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「大腸内視鏡検査の前日に食べてしまった」どうすればいい?医師が徹底解説!

 公開日:2024/05/20
「大腸内視鏡検査の前日に食べてしまった」どうすればいい?医師が徹底解説!

大腸内視鏡検査の前日に食べてしまったらどうする?Medical DOC監修医が大腸カメラ前日の食事の注意点やメニュー、対処法等を解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

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大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の前日に食べてしまったらどうしたらいい?

大腸内視鏡検査は、胃カメラと同様に、前日からの食事制限が必要です。では、前日はどのような食事の内容が良いのでしょうか?また、食べてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?以下で解説していきます。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?

大腸内視鏡検査は、大腸カメラともいわれ、大腸を内視鏡を用いて直接観察します。正式な名称は、下部消化管内視鏡検査といいます。
これは、大腸癌などの重要な病気を早期発見できる可能性のある大事な検査です。大腸内視鏡をお尻から入れて、直腸からS状結腸、結腸(上行、横行、下行)を観察します。可能なら虫垂(いわゆる盲腸)の入り口まで、大腸を覆う粘膜を確認します。検査中に、ポリープという盛り上がった部分があれば、検査中に切り取って、検査を行うこともあります。大腸はヒダでおおわれており、さらに、曲がりくねっているため、胃カメラにくらべると熟練した技術が必要となります。当日は食事を抜いての検査になりますが、正確な観察を行うためにも便がない状態で検査を行う必要があり、検査前の食事が重要となります。

大腸内視鏡検査の前日に食べていいもの

前述の通り、前日の食事は大切です。消化に良いものを心がけて食べましょう。低残渣食といわれる、食物繊維を含まないために消化の良い食事を取るようにします。主食は白米(おかゆがおすすめ)やパン(食パンやロールパンなど具材のないもの、食パンの耳は残す)、麺類(うどん、そうめんなど)がおすすめです。主菜は肉であればささみやヒレ(豚や牛)、魚は白身魚や鮭など脂肪分の少ないものにしましょう。調理法は煮るのがよいでしょう。夕食は早めの時間に少量にとどめるよう心がけましょう。どうしても空腹感が耐えられないときは、飴や少量のチョコレートを食べて紛らわすようにしてください。

大腸内視鏡検査の前日に食べてはいけないもの

食物繊維は消化吸収されにくく、便通を改善してくれます。そのため、普段は食物繊維が豊富な野菜や果物、きのこ、ナッツ類、海藻類(昆布など、海苔も含みます)は良い食べ物です。しかし、大腸内視鏡検査前においては、消化されにくく大腸内に残るので、前日から避けましょう。食物繊維が豊富で注意すべきものは、玄米や雑穀米などの穀類、加工品である全粒粉パンやライ麦パンです。これらも避けましょう。
次に避けた方がよいものは脂質です。脂身の多い肉(鳥皮含む)や加工肉、魚(鯖やサンマなど)、乳製品(牛乳、チーズ、バターなど)といった食材は避けましょう。また、調理法として揚げものは選ばないようにしましょう。

大腸内視鏡検査の前日・当日に飲んでいいもの・飲んではいけないもの

大腸内視鏡検査前日からは飲み物にも注意が必要です。特に、食物繊維や脂肪分に気を付けましょう。前日から、コーヒーや紅茶は飲んでも構いませんが、ミルクやレモンは入れてはいけません。お茶やスポーツドリンク、果肉や実の入っていないジュースは飲んでも構いません。当日は脱水にならないように利尿作用のある飲み物は避けて、水やスポーツドリンク、お茶であれば麦茶やルイボスティーなどのノンカフェインで利尿作用のないものにしましょう。逆に飲んではいけないものは、食物繊維や脂肪分を含む飲み物になります。具体的には、果肉や実の入ったジュースや野菜ジュース、牛乳などです。さらに、検査当日は食事を抜いての検査になるため、脱水状態になることからアルコールも避けた方がよいでしょう。

大腸内視鏡検査の前日に食べてはいけないものを食べてしまったらどうしたらいい?

​​大腸内視鏡検査前の食事は意外と口にしてはいけないものが多いです。そのため、間違えて食べてしまうことがあるかもしれません。少量で気づけた場合は、それ以上食べないようにして、水分をよくとるようにしてください。大量に食べてしまった場合は、検査ができない場合があります。大腸内視鏡検査では、検査がきちんと施行できないと見逃しがでたりして、ご自身が不利益を被ることもあります。気付いた時に、大腸内視鏡検査を受ける医療機関が営業時間内であれば、その時に、営業時間外であれば、翌日の朝には連絡して指示を仰いでください。

大腸内視鏡検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは大腸内視鏡検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

大腸内視鏡検査の結果の見方・分類と主な所見

多くの医療機関では、大腸内視鏡検査のみであれば、即日検査結果の説明があるところが多いかと思います。ポリープの有無、潰瘍の有無、大腸憩室(大腸にできた袋型のくぼみ)の有無などが分かります。時に大腸癌が疑われる場合もあり、精密検査を指示されることがあります。
ポリープ切除などを行った場合は、[神宮隆臣1] [香木2] 顕微鏡で行う病理組織検査が追加されます。結果がでるまで1週間前後かかりますので、その後に説明があります。ポリープ内に悪性腫瘍、いわゆる”がん”がないかを調べ、良性のポリープであったのか、悪性のポリープであったかの説明が追加されます。

大腸内視鏡検査の結果で精密検査が必要な基準と内容

精密検査が必要とされるのは大腸がんが疑われる場合が中心です。多くの場合、大腸内視鏡検査時に病理組織検査が行われているので、追加の検査としては、採血(腫瘍マーカーなど)や超音波検査、CT検査、PET検査などが行われます。大腸内視鏡検査を受けた医療機関から受診を勧められた病院へ受診するようにしましょう。できるだけ速やかに受診するように心がけてください。ただし、おなかが痛い、何日も便秘するなどの症状があれば早急に受診しましょう。検査結果を総合的に判断して、大腸がんと診断された場合は、化学療法や手術療法(内視鏡手術や外科的手術など)が行われます。放射線治療も併せて組み合わせて行うこともあります。

「大腸内視鏡検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「大腸内視鏡検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

大腸がん

大腸がんは正常な細胞ががん化することで発生する悪性腫瘍です。多くは、生活習慣(食事内容やアルコール、喫煙など)が関連しています。いくつかの遺伝子が変異することでがん化に関わっていることが分かってきています。大腸がんが発生するのは二つのパターンが知られています。一つは腺腫-癌関連といわれるものです。正常組織が腺腫(後述の大腸ポリープ)となり、さらにがん化します。もう一つはde novo癌です。正常組織が直接がんとなります。
大腸がんでは、便に血が混じる(便潜血)を来すことが多いです。トイレの後に便が赤いことに気が付いた場合は必ず受診するようにしましょう。少量の場合、肉眼では気付くことはできません。健康診断などで行う便潜血検査は、ごく少量の出血でも検知できます。便潜血検査で陽性であれば、消化管内で出血していますので、受診が必要です。また、大腸がんが進行するとひどい便秘を来すこともあります。普段は便通がいいのに、急にひどい便秘になった場合も受診しましょう。受診する病院は、消化器内科や胃腸科がある医療機関をまずは選びましょう。
治療法は、早期に発見できた場合は内視鏡手術で切除することができます。進行している場合は、外科的手術治療や化学療法、放射線治療などを組み合わせて治療を行います。

大腸ポリープ

正常組織が腺腫となったものが大腸ポリープです。基本的には良性の腫瘍に分類されます。前述のように大腸ポリープからがん化することがあるので、大腸内視鏡検査時にポリープ切除をしたあとに、がん化が分かることもあります。大腸ポリープも出血することがあり、便に血が混じることがあります。出血が少量の場合は、便潜血検査で判断します。大腸ポリープの形や数にもよりますが、大腸内視鏡検査の時に切除可能な場合が多いです。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜が、直腸から連続して潰瘍やびらんを形成する病気です。はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的な要素と生活習慣などの環境の要素が絡み合って、大腸に炎症を引き起こすといわれています。腹痛と下痢を繰り返し、時々便に血が混じることもあります。気になるときは消化器内科や胃腸科を受診しましょう。根治させる治療法はありませんが、薬物療法にて症状を軽快、安定化を目指します。近年では生物学的製剤の登場で治療法が増えてきています。

「大腸内視鏡検査の前日の食事」についてよくある質問

ここまで大腸内視鏡検査の前日に食べてしまった場合について紹介しました。ここでは「大腸内視鏡検査の前日の食事」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸内視鏡検査の前日に野菜を食べてしまったのですが、どのように対処したらよいでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

少量であれば差し支えない場合もありますが、大量の場合は大腸内視鏡検査ができない場合もあります。量によらず水分をよくとるようにして、大腸内視鏡検査をうける医療機関へ相談しましょう。

大腸内視鏡検査の前日にコーヒーやコーラを飲んでもいいですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

前日であれば問題はありません。1-2杯程度にとどめるように気を付けて飲んで構いません。

大腸内視鏡検査の前日に食べてはいけないものを食べてしまったのですが、どのように対処したらよいでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

少量であれば差し支えない場合もありますが、大量の場合は大腸内視鏡検査ができない場合もあります。量によらず水分をよくとるようにして、大腸内視鏡検査をうける医療機関へ相談しましょう。

大腸カメラの前日は何時まで食事をして大丈夫ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

医療機関により差はありますが、おおむね17時から20時までに夕食を終えるよう心がけましょう。

大腸カメラ前日に消化の悪いものを食べるとどんな影響がありますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

食べ物のカスが残っていると、その後ろ側の粘膜が観察できず、見逃しにつながることがあります。

まとめ 大腸内視鏡検査の前日に食べてしまったら、水分摂取と医療機関へ相談!

大腸内視鏡検査をこれから受ける予定の方がお読みになっているかと思います。検査前日から当日まで、消化の良い食事を心がけ、余計な心配なく大腸内視鏡検査を受けることができることを願っています。万が一、心配な食事をしてしまった際は、水分をよくとって、大腸内視鏡検査を受ける医療機関に相談するようにしましょう。

「大腸内視鏡検査」の異常で考えられる病気

「大腸内視鏡検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

大腸内視鏡検査は大腸の中を内視鏡で検査するので、見つかる可能性がある病気は、大腸に関連するものが中心です。

この記事の監修医師