帯状疱疹はうつる? 初期に現れる症状とワクチン接種で予防する大切さ
更新日:2023/03/27

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帯状疱疹が発症してしまう原因とは?
皮膚の痛みとともに赤みや水疱を形成していく帯状疱疹とは、水疱瘡(水痘)ウィルスが原因となって起こるウィルス感染です。 これはウィルス感染ではありますが、外部から新たな形で感染するのではなく体の中に潜んでいた水疱瘡(水痘)ウィルスが再び活発することによって発症します。 このように再び感染してしまうことを回帰感染・再帰感染と呼んでいます。 初めて水疱瘡(水痘)ウィルスに感染した場合には水ぼうそうとなって発症しますが、水ぼうそうが治癒してもウィルスは完全に死滅せずに体内の神経節に潜んでいます。 これらのウィルスは体のストレス・疲れ・加齢などによって免疫力が低下してしまうことによって活動を再開し、神経から皮膚に伝わり帯状疱疹となってあらわれるのです。感染する?うつる可能性について
水ぼうそうのウィルスと聞くと感染力が高いと思われがちですが、水ぼうそうとは異なり人にうつる可能性は低いとされています。 特に体が健康な大人にはほとんど感染することはなく、水ぼうそうと帯状疱疹にかかったことがある方に感染することはありません。 さらに水ぼうそうの予防接種を2回受けていれば帯状疱疹に感染することはほとんどないと言えるでしょう。うつる可能性が高くなる場合
前述のとおり、伝染の可能性が低いものですが、感染してしまう可能性が高くなる場合もあるので注意しておきましょう。 ワクチンを打ったことのない乳幼児・ステロイド内服薬を長期使用している人・HIVに感染している人などの免疫力が低い方にはうつる可能性が高くなってきます。 小さなお子様や乳幼児がいるご家庭の中で、家族の方がかかってしまった時には感染の恐れがでてきます。特に赤ちゃんにうつってしまった場合には水ぼうそうの発症につながる怖れがあるため注意が必要です。早期治療のために!初期症状について
帯状疱疹は重症化すると後遺症が残ってしまうケースもある怖い病気であり、早めに抗ウィルス薬で治療することが求められます。 帯状疱疹には特徴的な症状があり、早めに治療をおこなうためにも症状を詳しく知っておくことが大切です。 今までにないような痛み・皮膚の違和感などがあったら要注意です。【帯状疱疹の初期症状】
- 皮膚の痛みが続く
- 皮膚のかゆみ
- いつもと違った皮膚の違和感
- 頭痛がなおらない
- だるい・ボーッとなる
- 皮膚の赤み
- 体の片方だけが痛い・かゆい
子どもの初期症状
子どもの帯状疱疹は大人の症状よりも軽くすむケースが多く、痛みやかゆみを大人よりもあまり感じないことがあります。 また、痛みやかゆみの不快感があっても子どもからは正確に伝えられない場合もあるので周囲の大人が皮膚の赤みや発疹に気をつけてあげましょう。 特に水ぼうそうを経験した子どもに発症した片側だけの発疹や帯状の発疹は、帯状疱疹として疑われる症状です。初期症状となるかゆみ
かゆみは代表的な初期症状としてあげられます。 その特徴として発疹ができる1週間ほど前から体の左右どちらかがかゆい・細長い範囲のかゆみ・離れた場所には症状はあらわれない・かゆみの後に赤みと水ぶくれができるなどの症状があらわれます。 このような場合には医療機関への早めの受診を心がけましょう。頭痛やだるさにも要注意
前述したように、皮膚の赤みやかゆみ・痛みなどの症状があげられますが、それと同時に頭痛・発熱・倦怠感などが体全体で感じる不快な症状もあらわれることがあります。 このような症状は風邪の症状と似ているため混同してしまわぬよう注意して観察することが大切です。 顔の帯状疱疹の発症で頭痛を引き起こす場合には、顔面神経に潜伏しているウィルスが原因のライゼムハント症候群という、めまい・耳鳴り・顔面麻痺・難聴など引き起こす病気の可能性が考慮されます。 このような頭痛は、血管の拡張・圧迫・ストレスからくる自律神経の乱れによっても起こります。痛みを伴う水疱ができる
初期症状としてチクチク・ピリピリとした痛みを伴う水疱もあらわれます。 この水泡疱は体の右か左どちらか半分にあらわれるのが特徴です。痛みの伴う水疱が左右どちらかに発症していたら早めに皮膚科で診察を受けてください。水ぼうそうが発端
帯状疱疹は水ぼうそうのウィルスが原因で起こる病気です。したがって、水ぼうそうがはじまりだと言うことができます。 水ぼうそうを発症した方であれば、年代性別を問わず誰にでもなる可能性があります その一方で、水ぼうそうにかかっていない方は帯状疱疹にはなりません。発症する主な部位について
神経に沿ってウィルスが活動していくことによって神経に沿って帯状にあらわれるため、体の左右どちらかに発症します。 発症する部位は半数以上が上半身で、顔や頭部が約18%・首まわりや上肢が約15%・胸や背中が約31%・腹部とその背部分が約20%・腰から下肢が約17%となっています。
顔の帯状疱疹は要注意!
顔の神経が帯状疱疹になってしまうと、顔の神経が侵されてしまい顔面神経麻痺がおこり目が閉じられなくなります。 また、三叉神経第1枝の眼神経で起きると、結膜炎・角膜炎・眼合併症を起こす可能性もあり、まれに失明する可能性もあります。 特に鼻背部には注意が必要です。 また、耳の周辺におこった場合には、難聴・めまい・耳鳴り・顔面神経麻痺を起すラムゼイ・ハント症候群になりやすく後遺症が残る可能性が大きいので早めの治療が大切となります。頭皮にもできる
帯状疱疹は頭皮にも発症する可能性があります。 頭皮にできると頭部にピリピリとした痛みが発生し、髪の毛に触っただけでも痛みを感じるようになります。また、その他にも頭痛や吐き気などの症状でてきます。 さらに頭部に水疱が出てくるので、シャンプーなどのケアも大切にしてください。 また、前頭部や後頭部の左右どちらかにピリピリした痛みが出る時には帯状疱疹となっている可能性が疑われます。 この場合にも左右どちらかに赤い斑点ができ時間とともに水疱となっていきますが、強い痛みや発熱、さらに食事がとれなくなるなど重症化してしまった場合には入院して点滴を受ける必要がでてきます。片側の足がチクチク痛みだしたら要注意かも?
帯状疱疹が発症する部位は上半身がほとんどですが、足の片側にチクチク・ピリピリと感じる痛みがでてきたら可能性が疑われます。 特に足に発症すると後遺症である神経痛がでてしまうこともあり、痛さが残ってしまい歩くことに支障が出るケースもありますので早めの治療が大切です。 痛みの他にも、かゆみ・しびれ・皮膚の奥でおこる違和感には、初期症状である疑いがありますので注意しておきましょう。 足に発症すると、虫刺されと勘違いする方や坐骨神経痛と間違う方がでてきます。発疹が発症する前にはなかなか判断しづらいので、整形外科と同時に皮膚科への受診をおすすめします。皮膚科での受診が早期発見の近道です
帯状疱疹は皮膚の発疹や水疱が発症するまで時間がかかる場合が多く、診断が下るまでに時間を費やしてしまうことも少なくありません。 痛みを伴うため整形外科では骨の異常を疑われたり、内科ではガンを疑われることもあるのです。 特有の症状を感じた場合には皮膚科を受診することが帯状疱疹を見つける近道となります。 早期発見と早期治療が重要になりますので、まずは皮膚科を受診し症状を先生に正しく伝えてましょう。治療方法を知っておこう!
この症状は年齢にかかわらず、患者の抵抗力によっては重症化もありえる怖い病気です。 早めの治療をおこなうことはもちろんのこと、発症しないためにはワクチンによる予防接種も有効となります。 しかし、帯状疱疹になったときには日常生活においてどのようなことを心がければよいのでしょうか? 神経痛の長期化に悩まないためにも、回避できる治療方法と対処方法について学んでおきましょう。【帯状疱疹となったときの日常生活】
- 睡眠と栄養をとり安静にする
- ストレスをためない
- 患部を冷やさない
- 水疱は破らない
- 幼児や赤ちゃんとの接触は控える
抗ウィルス薬をできるだけ早く服用する
発症してしまった時には、抗ウィルス薬であるアシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビル・アメナメビルといったウイルスの増殖を抑えるお薬をできるだけ早く開始し全身に投与してあげることが大切です。 症状がで始めた段階では水疱ができた患部に非ステロイド抗炎症薬を塗布し、水疱になってからは細菌の二次感染を防いであげるために化膿疾患外用薬・潰瘍治療薬を貼布してあげます。 薬を飲まなければ完治するまでには約3週間かかってしまいますが、このような薬を処方してもらえれば1週間~10日間で治ることができ、水疱などの発疹の跡を防いでくれるのです。 治療を早く始めることは重症化の防止と帯状疱疹神経痛の後遺症の予防にもつながっていきます。ワクチンで予防接種を!
帯状疱疹は重症化のおそれや長期にわたっての神経痛の可能性もある疾患ですが、現在では発症を抑えたり重症化を予防するワクチンの予防接種が受けられるようになりました。 帯状疱疹のワクチンは水ぼうそうで用いられているワクチンと同じもので、50才以上の大人が予防を目的で接種する場合は、皮下に1回接種します。子供の場合は定期接種で2回の接種となります。 これらの予防接種となるワクチンの効果は帯状疱疹の活動を抑えるものなので完全に防ぐわけではありませんが、50才代から高齢者にかけて増加し続けている重症化を予防してくれます。予防接種の注意点は?
帯状疱疹の予防接種はいくつかの注意点がありますので事前に知っておきましょう。 ワクチンは免疫機能に異常のある疾患・免疫抑制をきたす治療を受けている方は接種できません。 さらにカナマイシン・エリスロマイシンで過去にアレルギー反応を起こした方も接種することはできず、妊娠中や接種後の2ヶ月の妊娠も避けなければいけません。 この予防接種の副作用としては、発熱・発疹・赤班・かゆみ・じんましんなどがでてくる場合がありますが数日中によくなります。その他にも気をつけたいこと
帯状疱疹は水疱がなくなり治癒した後でも、痛みが継続的に続き帯状疱疹後神経痛と呼ばれる合併症を引き起こしてしまうことがあります。その割合は3ヶ月後で7~25%ほどで6ヶ月になると約5~13%と合併症としてとても頻度の高い値です。 帯状疱疹神経痛の症状は、焼けるような痛み・刺すような痛み・ズキズキ・ヒリヒリ・電気が走るなどの痛みとともに、感覚が鈍くなる・触れるだけで痛いなど症状があらわれます。 帯状疱疹神経痛の治療方法には神経ブロック療法・理学療法・薬物療法が用いられますが、入浴や適度な運動などを積極的にとりいれることも効果があるとされています。再発について
一度発症するとウィルスに対して免疫力がつきますので、すぐに発生することはあまりありません。
しかし、前回の発症から数年経つと加齢や疲労などからくる免疫力の低下によって再発する場合もでてきます。
再発の確率は、全体の5%以下とそれほど高くないので、再発を繰り返し発症するということは少ない疾患です。。
帯状疱疹にならないためにできることとは?
外部からうつる病気ではなく、自分自身の中にある水ぼうそうのウィルスが活発になっておこる疾患です。 したがって帯状疱疹を発生させないためには免疫力を低下させない生活や予防が大切になってきます。 【帯状疱疹にならないために】- バランスのよい食生活
- 質の高い睡眠
- 疲れを残さない
- 休息する
- 適度な運動
- 帯状疱疹ワクチンの予防接種を受ける
重症化の恐れがある場合はワクチンでの予防も視野に!
帯状疱疹について、その原因・発症する部位・初期症状・治療方法・予防方法などについてまとめてみました。 水ぼうそうのウィルスが原因で発症するものには、水ぼうそうに感染した方なら誰でも発症してしまう疾患です。また合併症や後遺症など重症化する恐れもある帯状疱疹はできるだけ避けたい病気のひとつとなっています。 現在では、ワクチンで予防接種することで重症化を回避することができるようになりました。 後遺症や合併症で苦しむことのないように、事前に予防接種を受けることも視野に考えてみてはいかがでしょうか?特に免疫力の低下している高齢者の方にはおすすめできる予防方法です。
監修ドクターのコメント
ずきずき、ちくちくといった痛みや赤み・水疱といった皮膚症状のため不安になられる患者さんもいらっしゃいますが、予防方法も治療方法もある病気です。あわてず皮膚科に受診いただくことをお勧めいたします。
監修ドクター:貞政 裕子 医師 サマンサクリニック 院長







