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血圧はいくつになると危険?高血圧・低血圧の病気リスクや改善法を医師が解説!

 更新日:2023/11/30
血圧はいくつになると危険?高血圧・低血圧の病気リスクや改善法を医師が解説!

血圧とは?Medical DOC監修医が血圧測定でわかる上下の数値の見方や正常値・高血圧と低血圧の主な原因と病気リスク・改善方法などを詳しく解説します。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

プロフィールをもっと見る
奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

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血圧とは?血圧を測る理由と役割

血圧とは、血液が心臓から体中に送り出される際の圧力を表す指標です。血圧は“上の血圧”である収縮期血圧と、“下の血圧”である拡張期血圧で表記されます。血圧が適切な数値に保たれていることによって、血液が体中の臓器にしっかりと送られていることを示します。血圧が低い場合には、血液を適切に送りだすことができていないことを示しており、脱水症や敗血症などの病気で低血圧になることがあります。逆に血圧が高い状態は血管に常に強い力が働いていることを示しています。そのため、血管が硬くなる動脈硬化の原因となってしまいます。そのため血圧を定期的に測ることで、自身の健康状態を把握することが可能になります。

血圧が高い・高血圧の健康リスクと対策

高血圧の状態で放置していると動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクとなってしまいます。そのため、ガイドラインにおいて基準値が設定され、治療での目標値も設定されています。

分類 診察室血圧(mmHg) 家庭血圧(mmHg)
正常血圧 収縮期血圧:120以下
かつ拡張期血圧:80以下
収縮期血圧:115以下
かつ拡張期血圧:75以下
正常高値 収縮期血圧:120~129
かつ拡張期血圧:80以下
収縮期血圧:115~124
かつ拡張期血圧:75以下
高値血圧 収縮期血圧:130~139かつ
または拡張期血圧:80~89
収縮期血圧:125~134かつ
または拡張期血圧:75~84
I度高血圧 収縮期血圧:140~159かつ
または拡張期血圧:90~99
収縮期血圧:135~144かつ
または拡張期血圧:85~89
Ⅱ度高血圧 収縮期血圧:160~179かつ
または拡張期血圧:100~109
収縮期血圧:145~159かつ
または拡張期血圧:90~99
Ⅲ度高血圧 収縮期血圧:180以下かつ
または拡張期血圧:110以下
収縮期血圧:160以下かつ
または拡張期血圧:100以下
孤立性高血圧 収縮期血圧:140以下
かつ拡張期血圧:90以下
収縮期血圧:135以下
かつ拡張期血圧:85以下

血圧が正常値・基準値より高いと体にどんな影響がある?

血圧が正常値や基準値より高い場合、体にさまざまな影響が及ぶ可能性があります。高血圧の原因、症状、および関連する病気について解説していきます。
まず、高血圧の原因には、不健康な生活習慣、高塩分の食事、肥満、運動不足、喫煙、過度なアルコール摂取、過度なストレス、ホルモン異常などが挙げられます。
血圧が高くても大部分の方は無症状です。しかし、血圧が過度に高くなると、頭痛や、視力障害、嘔気などの症状を起こす場合があります。また、血圧が高い状態で放置すると、動脈硬化によって狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、脳梗塞、脳出血などの脳卒中、腎機能障害、眼疾患、心不全などのさまざまな病気を引き起こす可能性があります。

健康診断や血圧測定で血圧が高いと言われたらどうすべき?

血圧が高いと診断された場合の対策について解説していきます。

1)落ち着いた環境で再度測定して記録する:血圧は家庭血圧という、自宅で落ち着いた状態で測定した血圧を元に診断、治療を行います。そのため、健康診断で血圧が高いと判定された場合には、血圧計、血圧手帳を準備して、1日2回朝、夕の血圧を測定して記録するようにしましょう。家庭血圧でも高血圧の診断基準を満たしている場合には別の対策を行う必要があります。
2)生活習慣の見直し:高血圧の原因の大部分は塩分の多い食事や運動不足などの生活習慣が原因です。そのため血圧が高いと診断されたら塩分を取りすぎないように注意して、週に2-3回、20分程度の有酸素運動を行うようにしましょう。すぐに血圧が下がるわけではないので、継続して取り組むことが重要です。
3)病院の受診:家庭血圧も高値であり、生活習慣の改善を行なっても血圧が下がらない場合にはお薬での治療が考えられます。また、血圧の数値や持病によっては早めに治療することが必要な場合もあります。そのため、血圧が高いと診断された場合は、基本的に早めに病院を受診して医師の診察を受けることが勧められます。医師の診察や検査を受けることによって自分の状態を理解することに繋がり、治療のモチベーションを上げることができます。また生活習慣の改善で血圧の目標数値に至らない場合でも、お薬を使えば適切な数値まで下げることができます。

高めの血圧を下げる方法はある?

血圧を下げるためには、健康的な食事、定期的な運動、ストレス管理、お薬での治療などの方法があります。これらの方法を組み合わせることで、より血圧を下げることができるので、目標の数値を達成できるように、さまざまな方法を試していくことが重要です。

血圧が低い・低血圧の健康リスクと対策

高血圧には明確な診断基準と治療において目標とするべき値がありますが、低血圧には基準となる数値がありません。低血圧では、めまい、立ちくらみ、失神、倦怠感、頭痛、嘔気、動悸、発汗などの症状がみられます。しかし、ガイドラインにおいても低血圧の数値の明確な定義はなく、一般的には収縮期血圧が100mmHg未満の状態が低血圧と考えられています。実際には、低血圧でも症状のないことが多く、若い女性や子供などに多い「寝起きの悪さ」が低血圧と関連するということは証明されていません。

血圧が正常値・基準値より低いと体にどんな影響がある?

血圧が正常値・基準値より低くなる原因、症状、どのような病気が考えられるかについて解説していきます。
血圧が低くなる原因は、脱水症、心臓の病気、甲状腺のホルモンが不足する病気、薬の影響などが考えられます。血圧を保つためには一定以上の血液が必要です。そのため、脱水症で体の中の血液が不足すると血圧が低くなってしまいます。心臓が原因となる場合には心筋梗塞や心不全などで心臓の機能が低下した場合や、心臓から血液が出ていく大動脈弁が硬くなる大動脈弁狭窄症などがあります。さらに甲状腺や副腎、下垂体から分泌されるホルモンが不足すると血圧が低くなることがあります。また、血圧を下げる作用がある薬が効きすぎていることによって、血圧が低下してしまう場合があります。最後に、いろいろな検査を行なっても原因が明らかではない低血圧も存在します。
血圧が低くなることによって脳へ供給される血液が不足してしまい、めまい、立ちくらみ、失神、倦怠感、頭痛、嘔気などがでることがあります。また下がった血圧を上げようと体の自己調節機能が働き、動悸、発汗などの症状が出現します。
血圧が下がることは病気の結果であることが多いのですが、血圧が低い状態が続くと、体の臓器への血液が不足して、肝臓や腎臓の機能が悪化することがあります

健康診断や血圧測定で血圧が低いと言われたらどうすべき?

血圧が低いと指摘された場合、無症状であれば基本的には経過観察で問題ありません。しかし、めまいや立ちくらみ、失神、倦怠感などの症状がある場合には、病院を受診することが必要です。血圧が低くなる原因はいろいろとあり、市販のお薬で血圧を上げることが困難です。放置することによって病気が悪化してしまうこともあるので、血圧が低く、症状がある場合には早めに病院を受診するようにしましょう。

低めの血圧を上げる方法は?

血圧を上げるためには、原因となっている病気の治療が必要です。原因がわからない低血圧である本態性(ほんたいせい)低血圧では食事、仕事、睡眠のリズムを保ち、適度な水分、塩分の摂取と運動が勧められます。お薬としては血圧を上げる作用のあるお薬を使用する場合があります。

健康診断の「血圧」の基準値と結果の見方

健康診断の血圧の基準値は収縮期血圧が120 mmHg未満、拡張期血圧が80 mmHg未満です。収縮期血圧130 mmHg以上もしくは拡張期血圧が80 mmHg以上は高血圧症であり注意が必要です。

健康診断の「血圧」の異常値・再検査基準と内容

血圧の異常値がある場合、内科、循環器内科を標榜している病院、クリニックの受診が必要です。再検査する項目は他の健康診断の検査結果、既往歴などにより異なりますが、血液検査を行うことが一般的です。基本的には指摘をされてから早めに受診するようにしましょう。再検査結果に応じて、食事、運動などの生活習慣指導や薬物療法が行われます。

健康診断の「血圧」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高血圧

血圧が高くなる病気です。放置することによって動脈硬化が進行し、脳卒中、心筋梗塞などの病気を起こすリスクとなります。そのため、早めに病院で診断、治療を受けることがおすすめです。食事、生活習慣の指導やお薬での治療が行われます。

低血圧

血圧が低くなることにより、めまいやふらつきなどの症状を起こす病気です。原因を明らかにするために各種の検査が必要となります。診断されたら、まずは内科を受診して相談するようにしましょう。原因に応じた治療がなされますが、原因が明らかでない場合では生活指導のほかに、お薬で治療することがあります。

脳梗塞

脳を栄養している血管が詰まってしまうことによって、麻痺や痺れ、しゃべりづらさなどの症状を起こす病気です。緊急性が高い病気なので、発症した際には、できるだけ早く脳神経内科や脳神経外科を受診するようにしましょう。血液をさらさらにする薬を使用したり、カテーテルを使って詰まっている血管を広げる治療をすることがあります。

くも膜下出血

脳の血管が破裂して出血を起こす、緊急性の非常に高い病気です。頭痛や、嘔気、嘔吐、意識障害などの症状がみられます。後遺症を残す場合も多いので、早く脳神経外科を受診するようにしましょう。治療はカテーテルで出血している部分を詰めたり、開頭手術で血管の一部にクリップをかける方法があります。

心筋梗塞

心臓を栄養している血管が詰まり、胸の痛みを起こす病気です。時間が経過するとともに、障害が広くなってしまうので、できるだけ早く循環器内科を受診する必要があります。主な治療は心臓の血管にカテーテルを通して、詰まった血管を広げます。

甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺からは体温や血圧を上げるなどの、身体を活動的にする甲状腺ホルモンが分泌されています。甲状腺ホルモンが減少すると、血圧が低下する原因となり、最も多いのは自己免疫疾患の1つである橋本病です。甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンをお薬で補充する治療を行います。治療は代謝内科や内分泌内科で受けることができます。

「血圧」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

病院や自宅で血圧を正しく測る時間や測り方を教えてください。

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

1日のうち、朝と晩の2回で同じ条件で測定することが大切です。座った状態で1~2分程度安静にして、深呼吸をしてから測定するようにします。朝は起きてから1時間以内で朝食の前に測定します。夜は寝る前の安静時に測定します。

50代の血圧の正常値はいくつですか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

50歳代の方の血圧の正常値は、収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80 mmHg未満です。

血圧が150以上あると健康面で危険な状態ですか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

収縮期血圧が150以上ある場合にはⅠ度以上の高血圧に分類されるため、早めに病院を受診して診察を受けたほうがよい状態です。

血圧の上(最高血圧)と下(最低血圧)はどちらを気にすべきですか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

高血圧の定義では、収縮期血圧が基準値内でも拡張期血圧が高い場合に高血圧と診断されます。そのため、収縮期、拡張期血圧とも重要視するべきです。

高血圧を放置するとどんな症状や病気のリスクが生じますか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

高血圧を放置することによって、脳卒中や狭心症、心筋梗塞などのリスクが上昇してしまいます。

血圧が高めなので血圧を下げる食べ物や飲み物があれば教えてください。

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

血圧を下げるためには塩分の摂取を減らしましょう。減塩の製品を選ぶようにし、ラーメンの汁は最後まで飲まないようにしてください。食事は野菜や果物を摂取することが血圧を下げるのに効果的です。

血圧が異常値の場合、薬で治療することはできますか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

食事や運動などの生活習慣の改善で血圧が下がらない場合には、お薬での治療が考えられます。お薬の種類はたくさんあるので、主治医とよく相談することが大切です。

まとめ 「血圧」の異常は心臓や脳などの病気に注意!

高血圧になっても無症状ですが、放置することによって重症な病気を引き起こすリスクが上昇してしまいます。また、低血圧の場合には重症な病気が隠れていることがあります。血圧の異常を指摘されたら、大丈夫だろうと様子を見ずに、まずは病院を受診することが大切です。

「血圧」の異常で考えられる病気

「血圧」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血圧に関連する疾患として代表的なものは上記になりますが、高血圧の場合、そのほかにも非常に多くの疾患の原因になります。症状がないからと放置せず、早めに治療に取り掛かりましょう。

この記事の監修医師