硝子体手術の名医がいる病院の特徴は?名医の治療を受けるメリットや手術の流れ・注意点も解説
硝子体手術は小さな眼内の手術であることから、非常に繊細な技術が要求されます。そのため、手術を受ける際には、高い技術力を持つ名医に依頼したいと考える方が多いでしょう。
本記事では、硝子体手術の名医がいる病院の特徴や、名医の治療を受けるメリットについて解説しています。くわえて、硝子体手術の基礎知識も紹介しています。
本記事を読むことで、信頼できる名医から治療を受け、納得のいく治療結果が得られる可能性が高くなるでしょう。
硝子体手術の名医から手術を受けたいと考えた方は、ぜひ本記事をチェックしてみてください。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
硝子体手術の名医がいる病院の特徴
硝子体とは、眼の中を満たしている透明なゼリー状の組織のことです。この硝子体を除去する手術のことを、硝子体手術といいます。
硝子体手術は、眼に生じる様々な病気に有効です。ただし、硝子体の除去には非常に小さな器具を用いることから、手術には繊細で高度な技術が必要になります。
そのため、手術のための技術を十分に身につけた名医から手術を受けたいと考える方も多いでしょう。名医を見つけるためには、病院選びから慎重に行うことが大切です。
ここからは、硝子体手術の名医がいる病院の特徴を紹介していきます。手術を受ける際は、以下のような特徴をもつ病院を受診するようにしましょう。
眼科を専門としている
硝子体手術は、眼に行う手術です。そのため、治療の際には専門の知識を持つ眼科に相談するようにしましょう。
特に、硝子体に関連する病気を専門分野としている医師がいる眼科がおすすめです。正しい知識を豊富に持っているため、安全で適切な手術が受けられる可能性が高くなります。
また、眼科によっては硝子体手術を行っていない場合もあります。まずはお近くの眼科を調べて、硝子体手術を実施しているかどうかをチェックしてみましょう。
そのうえで、医師の専門分野についても調べてみてください。
手術の実績が多い
硝子体手術の実績数も重要です。手術の実績が多ければ、医師の手術経験も豊富になります。
硝子体手術を成功させるためには、医師の高い技術力が必要です。そして、医師の手術経験が豊富であれば、手術に必要な技術力を十分に身につけている可能性が高いでしょう。
病院によっては、手術の実績をホームページなどに掲載しています。気になる病院があれば、手術の実績について調べてみてください。
手術機器が充実している
硝子体手術は、眼科領域の中でも難しいといわれる手術です。しかし、近年では手術機器の充実や技術の向上などにより、良い手術結果が得られる可能性が高くなっています。
より良い手術を受けるためには、医師の腕だけでなく手術機器も重要です。手術機器の使用によって、手術の安全性が高まったり、効率よくスムーズに行えるようになったりします。
また、新しい機器の中には、0.5〜0.4mmほどの切開で手術が実施できるものもあります。これにより、侵襲性が低く安全性が高い手術を受けることが可能です。
病院を調べる際には、手術機器の充実度や、最新の機器を導入しているかどうかなどについてもチェックしてみましょう。
硝子体手術の名医の治療を受けるメリット
名医の治療を受けることのメリットとして、通常の治療よりも安全性が高くなりやすいことが挙げられます。
硝子体手術の安全性を高めるためには、医師の高い技術力が欠かせません。そのため、名医から手術を受けることで、安心して治療を受けやすくなるでしょう。
また、医師が専門の知識を持っていることで、質問をした際に納得できる答えがもらえる可能性が高くなります。
安心して治療を受けるためには、事前に不安や悩みを解消しておくことが大切です。気になることがあれば、事前に担当医に相談しておきましょう。
硝子体手術を名医がした場合に改善される症状
硝子体手術を行うことで、眼の奥に生じるいくつかの病気の症状の改善が期待できます。硝子体や網膜に関連する病気の治療に有効です。
ここからは、硝子体手術によって改善が見込まれる病気を5つ紹介していきます。これらの病気に悩まされている方は、治療を受けることを検討してみてください。
網膜剥離
網膜剥離は、眼の中にある網膜という組織が剥がれる病気です。加齢などで網膜に穴が開くことが、一般的な発症の原因とされています。
症状として、存在しない虫が飛んでいるように見える「飛蚊症」が現れることが特徴です。また、異常な閃光を感じたり、ちかちかと光が見えたりする「光視症」の症状も現れます。
症状が進行すると、視野欠損や著しい視力の低下が生じます。そのまま放置していると、失明してしまうリスクもあるでしょう。
病気が初期の頃はレーザーでの治療も可能ですが、症状が進行すると硝子体手術による治療が必要になります。
糖尿病性網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として生じる病気です。眼の合併症としては代表的な病気で、国内では中途失明の原因の最も多い割合を占めています。
この病気が発症する原因は、糖尿病によって血糖値が上昇し、血管に大きな負担がかかってしまうことです。網膜には血管が密集しているため、高血糖の影響を大きく受けます。
これによって眼底出血などが生じ、急激な視力の低下を引き起こします。そのまま放置していると失明のリスクもあるため大変危険です。
病気の症状や進行度に合わせて、薬物療法やレーザー治療を行います。これらの治療で効果がみられなかった場合は、硝子体手術で症状の改善を目指します。
黄斑円孔
黄斑円孔(おうはんえんこう)は、黄斑部に穴が開いてしまう病気です。黄斑部は網膜の中心部にあり、ものを見る際に非常に重要な役割を果たします。
症状が起きる原因は、硝子体が黄斑部を引っ張ってしまうことです。硝子体は外傷や加齢によって収縮を行いますが、黄斑部との癒着が強いと収縮の際に穴を開けてしまいます。
黄斑円孔が起こることで、急激に視力が悪くなったり、ものが歪んで見えるようになったりします。視野の中心が暗く見えることも特徴です。
この病気の治療には、硝子体手術が必要です。硝子体の除去後にガスを注入することで、円孔の閉鎖を促します。
網膜前膜
網膜前膜は、黄斑前膜・黄斑上膜とも呼ばれる病気です。黄斑部に薄い膜が生じることで、症状が現れます。
膜が生じる原因は、本来であれば加齢などによって網膜から離れる硝子体が、黄斑部の表面上に残ってしまうことにあります。
膜が形成された初期の頃は、ほとんど症状はありません。膜が厚くなると網膜にしわが生じ、視力が低下したり、ものが波打ったように見えたりします。
治療には硝子体手術が有効です。手術で膜を除去することで症状の改善が見込めますが、症状が完全には消失しない可能性もあります。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性は、加齢などが原因で黄斑部に変化が生じ、症状が現れる病気です。大きく2つのタイプに分けられます。
滲出型は、脈絡膜と呼ばれる部位から余分な血管が生じることで発症します。この血管は新生血管と呼ばれ、正常な血管ではないので血管が破れて出血を起こしやすいです。
出血によって、急激な視力の低下が症状として現れます。
萎縮型は、加齢などによって網膜色素上皮細胞が萎縮することによって生じるタイプです。病状の進行は緩やかで、数年をかけて視力低下などの症状が現れます。
基本的には薬物療法や光線力学的療法を行いますが、網膜の下や硝子体側に出血が生じた場合は、硝子体手術を実施することもあります。
硝子体手術の流れ
手術の細かな流れは、病気の種類・みられる症状・病気の進行度によって異なります。ここで紹介する手術の流れはあくまでも一例ですので、手術前には医師の説明をしっかり聞いておくようにしましょう。
手術前には、眼球に局所麻酔を行います。場合によっては、全身麻酔で手術を行うこともあります。なお、局所麻酔の場合は感覚が残るため、触られるような感じがあるでしょう。
麻酔が効いたら、眼球の白目の部分に小さな穴を開けます。その穴から専用の器具を入れ、硝子体の除去やガスの注入などを行います。
手術に必要な時間は、1〜2時間ほどです。また、白内障の症状がみられる場合は、同時に白内障の手術も行われるケースもあります。
手術後には、うつぶせなどの体勢を維持することが必要です。医師の指示に従って、安静に過ごすようにしましょう。
硝子体手術のリスク・合併症
基本的に硝子体手術は安全な手術ですが、手術によって合併症が生じる場合もあります。手術を受ける前には、どのような合併症のリスクがあるのかを把握しておきましょう。
以下で、硝子体手術によって発症するリスクのある合併症について詳しく解説していきます。
感染症
手術後には、感染症を引き起こす可能性があります。これは、手術後の傷口から細菌が入り、感染することで目に炎症が起きる合併症です。
感染症が起きた場合には、抗生物質で治療を行います。しかし、病状が思わしくない場合には緊急手術が必要です。
感染症を防ぐためには、手術後の眼を清潔に保つことが重要です。医師の指示に従って、清潔さを保つように心がけましょう。
一度発症すると視力の改善が難しくなる可能性があるため、予防をすることが大切です。
網膜剥離
網膜剥離は、手術中と手術後に発症のリスクのある合併症です。
手術中の場合、硝子体が網膜に強く癒着していると、切除の際に剝離が起きてしまうことがあります。手術中に発症した際には、レーザー凝固や再手術で対応を行います。
手術後に発症する原因は、残った硝子体が収縮し、網膜を引っ張ってしまうことです。手術後1ヶ月~数年の間は発症するリスクがあります。
発症してしまった場合は様々な視力障害が生じるため、再度の手術が必要になります。手術後に違和感があれば、すぐに医師に相談するようにしましょう。
飛蚊症
手術後に硝子体出血や網膜剥離が起きた場合、飛蚊症が発症する場合があります。
硝子体出血は、糖尿病の方や高血圧の方に生じやすい合併症です。出血が少量であれば、自然に血液が吸収されることもあります。
患者さんの病状などによって異なりますが、1ヶ月ほど経過しても出血が引かず飛蚊症の症状がみられる場合は、治療のための手術が必要になります。
網膜剝離の場合は、再度の手術が必要です。そのため、手術後に飛蚊症の症状がみられたらすぐに医師に相談するようにしてください。
硝子体手術後の注意点
硝子体手術を受けた後は、いくつか注意が必要な点があります。注意点を守らなければ、症状が改善しなかったり、日常に大きな支障が生じてしまったりするでしょう。
手術を受ける予定のある方は、事前に注意点について把握し、慎重に術後を過ごすようにしてください。以下で、術後の注意点について詳しく解説していきます。
一定期間うつぶせで安静にする
手術後は、一定期間うつぶせで安静にすることが必要です。
病状によって期間は異なりますが、長い場合で3〜7日間ほどはうつぶせや横向きを維持しなければならないと考えておきましょう。
また、体位制限が解かれた後も、安静にしておくことが重要です。医師の指示に従って、1〜3週間ほどは安静にして過ごしましょう。
視力が安定するまで時間がかかる
硝子体手術を行ったからといって、すぐに視力が安定するわけではありません。眼内の状態が落ち着くまで1ヶ月ほど、視力が安定するまでには1年ほどがかかります。
治療には時間がかかるので、余裕を持って手術を受けるようにしましょう。
また、病状によっては、手術を受けても視力が完全には回復しないケースがあります。網膜剥離の場合、病状が進行してから治療を受けると視界のゆがみが残りやすいです。
治療が早いほど良い治療結果が期待できるので、病気の疑いがあったらすぐに医療機関を受診するようにしてください。
硝子体手術後はすぐ日常生活を送れる?
手術を行ったあと、すぐにでも日常生活に戻りたいと考える方もいるでしょう。手術後しばらくは安静が必要ですが、どれほどの期間が経てば日常生活に戻れるのでしょうか。
ここからは、日常生活が送れるようになるまでの期間を見ていきましょう。あくまで目安になりますが、復帰を考える際の参考にしてみてください。
ただし、実際に日常生活に戻るときは、担当医の指示に従うようにしましょう。
仕事復帰できるまでの期間
手術後1ヶ月ほどは眼の状態が落ち着いていないため、安静に過ごすことが必要になります。1ヶ月ほど経てば、事務職などのデスクワークの方は仕事に復帰できます。
ただし、仕事で動き回る方や重労働の方は、復帰までに2ヶ月ほどが必要です。運転手の方も2ヶ月ほどは安静に過ごすようにしましょう。
復帰時期は予後や職種によって異なるので、医師に相談したうえで復帰時期を決めるようにしてください。
飲酒できるまでの期間
アルコールは手術後しばらくは控えるようにしてください。飲酒量にもよりますが、最低でも術後1週間ほどは飲まないようにしましょう。
ただし、病状や手術の予後によって飲酒できるまでの期間は異なります。自分で勝手に判断せず、医師の指示に従って飲酒を再開するようにしましょう。
運転できるまでの期間
手術後に眼内が安定していない状態で運転するのは大変危険です。術後1ヶ月ほどは自転車や車の運転は控えるようにしましょう。
予後が良ければ術後2週間ほど運転できるケースもあるので、医師に相談してみてください。
しかし、術後しばらく経っても視界に不安がある方は、運転を避けた方が良い場合もあります。安全な運転をするため、医師の指示に従って復帰するようにしましょう。
まとめ
硝子体手術は、硝子体や網膜などに生じる病気の改善に有効な治療方法です。網膜剥離や糖尿病網膜症など、様々な病気の治療に用いられます。
この手術では眼球に小さな穴を開け、硝子体の除去などを行います。非常に繊細な作業になるため、手術には技術力が必要です。
安心して手術を受けるためには、高い技術力を持つ名医に治療を依頼すると良いでしょう。手術の実績や機器などをチェックし、信頼できると感じた病院を受診してみてください。
なお、硝子体手術には合併症のリスクや、術後に日常生活を送るうえでの注意点があります。それらのリスクなどを把握したうえで、手術を受けるようにしましょう。
手術後は安静にすることが大切です。日常生活に戻る時期などは、医師の指示に従うようにしましょう。
参考文献
- 硝子体手術|公益財団法人 日本眼科学会
- 硝子体手術|医療法人 藤田眼科
- 疾患解説 網膜硝子体手術 眼科|医療法人財団 荻窪病院
- 網膜硝子体手術|東京医科大学茨城医療センター 眼科
- 眼科|群馬大学医学部附属病院
- 網膜剥離|KOMPAS 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
- 網膜剥離|医療法人 藤田眼科
- 糖尿病網膜症|KOMPAS 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
- 糖尿病網膜症|医療法人 藤田眼科
- 黄斑円孔に対する硝子体手術
- 黄斑円孔|医療法人 藤田眼科
- 黄斑上膜|関西医科大学附属病院
- 黄斑前膜|医療法人 藤田眼科
- 加齢黄斑変性|KOMPAS 慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
- 加齢性黄斑変性|東邦大学医療センター 佐倉病院 眼科
- 加齢性黄斑変性とは
- 飛蚊症|医療法人 小沢眼科内科病院
- 網膜剥離|東邦大学医療センター 佐倉病院 眼科
- 手術後の注意事項 網膜剥離(硝子体手術)|医療法人 明世社 白井病院