「大腸内視鏡検査の費用」はどれくらい?保険適用の条件も医師が解説!
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)はいくらかかる?Medical DOC監修医が相場と保険適応の有無・自費診療の費用・わかる病気などを解説します。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用はいくらかかるの?
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、大腸の健康状態を確認するために有効的な検査です。しかし、どれくらいの費用が必要なのかなどまで理解している方は多くいません。実際、必要な費用は、保険適用の場合と、自費診療の場合で大きく異なります。
この記事では、大腸内視鏡検査の費用について詳しく解説し、検査の目的や流れ、検査でわかる病気についても触れます。ぜひ、最後までお読みいただき、検査を理解しましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用
大腸内視鏡検査の費用は、保険適用・自費診療によって大きく異なります。ここでは、それぞれのケースにおいて目安となる費用について紹介します。
保険適用となった場合の大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用
大腸内視鏡検査は、医師が必要性を認めた場合、保険が適用されます。保険適用となれば1~3割の費用負担となるため、検査費用の自己負担は比較的低く抑えられます。
・大腸内視鏡検査(観察のみ)
3割負担:6,000円程度
・大腸内視鏡検査、生検、病理組織検査
3割負担:9,000~15,000円程度
・大腸内視鏡検査、ポリープ切除、病理組織検査
3割負担:20,000~34,000円程度
上記のように、大腸内視鏡検査時の麻酔の有無やポリープの個数、大きさにより費用は変化します。病理検査などの追加の検査が必要な場合は、さらに費用がかかります。
自費診療となった場合の大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用
健診目的で、大腸内視鏡検査を希望する場合は自費診療になるため、保険診療より費用の負担が多くなります。ただし、検査の途中で切除が必要なポリープが見つかった場合は、保険診療に移行します。
また、健診で内視鏡中にポリープなどの病変が見つかって生検による病理検査を行った場合は、内視鏡部分は自費、病理検査は保険診療にわかれます。
なお、自費診療で大腸内視鏡検査を実施した場合は、観察だけで15,000~30,000円程度必要です。
生命保険が適用となった場合の大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用
生命保険に加入している場合は、保険の種類や契約内容によっては、日帰り手術で大腸ポリープを切除すると生命保険によっては一部もしくは全額の保険金が支払われる場合があります。
ただ、詳細な内容は保険内容によって異なるため、事前に保険会社へ確認しておきましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の目的と当日の流れ
ここでは、大腸内視鏡検査の具体的な目的や当日の流れについて詳しく解説します。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の目的
大腸内視鏡検査の目的は、主に下記のように分かれ、大腸の内部を詳細に観察して異常の有無を確認することです。
・大腸がんの早期発見:内視鏡を経由して直接大腸の壁を視覚的に検査することができるため、大腸がんの早期発見につながります。大腸がんは早期発見・早期治療すれば、完治が期待できるため、大腸内視鏡検査によって大腸がんを早期発見することは重要です。
・大腸ポリープの発見と除去:大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる隆起性病変の総称で、良性のものもありますが、ポリープのうち腫瘍性ポリープ(腺腫)が大きくなると、がんを含む確率が高くなります。一般的に6mm以上の腫瘍性ポリープはがんを含む可能性が高くなるため切除が勧められます。そのため、定期的に大腸内視鏡検査を受けて、がん化の可能性のある腫瘍性ポリープを切除することが大切です。
・炎症性腸疾患を診断できる:肛門から内視鏡を挿入して大腸内を直接観察することで、潰瘍性大腸炎やクローン病など、慢性的な炎症性腸疾患の診断と評価をすることができます。
・原因不明の腹痛や出血の原因特定:病気の診断や評価だけでなく、腹痛や便に血が混じる場合でも、その原因を特定するためにも大腸内視鏡検査は有効な方法です。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の当日の流れ
大腸内視鏡検査を受ける場合、一般的な当日の流れは下記です。
1.検査当日の朝:
検査の4〜6時間前に、検査施設により異なりますが、おおよそ1.8リットルの水に溶かした前処置用の腸管洗浄液を1~2時間かけて、数回に分けて飲みます。飲み終わって約1時間程度が経過すれば、排便が頻回になり、水のような便が数回排泄されますが、2時間程度経過すると、便意が落ち着いてきます。
2.来院・受付:
検査前の来院時間は検査機関に確認をし、時間の余裕をもって到着するようにしましょう。なお、検査中に使用する薬剤の影響で終了後、運転ができないこともあります。事前に確認をしましょう。最終排便の性状チェックを実施し、検査に適した状態かを判断します。
3.検査開始:
排便の性状チェック後、問題なければ大腸内視鏡検査を開始します。検査時に鎮静剤を使用する場合は、点滴で投与されます。検査時間は腸の長さや形状によって個人差がありますが、通常20〜30分程度です。
もし、腸の粘膜に異常な発赤や盛り上がりといったがんを疑う病変やポリープが見つかったら、特殊光や色素で精密診断した上で、必要があれば内視鏡で組織を採取する生検を実施します。
4.検査後の説明:
検査終了後、検査時に撮影した画像を見ながら、医師から結果の説明があります。組織をとった場合は、病理結果が10日前後に出ますので、その時期に再度受診をします。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の当日の注意点
大腸内視鏡検査を受けるにあたっては、下記の内容に注意しましょう。
・食事制限:
検査の前処置である下剤を服用するため、繊維の多いものや海藻類などは避け、消化の良い食事を心がけましょう。また、食事時間も夕食は夜7時頃までにとるのが望ましいですが、詳しくは検査機関に問い合わせ指示を仰ぎましょう。前日夜に下剤を内服する場合もあります。詳しくは、検査機関にお問い合わせください。
そして、検査当日は絶食になるため、朝から食事はできません。水分補給は可能ですが、指定されたものに限られるため注意しましょう。
・交通手段:
鎮静剤を使用した場合、検査後の運転は避ける必要があります。そのため、公共交通機関を利用しましょう。
・検査後の食事:
検査後、1時間後から食事は可能ですが、白粥、素うどん、豆腐、ゼリーなど、消化しやすいものを食べるようにしましょう。また、生検を行う場合には2時間程度食事がとれないこともあります。詳しくは検査をした施行医に確認しましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかる病気・疾患は?
ここではMedical DOC監修医が大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかる病気・疾患について解説します。
大腸がん
大腸がんは大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍の総称で、早期には自覚症状がほとんどないため、定期的な検査が重要です。進行すると便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどの症状が出ます。
大腸がんになる原因としては、遺伝的要因、脂肪や肉類を高摂取する食生活、喫煙、飲酒などがあります。
大腸がんは早期発見であれば多くの場合は、内視鏡的切除や手術による切除で完治が可能です。がんが進行した場合には、手術に加えて化学療法や放射線療法がおこなわれる場合もあります。
もし、便に血が混じる、便秘と下痢が交互に続く、腹痛などの症状がある場合は、早めに
消化器内科または消化器外科を受診しましょう。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる良性の腫瘍ですが、大腸がんに進行するリスクがあるため、定期的な検査でポリープが大きくなった場合は切除します。
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝的要因や生活習慣の乱れが原因の1つといわれています。
大腸ポリープは、定期的に検査を受けて大きさや形状を評価することで、早期に大腸がんの発見をすることができます。
大腸ポリープだけでは、症状がない場合も多いですが、便に血が混じる、便の形状が変わるなどの症状があれば消化器内科を受診してください。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患の一つで大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍ができる病気です。原因不明の難病ですが、免疫異常や遺伝的要因が関与していると考えられています。
治療法としては、原則的には炎症を抑える薬物療法(アミノサリチル酸製剤、ステロイドなど)の薬物療法が一般的で、多くの場合は症状が改善しますが、難治性など場合によっては大腸全摘術などの外科手術をおこないます。
血便、腹痛、下痢が続く場合は、早めに消化器内科を受診してください。
クローン病
ローン病は、炎症性腸疾患の1つで、主に小腸や大腸などの粘膜に慢性の炎症が起きることによって、粘膜がただれている状態や、潰瘍ができる病気で、主に若年者が多く発症しています。
遺伝的素因、食事や腸内細菌などの環境的な要因で、粘膜の異常が起こったり、免疫細胞の過剰反応が生じ、病気が発症・持続するものと考えられていますが、原因ははっきり分かっていません。
治療法は、食事による刺激を減らしながら、栄養状態を改善する栄養療法や、腸の炎症を抑える薬物療法が一般的ですが、腸閉塞や穿孔、膿瘍などが起こっている場合には外科治療や内視鏡的治療をおこなう場合もあります。
腹痛、下痢、体重減少、発熱、体重減少、 全身倦怠感 、貧血などの症状がある場合は、早めに消化器内科を受診してください。
感染性腸炎
感染性腸炎は、細菌やウイルスなどの感染により腸に炎症が起こる疾患で、ノロウイルス、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどの食中毒や感染症が原因です。
一般的には自然治癒傾向が強いため、軽症例では、安静と水分補給で自然に治ることが多いですが、重症例では抗生物質投与や点滴をおこなうこともあります。
激しい下痢、発熱、脱水症状がある場合は、早めに消化器内科を受診してください。
「大腸内視鏡検査の費用」についてよくある質問
ここまで大腸内視鏡検査の費用などを紹介しました。ここでは「大腸内視鏡検査の費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸内視鏡検査の自己負担額の相場はどれくらいが一般的でしょうか?
伊藤 陽子(医師)
大腸内視鏡検査の自己負担額は、観察のみでは、保険適用の場合で3割負担で約6,000~7,000円程度ですが、生検、ポリープ切除、病理組織検査などが追加でおこなわれると、ポリープの数、大きさなどにより異なりますが、15,000~30,000円程度費用がかかることがあります。
健康診断で大腸内視鏡検査を受診した場合の費用相場はいくらですか?
伊藤 陽子(医師)
健康診断で大腸内視鏡検査を受ける場合は、自費診療になるため、費用は高くなり、観察のみで15,000~30,000円程度です。
ただし、検査の途中で切除が必要なポリープが見つかった場合は、保険診療に移行したり、内視鏡中にポリープなどが見つかり生検による病理検査を行った場合は、内視鏡部分は自費、病理検査は保険診療となるなど、その都度費用が異なります。
大腸内視鏡検査が保険適用になるための条件を教えてください。
伊藤 陽子(医師)
大腸内視鏡検査が保険適用になるためには、症状などから医師が必要と判断すれば保険が適用されます。
具体的には、便潜血検査で陽性反応が出た場合、腹痛や便秘、下痢などの症状がある場合、既往歴に大腸がんやポリープがある場合などです。
編集部まとめ 大腸内視鏡検査の費用は病状により異なる!
大腸内視鏡検査は、大腸の健康状態を確認するための検査で、その費用は保険適用、自費診療かによって異なります。
保険適用の場合、自己負担額は観察のみで約5,000~6,000円程度、自費診療の場合は15,000~30,000円程度が一般的です。また、ポリープに対し、ポリープ切除術を行う場合には、入っている生命保険の種類により、日帰り手術となるため手術給付金を請求できる場合があります。
大腸内視鏡検査は、大腸がん、大腸ポリープ、炎症性腸疾患などの早期発見に非常に有効です。
今回の内容で、検査の目的や流れを理解し、必要な準備をしっかりと行うことで、安心して検査を受けることができると思います。
費用に関する不安や疑問は、事前に医療機関や保険会社へ確認しておきましょう。
「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」の異常で考えられる病気
「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
大腸内視鏡検査は、大腸の健康状態を確認するための重要な手段です。早期発見と適切な治療が最も重要です。そのため、定期的な検査をおこない、自分の健康を守りましょう。