大桃美代子「白内障手術」の記録。目に現れた“白い影”と手術を決めた瞬間とは

加齢や強度近視を背景に、誰もが発症する可能性がある白内障。大桃美代子さんは、月が3つに見えたり、光が乱反射したりといった異変をきっかけに、片目の核白内障と診断されました。恐怖を抱えながらも手術に踏み切り、生活に合わせて単焦点レンズを選択。現在は快適な視界を取り戻し、仕事や日常生活を前向きに過ごしています。今回は大桃さんの実体験を交えながら、日本眼科学会認定眼科専門医の相原一先生に白内障の原因や治療法、検診の重要性について詳しく解説いただきました。

大桃美代子(タレント・農政ジャーナリスト)
ニュースをはじめ、料理やクイズ、バラエティ、情報番組と幅広い分野で活躍。韓流にはまり、韓国に語学留学をするほどの韓国好き。「阪神・淡路大震災」を大阪滞在中に、「中越地震」を新潟県魚沼市の実家に帰省中に被災し、災害と復興について考えるきっかけに。風化させないことをテーマに情報発信や復興の為の地域活性化にも携わる。雑穀エキスパート、野菜ソムリエ、おさかなマイスター・アドバイザーの資格を取得するなど食育や農業に関心が高く、地元の新潟にて古代米作りをし『桃米』として販売する。地域活性化に取り組む団体を支援するため全国地方新聞と共同通信が設けた『地域再生大賞』選考委員を務め、視察や優れた取り組みを紹介するなど、地域の魅力を発信することに力を注いでいる。現在、文化放送『川合俊一と大桃美代子の「土曜日はトレンド・カフェへ」』などに出演中。一般社団法人国際SDGs推進協会名誉理事、新潟食料農業大学客員教授、魚沼市PRアンバサダーとしても活動している。

相原一(日本眼科学会認定眼科専門医)
東京大学医学部卒業後、カルフォルニア大学サンディエゴ校、四谷しらと眼科を経て東京大学眼科学教室で教授を務める。現在は東京大学名誉教授。眼科学一般、特に緑内障を専門としており、この分野における診療ならびに研究のトップランナー。患者さんの生活の質を少しでも向上できるような手術を目指し、診断においては少しでも無駄な治療をしないための慎重かつ注意深い診断をモットーとしている。

相原先生
現在の目の見え方はいかがですか?
大桃さん
白内障の手術をしてから、目のかすみが取れて最初はすごくよく見えました。今はほとんど気にならないほどに改善し、仕事にも支障はありません。
相原先生
白内障はどのように見つかったのですか?
大桃さん
12年ほど前に緑内障と同時に白内障の兆候があると指摘されました。当初は手術の必要はないと言われましたが、車の運転中に光が乱反射したり、月が3つに見えるようになったり、次第に不便さを感じました。
相原先生
それは典型的な症状ですね。どのような見え方だったのでしょうか?
大桃さん
最初は乱視が進んだのかと思いましたが、台本を読む際に文字がぼやけ、右目の中心部に白い点のような濁りが見えることに気づきました。検査の結果、核白内障と診断されました。
相原先生
核白内障は強度近視の方に多いタイプです。大桃さんは近視が強かったのですか?
大桃さん
裸眼視力は0.08ほどの強度近視でした。右目だけに白い点が出ていたのでとても不思議に感じました。
相原先生
片目だけの場合、外傷や既往を疑うこともありますが、強度近視の方は若い時期から白内障を発症しやすい傾向があります。手術を決断された経緯を教えてください。
大桃さん
医師からは、生活に支障がなければ急がなくてもよいと言われましたが、眼鏡を変えても見え方が改善せず、原稿を読む仕事に大きく影響していたので、手術をすることにしました。
相原先生
実際にはどのように治療をおこなったのですか?
大桃さん
紹介を受けた白内障専門病院で右目の手術を受け、眼内レンズを挿入しました。
相原先生
レンズはどのように選択されましたか?
大桃さん
本や台本を読むことを優先し、30cmほどの距離に焦点を合わせた単焦点レンズを選びました。遠くを見る際には眼鏡を併用しています。多焦点レンズも勧められましたが、自分の生活には単焦点レンズが適していると判断しました。
相原先生
適切な選択だと思います。多焦点レンズは便利に思われがちではありますが、どこでもよく見えるわけではなく、十分に術後の見え方について説明を受けてから選択することが大切です。なお、緑内障がある方には基本的には推奨されません。一方、単焦点レンズは眼鏡が必要ではありますが、安定した見え方を得ることができます。
大桃さん
術後はどのような見え方になるのか不安でしたが、かすみが取れてすっきりしました。朝起きて眼鏡を探すことがなくなり、とても楽になりました。ただ、片目だけの手術だったので、反対の目とのバランスで眼鏡が合わなくなることもありました。
相原先生
白内障の主な原因について、ここで説明しておきましょう。最も多いのは加齢ですが、外傷や先天性の要因、ほかの目の病気が原因になることもあります。大桃さんの場合は強度近視が大きな要因でした。
大桃さん
若い時に白内障といわれるのは衝撃でした。医師からも「ぶつけたことはありませんか?」と尋ねられました。
相原先生
片目のみの場合は外傷歴を確認します。加齢によるものは60代から増加しますが、強度近視ではもっと早い段階で発症することがあります。
大桃さん
一般的な白内障手術の費用や負担についても教えてください。
相原先生
手術費用について気になる方も多いと思います。保険診療の3割負担で手術のみの費用は片目およそ5万円ほどです。患者さんの目の状態によりますが、一般的には手術は日帰りでも可能で、安全性は高く短時間で終わることがほとんどです。
大桃さん
私も実際に日帰りで手術を受けました。術後の安静期間はありましたが、生活に大きな支障はなく安心しました。
相原先生
ただし運転は視力が回復するまで控えた方が安全です。両眼同時の手術は稀で、片目ずつ進めるのが一般的です。
大桃さん
手術後は多くの方から「手術してどうだった?」と聞かれるようになりました。経験を共有できることは良かったと思います。
相原先生
白内障は緑内障と異なり、手術で治すことができます。似た名前ですが、全く別の疾患です。
大桃さん
本当にその通りだと思います。白内障と診断されても、落ち込まずに手術を選択すれば良い結果が得られる可能性もあると伝えたいと思っています。
相原先生
適切な時期に治療を受けることがとても大切です。眼鏡を何度も変えても見えにくい場合や物が二重三重に見える時は手術を考えるべきでしょう。白内障は誰もがなる可能性のある病気ですが、治療法は確立されています。40歳を過ぎたら年に一度は眼科を受診し、早期発見と適切な治療を心がけていただきたいと思います。
大桃さん
普段の生活で注意することはありますか?
相原先生
日常生活でできる工夫としては、紫外線対策や栄養バランスが挙げられます。強い日差しを避けるためのサングラスの使用や抗酸化作用のある食品を意識的に摂ることは、目の健康維持につながります。
大桃さん
同じ病気で悩んでいる方へ伝えたいことは、定期的に眼科を受診して適切な治療を受けてほしいという点です。私は今この目でどれだけ良いものを見られるかと考え、旅行や日常を楽しんでいます。見えることに感謝し、前向きに生きることが大切だと思います。
編集部まとめ
白内障は手術で治る病気です。加齢や強度近視、外傷などが原因で誰にでも起こり得る病気ですが、適切な時期に治療を受ければ快適な視界を取り戻すことができます。大桃さんの体験は多くの方にとって治療への不安を和らげるものとなるでしょう。本稿が読者の皆様にとって受診を前向きに考えるきっかけとなりましたら幸いです。




