝硬変による可能性も考えられます。元々肝障害を指摘されていて、血小板数も下がるようであれば早めに消化器内科を受診して相談をしましょう。

「血小板を増やす食べ物」についてよくある質問

ここまで血小板を増やす食べ物について紹介しました。ここでは「血小板を増やす食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血小板が少ない時はどのように対処すればいいのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血液検査や健康診断などで血小板が少ないと指摘された場合には、まず再検査を行った方が良いでしょう。10万/μL以下の場合が続く場合には、血液内科を受診して原因を調べる必要があります。薬剤性であれば、原因薬剤の中止が必要です。
原因を調べ、現時点で経過を見ることとなった場合、一般的には出血しないように対応することが大切です。具体的にはけがをしない、口の中を傷つけないようにケアをする、固い食べ物や熱い食べ物を取らないなどの注意をしましょう。これらの注意点は病態により異なることもあるため、主治医に確認をした方が良いでしょう。

まとめ 内出血が急に増えた場合には、血液内科を受診しよう

血小板が少ない時、考えられる病気はさまざまです。薬剤性のこともあれば、血液疾患、膠原病、肝臓病などに伴い血小板が減少することがあります。原因により治療法は異なるため、まず10万/μL以下が続く場合には、内科もしくは血液内科で相談をしましょう。特に5万/μL以下を下回ってくると、出血の危険性が高くなり注意が必要です。急に全身に内出血がみられるようになったり、歯肉の出血や鼻血、消化管出血などの出血症状が起こった場合には至急医療機関を受診しましょう。

「血小板」の異常で考えられる病気

血液系の病気

消化器系の病気

内科系の病気

  • 薬剤性

産婦人科系の病気

  • 妊娠

血小板が低下している場合、考えられる病気は多くあります。血小板が10万/μL以下が続く場合には、内科もしくは血液内科を受診して原因を調べましょう。

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