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「胃カメラの費用」はどれくらいかかる?医師が徹底解説!

 公開日:2025/03/24
「胃カメラの費用」はどれくらいかかる?医師が徹底解説!

胃がん検診の費用はいくらかかるの?Medical DOC監修医が胃がん検診当日の流れや結果の見方・発見できる病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

胃がん検診とは?

胃がんは、胃の内壁に存在する細胞が何らかの原因によって、がん化する事で発生するといわれています。
胃がんと診断される方は多く、毎年約10万人近くが診断されています。その人数は、部位別で見ても、大腸・肺に続いて3番目に多いがんとなっています。男女比を比較すると、男性の方が女性より発症しやすいという特徴があります。
胃がんは初期症状が乏しく、進行しても自覚症状がほとんどないことがよくあります。
そのため、定期的に胃がん検診を受けることで、早期の発見と治療を行うことができます。
胃がんの発見に効果的な胃がん検診ですが、主に以下のような検査が行われます。

  • 胃部X線検査(バリウム検査):
    胃にバリウムと、空気で胃を膨らませる薬である発泡剤を飲み、胃の壁にバリウムを付着させた状態で胃の形や影を確認します。
    胃部X線検査は、胃がんだけでなく、胃潰瘍や胃ポリープなどの異常も判定できることもあり、広く実施されている一般的な方法です。
  • 胃内視鏡検査(胃カメラ):
    小型のカメラを装着した直径5~10mm程度の細い管を口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を直接観察する検査です。

胃内視鏡検査では、粘膜の少しの変化も見えることから、早期発見に有効的な方法です。また、異常が見つかれば、病変の一部を採取して顕微鏡で詳細に調べる「胃生検」を行う場合もあります。
国の指針では、市町村が実施する胃がん検診は、50歳以上を対象に2年に1回、胃内視鏡検査または胃部X線検査(バリウム検査)のいずれかを行うことが推奨されています。

胃がん検診の費用はいくらかかるの?

胃がん検診の費用は保険適用・自費診療によって、以下のように大きく変わります。

保険適用となった場合の胃がん検診の費用

特に気になる症状がない方に対する検査は、任意の検査となるため、自由診療です。しかし、以下のような場合は保険適用となります。

  • 胃の痛み、不快感、胸やけ、吐き気など気になる症状がある場合
  • 健康診断などで異常が見つかった場合
  • 胃がんのリスクが高いと判断された場合

これらに該当し、保険適用となった場合は3割負担でおよそ以下の費用となります。
胃部X線検査(バリウム検査):約3,500円~5,000円
胃内視鏡検査(胃カメラ):約5,000円~14,000円

自費診療となった場合の胃がん検診の費用

健康診断などの場合は、胃がん検診に対して、保険適用とならず自由診療になります。そのため、健康診断などを受ける医療機関や、検査・麻酔の種類などによって異なりますが、以下の費用が一般的には必要です。

  • 胃部X線検査(バリウム検査):約10,000〜15,000円
  • 胃内視鏡検査(胃カメラ):約15,000〜20,000円

胃内視鏡検査の場合は、検査中にピロリ菌感染が疑われ、確定診断のための検査を行う場合は4,000〜13,000円程度です。胃がんなどが疑われた組織の一部を採取する検査を行った場合は、10,000〜30,000円程度が別途で必要です。
その他にも、ABC検査も4,000〜5,000円程度支払えば検査可能です。
ABC検査とは、将来的に胃がんを発症する危険性を評価する検査です。胃がんの原因の1つであるピロリ菌の感染の有無や胃粘膜の萎縮の程度を血液検査で判定します。
このように、胃がん検診は保険適用の有無によって、大きく費用が異なります。しかし、特になる症状がない場合でも、自治体や加入している健康保険によっては胃がん検診の費用を一部補助している場合があります。
補助となる検査方法・対象年齢・費用などは、自治体や健康保険によって異なるため、事前に市区町村へ確認し検診を受けましょう。

胃カメラとバリウム検査の違いとは?

胃カメラ(内視鏡検査)とバリウム検査は、どちらも胃がんやポリープ、潰瘍、炎症などのように胃の状態を評価するための検査です。しかし、以下のような違いがあります。

  • 胃カメラ:
    食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察できるため、大きさ・位置を正確に把握できます。そのため、胃がんなどの早期発見に適しています。また、必要に応じて、検査中に組織を採取して病理診断もできます。
  • バリウム検査:
    バリウム造影剤と発泡剤を飲んでX線を照射し、胃の壁の表面にバリウムを付着させて撮影する検査です。胃の粘膜全体像を観察でき、病変の形や大きさ、位置、硬さなどを客観的に把握できます。

このように、胃カメラとバリウム検査は、それぞれ得意分野が異なります。胃がんを的確に発見するには両方の検査を組み合わせることが望ましいといえます。

胃がん検診前日や当日の流れ・注意点

基本的な胃がん検診前日や当日の流れは以下のようになり、それぞれ注意点があります。

胃がん検診前日の注意点

胃がん検診を受ける前日は、以下の注意点を守ることが重要です。

  • 食事制限:
    前日の夕食は20時までに済ませ、21時以降は食事を摂らないようにします。食事内容も消化の良いものにしましょう。ワカメなどの海藻、こんにゃくなどは消化が遅いため、できる限り避けましょう。
  • 水分摂取:
    前日の水分制限はありません。しかし、食事制限がかかる20時頃からは、ジュース・コーヒー・牛乳などのように、色のついた飲み物の摂取は避けましょう。当日の検査の際に観察の邪魔になってしまう可能性があるためです。
  • 飲酒の制限:
    アルコールは胃の粘膜を刺激したり荒らしたりする可能性があり、検査結果に影響を及ぼす可能性があります。原則としてアルコール類の飲用は避ける必要があります。

胃がん検診当日の流れ

検診当日は、以下の流れで進行します。

  • 受付:
    医療機関に到着したら、受付を行います。

  • 問診:
    検診を安全に受けられる状態であるかを判断するため、受診票の記載とスタッフからの問診を受けます。
  • 検査準備:
    検査の準備は、内視鏡検査・バリウム検査のどちらなのかによって異なります。
    内視鏡検査の場合は、胃をきれいにするための消泡剤を飲みます。その後、口から入れる経口内視鏡の場合は麻酔薬をのどにためた後に、ゆっくり飲み込みます。一方、鼻から入れる経鼻内視鏡の場合は鼻の通過を良くする薬を使用して麻酔します。
    バリウム検査の場合は、発泡剤を飲み、続いてバリウムを摂取します。
  • 検診を実施:
    内視鏡検査の場合は、胃カメラで撮影し、バリウム検査の場合はX線撮影して胃の状態を詳しく観察します。
  • 検査終了後:
    胃カメラの検査後は、鎮静剤の影響が残る可能性があるため、車の運転は避けましょう。また、飲水、飲食は経口内視鏡では1時間後、経鼻内視鏡では30分程度で摂取できるようになりますが、当日の激しい運動、長時間の入浴などは避けるようにしましょう。

また、検査の際に組織を採取した場合は、運動と飲酒は1日禁止となります。
バリウム検査の場合は、特に制限はありませんが、下剤を服用するため、急な便意には注意しましょう。

胃がん検診当日の注意点

胃がん検診当日には、以下の注意点を守るようにしましょう。

  • 絶食:
    検査当日は朝食だけでなく、200mL以上の水分を摂取した場合は、検査を受けられない場合があります。また、水を飲んでから2時間経過するまでは検査を受けられない場合もあるため、注意しましょう。
  • 服装:
    胃がん検診の当日の服装は、ボタンやファスナー、金具などが付いていない締め付けない服装を選ぶことで、検査中の快適さが保たれます。
  • 健康状態:
    検診当日の体調が優れない場合は、検査を受けられない場合があります。その他にも、過去にアレルギー反応を示したことがある、最近手術を受けた場合などは検診を受ける前に医師に相談することが重要です。

胃がん検診の結果の見方

胃がん検診の結果は以下のような見方になります。

胃がん検診の結果・判定・カテゴリーの見方

胃がん検診の結果は、以下のようなカテゴリーに分類されます。

  • 正常(異常なし):
    異常が抽出できず、特に問題はありません。ただ、今後は検診が不要ではなく、40歳以上の方は、年1回、50歳以上は2年に1回は胃部X線検査による胃がん検診を受けましょう。
  • 要経過観察:
    直ちに積極的な治療や精密検査は必要性が低いものの、定期的に検査を行い、病状の変化を観察し、必要に応じて精密検査を行う場合があります。
  • 要精密検査(異常あり)
    検査の結果、異常が見つかった場合はさらに詳細な検査が必要です。

胃がん検診で要精密検査と診断されたら?

胃がん検診で「要精密検査」と診断された場合は胃の状態に何らかの異常が見つかったことを意味します。しかし、がんが確定したわけではなく、胃の粘膜に炎症やポリープ、潰瘍などが確認できただけの場合もあります。また、精密検査をした結果、がんでなかった事例も多くあります。
精密検査でがん以外の病気が指摘された場合は、継続的な治療が必要か、もしくは、経過観察で問題ないかなどを担当医と相談しましょう。
また、胃がんと分かっても、早期に発見されれば治療が可能なことが多いため、できるだけ早く精密検査を受けることが重要です。

「胃がん検診」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胃がん検診」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胃がん

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞が異常に増殖し、がん細胞に変化することで発生する悪性腫瘍です。
胃がんの主な原因としては、ピロリ菌感染が考えられています。ピロリ菌は慢性的な胃炎を引き起こし、これが進行することでがん細胞が形成されるといわれています。
治療法は、進行度によって異なりますが、外科手術・内視鏡的治療・化学療法を行うのが一般的です。
胃がんは初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、みぞおちの痛みや不快感、胸焼け、吐き気、食欲不振、体重減少、貧血、黒色便などの症状がみられる場合があります。気になる症状がある場合は、消化器内科を受診しましょう。

食道がん

食道の粘膜から発生する悪性腫瘍で、喫煙と飲酒が要因と関係しているといわれており、内視鏡検査やバリウム検査で見つかる場合があります。
治療法としては、内視鏡的切除・手術・放射線治療・化学療法などがあり、がんの進行度などに合わせて治療が行われます。
症状としては、飲食時の胸の違和感やつかえ感、体重減少、胸や背中の痛み咳や声のかすれなどが見られます。気になる場合は消化器内科を受診しましょう。

胃・十二指腸潰瘍

胃酸により粘膜がただれることで、潰瘍ができる病気で、主な原因として、ピロリ菌の感染、薬の副作用、ストレス、飲酒・喫煙などが考えられています。
治療方法は、薬物療法・食事療法・手術療法などがあり、症状や原因に応じて治療法は個別に決定されます。
症状として、腹部やみぞおちに痛みが生じたり、胸焼け、膨満感、食欲不振などの症状がみられたりする場合があります。気になる場合は消化器内科または胃腸科を受診しましょう。

胃ポリープ

胃の粘膜やその直下の組織にできる小さな腫瘤のことで、通常は良性のことがほとんどです。
原因としては、ピロリ菌の感染、ストレス、暴飲暴食、過剰なアルコール摂取、運動不足、睡眠不足、喫煙、 肥満などが考えられています。
胃ポリープの治療法は、ポリープの大きさや種類、進行状況によって異なり、基本的には経過観察で問題ありません。ただ、2cm以上の場合は内視鏡による切除を行う場合があります。
症状としては、胃もたれや不快感、食欲不振などがあるため、気になる症状がある場合は、消化器内科を受診しましょう。

「胃がん検診の費用」についてよくある質問

ここまで胃がん検診の費用について紹介しました。ここでは「胃がん検診の費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がん検診は保険適用で受診できるのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

特に症状がなく、単に検査を希望する場合は、自由診療となり、全額自己負担になります。ただ、医師が必要と判断した場合は保険適用で受診できます。
そのため、少しでも気になる症状がある場合は、一度医療機関を受診して医師に相談してみましょう。

まとめ 胃がん検診の費用は保険適用の場合もある!

胃がんは毎年、多くの方が発症していますが、早期に発見できれば、ほとんどの場合において治療が可能です。
そのため、定期的な胃がん検診を受けるようにしましょう。胃がん検診は健康診断などのように、特に症状がない場合は全額自己負担になります。しかし、自治体や加入している健康保険によっては胃がん検診の費用を一部補助している場合があります。
また、医師が検査の必要性を認めた場合は保険適用となります。少しでも気になる症状がある場合は、一度医療機関を受診しましょう。

「胃がん検診」の異常で考えられる病気

「胃がん検診」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

胃もたれや不快感などのように、少しでも気になる症状がある場合は、一度医療機関を受診して検査をしましょう。

この記事の監修医師

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