「白血球が多いと出る5つの症状」はご存知ですか?考えられる病気も医師が解説!
白血球が多いと出る症状とは?Medical DOC監修医が大人・子供別の症状・血液検査や健康診断の見方・気をつけたい病気などを解説します。
監修医師:
鎌田 百合(医師)
目次 -INDEX-
白血球とは?
白血球とは、外部から侵入した病原体を排除する細胞です。白血球は、形の違いから好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類があり、それぞれ働きが異なり、さまざまな方法で病原体を攻撃します。
体に菌などの病原体が入ったとき、白血球が増加し、体を守ります。
白血球の基準値
白血球の基準値は、成人では約3,100〜8,400/μLと幅広いですが、これは個人によりばらつきが大きいためです。年齢や採血法、測定法によっては基準値が異なることもあります。
白血球の数だけでなく、その中にある5種類の細胞がどのような割合であるか、異常な細胞はないかなども確認します。
大人で白血球が多いと出る症状
白血球が多くなることそのものでは自覚症状は出現しません。白血球が増える原因があり、その原因によって多様な症状が出現します。主な症状を説明します。
発熱
細菌やウイルスなどの病原体が体に入ると、病原体を排除するために白血球が増えます。病原体が体で感染を起こすと、発熱が起こります。
発熱を伴う場合は内科を受診し適切な治療を受けてください。
かゆみ、発疹
アレルギー反応が起こると白血球の中の好酸球が増え、かゆみや発疹などのアレルギー症状を起こします。白血球中の好酸球が増えることで診断されます。
疲労感
白血球が増える原因に感染があります。感染を起こすと全身のだるさが強く出現します。
頻度としてはまれな疾患ですが、急性白血病で白血球が増えている場合は、貧血を伴うと疲労感が強く出ることがあります。
ストレス
仕事や生活で強いストレスを感じると白血球が増えます。ほかの原因が考えにくくストレスがあきらかである場合は、特に治療の必要はありません。
咽頭痛
咽頭炎など、喉の感染症でも白血球は増加します。
特に、EBウイルスというウイルスに感染した際には、白血球の中のリンパ球が増え、その中で異型リンパ球という細胞が増えることが特徴です。
子どもで白血球が多いと出る症状
子どもは大人より白血球が平常時より多い傾向にあります。若ければ若いほど白血球数は上昇するため、基準値を確認する必要があります。
子どもで白血球が多い原因は感染症が圧倒的に多いです。そのため、以下のような症状が出現します。
発熱
大人と同じように、細菌やウイルスの感染症を起こすと白血球が増加します。
発熱があり白血球が多い場合は抗生剤などの治療が必要になる場合があります。小児科を受診し相談してください。
咳、鼻水
感染症により咳や鼻水が出る場合があります。部屋の加湿を行い、喉や鼻を潤しましょう。ウイルス感染症であれば数日でおさまることが多いです。
食欲不振
感染症を起こすとだるさが出て食欲がなくなります。喉の痛みがあれば痛みで食事が摂れないかもしれません。脱水にならないように、少しずつでも水分を摂取しましょう。
不機嫌
細菌やウイルスの感染症で体調が優れない場合、喋れない子どもの場合は不機嫌になることもあります。機嫌が悪くぐったりしている場合は、速やかに小児科を受診しましょう。
健康診断で白血球が多いと診断されたら?
白血球が多いと診断された場合、必ずしも病気でない場合もあります。
一時的な上昇であれば特に治療の必要性はありませんが、一時的かどうかを確認する意味でも再検査は必要です。内科を受診し相談してください。
また、何らかの症状を伴う場合ははやめの受診をしましょう。
血液検査の白血球の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見
ここまでは白血球が多い症状について基本的なことを紹介しました。
血圧検査で再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
血液検査の白血球の結果や数値の見方・分類と主な所見
健診で白血球が多いと言われた場合、白血球の中のどの細胞が増えているのかを確認します。それぞれの細胞が増えたときに考えられる主な病気を示します。
好中球:細菌などを貪食する細胞です。細菌感染、炎症、ストレス、外傷などで増加します。
リンパ球:おもに免疫反応を行う細胞です。ウイルス感染などで増加します。
単球:異物を貪食し、マクロファージとなりリンパ球に作用します。慢性炎症などで増加します。
好酸球:アレルギーに関与し、アレルギーがあると増加します。
好塩基球:どのような働きをしているかはっきりわかっていません。慢性骨髄性白血病で増加する場合があります。
血液検査の白血球の結果で精密検査が必要な基準と内容
どの程度で白血球の精密検査が必要かの明確な基準はありません。ただし、基準値を大きく上回る場合(例えば15,000/μl以上)、何らかの感染や炎症疾患、血液疾患などが隠れている場合があります。
再検査は内科を受診しましょう。精密検査では、まずは白血球が持続的に高いのかを確認します。白血球数だけでなく、どの細胞が増えているかを確認し、症状の確認や、喫煙歴なども確認します。何らかの病気が隠れている可能性があれば、さらなる精密検査を行う場合があります。
「血液検査」で白血球が多いと診断された場合の病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「白血球が多いと出る症状」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
白血球増加症
白血球増加症とは、白血球が増加する状態をいいます。一般的に10000/μL以上を白血球増加症と定義します。特定の病気を指す名称ではなく、白血球が増えた原因を特定する必要があります。
感染症、炎症性疾患、急性白血病などの血液疾患などさまざまな原因では血球は増えます。まずは内科を受診し相談しましょう。
急性白血病
急性白血病は、血液を作る骨髄で芽球というがん細胞が異常に増殖する病気です。がん細胞が増えた結果、正常な血液の細胞(白血球、赤血球、血小板)を作る能力がなくなります。白血球が低下すると菌を排除することができなくなり、高熱が出ることがあります。
白血球がとても多い、芽球が出現しているなど、急性白血病が疑われる場合は、速やかに血液内科を受診しましょう。
慢性白血病
慢性白血病は、血液を作る骨髄にある造血幹細胞に異常が起こり、白血球などが異常に増加する病気です。慢性骨髄性白血病(骨髄系の好中球、赤血球、血小板などが増加)と慢性リンパ球性白血病(リンパ球が増加)の2種類があり、どちらも白血球が異常に増加します。
慢性白血病は血液のがんですが、急性白血病と全く異なり、成熟した細胞がゆっくりと増える病気です。白血球がとても多い場合や、赤血球、血小板数も多い場合は血液内科を受診しましょう。
「白血球が多いと出る症状」についてよくある質問
ここまで白血球が多いと出る症状について紹介しました。ここでは「白血球が多いと出る症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
白血球が多いとどんな病気が考えられますか?
鎌田 百合(医師)
白血球が多くなる原因はさまざまなものがありますが、代表的なものに感染症、炎症性疾患(成人スチル病など)、ストレス、アレルギー、薬剤性、運動後、喫煙などがあります。
感染症の場合は抗生剤で治療を行います。ストレスが原因であればストレスを取り除くと改善することもあります。炎症性疾患など原因がある場合は治療することで白血球は改善します。
健康診断で白血球が10,000を超えた場合、何らかの疾患に罹っているのでしょうか?
鎌田 百合(医師)
必ずしも何らかの疾患に罹っているわけではありません。病気が隠れていることもあれば、ストレスや運動後、喫煙など、さまざまな要因で変動することがあります。
白血球が持続的に高い場合や、発熱やだるさなど他の症状がある場合は精密検査が必要なため、内科を受診しましょう。
健康診断で白血球が多いと診断された場合、何科で精密検査を受診するのでしょうか?
鎌田 百合(医師)
健診で異常値が認められた場合、再検査を行います。また、白血球の中でどの細胞が増えているかの検査を行います。
まずは原因を精査するために内科を受診しましょう。この再検査で異常がみつかった場合は、血液内科や感染症科などで更に詳細な検査を行う場合があります。
血液検査で白血球数が特に多い人はがんの危険性がありますか?
鎌田 百合(医師)
白血球が多い人の中に、急性白血病や慢性白血病などの血液のがんが隠れている場合があります。しかし頻度としてはとても少なく、まず疑うものではありません。
感染やストレスなど他の原因が多いため、適切な検査が必要になります。
ウイルス感染症に罹ると血液中の白血球が多くなりますか?
鎌田 百合(医師)
ウイルスはリンパ球が作用して排除します。リンパ球が増えることで白血球が多くなる場合がありますが、細菌感染症よりも白血球上昇は軽度とされています。
また、リンパ球が炎症臓器やリンパ節に動員されると血液中のリンパ球は減り、白血球は減少します。そのため、ウイルス感染症では白血球が増えることも減ることもあります。
編集部まとめ 白血球が多いときは再検査をしましょう
白血球が多くなる原因は、ストレスや喫煙だけでなく、感染や血液疾患など治療を要する疾患の可能性もあります。自覚症状がないことも多いため、なにかのきっかけでたまたま見つかる場合も多いです。病気が隠れている場合もあるため、健診で指摘された場合は病院を受診し再検査を受けるようにしてください。
「白血球が多いと出る症状」で考えられる病気と特徴
「白血球が多いと出る症状」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
血液の病気
- 急性白血病
- 慢性骨髄性白血病
- 慢性リンパ球性白血病
膠原病の病気
循環器の病気
白血球が多いと言われた場合は、内科を受診し精密検査を受け診断を受けましょう。適切な治療によって白血球を正常にしましょう。